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九州交響楽団 2023岡山公演 [コンサート感想]

オーケストラ・キャラバン
九州交響楽団岡山公演

グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
伊藤康英/アルト・サクソフォーンと吹奏楽のための幻想的協奏曲(管弦楽版)※世界初演(☆)
A.リード/春の猟犬(管弦楽版)
 ~ 休憩 ~
マンジオーネ/サンチェスの子供たち(エリック・ミヤシロ編)(◆)
バーンスタイン/映画「ウエストサイド・ストーリー」よりマリア(エリック・ミヤシロ編)(◆)
コンティ/映画「ロッキー」よりテーマ曲(エリック・ミヤシロ編)(◆)
チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」

指揮:渡邊一正
サクソフォーン:須川展也(☆)
トランペット:エリック・ミヤシロ(◆)
コンサートマスター:扇谷泰朋

2023年12月20日 岡山シンフォニーホール

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(1月7日にやっと更新!!)


・九響が再び岡山に来てくれた。このオケのサウンドは本当に気持ちいい。ホールという閉鎖空間で聞きているのに、まるで広大な世界に身をおいているよう。音楽もオケの持つ雰囲気もオープンマインド。「来てくれたからには絶対楽しませる!」というのがビンビンに伝わってくる。

・お客さんの入りは開演時は5割強だったが、1曲目、2曲目の後にみるみる席が埋まって、最終的には65%ぐらい。岡山は中心部のオフィス街が貧弱なので(郊外に立地する企業が多い)、平日18:30開園はキツいんよなあ。

・編成は1stVn14→2ndVn12→Vc8→10Va、上手奥にCb7の14型変則2管編成。舞台狭しと打楽器群が並ぶのは壮観。

・チケット代は2000円〜4000円だったが、私がいつも座っている席(普通はS席)までB席2000円。差額でタオルハンカチを買ってしまった。

グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
・渡邊一正さんの指揮を久しぶりに聞いたが、オーケストラのドライブ力や旋律の歌わせ方は健在。やはりいい指揮者だなと思う。

伊藤康英/アルト・サクソフォーンと吹奏楽のための幻想的協奏曲(管弦楽版)
・本当に九響は油断ならない!通俗名曲ばかりではなく、こういう未知の楽曲との出会いを提起する姿勢が凄い。余白の多い幽玄な世界に迷い込み、余白が段々と詰まってきて後半は変拍子の連続するオケと須川さんの神業のサックスが対峙し・融合する。最後は、大見得を切るサクソフォン・ソロやオーケストラに合わせて、歌舞伎や浄瑠璃のように舞台両脇と奥に三人の拍子木を持った奏者が「付け」を打つ。九響屋ァ、と思わず掛け声をかけたくなるようなラスト。

・須川さんの神業も凄かったが、変拍子をモノともせずでもグワッグワッと強烈なクレッシェンドをかけて畳み掛ける九響サウンドにも圧倒される。ビートも強烈に効いていた。いやー凄かった。

A.リード/春の猟犬(管弦楽版)
・伊藤康英の曲での演奏が圧倒的すぎて、あまり頭に入って来なかったが、管楽器の音が素晴らしかった。

マンジオーネ/サンチェスの子供たち(エリック・ミヤシロ編)(◆)
バーンスタイン/映画「ウエストサイド・ストーリー」よりマリア(エリック・ミヤシロ編)(◆)
コンティ/映画「ロッキー」よりテーマ曲(エリック・ミヤシロ編)(◆)

・後半のうち3曲はエリック・ミヤシロ、オンステージだ。コンマスの扇谷さんを巻き込んでのパフォーマンスなどで聴衆を惹きつけつつ、ソロ演奏では圧倒的存在感。連続ハイトーンで場を支配したかと思ったら、天上からの光が指すような柔らかい暖かい音に胸が震える。九響もさながら「九響ポップスオーケストラ」となって、管セクションを中心に獅子奮迅の活躍。特にトランペット首席の松居さんのパフォーマンス、エリックさんに対して一歩も引かない、凄かった。名前を覚えとかないと。

・演奏の前にエリックさんのバーンスタインのウエストサイド・ストーリーのマリアの和声に関する解説。中世の教会音楽では「悪魔の和音」として演奏を禁じられていたものを、バーンスタインは敢えて使った、とのこと。バーンスタインとの出会いに関するぶっ飛びエピソードなど興味深かった。

・エリックさんは、サポートメンバーとしてベーシストの川村竜さんと、ドラマーの川口千里さんを招聘。ステージの上手に陣取っていた。オーケストラの音とのバランスはかなり繊細な調整を必要としたはずで、わずか3曲、時間にして30分に対してそこまでするか!と。

・特に川口さんのカデンツァ?ソロセッションの場面は驚嘆だった。

チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
・後半2曲目のエリックさんとのバーンスタイン/WEST SIDE STORYとつながるというストーリーか?よく考えられたプログラム。さっきまでベースとドラム、トランペットが席巻していたステージから一気に19世紀ロマン派の音楽に引き戻す。正直、演奏精度という点ではリハの時間も限られた仲だったのか、イマイチ詰め切れていない感じはあったが、ダイナミクスあふれるオーケストラの迫力あるサウンド、その中にさりげないトリルに至るまで、『聴かせる』演奏に徹していたのは流石。

・12月に入って、父が倒れて入院するなど今後の事など考える事が多く、睡眠不足と気疲れで肩や背中がバキバキに張ってたのに、須川展也さんとエリック・ミヤシロさんという、大スターの演奏と、九響「ポップス・オーケストラ」のゴージャス・ノリノリサウンドで身体も心も軽くなった。本当に感謝。

・グッズ販売からプログラムやチラシも本気度100%で「こんなに貰っても福岡まで行けないよ〜」と思いつつも、年間プログラムを見てしまうと、いくつか行きたいな・・・と思わされる。いつかは本拠地で聴きたいと思わされます。

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