最近の読書2013年10月 [読書]
最近読んだ本の中から、メモしときたいものをいくつか
脱グローバル論 日本の未来のつくりかた 講談社
モーニング 小路幸也 著 実業之日本社文庫
真吾の死、その葬儀のために集まった大学時代の親友・ルームメイト達が、複雑に絡み合い封印されてきた過去を一つ一つほぐしていくような東京へのロング・ドライブの車内が舞台。
素敵な思い出に彩られた学生時代の甘酸っぱい過去は読者の心を懐かしい気持ちにさせ。ある大切な人との暗い過去の思い出は胸が締め付けられる思いがします。
通勤電車や仕事の合間ではなく、家の中で一人っきりでゆっくりと読みたくなる本でした。
ホームタウン 小路幸也 著 幻冬舎文庫
妹の木実の失踪、それを追ううちに妹のフィアンセまでもが失踪していることを知る主人公の柾人。兄妹にのしかかっていた黒い過去を置いてきた旭川で、柾人を過去・現在を支えてきた脇役たちとの捜索劇が展開される。
この小説はミステリーとして読むと物足りないかもしれませんが、小路幸也一流の人間ドラマとして読めば、感じるものが多いです。
最後に柾人が住み込んでいる家のおばあちゃんとの会話のシーンにすべてが救われる思いがします。
世界の奇妙な国境線 世界地図探究会 編 角川SSC新書
世界地図を見ていると目につく、なんとも奇妙な国境線。その謎を解き明かしていく「雑学本」。
しかし、バーレ市のように一つの街の中に二つの国の国境が入り混じっていても、上手くやっているところもあれば、バングラデッシュのように国境線のために現地の人々が不便を強いられているところもあったり。
第4章では国境紛争にまつわる国境線の話題になりついつい真剣に読み入ってしまう。暇つぶしのつもりで購入した本でしたが、世界の歴史・民族・宗教・紛争について、色々と考えさせられる良本でした。
SONYの電子書籍ストア、反転攻勢 [読書]
今年の2月にSONYの電子書籍READERを購入してから、購入冊数が100冊を超えました。このSONYのREADER、PRS-T2の読みやすさはハンパないです。電源も3週間近く充電なしでOK。
最近、後継機種が登場したようですが、枠が小さくなってディスプレイ部分が拡大する進化を遂げていますが、デザイン的にはT2を引き継いでいて、T2のすぐれたデザイン性が証明されたような感じです。
ソニー 電子書籍リーダー Reader 6型 Wi-Fiモデル ブラック PRS-T3S/B
- 出版社/メーカー: ソニー(SONY)
- メディア: Personal Computers
ただ、以前のエントリーでは下記のように書きました。
このSONYのREADERで一番の不満点は、ソフトウェアの入手・管理がしにくいこと。READER STOREには早くも不満が募っている。読みたい本が決まっているときはいいが、「オススメの本」については、若干ピントがずれてる時が多い(そんなんオススメされてもなあ・・・というのが多い)。
あと、ブクログなんかと連携して本を買うときに他の人の評価がみれればいいのになあ、と思う。こういうソフトを買わせるシステム構築の上手さについてはアマゾンの方が、かなり先んじてるんだろうな(Kindleは持っていないからよく分からないが)。 機械としては非常に操作性も完成度も高いのだが、ここらあたり、ウォークマンがi-PODに完敗した歴史を繰り返しそうな気もします。
最近では、上のような理由に加えて、アマゾンよりも価格的にも魅力が無く、ブックの形式に汎用性のある紀伊国屋ブックストアで購入することが増えていました。
しかし、先月末のリーダーストアの大幅リニュアルの際に、これらの問題は一気に解決を見ました。リーダーストアにブックレビューのSNSを開設、自分のレビュー見て購入したユーザーにはポイントを還元するアフェリエイト機能付き。現在は10%還元のキャンペーン中ということもあって、どんどんブックレビューが増えて行っています。
ストア内での書籍検索機能も使い勝手がよくなりました。カテゴリーも細かくなって、図書館で本を探すような操作性になっています。条件も細かく付けて絞り込むことができるようになり、ピンポイントで本を見つけることが出来るようになりました。前は全然的外れだった、『おすすめ本』の提示も、アルゴリズムが見直されたのか、けっこう食指をそそる本が出てくるようになっています。個人的な感覚では、読みたい本を見つける、という機能については、完全にamazonを凌駕したと思います。日本企業には頑張ってほしいので、なるべくアンケートに解答したりしてきましたが、これだけ充分にユーザーの想いを反映して下さると嬉しいものです。
加えて、リーダーアプリがアップル陣営(i-phone、i-pad)にも対応。電子書籍の価格も、矢継ぎ早にキャンペーンを売ってamazonの価格に対抗(10月1日とか、角川書店の電子書籍半額セールとかありました)。
リーダーストア優待プログラムも、優待を受けられる価格が下がりました。これらのポイント制度を駆使すれば、amazonよりも安く場面が多く出てきそうです。
i-PODブームの際は、音楽ソフトへの著作権配慮で、技術・アイデアではトップランナーだったにも関わらず、アップル陣営に席巻されてウォークマン神話の崩壊を招いたソニー陣営。今回の電子書籍マーケットはテコ入れのタイミングが速かったように思います。今後はリーダーストアで買うことが多くなりそうです。
ロスジェネの逆襲 池井戸潤著 ダイヤモンド社 [読書]
語られなかった皇族たちの真実 竹田恒泰 著 小学館文庫 [読書]
内容(「BOOK」データベースより)
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著者は旧皇族・竹田宮家の子孫で、明治天皇の玄孫という立場。大部分は太平洋戦争において皇族たちが果たされた役割・足跡・功績について書かれてある。
特に印象に残ったのは、昭和天皇の玉音を海外の戦地に伝えるため、中国大陸から東南アジアなど各地を回られる宮様方の決死の任務だった。
特に著者の祖父である竹田宮のルートについて詳細に書かれており、文字通り薄氷を踏むような行程だったことがわかる、1日、数時間ずれればソ連へ抑留されていたかもしれない危険な任務だった。
また、8・15事件をはじめ、終戦を受け入れられない軍勢力が企図したクーデターや暗殺計画を阻止するために、東久邇宮首相はじめ、皇族方が様々な方法で奔走された記録もある。
当たり前の事なのであるが、あれほど広大な戦線を収束し、国内外で君臨した軍勢力の武装解除させるということは、並大抵の仕事ではなかった。皇族方が果たされた役割について再認識した。
震度0 横山秀夫 朝日新聞出版 [読書]
64(ロクヨン) [読書]
コンサートも読書も、終わった後に放心状態になる様な・・・、そんな凄い本、あるいは演奏に出会うことがあります。
警察組織の内部がテーマだが、刑事が犯罪を暴いていくというものではなく、テーマは人間模様。主人公が2つの派閥の中で揺れ動き、刑事への帰属意識と職務への忠誠の狭間に落ち込んでいく中、組織が犯した大きな過ちを知ることになる。家族の問題が常に通奏低音のように鳴り響く中、やがて自分のゆるぎないものを打ち立てた主人公と、その周囲からドラマは大きなうねりとなって一つの出口に向けて走り出す。
この週末はこの1冊の虜になりました。650ページからなる大作ですが、常にビリビリするような緊張感が作品を貫いています。若干睡眠不足気味です(笑)
電子書籍を無料で手に入れる方法 [読書]
無料で手に入れるといっても、違法なことをするわけではありません(笑)
以前、「電子書籍はそんなに安くない」という趣旨の記事を書きましたが、電子書籍デビュー3ヶ月でいろいろ『技』を使えば、電子書籍は結構安く買える』ということがわかってきました。
僕は電子書籍はもっぱらソニーのリーダーストアーと紀伊国屋ブックストアで購入しているのですが、ソニーストアでは電子書籍の普及のために、結構キャンペーンを繰り出しているんですね。まとめ買いで300ポイントプレゼントとか、読書マラソン参加表明で100ポイントとか・・・。キャンペーンが多すぎて、自分でも覚えのないポイント還元が何度かあったりしましたし(汗)そんな感じで知らないうちに500ポイントぐらい還元されていることもあったりして、文庫本1冊ぐらい無料で変えたりするわけです。
リーダーストアのポイント明細を見てみると・・・、この3ヶ月で7200円分の電子書籍を購入してるんですが、そのうち4300円分をポイントで買っていたという・・・。半額以下で買えていた計算です。電子書籍は安くない?どころか、ポイント制度をうまく利用すれば充分に安い!前のエントリーは撤回せなあかんなァ。
あと、結構大きかったのは、「マイ・ソニー・クラブ」に手持ちのソニー製品を登録すると500ポイントが付くんですね。VAIOでもハンディカムでもウォークマンでも、サイバーショット、プレステなどなど、ソニー製品ならなんでも500ポイントくれるんですよね。
他にもソニーポイントのサイトを経由して、無印良品とかベルメゾンなどの通販サイトにログインすれば、そこで買い物した額に応じてソニーポイントが還元されます。ちょっとひと手間かかりますが、リンク先の通販サイトのポイントと同時に貯まるので利用しない手はありません。
ソニーポイントを増やすにはもう一つ『技』があって、自分がso-net会員になっていることもあって、ソネットポイントも駆使しています。ソネットポイントは500ポイント以上でソニーポイントに変換できるんですね。なんだか話が複雑になってきましたが(笑)ついてこられているでしょうか・・・
ソネットポイントを経由して楽天やyahoo!ショッピングやHMVなどにログインすれば、ソネットポイントと同時に楽天ポイントやyahoo!ポイント、pontaポイントも同時に付与されます。
自分はポイント取得目的で、通販利用を増やしたりはしていないのですが(逆にHMVなんかは利用額が減っているし・・・)、それでも勝手にどんどんポイントがたまっていくんですね。
この調子でいけば、リアル本の実質半額近い値段で電子書籍が買える状態を維持できます。
気を付けないといけないのは、リーダーストアのキャンペーンで付与されるポイントの有効期限がその月の月末までしか使えないこと。先月なんかは2月末有効期限のポイントが2/20日に付与されたこともありました(汗)なので、いくつか読みたい本をキープしておいて、月末にポイントを使って購入する、というのが一番得をする方法です。
今まで読んだ中で・・・ [読書]
最近、本当にひどい本を読んでしまいました。電子書籍リーダーでサンプルを読んでいたら、視点が面白かったので購入。しかし面白いのはサンプルで読んだ20ページほどだけで、そのあとは本当にひどい本でした。
いわゆる『B層』を題材にした新書なのですが、中間ぐらいまで読んでもあまりにひどいので『もしかすると、ひょっとすると終りの方ではものすごい事が書いてあるのかもしれない』と思ってしまい、続けて読みましたが、ひどさに拍車がかかり、3/4ほどで読むのをやめました。
こんなにひどい本しか書けない作者が気の毒に思うような本でした(ってこんなこと書いたら、どの本か気になりますよね・・・)。
10月に読んだ本 [読書]
10月に読んだ本
http://booklog.jp/users/hironominv74/chart/2012/10/book
今月も6冊。面白い本が多かった。
中でも、ためになった1冊はこれ。
レジーム・チェンジ―恐慌を突破する逆転の発想 (NHK出版新書 373)
- 作者: 中野 剛志
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/03/08
- メディア: 新書
『レジームチェンジ ~恐慌を突破する逆転の発想~』 中野剛志 著 NHK出版新書
「失業による生活破壊・自立心・自尊心の破壊」により、「将来性の損失・技術力の低下」が起き、国民の間に鬱積した不満により、「排外主義の台頭により周辺諸国との関係が緊迫化」する・・・、そして社会的バッシングや極端な政治選択により、国家体制の不安定化を招く・・・デフレの恐ろしさが良く解りました。
普段から疑問に思っていたこと、それは小泉内閣の改革で一番犠牲を強いられる層の人たちが、なぜあれほど熱狂的に支持したのか?あるいは、また橋下徹らの、徹底したコストカッターによって、一番被害を受けそうな層の人達が彼を支持するのか?ということにも、一定の解答も得られた本。
橋本内閣以来の規制緩和・公共投資削減というデフレレジーム(デフレを重症化させる政策体系)から、一気に舵を切り直し、インフレレジームへの転換を図る、というのが著者の主張。
インフレレジームとは、徹底的なケインズ主義、ニューディールだという。穴を掘って埋めるだけでもいい、というのがケインジアンの思想だが、それは極端だとしても、例えば老朽化する社会インフラの補修などだけでも数十兆円規模の公共事業が生まれ、それによって雇用と国民経済を支えるというものだ。現在の政策基調になっている、規制緩和・経済自由化・緊縮財政・地方分権、を全部否定してしまう。
なるほど、中野氏がTPPに猛反対なのも頷ける。こうしたケインジアン的(田中角栄的?)財政は、TPPを推進する規制緩和・グローバル経済推進派たちが、亡国の財政として強烈にバッシングをしてきたのだから。
僕自身、なかなかこのインフレーレジームへのチェンジには、ついていけない部分もあるのも事実だが、いわゆるデフレレジームは若年層の雇用を破壊し、中間層を破壊し、ひいては国民経済を破壊してきた。一考する価値があるのではないだろうか?
9月に読んだ本 [読書]
もう9月も終わりです。ウチの近所には大学生の一人暮らしが多いようなんですが、スーパーに買い物に行っても学生さんが多くなって来ました。前期・後期の間の夏休みも終わりのようですね。
大学時代の恩師が、新入生の時に仰っていた教えを思い出しました。
①本を読むこと、②色々な人の色々な考えに触れ、議論することを惜しまない事、③文化的なもの、芸術に触れること
①は最近は復調気味、③は音楽に関してのみはバリバリ触れています(爆)、②は最近はやっていないな、少し新しい世界を広げないといかんね。
最近は、バスや電車の中、あるいは病院の待合など、細切れ時間があるので、読書のペースも元に戻りつつあります。
9月に読んだ本は、ブクログのリンクで横着するとして・・・
本当はオリンピックシーズンに読もうと思っていたのだが・・・。
時代は東京オリンピックが舞台。日本の近代化の影の部分に光を当てる舞台設定は、松本清張を思わせるが、物語は重苦しく鳴らず、奥田テイストで進んでいく。各章ごとに時代が前後に行ったり来たりするし、伏線も豊富で、本当は構造が非常に複雑な小説なのだろうが、読者がまったく混乱する事無く読めるのには驚いた。今年読んだ中では一番かも。
私はうつ病の経験は無いのだが、ストレス性疾患に苦しんだ経験を持つ。本当に苦しかったが、自分の気持ちだけは強く持てた。うつ病の患者さんは、その気持ちに変調をきたすわけだから、まさに地獄の苦しみであろう。
こういう種類の病気は、いかにいい医者に巡りあえるか、それが病気の治癒だけでなく人生そのものを左右するという、恐ろしくシビアな面を思い知らされた。そして、やはり『薬』というのは付き合い方を間違えると、大変なのだと・・・
一方で、第6章の「見える化」で正しい診断を・・・に光を見た。骨折や発熱のように、外見ではなかなか分かりにくいこの病気が、「見える化」によって、客観的に判断できるようになれば、偏見や誤診をかなり減らせられるのではないか?