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【ニコ生】東響交響楽団第692回定期演奏会 ノット指揮 [ストリーミング]

東京交響楽団第692回定期演奏会【ニコニコ生放送】


R.シュトラウス/交響詩『ドン・キホーテ』

 ヴィオラ独奏:伊藤文嗣(東響首席)
 チェロ独奏:青木篤子(東響首席)

シベリウス/交響曲第5番変ホ長調


指揮:ジョナサン・ノット
2021年7月17日 サントリーホール

【配信開始しました[チャペル]#ニコ響 はこのあと18:00開演。

プログラム冊子もWEB公開中!あわせてご覧ください[→]https://t.co/EjL29gE9X3

視聴はこちら[↓]?https://t.co/xw8kmcEYtU

? 東京交響楽団 TokyoSymphony (@Tokyo_Symphony) July 17, 2021


 東響のニコ生はタイムシフト配信でほぼすべて視聴しているが、今回はこれまで見てきた中で一番良かった。特にシベリウスの5番が素晴らしく、私の手持ちの数ある名盤たちを凌駕する演奏だったように思う。配信から4日経っているが毎晩繰り返し聴いている。もし、音源が発売されたら必ず買う。

 奥行きの深いところから精緻なアンサンブルが湧き上がってくる感じで、亜寒帯の針葉樹の森の中に分け入り、湖に反射する太陽。針葉樹を揺らす風がつむじ風となり、空を白鳥の群れが飛翔する。そんなヴィジョンがありありと現出する。そして同じヴィジョンを観ている者の多くが共有していることが、画面に流れていくコメントが証明している。
「風景わかる」「ほんと風景うかぶよねシベリウスって」「ノットの棒って魔法かけてるみたい」「魔法かけてるわかる!」「きれいだなあ」
 一方で、一方で焼き鳥を片手にビールを飲んでる奴がいたりw、コシヒカリのご飯と刺身食ってる奴がいたりw、
 オーケストラ鑑賞の初心者の人が、「トランペットの先についてるお茶碗みたいなのは何」と質問したら、「ミュートだな」「笑点のオープニングみたいな音になる」と絶妙の返しをする玄人たち。
 それぞれが自分の居場所から接続して、マニアから初心者までフラットに同じ演奏を楽しむ。このニコ生の雰囲気は最高に楽しい。
 閑話休題
 演奏の感想に戻ると、いやー、ホルン隊の演奏が素晴らしかった。そして弦楽器のウネウネした音が、シベリウスの世界を見事に描き出していて、瞬間瞬間に湧き上がってくるフレッシュな音楽に感動した。

 ジョナサン・ノットは、東響の音楽監督とスイスの名門:ロマンド管弦楽団の音楽監督も兼務しているが、確かにスイス・ロマンド管弦楽団のような世界の一流オーケストラと比較しても、全く遜色のない実力を見せつけてくれた。


 前半の「ドン・キホーテ」。この曲は、自分の中ではあまり評価が高くなく、R.シュトラウスの楽曲の中では、やや散漫な印象を持っていた。「英雄の生涯」や「アルプス交響曲」があまりにも傑作すぎるので、あくまでそれと比較して・・・の話ではあるが。
 しかし、今回の東響の演奏は、まったく退屈する瞬間がない。ノットのタクトさばきが芸術的で、棒先を「チョン」と動かしただけで、音色がガラリと変わっていく。まさに魔術師ノットだ。ヴィオラとチェロの首席2人のコミカルで雄弁なソロも見事だったが、オーケストラも管楽器を中心にソロが超絶上手い。このコンビを配信で何度も聴いているうちに、ノットと東響のコミュニケーションの豊富さや関係性を感じられるようになってきた。


 これまでニコ生で聴いてきた演奏はミューザ川崎でのライブだったが、今回のサントリーホールの空間の共鳴をよく捉えてくれて、東響のシルキーな弦・絶妙のバランスで鳴る管が融合した素晴らしい音楽世界を堪能した。


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都響、新日本フィル、神奈フィル、東京シティ・フィル、OEKが瀬戸内地方へ オーケストラ・キャラバン事業 [コンサート情報]

 まだ岡山フィルの7 月定期の感想が書けていませんが、気になる情報がありましたので、先にこちらを更新します。(読者の方々との情報共有記事なので、いつもの自分語り口調ではなく、ですます調で)

 文化庁が「大規模かつ質の高い文化芸術活動を核としたアートキャラバン事業」というものを開始するようで、オーケストラ連盟が中心になって、連盟加盟正会員オーケストラが全国37会場で47公演を開催するという、前代未聞の事業が始まります。

 

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オーケストラ・キャラバンの特設ページ(日本オーケストラ連盟)

『オーケストラ・キャラバン47』は、文化庁の「大規模かつ質の高い文化芸術活動を核としたアートキャラバン事業」の一環です。文化芸術の重要性や魅力を発信し、体感して頂くことにより、コロナ禍の萎縮効果を乗り越え、地域の文化芸術の振興を推進する目的で開催されます。 全国37会場、47公演をお届けいたします。 お住まいの地域をクリックして是非ご覧ください。
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 私の住む瀬戸内地方(備前・備中・備後・美作・香川)でも、なんと6公演が開催されます。

2021/9/13[月] 東京都交響楽団 岡山公演 岡山シンフォニーホール

・グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

・メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調※

・チャイコフスキー/交響曲第5番

■指揮:下野達也

■ヴァイオリン(※):小林美樹


2021/9/24[金] オーケストラ・アンサンブル金沢 津山公演 津山文化センター

・メンデルスゾーン/序曲「美しいメルジーネの物語」
・シューマン/序曲、スケルツォとフィナーレ
・イベール/モーツァルトへのオマージュ
・モーツァルト/交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
■指揮:川瀬賢太郎


2021/10/10[日] 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 香川公演 香川県県民ホール


2021/11/13[土] 新日本フィルハーモニー交響楽団 福山公演 ふくやま芸術文化ホール


2021/12/23[木] 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 高松公演 香川県県民ホール


2022/1/30[日] オーケストラ・アンサンブル金沢 三原公演 三原市芸術文化センターポポロ


 ※プログラムが発表されたら、その都度加筆修正します。


 都響が岡山に来るのは何十年ぶり?OEKや新日本フィルはよく岡山には来てくれるのだけれど、神奈川フィルが高松に来た記憶もないなあ。まだプログラムが発表されていないですが、超名曲プログラムであっても、これらのオーケストラを地元で聴けること自体が本当にありがたいです。


 あと、N響も8月29日(日)に岡山公演がありますので、「御三家」と言われる国内トップ3楽団のうち、2つの楽団を2週で聴き比べができるというのも、なかなか無い機会。まあ、都響がこの企画に乗るぐらいスケジュールが空いているというのが、国内トップ・オーケストラですら置かれている状況が厳しいことを物語っているですが。


 近畿地方でも、東京フィルや九響などの6公演が予定されていますが、(私の職場のルールで)まん延防止重点措置や岡山独自の感染防止措置が出されると、「生活圏内」しか行き来が出来なくなるので今回はこの6公演の中からじっくり選ぶことにしましょう。


 余談ですが、11月のウィーン・フィルの姫路公演(アクリエひめじの開館記念事業)のチケットを取ろうかどうか、かなり迷っていたのですが(コンサートが激減しているので、チケットを買う予算は工面できる(笑)、ムーティーを聴ける最後の機会になるかも知れない)、行き来できなくなるリスクを考え、このオーケストラ・キャラバンの方に予算を振り向けることにします。


 このコロナ禍で在東京、地方諸都市のオーケストラは存亡の危機と言えるほどの大打撃を被っていて、その経営支援策の側面もあると思いますが、地方都市ではオーケストラに限らずパフォーマンス系の舞台芸術に接する機会が激減しており、文化芸術体験の格差はより顕著になっています。その点でもたいへん意義深い企画といえ、できれば今後も5年ぐらいはやって欲しいですね。

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岡山フィル第69回定期演奏会 指揮:園田隆一郎 Vc:佐藤晴真 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団第69回定期演奏会

ワーグナー/ジークフリート牧歌
ハイドン/チェロ協奏曲第2番
〜 休 憩 〜
ドヴォルザーク/交響曲第7番

指揮:園田隆一郎
チェロ独奏:佐藤晴真
コンサートマスター:高畑壮平
2021年7月4日 岡山シンフォニーホール


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 弦4部のトッププルトだけの室内楽で始まるという、味のある演出で始まったジークフリート牧歌の、真綿で包まれるような柔らかい響き。チェロ協奏曲での佐藤晴真の美音など、前半も聴きどころがあったが、今日の演奏はなんと言っても後半のドヴォルザーク。

 園田さんは2年前の7月定期(ドビュッシー/イベール/ラベル編「展覧会の絵」というフレンチ・コース料理)では、緻密でバランス重視のタクト捌き、という印象だったが、君子豹変!獰猛とも言える強烈なエネルギーをオーケストラから引き出す「轟演」のドヴォルザークの7番。それでいてよく歌い、よく泣く心動かされる演奏。

 管楽器も素晴らしかったが、今回は、ティンパニと弦5部にMVPを贈りたい。オーケストラからの音のエネルギーの放射が半端ない圧力だった。


(7月15日 追記)

・感想の更新がまた延び延びになった。google keepにメモはしてあるので、それをトリガーにして演奏を思い起こす作業は楽しいが、まとまった文章として編集するのが骨折りになる。なので、箇条書きでご容赦を。

・お客さんの入りは1000人ぐらい?5月定期は緊急事態宣言期間中での開催ということも有り、500人ぐらいしか入ってなかったそうなので、回復してきた、と見るべきか。でも、この調子だと収支は大赤字だろうな。

・弦楽器はほとんどの奏者がマスクをつけての演奏。演奏に熱が入ってくると汗をかいておられるのが解る。これは大変だ。去年の秋頃はソーシャルディスタンスを取って、ノーマスクでの演奏だったが、やはりマスクをして息苦しい思いをしても、距離を縮めたほうが演奏のクオリティは上がるのだろう。

・ヴァイオリンのトゥッティに上野真樹さん(元広響・フィルハーモニアフンガリカのコンマス)がおられた。しかし、全体的には若手奏者の活躍が目立った。守屋剛志さんらと室内楽や弦楽アンサンブルを組んでいる腕のあるメンバーも何人かおられた。

・前半の編成は下手から1stVn6→2ndVn6→Vc3→Va4上手後方にCb2、木管はClとHrが2本でFl,Ob,Fgが各1本。

・ジークフリート牧歌は、ワーグナー家の家族愛が結晶となった音楽だが、私がこの曲でイメージするのは銀河英雄伝説(銀英伝)のアニメ版だ。主人公ラインハルトが、自分の身代わりとなって凶弾に倒れ夭折した、かけがえのない親友のジークフリート・キルヒアイスとの思い出を回想するシーンで印象的に使われている。なので、私には亡き友を思うような胸を掻きむしられる切なさを感じてしまう。

・このプログラム1曲めから、岡山フィルの音は素晴らしい。弱音なのに、芯のある豊かな音がホールいっぱいに拡がって、ホール全体をしっかり鳴らす。10年前の岡山フィルからはこういう音は聴かれなかった。

・冒頭では、トッププルトのみが室内楽的に掛け合いをするように始まった。指揮の園田さんのアイデアか。(緊急事態宣言中の)前回の定期は自粛して行けなかったので、4ヶ月ぶりのオーケストラの音。この冒頭の演奏は心にしみた。特に高畑コンマスの音が心の琴線に触れて感動。

・中間部での低音弦、特にコントラバスの透明なのに重厚な音の土台の上に、繊細だが華やかなハーモニーが重なっていく。

・曲の最後のピアニッシモは、ホールを柔らかな空気を満たしつつ、丁寧で繊細な終結だった。以前はこういう弱音部に差し掛かると、音に雑味があったのだが、この日は最後まで透き通るような音だった。本当に素晴らしかった。

・2曲めは、当初の発表ではダニエル・オッテンザマーの演奏による、ウェーバーのクラリネット協奏曲のはずだったが、5月ごろにソリストの差し替えの発表があった。ウェーバーのクラリネット協奏曲を激ウマのソリストで聞く機会は、今後に取っておこう。

・とは言え、去年の「THE MOST」での佐藤晴真さんのドヴォルザーク/森の静けさ を聴いた時の衝撃は忘れられない。コロナ禍で生演奏から8ヶ月も遠ざかって聴いたものだから、彼のこの美音・麗音が本当に心にしみたのである。

・余談になるが、なぜかこの日のプログラムをドヴォルザークのチェロコンだと思っていて、ステージ上の楽器が少ないことに気づいて慌ててプログラムを確認。ハイドンの2番だったことを知った。

・このハイドンの2番、第3楽章では超絶技巧を楽しませてくれたが、やはり佐藤さんの音は特別だ。本当、美音の持ち主だと思う。チェロって奏者によって音がかなり変わってくる楽器だと思っていて、古今東西さまざまな奏者の中でも、この美音は際立つものがある。

・オーケストラは堅実な伴奏だったが、少々物足りなさが。センチュリー響のハイドン・マラソンに何度も通ってわかったこと。ハイドンの音楽は耳を傾け、体中の皮膚の「耳」も傾ける感覚でシンプルに音楽に体を預けることに愉悦を感じるのだが、今回はちょっと退屈してしまった。もっとソリストの作り出す世界に、挑発したり会話を仕掛けていったり、というのが欲しかったな。

・佐藤さんも、1回めに聴いた時の衝撃(後光が差しているように見えた、といっても過言ではない)からすると、ちょっと物足りなさが残った。できれば、エルガーやドヴォルザークのコンチェルトを聴きたいな。

・アンコールのバッハ/無伴奏チェロ組曲6番から、たぶんサラバンドだったかな。

・後半のドヴォルザーク7番は、編成が拡大。1stVn12→2ndVn10→Vc8→Va8、上手奥にCb6の12型2管編成。前半とはほぼ倍の編成になった。

・この曲は中学2年の時にハマった曲で、ノイマン&チェコ・フィルの新盤をほとんど毎日のように聴いていた時期があった。その時期に聴きすぎてその後は食傷気味になり、最近は殆ど聴くことはなかったが、この曲、改めて聴くと、あの時期の青春の疾風怒濤の心情と、美しいものがとことん美しく見えた感性にピッタリくる曲だったんやなあ、と合点がいった。

・名曲は名曲だけに飽きるほど聴いてしまうことがある。それでも、あらためて実演に接して「やっぱりいい曲だなあ」と感じられるのは、その実演が素晴らしかったことの証左だ。 

・第1楽章の憂いを帯びた主題からのトゥッティーの場面でのオーケストラの鳴りっぷりにまずは驚いた。園田さん、前に振ったときとは違う。のっけからこんなに鳴らして大丈夫?と思うほどの雄渾な演奏。

・こんなに濃密な音になるのは、ヴィオラ・チェロ・コントラバスの音が

・長調に転調したあとの弦の泣きっぷり、歌いっぷりに圧倒され、酔いしれた。この弦の分厚い響と、歌いっぷりはクーベリック&ベルリン・フィルを思わせる圧巻の演奏。

・そこからの各パート感が呼応仕合い、絡み合いながら曲想が展開していく。

・この楽章最後のテンポを速めて盛り上がっていく場面は、ちょっとファナティックさすら感じるほどの盛り上がりを見せた。もうオーケストラもノリノリ!ロッケンロール!俺たちは誰にも止められない!といった感じで、この場面は僕の記憶に長く留められると思う名場面だ。

・ほんでもって、楽章の締めくくりは熱狂のあとの余韻を残しつつ、静かに終わる。ドヴォルザークの得意のパターンながら、しみじみ感じ入ってしまう。

・第1楽章もそうだったが、第2楽章も木管が良かった。空まで突き抜けそうなオーボエの音、華やぎと気品にあふれるフルート、ヨーロッパの情景が目に浮かぶようなクラリネットの音。

・第2楽章の中間部で盛り上がる場面も、オーケストラをしっかり鳴らす。トゥッティーから弱音に切り替わるところでの残響の響きが美しい。うん、本当に岡フィルからは素晴らしい音が出ている。

・第3楽章は弦楽器が浪花節的なこぶしが効きつつも、木管の生き生きとしたタンギングで、スラヴ舞曲の活気に満ちた音楽がめくるめく展開する。

・第4楽章は、まずもってティンパニ近藤さんのバチさばきに痺れた。カーテンコールでめちゃくちゃ拍手したが、なにぶん四十肩で左手が上がらないのでYMCAの「C」みたいな体勢で拍手したので、ちゃんと感謝の気持ちが伝わったか心配(笑)

・第1楽章から岡山フィルは本当によく鳴っていたが、この楽章に入ってギアがもう1段上がった感じで、私のマイシートはホールの壁から空中に突き出す感じのバルコニー席なのだが、舞台からの音と天井から降って来る音に挟まれ、座席の椅子も共鳴するし、桟敷全体が振動していた。「やっぱ生演奏はこれよなあ!」と最高の気分。

・園田さんもオケのメンバーも「いい曲だなあ」と感じながら演奏されていたのでは?楽曲への共感と献身が半端なかった。園田さんと岡山フィルとの相性もよく、このオーケストラを一段上のステージへ引き上げる指揮者だと思う。

・園田さんは2年前の7月定期にも登場していて、年間5回しか定期演奏会がないこのオーケストラで、2年間で2回も登場している。2023年には岡山芸術創造劇場が開館し、本格的なオペラ公演を指揮する指揮者を人選中というが、もしかすると意中の人は、この園田さんなのではないかと思うのだ(私の思い込みです)。オーケストラコンサートのタクトも素晴らしいが、彼の潜在能力を遺憾なく発揮する演目はイタリア・オペラだと思う。

・終演後の拍手は物凄かったなあ。半分しか入っていないとは思えないぐらいのボリューム。ドヴォルザークの7番交響曲は、8番9番のようにおなじみメロディーが目白押し、という曲ではないのに、本当に盛り上がったコンサートだった。

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9月の「 I am a SOLOIST」 が楽しみだ [岡山フィル]

 4月、7月と、今年度に入っての岡山フィルも、指揮者やソリストの差し替えが続いている。自分でもわけがわからなくなりそうなので、1月のエントリー記事をその都度更新するようにしている。




 今月には、「I am a SOLOIST」のスペシャル・ガラ・コンサートのプログラムが発表された。


 この企画は、例年だと地元の小中高生を中心とした若い音楽家に、プロのオーケストラと共演する大舞台を踏むチャンスを用意するという企画で、20年近くの歴史があるこの企画に登場した小さなソリストたちの中には、すでにプロとして活躍している人も多い。

 今年は、コロナ禍で出演者のオーディションなどの開催も難しく、また、岡山シンフォニーホールが開館30周年を迎えたこともあり、この企画の卒業生で、超バリバリの第一線で活躍する3人がソリストとして登場する。東京や関西でよくある「3人の豪華ソリストによる三大協奏曲の夕べ」みたいな祝祭的な目玉企画が、地元のプロ・オーケストラと、地元の「若手発掘プロジェクト」出身のソリストだけで出来てしまうというのは、けっこう凄い事かもしれない。

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 中桐さんの粒立ちの良い、気品あふれるピアノで聴くグリーグも楽しみだし、森野さんは、フィガロの結婚で見せてくれたスザンナ役に魅了された私としては、モーツァルトのアリアが聴きたいと思っていて、アリアだけではなく、ガッツリとモテット「Exsultate Jubilate(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)」を聴けるのはとても楽しみだ。


 一番驚いたのは、廉之助くん(「くん」付けは失礼なのだが、地元では皆が親しみを込めて、こう呼んでいるのでご容赦を)がブラームスに挑戦するということ。

 ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、楽曲の構成や40分という規模など、恐らくヴァイオリンのソリスト最大の壁、といってもいい作品。

 高度なテクニックも要求されるが、60人からなるオーケストラがほとんど交響曲とも言える重厚な演奏に対峙してアンサンブルを作っていかないといけない。


 並の演奏家であれば、雄大なオーケストラの前奏が終わった後に登場するヴァイオリンのソロの5小節ほどで跳ね返されてしまう恐れもある。じっさいに、ヴァイオリンのソロが入ってきた瞬間、「えっ、全然ソリストの音が聞こえて来ない・・・」という演奏に接したこともある。


 廉之助くんにとって、今回の共演が初挑戦なのかどうかは分からないが、20歳になった彼が、この巨大な作品をどう料理していくのか?今から興奮を抑えられない。

 廉之助くんが登場したラジオでの情報によれば、彼は現在、ジャニーヌ・ヤンセンに師事しているという。ヤンセンもブラームスの協奏曲を得意にしていて、N響のと共演で聴かせた、骨太で重厚な演奏は、本当に素晴らしかった。


 スイスで色々な影響を受けながら、敢えてブラームスに挑む選択をした廉之助くんの演奏が、本当に楽しみになってきた。

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2023年開館!『岡山芸術創造劇場』について(その3「都心4コーナー構想」の一角を担う) [オーケストラ研究]

 2023年夏に開館する岡山芸術創造劇場について考えていくシリーズ。
 前回のエントリーから、この劇場の建設地や役割について考察するために、岡山の政・財・官・学界の総力を結集して1995年に提言が出された「人と緑の都心1kmスクエア構想(大構想)」について、今回も見ていこうと思う。
 前回の本シリーズのエントリーから4ヶ月も経過してしまった。このペースで行くと、完結する前に劇場が竣工してしまいそうである(笑)
 このブログを書いていることを知っているリアル知り合いからは、「こんな構想があったなんて知らんかった」「最近、『1kmスクエア』とかいう言葉をよく聞くが、これが元にあったんじゃ」という声をかけられた。一方で、行政関係者の友人は大体がこの構想を知っていた。
 ということは、岡山芸術創造劇場が千日前に建設される歴史的背景について、行政関係者の中ではコンセンサスがあるかも知れないが、一般市民にとっては、「なんであげーなとこに建設しとるんかの?」と言う疑問がまだまだあるということだ。
 前回は「大構想」の3つのコア・プロジェクトのうち、「①路面電車環状化構想」「②文化公園都心構想」について、25年後の現在において着々と形になりつつあることに触れた。
 今回は、「③都心コーナー4拠点開発構想」について取り上げてみようと思う。
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 都心部を環状化された路面電車のネットワークが循環し、岡山都心を形成する1km四方の市街地の内部に緑の多い街路・空間を作る。その最後の総仕上げとして、1km四方の市街地の4つのコーナー部分に、「岡山の文化性を生かし、中四国をはじめとした広域エリアから集客できる特色と魅力のある施設を整備する」というプロジェクトである。
 まず、大構想提言から25年間で、もっとも整備が進んだのが都心コーナー①「JR岡山駅周辺」だ。
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 このエリアは1990年代には既に高島屋百貨店、中四国最大規模の地下街の岡山一番街、ドレミの街(当時はダイエー岡山店が主要テナント)などの大規模商業施設が存在していたが、岡山駅の橋上駅舎化に伴い、駅ナカ商業施設の「さんすて」が2006年にオープンしたことによって、表町と駅前という商業中心地の2極のバランスが崩れはじめ、表町のクレド岡山から有力テナントが撤退するなどの影響が出た。
 そして2014年に年間2000万人もの集客力のある、イオングループ内でも西日本の旗艦施設と位置づけられた、イオンモール岡山がオープンしたことによって、岡山の商業の中心は駅前地区に重心が一気に移行した。現在の岡山の市街地の問題は、この強くなりすぎた岡山駅周辺地区の集客力を、どのように他の地区に分散させていくかに焦点が移っている。
都心コーナー②市役所・大供周辺
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 イトーヨーカドーとジョイポリスが入るジョイフルタウン岡山が1998年にオープンし、堅調な集客を見せていたが、2014年のイオンモール岡山の登場により、イトーヨーカドーとジョイポリスが閉店に追い込まれた。現在は両備グループによる「杜の街づくりプロジェクト」が進行しており、OHK岡山放送などが入るオフィスビルの登場により、市役所筋を挟んだ向かいには山陽新聞・テレビせとうちの本社屋や、上場企業の支店なども集結しており、オフィス街としての性格が強くなっている。

 そして、耐震性能に問題のある岡山市役所庁舎の建替え計画が進行中である。庁舎を南側にセットバックすることにより、平時にはイベント広場として、有事には防災拠点となる緑地を整備し、「大構想」のコア・プロジェクト②の文化公園都市構想の一翼をも担うことになるだろう。
都心コーナー③城下周辺
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 この地区は、1992年に整備された岡山シンフォニーホールが建つ「城下交差点」を中心に、美術館・博物館などの文化芸術施設が集積する「岡山カルチャーゾーン」の整備が進められてきた。私が岡山に移住してきた1990年代頃は岡山シンフォニーホールの開館直後の時期で、毎月のように海外オーケストラや国内一流オーケストラ、著名アーティストの公演などがあり、上之町商店街もかなりの賑わいを見せていた。
 岡山の人々にとっては見慣れた風景だが、徒歩15分圏内にこれほどの文化芸術施設が集積しているというのもかなり特殊であり、岡山独自の魅力・強みだ。バブル期の地方都市での美術館や博物館やコンサートホールの建設は、車での来客の利便性などから郊外に建設される都市が多かった中で、この地区に集積させてきた岡山の先人たちの見識に敬意を抱いてしまう。
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 1997年の「岡山城築城400年」と2000年の「後楽園築堤300年」の記念の年に様々なイベントが開催されたが、2000年代は岡山県や岡山市の財政危機が表面化、県や市の施設の予算が削減され、このゾーンにも冬の時代が訪れた。
 しかし2010年代に入ると、2013年のシェレンベルガーの岡山フィル首席指揮者就任により、岡山フィルを中心とした音楽文化活動が活発化、
2016年と2019年に開催された「岡山芸術交流」によって、歩いて回れる岡山カルチャーゾーンが全国のアート・ファンに知られるようになった。
 2020年には、全天候型の能楽堂を備えたRSK山陽放送の新社屋も竣工した。
 岡山フィルはオリエント美術館や岡山県立美術館などで、展示内容にちなんだコンサートでの演奏活動や、後楽園・岡山城での演奏など、岡山カルチャーゾーンのハード施設同士をつなぐ、ハブとしての存在感を高めている。
都心コーナー④京橋、表町三丁目周辺
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 上の地図を見てみると、何やら見慣れない文言がある。
 「岡山フィッシャーマンズ&ファーマーズマーケット構想」・・・・
 現在、京橋においては、月に一回たいへんな賑わいを見せている「京橋朝市がある」
 岡山フィッシャーマンズ&ファーマーズマーケット、とは京橋朝市のことなのだろうか? 
 確かに構想の中には京橋朝市も含まれているが、もっと壮大な構想だったようだ。
 「瀬戸大橋、山陽自動車道をはじめとする広域交通網の整備により、岡山市と数時間で行き来できる地域は一挙に広がりました」
 「京橋周辺のウォーターフロントという地理的特性と岡山の拠点性を加味し、瀬戸大橋・日本海・太平洋から届く新鮮な“三海の幸”を最大の売り物とする新しいにぎわいの拠点を作ろうというものです」
 2021年に岡山に生きる我々から見ると、「なんじゃそりゃ!?」と首をかしげるプランではあるが(笑)、当時の状況を振り返ってみると
 ・本州と四国を繋ぐルートが瀬戸大橋しかなかったため、四国からの物流・人流は岡山に集まる構造だった。
 ・インターネットがまだ一般化されておらず、ネットショッピングで気軽に「お取り寄せ」することが出来ない時代だった。
 その後、1995年のwindows95の登場以降、インターネットが爆発的に普及。1999年頃には「Eコマース」という言葉が普及するなど、個人レベルで産地直送の農産海産物をお取り寄せする時代に入る。また、明石海峡大橋(1998年)、しまなみ海道(1999年)の開通によって、岡山の地理的優位性は失われる。
 この「1kmスクエア構想」の改訂版(2009年提言)から「フィッシャーマンズ&ファーマーズマーケット」構想は完全に姿を消した。
 この間、表町三丁目・千日前地区では映画館街の相次ぐ閉館表町三丁目劇場の大失敗など、経済的地盤沈下が進行していく。それゆえ、都心4コーナーのうちこの表町三丁目・千日前地区のみが取り残されたことで、岡山都心の面的な活性化が進まなかった。
 オセロで言えば表町三丁目・千日前という「角」を取らなければ、一気に形勢を変えることは難しい。
 そこで浮上したのが「新岡山市民会館の移転新築」=『岡山芸術創造劇場の建設』であったのだ。
 次回は、茨の道を進むであろう『岡山芸術創造劇場』が生き残っていくために考えられることについて、一音楽ファンの立場から脳みそを捻り出して考えたいと思う。

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岡山フィル定期払い戻しチケット代を賛助会費へ [岡山フィル]

 今週の日曜日の岡山フィル定期演奏会は欠席(という表現はおかしいかも知れないが、一応マイシートだから「欠席」でおかしくないはず)した。


 4月後半以降、あれよあれよという間に岡山でのcovid19の感染急拡大があり、これまである程度抑え込んでいた岡山で、これほどの急拡大が起こった原因が英国型変異株の流行なのは間違いないだろう。私の周りでも感染者の発生がちらほら見られ、いよいよ自分の身に迫っていることを実感させた。



 政府が「三密回避」という演繹的推論に基づいた対策から、「人流の抑制」という、いわば帰納的推論に基づいた対策に後退して戦線を立て直す方向に舵を切ったのも、変異株の実態が明らかになっていないことが大きいのだろう。


 職場の方からも県外へ行くことと、人の集まる場所へ行くことを自粛するようにお達しがあり、今回のコンサート出席自粛は、その方針に従った、ということもあるし、何よりも仕事周りでかなり緊迫した中にいると、やはり自粛しようという意識に傾いてしまう。


 一方でクラシック音楽のコンサートは、感染リスクが極めて低いことは、実験や実績の積み重ねにより政府や専門家からも評価されてきた経緯があり、今回の開催についてもGOサインが出たものと思われ、コンサートが開催できた事自体については、本当に良かったと思っている。山陽新聞の記事によれば、聴衆は530人だったとのこと。


感染対策徹底し岡山フィル熱演 定期演奏会、聴衆530人魅了:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1133581


 今回のチケット代は、コンサートに行かない決断をした人に対して、払い戻しをするという取り扱いになった。

 自分は岡山フィルを応援しているし、賛助会員にもなっているぐらいだから、当然、払い戻しを受けないことを決めていたが、ちょっと名案を思いついたので、やはり払い戻しを受けることにした。


 その名案というのは、今回、チケットの払い戻しを受けたうえで、賛助会費に上乗せして寄付するという選択だ。


 岡山フィルは公益財団法人のため、寄附金控除が受けられる(岡山市HPより)。


 10,000円の寄付をした場合は、


 10,000円ー2,000円 × (所得税税額控除40% + 住民税税額控除10%) = 4,000円が還付される。


 つまり自己負担は6,000円で、残りの4,000円は国や県と市が支援してくれるという形になる。


 これを2口20,000円に増やした場合は。


 20,000円ー2,000円 × (所得税税額控除40% + 住民税税額控除10%) = 9,000円が還付され、自己負担は11,000円。この増加する5,000円分の自己負担に、今回の払い戻しチケット代を充てようというわけだ。


 おそらく、今回のコンサートが中止されなかったのも、「国の基準では開催可能」という判断に基づいており、そうなれば緊急事態宣言に基づくイベントキャンセル料支援の補助も受けられないという事情もあったかも知れない。こういう風に思いたくはないが、正式にイベントの中止要請をするよりも国はお金をケチることが出来る。


 芸術・芸能団体に対する支援は、ドイツフランスが去年の春の段階で「必要不可欠なもの」として大規模な支援に乗り出したのに比べると、日本の動きは極めて遅かった。そして、現在においても充分とはいえない。


 そんな中で、払い戻しチケット代を受け取って寄付することで、国や県・市からも岡山フィルにお金を回させることで、一矢(砂のひと粒にもならないが)報いたい思いもあった。

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【ニコ生】京都市交響楽団第656回定期演奏会 鈴木優人指揮 チェロ:上村文乃 [ストリーミング]

京都市交響楽団第656回定期演奏会【ニコニコ生放送】

ヘンデル/歌劇「忠実な羊飼い」序曲
ラモー(鈴木優人 編)/歌劇「みやびなインドの国々」組曲
ヴィヴァルディ/チェロ協奏曲ト長調
 チェロ独奏:上村文乃
ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調

指揮:鈴木優人
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 緊急事態宣言の発令によって無観客ライブ配信となったコンサート。宣言に関係なく京都までは聴きに行けない身にとっては、京響の音楽を聴ける機会としてありがたい配信ではありました。リアルタイムではじっくり聞く時間が取れず、とりあえずわずかながらの投げ銭だけして、タイムシフト配信でじっくり視聴した。

 プログラムを見て、「THE MOST」のメンバーの上村さんが登場する、というのも注目点だった。プレトーク、アフタートークで上村さんが仰っていたが、スイスを拠点に(廉之助くんと同じスイスなんやね)古楽を中心に研鑽されているとのこと。ガット弦・バロック弓を使用。上村さんのソロはスピード感があって切れ味は鋭いのに、気品にあふれている。そして、小編成の京響がこれまた素晴らしい!ヴィヴァルディの協奏曲の基本形は合奏協奏曲なので、楽器間の対話も見どころなのだが、ニコ生のカメラワークの良さもあって、上村さん・鈴木さんのチェンバロとオーケストラの間の緊密な対話が、聴いていて本当に幸せにさせてくれた。これ、京都コンサートホールのバルコニー席あたりで聴いたら、気持ちいいだろうなあ。
 10月のTHE MOSTの岡山公演では上村さんの楽器や演奏も注目して聴きたいと思う。京都公演もあるので、京都の皆さんもぜひ聴きに行って欲しいと思う。
 
 後半のベートーヴェン、これまた京響が素晴らしい!ニコ生の音質が最高に良いので、京響の音のバレットの多彩さをよく拾ってくれて、もちろん生演奏を聴くに越したことはないのだけれど、こうしたストリーミングでも十分に堪能できた
 弦楽器が音色の変化を主導し、管楽器が絶妙のバランスで付けていく。 瞬間瞬間で音色がどんどん変化していて、その音の変化を耳に感じていくのが本当に楽しく、多幸感に包まれるような時間だった。コロナ禍の中で国内の色々なオーケストラを聴く機会が多いけれど、僕の中では東響と並んでこの京響の音が群を抜いていると思う。35分程の曲があっという間に過ぎ去った感じ。
 鈴木雅人さんは、意外にモダンなアプローチを採用していて、ヴィヴラートは抑えめな場面はあるが、基本はモダン演奏。第1楽章の弦がリズムに乗って刻むような場面でも、しっとりとした京響の音の美点を引き出すなど、自己主張やヴィヴィッドな表現を採らず、このオーケストラが持つもっとも美しい音で紡いでいくという方向性が明確だった。N響はじめ、このコロナ禍の中で客演指揮に引っ張りだこなのがよく解るタクトだった。

 話は変わりますが、京響はクラシック専門ライブ配信サービスのカーテンコールからニコニコ生放送に乗り換えたのでしょうね。音質面や通信の安定性、そして何よりも奏者と聴衆が共有するインタラクティブな『場』としての機能など、現状では圧倒的にニコ生の方が優勢。ベンチャー企業で、プロ・アマ関係なく音楽を配信できるプラットフォームを目指しているカーテンコールには頑張って欲しいが、このままでは業界ガリバーのYoutubeやニコ生に埋没してしまうのではないだろうか。

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【ラジオ放送】NHK交響楽団4月公演 指揮 大植英次 [ストリーミング]

 N響の4月21日サントリーホール公演の模様が5月6日にNHK-FMで放送された。

ベストオブクラシック サントリーホール4月21日公演▽N響演奏会 指揮 大植英次

グリーグ/2つの悲しい旋律
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第1番ハ短調
(ピアノ独奏)阪田知樹、(トランペット)長谷川 智之
シベリウス/交響曲第2番ニ長調

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 リアルタイムの放送では聴くことができず(連休明けでクソ忙しかった!)、シベリウスの2番から翌日の通勤中に聴き始めた。
 当日のコンサートに行かれたブロガーさん達の感想から、カーテンコールが鳴り止まずに、指揮者の一般参賀まで見られるようなすごい演奏だったことは知っていた。
 それでも第4楽章の後半から、車を運転しながら涙が溢れ出てしまい、最後のコーダの部分で顔がクシャクシャになってしまった。心が打ち震えるような感動、というよりも、時間が止まったような世界に身をおいて、感受性のキャパシティで受け止めきれないものが瞼から勝手に溢れ出てくる感じだった。

 この土日はなんども、大植&N響のシベリウスを聴いているが、N響と大植さんは22年ぶりの共演ということで、ほとんどのメンバーが初顔合わせ、にも関わらず、これほど人馬一体の演奏を(恐らく)わずか3日のリハーサルで見事に表現したという点は、驚異的なレベルの対応力だと思う。

 テンポがゆっくり目でピアニッシモが続くような場面では、一つ一つのフレーズを慈しむようにゆっくり表現され、並のオーケストラなら演奏が止まるんじゃないかと思われるような極限の表現を求められても、余力を感じさせる危なげない、緊張感も途切れない驚異的な繊細さで持って表現されていた。

 テンポが早くなって音楽が高揚する場面では、指揮者の意図するところを深い共感をもって汲み取り、一つの生き物のように一体となって、まったく遺漏なく棒についていく。最後の後光がさすような弦のトレモロ(すごい音が出ていた、会場で聴いた人は凄かったろうな)の中から金管の息の深いコラールが聴こえてきた瞬間はまさに『魂の昇天』といえるような感覚になった。


 放送の解説に入ったロシア音楽学者の一柳富美子さんが、感動して声が震えながら「もう本当に体の震えが止まりません!本当に良かったです。途中、溜めて溜めて最後にピークを持っていくその道筋、そして到達した後の恍惚感も本当に素晴らしく、(涙声)はあ、感動しました」と言っていたのが印象的。

 今のN響は本当に超一流のオーケストラだと実感した放送でもあった。

 TV放送は6月13日(日) 午後11:20から、NHKーBSのBSプレミアムシアターで放送されるようです。気になる方はぜひ!
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 前半のグリーグとショスタコーヴィチの感想はTV放送後に追記します。後半のシベリウスもオケと指揮者とのコミュニケーションがどのように展開されていたのかを見るのが本当に楽しみ!!

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東京交響楽団川崎定期第79回(ニコニコ生放送) 大植英次指揮 Vn:木嶋真優 [ストリーミング]

 ニコニコ生放送のタイムシフト再生で、東響の川崎定期を聴いた。指揮は大植英次、プログラムはチャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲(ソリスト:木嶋真優)、交響曲第4番。

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 前半の木嶋さんのコンチェルトは全体的にはロマンティックな演奏で、大植&東響もそれに絡みつくように濃厚な音楽を展開していくのだが(やっぱり大植さん、コンチェルトの指揮が上手いな〜)音そのものは彼女らしいピュアな透き通るような音が印象に残った。あと、木嶋さんてテレビ番組(たぶんバラエティに?)に出てらっしゃるのかな?コメントを見てるとニコ生民にも結構知名度が高くて驚いた。


 後半の同じくチャイコフスキーの交響曲題4番は、大植節が前回の演奏に心の中で快哉を叫んだ。ニコ生のコメントでは大いに盛り上がっており、好意的な評価が圧倒的だったが、twitterでは賛否が両極端だったのが面白い。


 確かに、テンポやダイナミクスの変化は大きく、クラシックを聴き込んでいる人ほど過去の演奏と比べて違和感を感じたのも理解できるが、大植さんの音楽は心を真っ白に来て聴く(というよりも真っ白にさせてくれる)のが一番楽しめる聴き方なのだ。


 僕はチャイコフスキーの交響曲の中では、あまり聴かない曲なのだが、その理由は金管大運動会になってしまいがちなこの曲で、チャイコフスキーの旋律美というようなものが(5番や6番、マンフレッドに比べて)感じにくいということがある。


 しかし、大植&東響は金管の音を抑えめにして弦や木管とのハーモニーのバランスを追求するもので、こんなに美しいチャイ4は聴いたことがなかった。


 白眉だったのは第2楽章で、オーケストラが深い呼吸をしながら深い深い世界に入っていくような演奏に酔いしれた。


 音楽って、瞬間、瞬間の美しさが大事。現れては消えていく儚い芸術であり、時間軸でメロディーやストーリーを追っているのは聴手の脳内で処理しているに過ぎない。

 大植英次は、その儚さの中に燦然と輝く世界を現出させることができる数少ない指揮者だと再確認した。


 今回の演奏を素晴らしいものにしたのは、大植さんの描く世界を東響のメンバーが深い共感を持って受け入れたことも大きいのだろうな。その様子は動画をみれば一目瞭然。



 去年の緊急事態宣言中から始まった東響のニコ生配信。今回も3万人を超える視聴者があったそうで、これはやっぱり凄いことだな。


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どうなる!?岡山フィルの『次期』指揮者(その3) [岡山フィル]


 前回と前々回で、聴衆の立場から、シェレンベルガーが岡山フィルにもたらしてくれたものを再確認し、次期指揮者に求められる能力を検討してみたが、結論として、『次期』首席指揮者もやはりシェレンベルガーで行くべきだと述べた。


 とはいえ、様々な事情によってシェレンベルガーとの次期首席指揮者契約更新がかなわない場合も想定されうるし、今後、未来永劫シェレンベルガーにやってもらうわけには行かない。

 シェレンベルガーは、初代岡山フィル首席指揮者であり、いつか来る交代機はオーケストラが初めて経験する常任の指揮者の交代になる。
 岡山フィルは2004年に、小泉和裕をミュージックアドヴァイザーを任命しておきながら、いつの間にか辞任して終わっていた(しかもファンには全くアナウンスされなかった)『前科』もある(その後、小泉氏は岡山フィルを一度も振っておらず、楽団初期の音楽づくりに多大な功績を遺したマエストロとの関係が断絶してしまった)。

 いつかは来る指揮者交代に備えて、主に関西と広島の指揮者交代劇から、ポスト・シェレンベルガー体制への最良の移行方法について考えてみたい。



 まず、抑えておきたいのはオーケストラのコンサートに来るファン層には、そのオーケストラ自体のファンと、アーティストについていくファンの二種類があることだ私はおそらく前者に属するタイプ(岡山フィルそのもののファン)で、ソリストが誰であろうが、指揮者が誰であろうが足を運び続けるだろうが、数としては私のような人間の方が少数派だろう。多くのファンはアーティストについていく形でコンサートに足を運んでいる。だからこそ、楽団運営者はコンサートに招聘するソリストや指揮者の選定に頭を悩ませ、人気に火がついたアーティストを何度も招聘したりするのだろう。


 指揮者人事についても同じである。常任の指揮者を交代するということは、その指揮者についてきたファンをゴソッと失うことにも繋がるのだ。

 ここ10年の関西及び広島の楽団の指揮者交代劇を見てみると、例えば広響の常任指揮者・音楽監督を18年にわたって務め、広響を国内有数のオーケストラに育て上げた秋山和慶から、次の下野竜也への交代の際は、秋山和慶を終身名誉指揮者に任命し下野体制発足後も定期演奏会などの重要な演奏会でタクトを依頼しており、良好な関係が続いている。

 このように楽団に多大な貢献を行った指揮者が常任ポストを退任後、桂冠指揮者や名誉指揮者として引き続き演奏会に出演するパターンは大阪フィル(大植英次)や、関西フィル(飯守泰次郎)などが採用し、前常任指揮者についているファン層を失わないように慎重に体制移行を進めている。


 オーケストラの定期演奏会は、主催者が一方的に決めた日時と場所に、聴衆の側が苦心してスケジュールを調整し、交通費を払って足を運ぶ必要がある。旅行や映画鑑賞やアート巡りなど、時期を自分で決められる娯楽と比べると、ある意味とても「不自由」だ。そのため、聴き手の仕事や家庭生活の変化などによって、優先順位なんて簡単に入れ替わる。ましてや県外から足を運んでいる聴衆は、相当な動機がなければ足を運ばなくなってしまう。常任の指揮者交代はコンサートへのプライオリティが下がる契機になってしまうのだ。


 また、最近の各オーケストラが力を入れているのが、「ファイナル・シーズン興行」だ。常任の指揮者の任期が満了する1年以上前から、現常任指揮者の最後のシーズンになることを公表し、興行を盛り上げるのだ。

 事例を具体的に見てみよう。

事例①大フィル
 朝比奈隆の後をついで2003年に音楽監督に就任した大植英次の退任前最後のシーズンとなった2012年度は、「エイジ・オブ・エイジ・ファイナルシーズン」と銘打って、大々的な興行を打った。

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 定期演奏会に4回登場するだけでなく、大植の十八番のチャイコフスキーの交響曲チクルス、任期が終了する3月31日には「大植英次スペシャルコンサート」と題してブルックナー/交響曲第8番を演奏。カーテンコールは鳴り止まず、大植が客席に降りて喝采を送るファンと交流する場面もDVDに収められている。

 このコンサートの現場に居た聴衆の一人であったブロガーさんのによれば、それは退任コンサートと言うよりも歌舞伎の「襲名披露」のようだったそうだ。



 事実、大植英次は音楽監督退任と同時に「桂冠指揮者」に就任。引き続き大阪フィルの定期演奏会に年に1度出演し、また大阪クラシックでのプロデューサーを続けるなど、大阪フィルと深い関係を続けている。私は大植の退任後の2013年4月に開催されたフェスティバルホールのこけら落とし公演(マーラー/交響曲第2番『復活』)に足を運んだが、客席は満席で、熱気も凄いものが合った。大植英次についているファンが引き続き大フィルを支えていることを実感したのだった。


 一方で、大植英次の音楽監督退任後に、ある変化が起こった。それは定期演奏会会員(岡山フィルでいえばマイシート)の落ち込みである。大植英次ファイナルシーズンとなった2012年度の定期演奏会会員は1870人。ザ・シンフォニーホール2日公演分の約6割の座席を会員が占めていた。ところが翌年の2013年度は一気に1428人にまで落ち込んでしまう。

 原因は、2013年度が常任の指揮者が不在となったことが大きい。翌年、井上道義が首席指揮者に就任するまで一年間、楽団の顔となる指揮者が居なかったことが招いた事態であった。



事例②関西フィル
 常任の指揮者交代で、近年、もっとも成功したのは関西フィルであろう。

 2011年に行われた関西フィルの常任指揮者の飯守泰次郎から、音楽監督のオーギュスタン・デュメイへのバトンタッチは、見事なものだった。

 布石は前年度の2010年度シーズンから始まった。この年、常任指揮者:飯守泰次郎、首席指揮者:藤岡幸夫に加えて、フランスのヴァイオリン奏者の巨人:オーギュスタン・デュメイを首席客演指揮者に招聘し、関西にデュメイ・ブームが起こった。オーケストラの指揮だけでなく、ヴァイオリンのソリスト、関西フィル楽団員との室内楽での共演などで関西フィルに新風を吹き込み始めた姿は、まさに岡山フィルにおけるシェレンベルガーに重なるものがある。

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 翌年、満を持して、オーギュスタン・デュメイを音楽監督に任命。飯守時代からデュメイ時代へのバトンタッチが行われる。


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 飯守泰次郎は桂冠指揮者に就任し、引き続き関西フィルのタクトを振ることになったのだが、凄いのはその中身である。

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 どこか名誉職的なニュアンスのある「桂冠指揮者」像を覆す驚きの内容だった。なんと2011年から10年におよぶブルックナープロジェクトを始動。常任指揮者時代から続いていたワーグナーのオペラの演奏会形式シリーズも継続するという。

 関西フィルの演奏水準を著しく向上させ、また朝比奈隆没後の関西のブルックナー演奏で高評価を得ていた功労者を、10年間囲い込むことに成功し、音楽性の継続と深化、聴衆のつなぎとめに成功したのだった。デュメイがソリストを務める回の定期演奏会で飯守泰次郎がタクトを振り、2015年のヨーロッパ公演ではデュメイと藤岡幸夫の二人が動向する、3人の指揮者の関係も良好で、関西でもっとも強力な指揮者陣となった。

 関西フィル友の会(マイシート)会員の動向を見ると、飯守常任最後の年(2010年度)の651人に対して、デュメイ音楽監督初年度(2011年度)は641人と、ほとんど変化がない。


 これらの事例から、いずれやってくるシェレンベルガーの退任時の処遇について考えてみると、次のようになる。


①常任指揮者退任後は終身名誉指揮者(少なくとも桂冠指揮者)として処遇する


②終身名誉指揮者就任後も定期的にタクトを振ってもらうために、10年単位の壮大な新しいシリーズを始める

③首席指揮者退任の1年前から公表し、ファイナル・シーズン興行を開催。最後のコンサートは「終身名誉指揮者就任記念公演」としてシェレンベルガーと岡山フィルのイメージを継続させる仕掛けを作る
④次期首席指揮者候補者を現首席指揮者の退任1〜2年前に「客演指揮者」として任命し、知名度や集客力を確保したうえでスムーズにスイッチできるようにする。
 この4点に集約されるだろう。
 特に②については年2回程度のシェレンべルガー・シリーズを開催する。1回は「モーツァルト・ハイドンシリーズ」として、ハイドンのザロモン・セット+モーツァルトの28番以降の交響曲と、古典派の協奏曲を組み合わせ10年単位で完成させる。もう1回はシェレンベルガーの偉大なキャリアの中で選んだ、「これは岡山の聴衆にぜひ聴いてほしい」楽曲を採り上げる『シェレンベルガーが選ぶ名曲シリーズ』として開催する。
 それに加えて、これは首席指揮者交代までにぜひやって欲しいこととして、岡山フィルとシェレンベルガーのコンビでの録音を、ぜひ残して欲しい。後世の岡山の聴衆がシェレンベルガーとのレガシーが実感できるような作品を残すべきだろう。今は全国のオーケストラがハイレゾの音源を配信している。CDとして出すだけの予算が確保できなくても配信ならなんとか可能だろうと思う。
 3回にわたって連載した「どうなる!?岡山フィルの『次期』指揮者」シリーズもこれでお開きとするが、一聴衆の立場でシェレンベルガーが岡山に来て以降の成果を振り返ると、新劇場こそ、シェレンベルガーと聴衆が築いてきた関係性を活かしていく必要があることを確信する。
 シェレンベルガーは以前のエントリーでも述べたとおり、ベルリンの壁崩壊や東西ドイツ統一、東西ベルリンの市民の間に残った経済格差や心の分断を解消する過程で、ベルリン・フィルは重要な役割を果たし、その中心に居た人物だ。
 偉大な音楽家であると同時に、ミュンヘン工科大学を卒業するなど、音楽以外にもマルチな才能を有する方だけに、岡山が抱える中心市街地の衰退からの再生への問題についても知見があるかも知れない。指揮者交代という道ではなく、逆に、もっと深く岡山の街づくりや音楽文化の深化に関わっていただくという方向も検討してほしいと思う。

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