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岡山フィルの2024/25seasonプログラム [岡山フィル]

 岡山フィルの2024/25シーズン・プログラムの速報が昨年末の12月27日に発表になった。今年度=2023/24シーズンは年明けの発表だっただけに、年末発表にこだわった岡山フィル事務局に感謝したい。

 お正月になると「今年はどこに行こうか」と色々考える時間が出来る。その時にプログラムや日程が判っていないと、話題の俎上にも上がらない。だから、この時期の発表は大正解。


 プログラムは全て「予定」とのこと。まずは情報を見ていこう。


第80回定期演奏会

~必聴!英雄伝説!~

5月25日(土)14時〜

指揮:秋山和慶

チェロ:上村文乃

モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より序曲

チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲

ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」



第2回津山定期演奏会

~必聴!英雄伝説!~

5月26日(日)15時〜

指揮:秋山和慶

チェロ:上村文乃

モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より序曲

 チャイコフスキー/ロココの主題による変奏曲

 ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」



第81回定期演奏会

~ウィーン夏物語~

7月7日(日)14時〜

指揮:キンボー・イシイ

ピアノ:津田裕也

モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番

マーラー/交響曲第5番



第82回定期演奏会

~熟練のタクトが導くチャイコフスキーの世界~

10月20日(日)14時〜

指揮:秋山和慶

ピアノ:中桐望

チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番

チャイコフスキー/交響曲第5番



ベートーヴェン“第九”演奏会2024

~巨匠秋山和慶が届ける円熟の「第九」~

12月8日(日)14時〜

指揮:秋山和慶

ソリスト:調整中

合唱:一般公募による「第九を歌う市民の会」



ニューイヤーコンサート

~新春に聴く イタリアオペラの決定版~

2025年1月26日(日)14時〜

指揮:キンボー・イシイ

ソリスト:調整中

第1部 ワルツ ほか

第2部 イタリアオペラを中心としたオペラガラコンサート



第83回定期演奏会

~巨匠達が創り出す極上のひととき~ 

3月2日(日)14時〜

指揮:秋山和慶

ヴァイオリン:竹澤恭子

モーツァルト/歌劇「魔笛」より序曲

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 

ブラームス/交響曲第2番



 「良くやった!」と「うわっ、ひっでえプログラムやなぁ」が入り混じっている、というのが正直な感想。

 まず一番に目を引くのが7月に取り上げる大曲:マーラー/交響曲第5番だろう。岡山フィルでは初めて取り上げることになる。激しい情動表現・美しい旋律を駆使し、管弦楽の音を限界まで追求したオーケストラ音楽の究極の作品を、ようやっと岡山フィルの演奏で、最高の音響環境の岡山シンフォニーホールで楽しめるのだ。

 指揮は秋山さんではなくキンボー・イシイさん。ヨーロッパの歌劇場の現場叩き上げの指揮者で、岡山フィルとは2011年のニュー・イヤーコンサートで共演。旋律の歌わせ方・内声の響かせ方・テンポ感すべてが一体となって音楽へ瑞々しい生命を吹き込んでいくさまは、この方はちょっと、いやかなりモノが違うなと感じさせた。来年度は1月のニューイヤー・コンサート(イタリア・オペラのガラ・コンサート)の指揮を執る。ついにキンボーさんの真骨頂のオペラが楽しめるわけだ。できれば岡山フィルとは末永く関係を築いていってほしい指揮者。

 あと、去年の10月に実施された、ホルン・トロンボーン・ファゴットの首席奏者オーディション。恐らく候補者の方は半年の試用期間を経て、この7月定期おたりでデビューするのでは?いきなりマーラー5番ですか・・・それも注目点。。

 秋山さんの回で最注目なのは3月定期。ご自身の回想録「ところで今日、指揮したのは」で「私にって特別な曲」と述べられたブラームス/交響曲第2番は、秋山さんの指揮者デビューの曲であり、ヴァンクーヴァー交響楽団、ロサンゼルス・フィル、アメリカ交響楽団それぞれのデビュー時にもこの曲を選んだ勝負曲。岡山フィルでこの曲を取り上げるのは、何か意味がある筈。
 この回の全プロはシベリウス/ヴァイオリン協奏曲で、秋山さんとは北米時代から共演を重ねてこられた竹澤恭子さん。これは聞き逃せませんよ、絶対に!!
 私は数ある古今のヴァイオリン協奏曲の中で、このシベリウスの協奏曲が一番だと思う。特に第2楽章の美しさは他の作曲家の協奏曲の追随を許さない。それを秋山・竹澤のコンビで聴ける、この幸せを何と表現すればよいか。

 5月は、THE MOSTの元メンバーでもあった上村文乃さんを迎えてのチャイコ/ロココと、ベートーヴェンの英雄。英雄は2021年3月定期でも採り上げており、正直「間が詰まりすぎ」の感はあるが、秋山さんはこのところ英雄を重点的に取り上げているので(特に去年の近衛秀麿編の英雄は関西の話題をさらった、これは秋山さんの希望かも知れない。来年は12月の第九も指揮する。

 「うわっ、ひっでえプログラムやなぁ」と思ったのは10月定期。なんで「ひっでえ」のかと言えば、このプログラムは秋山さんが選んだのではない(最終的に承認されたとはいっても)と確信をもって断言できるからだ
 秋山さんの回想録に『オーケストラは古い曲ばかり演奏しているとマンネリに陥る。指揮者の中にはジャンルを決めている人もいるが、私はどんな曲でもこなせるようにしなくてはならないーーという信念を持っている』とある。だから、こんな酷いプログラムを自ら進んで組はずがないのだ。恐らく集客などを勘案して事務局が作った案ではないのか?
 秋山さんをよく知る音楽ファンがこのプログラムを見ると「岡山フィルはあまり重要視していないのかな」「こんな酷いプログラムを定期演奏会で秋山さんにやらせてはいけない」と思うだろう。

 秋山さんは常にそのオーケストラがやったことがない曲をレパートリーに組み込むことを、人生をかけてやってこられたから、メインがチャイコフスキーの交響曲第5番の場合、例えば、隠れた十八番である交響曲第1番「冬の日の幻想」や、ピアノ協奏曲を採用するとしてもスパイスの効いた曲を選んでいたはずだ。
 中桐さんの起用は「地元出身音楽家にスポットライトを当てる」という従来からの方針だと思うが、これまでもこの先もいくらでも共演機会があるチャイコフスキーの協奏曲ではなく、中桐さんが履歴書に書けるような曲目でないと、本当の意味でスポットを当てることにはならないだろう。
 私はかねてから中桐さんのソロでバーンスタイン/交響曲第2番「不安の時代」や、シマノフスキー/交響曲第4番「協奏交響曲」などを聴いてみたいと思っている。プロコフィエフの協奏曲でもいい。中桐さんが自分のプロフィールに「2024年には岡山フィルとバーンスタイン作曲、交響曲第2番「不安の時代」を演奏、好評を博す」と書くような、彼女の音楽家人生のマイルストーンとなるようなコンサートに立ち会いたいのだ。


 まあ、大きな不満はこの10月定期のプログラムだけなのだが、こういうプログラムを組まれると、「そろそろ岡フィルのコンサート全てに付き合う必要もなくなったかな?」という気になってきた。来年度はマイシートを更新せず、福山リーデンローズで開始する広響や京響による本格的な「福山定期演奏会シリーズ」のプログラムも見極めながら、行きたいものをだけをつまみ食いしようかと考えている。

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岡山シンフォニーホール 大規模修繕により2025年6月から1年半休館 [岡山フィル]

 11月2日の山陽新聞に掲載されていたこの記事。


 シンフォニービル 岡山市が大改修 設備劣化で25年6月にも着工:山陽新聞デジタル| さんデジ

 KSBのニュースでも報道されたようです


 シンフォニービルの耐震化工事は会館40周年(2031年)までには着工しないといけない、みたいな話は聞いた事があったので、驚きはなかったが、岡山市は2つの大規模プロジェクト(路面電車の岡山駅乗り入れ市役所新庁舎建設)を抱えており、それらにカタが付く2027年以降になるだろうと思っていたので、意外に早く着工するのだな、とは思った。


 しかし、ほぼ同じ時期に開館した愛知県芸術劇場は、2019年に大規模改修を終えており(その間、名古屋フィルの定期演奏会は、名古屋市民会館に移して行われたようだ)、ファシリティ・マネジメントの観点や南海トラフ地震への対応を考えると、一刻も早い改修が必要だったということだろう。

 10月の初めに「シンフォニーホールが休館になるらしいで」という情報を高校教師の友人から聞き(芸術鑑賞会や吹奏楽部の発表会の会場選びなど、課題が山積らしい…)、市役所のホームページを調べてみたが、それらしき情報が全くなかった。2025年に着工するならば、今年度中に基本計画・基本設計を終えなければならない筈で、これはどういうことだろう?と思っていたら、上記の山陽新聞の記事を見て、事情が分かった。

 要するに、大規模改修の事業主体は市役所ではなく、シンフォニービル全体の管理組合なのですね。管理組合が発注・契約してホール部分の費用だけ市が負担する契約になっている。実際には市役所の専門職の方が中に入って実務を取り仕切るんだろうけど、もし、契約・施工上のトラブルがあったらどねーすん?と思う。



 で、管理組合のホームページを見ると、ありました。基本計画書が。

「ハレノワと共に、岡山の文化芸術の拠点として並び立つために、目指す方向性(現 状の多目的ホールとして改修するのか、音楽専用など特徴を出していくのか等)の 検討を進めながら、改修を進めて行く」
 との文言があることから、舞台芸術に関する設備などハレノワでカバーできているものは思い切って撤去することもありそう。


 我々ホール利用者に関係ありそうな、主な改修個所をピックアップしてみると

・大ホール天井パネルの更新
・大ホール客席椅子更新
・舞台機構設備、照明設備、音響設備改修・修繕
・トイレの洋式化など

 などが挙げられている。天井パネルと椅子の更新は、直接的にホール音響に影響を与える工事なので、ちょっと心配ではある。建設時のように詳細なシミュレーションはできないだろうからねえ。


 シンフォニーホールについては音響面で非常に高い評価を受けつつも、竣工当時からの社会情勢の変化もあり、ハレノワなどの最新のホールとの比較で次のような問題点が露になっている。

①バリアフリー対応が不十分。特にホワイエから2階・3階客席はかなりの段数の階段を自力で登らねばならない。
②エントランスの開口部が狭く。渋滞・密集を招いている。
③エントランス外にスペースがなく、入場待ちの列を捌ききれないばかりか、エスカレーターから降りる人と交錯する事故リスク、列が階段に伸びて将棋倒しのリスクなどが指摘されている。

 今回の改修では①~③を根本解決するような建物躯体に手を入れるような改修は見送られそうだ。

 ただし、床面積 2,000 ㎡以上の新築、改築をする場合(シンフォニーホールは余裕で該当)は、高齢者や障害者の移動等の円滑化のための基準を満たすことが法律で求められている。
 ここで少し妄想。一番の解決方法は舞台下手側に通っているエレベーターを使えるようにすることだろう。ホール1階席は、指揮者室や楽屋などがある場所にエレベータがあるので、一般客が自由に使えるようにすることは難しいかもしれない。

 それにこのエレベーターは9階~12階のオフィス階に繋がっていて、2階・3階席の下手側バルコニー席への通路突き当りの壁の向こうに通っているはず。もしかしたら点検口や事故時の脱出口などがあったら、もう少し壁をぶち抜いて2階・3階席にも行けるように出来れば抜本的解決になるのでは(無茶言うなぁ)。
 
 さて、我々聴衆にとっては、
・シンフォニーホール自慢の音響が変質しないのか?
・あるいは休館中の岡山フィルの活動はどうなるのか?
 について気になるところだが、それについては(いつのことになるかわからないが)また別の記事に起こしてみたいと思う。

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岡山フィル2023年度シーズンプログラム [岡山フィル]

 少し時間が経ってしまったが、岡山フィルの2023年度シーズンプログラムが1月21日に発表された(ハレノワのこけら落としは12月11日に発表済)。



第76回定期演奏会
2023年5月20日(土)14:00~
指揮:秋山和慶
ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」
ベートーヴェン/交響曲 第5番「運命」


津山定期演奏会(津山文化センター)
2023年5月21日(日)15:00~
指揮:秋山和慶
ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」
ベートーヴェン/交響曲 第5番「運命」


第77回定期演奏会
2023年7月23日(日)14:00~
指揮:デリック・イノウエ
ピアノ:松本和将
リムスキー=コルサコフ/スペイン奇想曲
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調



岡山芸術創造劇場ハレノワ  こけら落とし公演

ケルビーニ/歌劇「メデア」

2023年9月1日 岡山芸術創造劇場ハレノワ大劇場  開演時間未定

指揮:園田隆一郎

演出:栗山民也

メデア:岡田昌子  ジャゾーネ:清水徹太郎

グラウチェ:小川栞奈  ネリス:中島郁子

クレオンテ:伊藤貴之

管弦楽:岡山フィルハーモニック管弦楽団



第78回定期演奏会
2023年10月22日(日)14:00~
指揮:秋山和慶
チェロ:佐藤晴真
ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲
シベリウス/交響曲 第2番 ニ長調


ベートーヴェン“第九”演奏会2023
2023年12月10日(日)14:00~
指揮:飯森範親
ソリスト:オーディションにより選出
合唱:岡山“第九”を歌う市民の会
ベートーヴェン/交響曲 第9番


ニューイヤーコンサート
2024年1月21日(日)14:00~
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ハープ:マルギット=アナ・シュース
ラヴェル/道化師の朝の歌
モーツァルト/フルートとハープの為の協奏曲(Ob.版)
モーツァルト/交響曲 第31番「パリ」
ラヴェル/ボレロ


第79回定期演奏会
2024年3月9日(土)14:00~
指揮: 秋山和慶
ヴァイオリン:戸澤采紀
ベートーヴェン/「コリオラン」序曲
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調


 指揮者陣や地域定期などで徐々に「秋山カラー」が出てきていると実感させるラインナップ。ただ、少々物足りない部分もあります。

 昨年11月11日付、山陽新聞に掲載された記事を振り返ると・・・
岡フィル 秋山体制でより高みへ 創立30年、東京公演も模索:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1329410

 この記事から、秋山ミュージックアドバイザーが示す方向性は
「東京公演の実施など視野に入れ、全国区で評価されるような演奏水準を目指す」
「レパートリーを拡大し現代曲なども取り入れる」
「本拠地以外の地域や子どもたちへのコンサートに力を入れる」

 この観点で2023年度のプログラムを検証してみよう。
 まず演奏水準の向上については、ベートーヴェン・ブラームスを軸にオーケストラの基礎固めをする意図が明確。特に5月は同一プログラムで本拠地定期と津山定期という、コンチェルト無しのシンフォニー2本勝負で2回の本番をこなすことで地力をつけようという意図が見える。
 指揮者陣もデリック・イノウエ、飯森範親ともに秋山さんと同じく斎藤秀雄直系の指揮者で、飯森さんはもともと岡山フィルとは縁が深く、デリックさんはメトロポリタン歌劇場など北米の歌劇場の経験が豊富で、2018年のセイジ・オザワ・フェスティバルでは小澤征爾の代役を急遽務めたことも記憶に新しい実力派。同じメソッドを共有する指揮者陣で岡山フィルの演奏向上を目指そうという意志が極めて明確な陣容。1月にシェレンさんが指揮台に立ったとき、どんな変化を感じ取るだろうか。

 次にレパートリーの拡大については、秋山さん十八番の一つ:シベリウス/交響曲第2番がいよいよ取り上げられるが、先のインタビューで秋山さんが触れていた「現代曲」はラインナップに無く物足りない印象を残す。そもそも年間5回のサブスクリプションでは新レパートリーの開拓には限界がある。せめて定期年間6回+名曲コンサート年間3回ぐらいの回数は欲しいところ。

 本拠地以外のコンサート展開については、従来の県内各地域での特別演奏会を津山「定期演奏会」と名付け、今後も本拠地の定期演奏会と同じプログラムが聴ける体制を目指しているのだろう。津山市は過去に音楽大学も存在し、30年間に亘って音楽祭を開催してきた音楽都市、県内他地域に比べると潜在需要は高いはず。一方で今回は『第1回』定期演奏会と銘打っていないところを見ると、今後も実施するかは集客次第なのだろう。津山の皆さんには是非足を運んでほしいと思う。願わくば津山の地に、岡山フィルの手で再びマーラーの音楽が鳴り響く日を夢見て。


 ソリストはホールゆかりの奏者を中心に起用。松本和将(Pf)は去年のラフマニノフ3番の演奏が圧倒的だっただけに、パガニーニ・ラプソディにも期待が高まる。佐藤晴真はTHE MOSTの初期メンバーで岡フィルへは2度目の登場、戸澤采紀さんはお母様の実家が岡山だそう。間違いなく日本のトップヴァイオリニストになる(もうなっているか)逸材によるブラームスも楽しみ。
 もちろん、ソリストのハイライトはシェレンベルガーとパートナーのアナ・シュースさんによるモーツァルトだろう。シェレンベルガーの名前が入るだけで年間プログラムがなんと華やかになることか。シェレンさんとアナ・シュースさんのデュオは、2月4日ハレノワの中劇場でのリサイタルも予定されている。


 他には、ネットチケットのシステムがぴあゲッティに移行する点が注目点。シンフォニーホールとハレノワの3つの劇場4館の催事のチケットがぴあゲッティのシステムで一括で管理される。セブンイレブン発券に対応するため、従来の電話をする手間や簡易書留料金の負担などが軽減され、市外の客は買いやすくなるだろう。実際、京響・京都コンサートホールはぴあゲッティの導入によって市外から格段に買いやすくなり、目に見えて(演奏向上やそれ以外の集客策も功を奏して)お客さんが増え、定期演奏会2日制に移行できた。近隣ではアルスくらしきが導入しているし、新型コロナウイルスワクチン予約システムもゲッティのシステムを使っているところが多く、システムが非常に安定している。


 また、開演時間が15:00から14:00に変更に。14時開演16時終演だと終演後に夕食を食べて帰るという流れにはなりにくく、商店街への波及効果は少なくなるだろうが、高齢の公共交通機関を利用するお客さんは夕方のラッシュに巻き込まれないため、遠のいている高齢客層が戻ってくるかも知れない。


 2022シーズンのプログラムは2021年の年末に発表されていたが、今回はちょっと遅かった。年末年始に来年度のカレンダーに予定を書き入れたり、家族の大まかな用事(帰省や旅行の計画など)を固めるという人も多いだろう。思い出してみると、私が関西の実家に帰った時、大阪フィルや関西フィルの年間プログラムが転がっていて、あーだこーだと家族・親族の話題になったりしていた。大フィルなんかは定期演奏会・主催公演の日程が入った卓上カレンダーまで用意されている。今回のように1月下旬の発表、パンフレットの送付だと、そういうビジネスチャンスをみすみす逃していると思う。

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シェレンベルガーの岡山フィル再登場は2024年1月か? [岡山フィル]

 シェレンベルガーさんの公式ホームページを確認したところ、2024年1月21日に、岡山フィルへの出演の予定が掲載されていた。

21.01.2024 Okayama Philharmonic Orchestra
Concerto for Flute and Harp KV 299, arr. for oboe
Margit-Anna Süß, single action harp
Hansjörg Schellenberger, oboe & conductor

 日程的にはニューイヤーコンサートとして開催されることになりそう。
 パートナーのシュースさんとの共演で、モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲のオーボエ編曲版が掲載されている。

 ほかにも漏れ聞こえてくる情報によると、岡山市ではシェレンベルガーさんの岡山の音楽文化への多大な貢献を勘案し、何らかの顕彰を行うことを検討しているようだ。

 このコンサートが実現すれば、岡山フィル「名誉指揮者」就任披露コンサートであると同時に顕彰披露コンサートになるかも知れない。


 文化人を対象とした賞を検索すると、岡山市文化奨励賞や岡山県芸術文化賞などがあるが、貢献や功績を考えると、従来の賞はどうもしっくりこない。シェレンベルガーさんの本国のドイツでは州の権限で勲章を授与できるのに対し、岡山県や市の権限では貢献に報いるような賞を用意できるのかどうか。

 それよりも一ファンとしては、シェレンベルガーさんの名前が永く刻まれるよう、岡山シンフォニーホール内や周辺の施設に、シェレンベルガーの名前を冠したものを残すことが出来ないかと思う。

 一番いいのは大ホールを「シェレンベルガーホール」にしてしまう。さすれば県外から訪れる聴衆にも、岡山とシェレンさんとの関わりが永く知られることだろう。宮崎県立芸術劇場のアイザックスターンホールや、東京オペラシティコンサートホール「タケミツメモリアル」などに先例があるし。


 それが難しければ、1階のホワイエを「シェレンベルガーホワイエ」にするとか、イベントホールを「シェレンベルガー小ホール」にするなどもよいだろう。


 まだ1年以上先の話だが、今からシェレンさんの再会が楽しみだ。

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秋山和慶 岡山フィルミュージック・アドバイザー就任会見の記事から [岡山フィル]

 これまた随分時間が経ってしまったが、5月の岡山フィル定期演奏会の直前に、秋山和慶ミュージック・アドバイザーの就任会見でが開かれ、地元紙や放送局で報道された。

 記事を書きはじめたものの、完成させられないままお蔵入りしていたが、時間ができたので記録として書き残しておこうと思う。


「一目置かれるプロオケに」 岡フィル 秋山氏、藤原氏就任会見:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1264115


岡山放送



山陽放送




これらの地元マスコミで報道された、就任会見での秋山さんのコメントをまとめてみた。


「岡フィルで最初に指揮した時、団員の目つきが違うと思った。これは楽しみなオーケストラになるなと」
「日本で指折りの楽団となるにふさわしい状況が整っている。」
「中国地方で一目置かれるようなプロオケを創り上げていく」
「名だたる楽団に比べると小編成だが、一生懸命でアドレナリンが湧き出るような充実した演奏会ができた。もっと楽しく、面白い楽団になっていく」
「子どもたちへの演奏会を大事にしたい」
「小さな演奏会でも演奏家たちが真摯に取り組む姿勢を見てもらうことがとても大事」



 秋山さんが「ミュージック・アドバイザー」に、藤原浜雄さんが「ゲストソロ・コンサートマスター」に就任するというニュースに接した際、一抹の不安を覚えていた。理由は、そのポスト名にある。

 これまでの首席指揮者:シェレンベルガーさん、首席コンサートマスター:高畑さん、は楽団の顔として責任を背負う感じがあったが、「ミュージック・アドバイザー」「ゲストソロ・コンサートマスター」というポスト名には、どうも一歩引いたというか、深入りを避けた様な印象を覚えたのだ。


 しかし、秋山さんの会見でのお話は、意欲と情熱に溢れるとともに、具体的なプランが示されており、定期演奏会だけではなく小さは地域コンサートや教育的コンサートにも力を入れるという、広響などで見せた秋山イズムを強く感じさせるもので安堵した。藤原さんも富士山静岡響でも同じポスト名でご活躍とのことで、それに合わせたのだろうが、一般の聴衆から見た印象では損をしている。どうもこの音楽業界のポストは複雑怪奇で、名前と仕事内容や責任は必ずしも一致しないというのはクラシック、オーケストラ界の「悪弊」といって良く、世間から見た敷居の高さにも繋がっているのではないだろうか。


 秋山さんの発言内容の具体化の参考になるのは広島交響楽団の事例だろう。広響をよく知るファンの方が「川上作戦」(元来は地方の小さな集落から演説を開始して都市部に攻め上るという国政選挙の必勝戦略から来ているようだが)と仰っていたが、岡山での川上作戦はどのようになるだろうか。


 まずは学校訪問の公演の規模や回数は増加するだろう。子供たちだけでなく、地域住民にも開放されるようなコンサートを積み重ねて、一見、岡山シンフォニーホールから遠いように思える人々に、岡山フィルの強い印象を植え付ける。

 次は、「マイタウンオーケストラ」という地域の500人〜1000人規模のコミュニティ・コンサート。広島市の場合には全8区に区民センターがあり、立派なホールで事業展開されているが、岡山市は広島市のような地域インフラとしてのホールは充分には整備されていない。そんな中で可能性があるのは


 中区:岡山ふれあいセンター 約300席

 南区:岡山南ふれあいセンターふれあいホール 約200席
 東区:百花プラザ多目的ホール 約560席
    西大寺公民館大ホール 約800席
    西大寺ふれあいセンター 約300席


 あたりが会場候補になるだろうか?うーん、オーケストラ演奏に耐えうる規模となると、百花プラザ多目的ホール、西大寺公民館大ホールぐらいしかないか?



 最後には「地域定期」

 岡山フィルは県からの補助を得て、県内各地域での公演を行っているが、どうも集客は芳しくないようだ。やはり、開催場所を固定して毎年あるいは2年に1回の「恒例行事」にしないと固定客が着かないだろう。

 倉敷・笠岡・高梁(または新見)・津山あたりが地域定期の固定開催地候補になるだろうか。


 とりわけ重要なのが、倉敷との関係。

 私は兼ねてから岡山フィルが飛躍するためには、いかにして倉敷に進出するかにかかっている、と主張している。静岡交響楽団が浜松に進出して富士山静岡交響楽団(静岡定期・浜松定期の2公演体制)に発展しているのを見て、確信を深めた。
 シビックプライドの高い倉敷は、子供向けのコンサートなども含め、コストがかかっても在阪オーケストラを招聘し、岡山フィルを相手にしていないように見える。


 ここにどう食い込むか?


 倉敷のプライドに配慮した形、例えば楽団の理事会に倉敷市やくらしき作陽大学音楽学部などを取り込んだ形にするなどの思い切った方法を取る必要があるのではないか?

 静岡市と浜松市の2都市をフランチャイズとする富士山静岡交響楽団のプログラムをみると瞠目の充実度だ。


 静岡・浜松の2都市での定期演奏会2日制に加え、元東京カルテットの原田幸一郎さん(倉敷音楽祭の音楽監督?もされていたと思う)によるハイドンシリーズ、定期演奏会とは別ラインナップでの名曲コンサートなど、全方位で楽団の発展に目配りした素晴らしい年間プログラム。

 5年ほど前までは財政規模や主催公演の数は岡山フィルと変わらなかった(集客者数は岡山フィルのほうが勝っていた)のに、静岡・浜松両都市のタッグによってこれほどまでに差がつくとは。


 秋山&岡フィル体制になって静響のように、これまでの殻を破れるだろうか。

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RSKメッセージ特別編 さよならシェレンベルガー ~岡フィル指揮9年の集大成をここに~ [岡山フィル]

 SSブログは一定期間更新(おそらく50日ぐらい)が無いと、「広告非表示設定」が解除されてゴテゴテと広告が表情されてしまうので、月に1回は更新するようにしていたのだが、久しぶりに覗いてみると無惨な状態(しばらく家を空けていて、帰ってきたら雑草がボーボー、みたいな・・・)になっており、もう完全に時期を逸したネタではあるが、保守も兼ねて更新しようと思う。


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2013年に岡山フィルハーモニック管弦楽団の首席指揮者に就任したハンスイェルク・シェレンベルガー氏(ドイツ在住)が3月末で3期9年の契約を終える。世界最高峰といわれるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でソロ・オーボエ奏者をつとめた卓越した音楽性を発揮し、岡フィルの名を全国のクラシックファンに知らしめた。しかし、コロナ禍で来日そのものがままならなくなり、最後のステージとなる筈だった3月の第71回定期演奏会も別のプログラムに差し替えられる事態に。
番組では、1年9か月ぶりに来日した2021年10月の岡フィル第70回定期演奏会と自身もオーボエを披露した12月の特別演奏会をダイジェストで紹介。幻のサヨナラ公演に代わるフィナーレを当番組で飾る。

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 RSK山陽放送のドキュメンタリー番組:メッセージは、以前にも岡山フィルの楽団改革や、演奏会の録画を放送しており、加えてラジオ放送でも「ブラヴォー・岡山フィル」という番組を放送するなど、全国的に見ても例がないほどメディアの露出が多いオーケストラになった。シェレンベルガーが首席指揮者に就任する前の、全く目立たない存在だった頃を思うと、隔世の感がある。



 番組HPの概要にもあるとおり、本来であればシェレンベルガーの首席指揮者としてのラストコンサートを追うドキュメンタリーを撮影し、ゴールデンタイムの本来の時間帯に放送する手筈だったのだろう。それが叶わず、これまでに撮りためていたインタビューや昨年の10月の定期演奏会により構成されていた。私としては、去年の10月定期でのチャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」の演奏シーンをじっくり見ることができたのは幸いだった。


 第1楽章の陰鬱とした序奏のあとの第1主題、弦、特にヴァイオリンがテンポ感を掴みきれていない感じがあり、当日の感想には「ここは充分に詰めきれていなかったか」と書いたが、奏者たちの「えっ!?」という感じの表情を見ると、もしかしたらリハーサルの時よりテンポが早かったのかもしれない。これがなんとも言えない切迫感を出していて、シェレンさんの狙い通りだったのかも知れない。

 第2主題に入り、これはコンサートでも感じたが、安らかにはならず、足を引き摺るような弦の下降音階の刻みが不安感を増幅させ、クラリネットの音をグロテスクに際立たせていたのはやはり意図されたものだったことが解った。

 劇的な展開部でのビートの聴かせ方、岡山フィルの鉄壁のアンサンブルは、録画で聴いても鬼気迫るものがある。一方で、会場で聴いた弦の狂ったようなうねりは、やはり録画では撮り切れていない、会場で聴いたものだけの体験になった。


 第4楽章も主要部分が放送され、心の奥深くに沈んでいくような演奏は、緻密な演奏設計と繊細な表現で成り立っていたことがよく解った。


 録画放送を見て改めて思ったのは、この日の演奏を貫いていたのは、異常なまでの緊張感である。 (実際には12月の特別演奏会には来日が叶ったわけだが)二度と来られない・聴けないかも知れない、という思いを、指揮者も奏者も頭の片隅に置きながらの音楽づくりだったのだろう。


 この番組のおかげで、私自身、シェレンベルガーさんとの夢のような9年間にピリオドを打つことが出来たように思う。秋山新体制になっても、テレビで取り上げてくれるように願っている。  

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シェレンベルガー、首席指揮者最終公演は2023年に『延期』 [岡山フィル]

 少し前の話になるが、記録として残しておく意味は(自分の中では)あるだろう。
 1月31日にホールチケットセンターから電話があり、「外国人の入国制限の緩和の見込みが立たず、やむを得ずシェレンベルガー氏の出演を断念した。ついてはチケットを払い戻すか代替公演に来るかを選択して欲しい」とのことだった。もちろん私は代替公演に行くことを伝えた。

 楽団HPには既に代替公演のプログラムが掲載され、福田廉之助さんの弾き振りによるヴィヴァルディとピアソラの「四季」を採り上げるという、意欲的なプログラム。


 2月1日には楽団のFacebookに
「今回の定期演奏会は、3月末で退任するシェレンベルガー氏の最終公演の予定でした。その節目のために氏が選んだプログラムであることから、2023年度の良い時期を選び、再度同じプログラムで、名誉指揮者として必ずシンフォニーホールに戻ってタクトを振っていただくことをお約束いたします。」とのコメントを記載。


 山陽新聞にも記事が掲載。
シェレンベルガー氏 来日できず 3月の岡フィル定演、コロナ影響:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1224413

 2月2日に楽団からの会員向けDMが到着。シェレンベルガーさんからのメッセージが掲載されていた(以下、転載)。
 「このオーケストラの『名誉指揮者』として必ずや喜んで戻ってまいります。そして皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」

 一方で2月2日には、3月上旬に開催予定だった倉敷音楽祭の3年連続の中止が発表された。福田廉之介も出演する「4人のヴァイオリニストの響宴」も中止に。

 水際対策が仮に緩和され来日が叶い公演が実施されても、シェレンベルガー首席指揮者最後の公演に来られない聴衆も多く発生しただろう。
 楽団からの2023年度での出演の確約と、シェレンベルガーからの岡山フィル、岡山への思いが発表されたことで、秋山新体制に移行したあとも、岡山フィルとシェレンベルガーの関係が継続する流れが明確になったことはかえってよかったのではないか(と自分に言い聞かせる)。

 シェレンベルガー時代の終焉を飾るコンサートの代役という、難しい仕事を引き受けた廉之助くんの決断にも感謝!感謝!だ。多忙を極める中のコロナ禍のストレスで、去年の夏には体調を崩されたと聞く。今回は倉敷音楽祭の中止で空いた枠にうまくハマったところもあるのだろう。各都市のオーケストラの中には、感染者の発生による公演の中止が相次いでいるが、この代替プログラムなら編成も小規模で岡山組を中心に組むことも可能で、よく考えられたプログラムだと思う。
 公演の中止、出演者の差し替え、色んな想定外の事件が起こる中で、複雑なパズルを組み合わせるように興行を止めないように奔走する関係者の努力にも敬意を表したい。

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岡山フィル ゲスト・ソロ・コンマスに藤原浜雄さん [岡山フィル]

 今年の4月からのシェレンベルガー体制から秋山体制へ移行する岡山フィルだが、高畑首席コンマスの後任が発表されていなかった。

 1月21日の山陽新聞で「ゲスト・ソロ・コンサートマスター」として藤原浜雄さんを招聘することが報道された。

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 藤原浜雄さんは、去年10月の定期演奏会でゲストコンサートマスターを務めており、シェレンベルガーの1年半ぶりの気迫のこもったタクトを、見事に音楽に昇華させるリードを見せた。今から思えば岡山フィルと藤原さんとの顔合わせの意味もあったのだろう。そして、岡山フィルメンバーとシェレンベルガーが作り上げてきた音楽性や、聴衆との親密な関係を藤原さんに見てもらう事が出来たことも重要だった。

 藤原浜雄さんは、読響コンマスのイメージが強いが、私にはアメリカからの帰国直後に就任した大フィルのソロ・コンマス時代の印象も強い。就任間もない定期演奏会で、いきなりパガニーニのコンチェルトを演奏し、アメリカ仕込のヴィルテゥオーゾの華々しい凱旋演奏は話題になったことを覚えている。今では国内のオーケストラのコンサートマスターがパガニーニの超絶技巧を駆使するコンチェルトを弾くことは珍しくないが、当時は滅多にないことだった。
 今にして思えば、藤原さんを大フィルに呼んだのは当時大フィルの首席指揮者だった秋山さんだったのだろう。秋山さんと藤原さんが北米で活躍した時代はほぼ重なっており、この盟友とも言えるコンビが再びこの岡山で見られることに興奮を覚える。

 藤原さんは小澤征爾よりも少し下の世代て、それこそ指揮者の秋山和慶、演奏家ではこの藤原浜雄や今井信子、原田幸一郎率いる東京カルテットなど、腕一本で世界の檜舞台で活躍する姿に、当時の働き盛りの世代(私の父母もその世代)は多いに勇気づけられたそうだ。世界に通用したヴィルトゥオーゾの第一世代で、日本のクラシック演奏家の『レジェンド』。野球で言えば野茂英雄のような存在といっていいだろう。

 あと、藤原さんといえば、読響での勇退となるコンサートが東日本大震災で中止になり、その演目であった「英雄の生涯」を有志で実現させたこのコンサートの事も印象に残っている。



 この動画を見るだけで彼の人望の厚さがわかる。

 トラディショナルなスタイルのN響とは対照的な、読響が持つ開かれた明るいイメージも藤原さんのキャラクターに負うところも大きかったのではないか?

※余談だが、このコンサートのメンバーに岡山フィルクラリネット首席の西崎さんの名前が見えますね。

 動画では「藤原浜雄、最後の英雄の生涯」と歌われているが、もし岡山フィルが実現できれば話題になるだろう。編成的にも莫大なカネが必要だが東京公演なんかも企画したらかなり集客できそうだ。


 藤原さんは、実は岡山と縁が無いわけではない。特別編成の倉敷音楽祭管弦楽団のメンバーになっていたはず、と思っていたら、アルテゾーロ・クラシカの店長さんが当時の録音のCDに掲載されているメンバー表を調べてくださり、やはりメンバーだったことが解った。もう一度、岡山の地で新しい波を起こしてくれることを期待したいます。

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シェレンベルガーの首席指揮者ラストコンサートはどうなる・・・ [岡山フィル]

 予想通りというか、予想を超えるスピードで第6波の到来は確実な情勢になった。

 今の政府の国境を締めて時間稼ぎをしている間に出来得る限り国内の経済を回す、という方針は(去年の体たらくに比べると、ではあるが)適切な対応だったとは思うが、これだけ感染力が強いと十分な時間稼ぎとはならなかったようだ。


 仕事上の影響も出てきているのだが、もうひとつの気になるのは岡山フィル首席指揮者としてのラストコンサートにシェレンベルガーの来日が叶うかどうか。

 1月7日現在の状況であるが、外務省HPによると


〈外国籍の方の新規入国〉
オミクロン株対応の水際対策措置として、「特段の事情」がある場合を除いて、全ての国・地域からの外国人の新規入国の停止を、当面の間、継続します。


 とあり、その中の「特段の事情」の定義は


特に人道上,真に配慮すべき事情があるときや,高い公益性があるときといった,個別の事情に応じて特段の事情が認められるもの


 とある。
 クラシック音楽関係の来日がピタッと止まってしまった現状では、この措置が継続される限り、シェレンベルガーの来日はほぼ不可能だろう。
 もし仮に外国人の新規入国の規制が緩和されても、14日間の隔離待機は残る。シェレンベルガーは岡山フィルの前に名古屋フィルでの出演が2月26日に予定されており、逆算すると2月8日にはドイツを出国する必要がある。現在急上昇している感染者数を見ると、2月上旬までに緩和される見込みはかなり低い。唯一の望みはオミクロン株が全く重症化も死者も出さず、イギリスあたりのオミクロン株との共存戦略を取った他の先進国が成功例を示して、日本社会がそっちの方向に舵を切る・・・、いや、日本ではこれは難しいだろうなあ。

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初代岡山フィル首席コンサートマスター:高畑壮平さん、ありがとうございました [岡山フィル]

 ウィーン・フィルの名演に接して浮かれている時でしたが、寂しいニュースが・・・・

 岡山フィルから発表がありました。
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首席コンサートマスター退任のお知らせ

2017年10月の首席コンサートマスター就任以来、様々な場面で岡フィル発展のためにご尽力いただきました高畑壮平氏が、居住地のドイツを中心に演奏活動の依頼があることから、年度途中ではありますが9月30日をもって退任されましたことをお知らせいたします。
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 高畑さんは9月から年度が始まるドイツの方だし、岡山フィル首席コンマスの就任自体も10月というタイミングだっので、9月末の退任というのはさほど不自然ではないのですが、わざわざ「居住地のドイツを中心に演奏活動の依頼があることから、年度途中ではありますが」などとことわりをいれるあたり、妙に生々しい内容で、もう少し書きようがあるんじゃないか?とも思ったりします。


 あと、退任が9月末ならば、発表になぜ1ヶ月以上も時間を要したのかも不可解。9月末の岡山国際音楽祭のオープニングコンサートには出られていたそうなので、事前に告知があればラストコンサートを見に行けたかもしれないなあといううらみはあります。


 もしかすると次期首席コンマスの目処が立つまでペンディングしていたのかも?この仮説が正しければ、答えは来シーズンプログラム発表時(12月頃?)に解るかも知れない。


 高畑さんの立場に立てば、日本に一旦来てしまうと自動的に2週間(入国時)+数日(帰国時)の無為な時間(隔離待機)を過ごさねばならず、新たな年度に入った現地での仕事にも支障が出る、という状況は理解はできます。

 ラジオ番組などでの発言や漏れ聞く話によれば、高畑さんは岡山フィルのコンサートマスター職に就任するのを、ずいぶん悩まれたようです。
 40年ドイツのオーケストラでコンサートマスターを勤め上げたことで、技術やそれを保持する職人(マイスター)を大事にするドイツに於いて仕事は引く手数多の筈で、方や岡山フィルという発展途上でどこまでモノになるか解らない日本のオーケストラの初代首席コンサートマスターを引き受けるのは、リスクを取る選択肢だったはずで、よく引き受けて下さったと思う。
 故郷のオーケストラがシェレンベルガーの元で、楽団結成以来、最大の改革をしている。それに一肌脱ぐために、自分のやりたい活動をある程度犠牲にしながらやって来られたのでしょう。

 しかし、岡山フィルと、われわれ岡山の聴衆にもたらした高畑首席コンマスのインクパクトは凄い物がありました。
 かつて「無味・無臭・無色」「独自の音を持たないオーケストラ」などと言われたオーケストラが、 2013年のシェレンベルガーの首席指揮者就任、2017年の高畑首席コンマスの就任で、国内のオーケストラ業界のヒエラルキーに属さない、独自の道を歩み、独自のサウンドを創っていく方向に一気に舵を切った。キャリア的に見ても「ドイツ人コンサートマスターがやって来た」のと同じことが起こったわけです。結果、2017年〜コロナ禍前までの観客動員の大幅増を達成し、県外からも聴衆を集める「個性派オーケストラ」となりつつありました。

 高畑さんが奏でる音楽は心の琴線に触れ、(私が一度も行ったことがない)ヨーロッパの景色や人々の息遣いを眼前に見せてくれるような魅力がありました。
 すぐに思いつく限りでも、ブルックナーの4番やモーツァルトの交響曲での「ブルルン」とした本場のオーケストラのような音に痺れ、ソロではラプソディ・イン・ブルー、そして今年7月のジークフリート牧歌の弦トップの方々との掛け合いには涙腺が緩みました(今から思えば、惜別の演奏だったのでしょうか)。その音は日本で活躍されているどのヴァイオリニストからも聴けない、独特の輝きとコクのある音で、シェレンベルガーさんとともに、ドイツ直輸入の音楽を奏でてくださいました。

 他にも、私は直接会話を交わしたことはないものの、非常に気さくなお人柄が印象に残っています。シェレンベルガーさんの通訳として開演前の楽曲解説をされていたのも印象的。


 上の動画は少し違いますが、シェレンベルガーさんが英語で話しはじめると、「あっ、マエストロ、私、ドイツ語で話してもらった方が・・・」というやり取りは、毎度のお約束になっていました(笑)

 岡山の聴衆はシェレンベルガー&高畑コンマスのコンビを支持していましたし、特にコロナ禍でシェレンベルガーさんの来日が叶わずキャンセルが続いていた今年の1月に、高畑さんがコンマス席に帰ってきたとき、会場は熱い拍手で迎えましたね。私自身も、どれほど嬉しかったことか!

 高畑壮平さん、本当にありがとうございました。岡山フィルが、高畑さんの残したエッセンスを引き継いで、独自の音を作って行く。残された聴衆の一人として、しっかり見届けて行きたいと思います。

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