SSブログ
ストリーミング ブログトップ
前の10件 | -

【ニコ生】東響交響楽団第692回定期演奏会 ノット指揮 [ストリーミング]

東京交響楽団第692回定期演奏会【ニコニコ生放送】


R.シュトラウス/交響詩『ドン・キホーテ』

 ヴィオラ独奏:伊藤文嗣(東響首席)
 チェロ独奏:青木篤子(東響首席)

シベリウス/交響曲第5番変ホ長調


指揮:ジョナサン・ノット
2021年7月17日 サントリーホール

【配信開始しました[チャペル]#ニコ響 はこのあと18:00開演。

プログラム冊子もWEB公開中!あわせてご覧ください[→]https://t.co/EjL29gE9X3

視聴はこちら[↓]?https://t.co/xw8kmcEYtU

? 東京交響楽団 TokyoSymphony (@Tokyo_Symphony) July 17, 2021


 東響のニコ生はタイムシフト配信でほぼすべて視聴しているが、今回はこれまで見てきた中で一番良かった。特にシベリウスの5番が素晴らしく、私の手持ちの数ある名盤たちを凌駕する演奏だったように思う。配信から4日経っているが毎晩繰り返し聴いている。もし、音源が発売されたら必ず買う。

 奥行きの深いところから精緻なアンサンブルが湧き上がってくる感じで、亜寒帯の針葉樹の森の中に分け入り、湖に反射する太陽。針葉樹を揺らす風がつむじ風となり、空を白鳥の群れが飛翔する。そんなヴィジョンがありありと現出する。そして同じヴィジョンを観ている者の多くが共有していることが、画面に流れていくコメントが証明している。
「風景わかる」「ほんと風景うかぶよねシベリウスって」「ノットの棒って魔法かけてるみたい」「魔法かけてるわかる!」「きれいだなあ」
 一方で、一方で焼き鳥を片手にビールを飲んでる奴がいたりw、コシヒカリのご飯と刺身食ってる奴がいたりw、
 オーケストラ鑑賞の初心者の人が、「トランペットの先についてるお茶碗みたいなのは何」と質問したら、「ミュートだな」「笑点のオープニングみたいな音になる」と絶妙の返しをする玄人たち。
 それぞれが自分の居場所から接続して、マニアから初心者までフラットに同じ演奏を楽しむ。このニコ生の雰囲気は最高に楽しい。
 閑話休題
 演奏の感想に戻ると、いやー、ホルン隊の演奏が素晴らしかった。そして弦楽器のウネウネした音が、シベリウスの世界を見事に描き出していて、瞬間瞬間に湧き上がってくるフレッシュな音楽に感動した。

 ジョナサン・ノットは、東響の音楽監督とスイスの名門:ロマンド管弦楽団の音楽監督も兼務しているが、確かにスイス・ロマンド管弦楽団のような世界の一流オーケストラと比較しても、全く遜色のない実力を見せつけてくれた。


 前半の「ドン・キホーテ」。この曲は、自分の中ではあまり評価が高くなく、R.シュトラウスの楽曲の中では、やや散漫な印象を持っていた。「英雄の生涯」や「アルプス交響曲」があまりにも傑作すぎるので、あくまでそれと比較して・・・の話ではあるが。
 しかし、今回の東響の演奏は、まったく退屈する瞬間がない。ノットのタクトさばきが芸術的で、棒先を「チョン」と動かしただけで、音色がガラリと変わっていく。まさに魔術師ノットだ。ヴィオラとチェロの首席2人のコミカルで雄弁なソロも見事だったが、オーケストラも管楽器を中心にソロが超絶上手い。このコンビを配信で何度も聴いているうちに、ノットと東響のコミュニケーションの豊富さや関係性を感じられるようになってきた。


 これまでニコ生で聴いてきた演奏はミューザ川崎でのライブだったが、今回のサントリーホールの空間の共鳴をよく捉えてくれて、東響のシルキーな弦・絶妙のバランスで鳴る管が融合した素晴らしい音楽世界を堪能した。


nice!(3)  コメント(4) 

【ニコ生】京都市交響楽団第656回定期演奏会 鈴木優人指揮 チェロ:上村文乃 [ストリーミング]

京都市交響楽団第656回定期演奏会【ニコニコ生放送】

ヘンデル/歌劇「忠実な羊飼い」序曲
ラモー(鈴木優人 編)/歌劇「みやびなインドの国々」組曲
ヴィヴァルディ/チェロ協奏曲ト長調
 チェロ独奏:上村文乃
ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調

指揮:鈴木優人
2021-05-15_kyokyo_suzuki_kamimura.jpg
 緊急事態宣言の発令によって無観客ライブ配信となったコンサート。宣言に関係なく京都までは聴きに行けない身にとっては、京響の音楽を聴ける機会としてありがたい配信ではありました。リアルタイムではじっくり聞く時間が取れず、とりあえずわずかながらの投げ銭だけして、タイムシフト配信でじっくり視聴した。

 プログラムを見て、「THE MOST」のメンバーの上村さんが登場する、というのも注目点だった。プレトーク、アフタートークで上村さんが仰っていたが、スイスを拠点に(廉之助くんと同じスイスなんやね)古楽を中心に研鑽されているとのこと。ガット弦・バロック弓を使用。上村さんのソロはスピード感があって切れ味は鋭いのに、気品にあふれている。そして、小編成の京響がこれまた素晴らしい!ヴィヴァルディの協奏曲の基本形は合奏協奏曲なので、楽器間の対話も見どころなのだが、ニコ生のカメラワークの良さもあって、上村さん・鈴木さんのチェンバロとオーケストラの間の緊密な対話が、聴いていて本当に幸せにさせてくれた。これ、京都コンサートホールのバルコニー席あたりで聴いたら、気持ちいいだろうなあ。
 10月のTHE MOSTの岡山公演では上村さんの楽器や演奏も注目して聴きたいと思う。京都公演もあるので、京都の皆さんもぜひ聴きに行って欲しいと思う。
 
 後半のベートーヴェン、これまた京響が素晴らしい!ニコ生の音質が最高に良いので、京響の音のバレットの多彩さをよく拾ってくれて、もちろん生演奏を聴くに越したことはないのだけれど、こうしたストリーミングでも十分に堪能できた
 弦楽器が音色の変化を主導し、管楽器が絶妙のバランスで付けていく。 瞬間瞬間で音色がどんどん変化していて、その音の変化を耳に感じていくのが本当に楽しく、多幸感に包まれるような時間だった。コロナ禍の中で国内の色々なオーケストラを聴く機会が多いけれど、僕の中では東響と並んでこの京響の音が群を抜いていると思う。35分程の曲があっという間に過ぎ去った感じ。
 鈴木雅人さんは、意外にモダンなアプローチを採用していて、ヴィヴラートは抑えめな場面はあるが、基本はモダン演奏。第1楽章の弦がリズムに乗って刻むような場面でも、しっとりとした京響の音の美点を引き出すなど、自己主張やヴィヴィッドな表現を採らず、このオーケストラが持つもっとも美しい音で紡いでいくという方向性が明確だった。N響はじめ、このコロナ禍の中で客演指揮に引っ張りだこなのがよく解るタクトだった。

 話は変わりますが、京響はクラシック専門ライブ配信サービスのカーテンコールからニコニコ生放送に乗り換えたのでしょうね。音質面や通信の安定性、そして何よりも奏者と聴衆が共有するインタラクティブな『場』としての機能など、現状では圧倒的にニコ生の方が優勢。ベンチャー企業で、プロ・アマ関係なく音楽を配信できるプラットフォームを目指しているカーテンコールには頑張って欲しいが、このままでは業界ガリバーのYoutubeやニコ生に埋没してしまうのではないだろうか。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

【ラジオ放送】NHK交響楽団4月公演 指揮 大植英次 [ストリーミング]

 N響の4月21日サントリーホール公演の模様が5月6日にNHK-FMで放送された。

ベストオブクラシック サントリーホール4月21日公演▽N響演奏会 指揮 大植英次

グリーグ/2つの悲しい旋律
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第1番ハ短調
(ピアノ独奏)阪田知樹、(トランペット)長谷川 智之
シベリウス/交響曲第2番ニ長調

2021-05-08 n_kyou_ooue.png
 リアルタイムの放送では聴くことができず(連休明けでクソ忙しかった!)、シベリウスの2番から翌日の通勤中に聴き始めた。
 当日のコンサートに行かれたブロガーさん達の感想から、カーテンコールが鳴り止まずに、指揮者の一般参賀まで見られるようなすごい演奏だったことは知っていた。
 それでも第4楽章の後半から、車を運転しながら涙が溢れ出てしまい、最後のコーダの部分で顔がクシャクシャになってしまった。心が打ち震えるような感動、というよりも、時間が止まったような世界に身をおいて、感受性のキャパシティで受け止めきれないものが瞼から勝手に溢れ出てくる感じだった。

 この土日はなんども、大植&N響のシベリウスを聴いているが、N響と大植さんは22年ぶりの共演ということで、ほとんどのメンバーが初顔合わせ、にも関わらず、これほど人馬一体の演奏を(恐らく)わずか3日のリハーサルで見事に表現したという点は、驚異的なレベルの対応力だと思う。

 テンポがゆっくり目でピアニッシモが続くような場面では、一つ一つのフレーズを慈しむようにゆっくり表現され、並のオーケストラなら演奏が止まるんじゃないかと思われるような極限の表現を求められても、余力を感じさせる危なげない、緊張感も途切れない驚異的な繊細さで持って表現されていた。

 テンポが早くなって音楽が高揚する場面では、指揮者の意図するところを深い共感をもって汲み取り、一つの生き物のように一体となって、まったく遺漏なく棒についていく。最後の後光がさすような弦のトレモロ(すごい音が出ていた、会場で聴いた人は凄かったろうな)の中から金管の息の深いコラールが聴こえてきた瞬間はまさに『魂の昇天』といえるような感覚になった。


 放送の解説に入ったロシア音楽学者の一柳富美子さんが、感動して声が震えながら「もう本当に体の震えが止まりません!本当に良かったです。途中、溜めて溜めて最後にピークを持っていくその道筋、そして到達した後の恍惚感も本当に素晴らしく、(涙声)はあ、感動しました」と言っていたのが印象的。

 今のN響は本当に超一流のオーケストラだと実感した放送でもあった。

 TV放送は6月13日(日) 午後11:20から、NHKーBSのBSプレミアムシアターで放送されるようです。気になる方はぜひ!
2021-05-09 bs_premium.png
 前半のグリーグとショスタコーヴィチの感想はTV放送後に追記します。後半のシベリウスもオケと指揮者とのコミュニケーションがどのように展開されていたのかを見るのが本当に楽しみ!!

nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

東京交響楽団川崎定期第79回(ニコニコ生放送) 大植英次指揮 Vn:木嶋真優 [ストリーミング]

 ニコニコ生放送のタイムシフト再生で、東響の川崎定期を聴いた。指揮は大植英次、プログラムはチャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲(ソリスト:木嶋真優)、交響曲第4番。

2021-05-05 nikokyo.png

 前半の木嶋さんのコンチェルトは全体的にはロマンティックな演奏で、大植&東響もそれに絡みつくように濃厚な音楽を展開していくのだが(やっぱり大植さん、コンチェルトの指揮が上手いな〜)音そのものは彼女らしいピュアな透き通るような音が印象に残った。あと、木嶋さんてテレビ番組(たぶんバラエティに?)に出てらっしゃるのかな?コメントを見てるとニコ生民にも結構知名度が高くて驚いた。


 後半の同じくチャイコフスキーの交響曲題4番は、大植節が前回の演奏に心の中で快哉を叫んだ。ニコ生のコメントでは大いに盛り上がっており、好意的な評価が圧倒的だったが、twitterでは賛否が両極端だったのが面白い。


 確かに、テンポやダイナミクスの変化は大きく、クラシックを聴き込んでいる人ほど過去の演奏と比べて違和感を感じたのも理解できるが、大植さんの音楽は心を真っ白に来て聴く(というよりも真っ白にさせてくれる)のが一番楽しめる聴き方なのだ。


 僕はチャイコフスキーの交響曲の中では、あまり聴かない曲なのだが、その理由は金管大運動会になってしまいがちなこの曲で、チャイコフスキーの旋律美というようなものが(5番や6番、マンフレッドに比べて)感じにくいということがある。


 しかし、大植&東響は金管の音を抑えめにして弦や木管とのハーモニーのバランスを追求するもので、こんなに美しいチャイ4は聴いたことがなかった。


 白眉だったのは第2楽章で、オーケストラが深い呼吸をしながら深い深い世界に入っていくような演奏に酔いしれた。


 音楽って、瞬間、瞬間の美しさが大事。現れては消えていく儚い芸術であり、時間軸でメロディーやストーリーを追っているのは聴手の脳内で処理しているに過ぎない。

 大植英次は、その儚さの中に燦然と輝く世界を現出させることができる数少ない指揮者だと再確認した。


 今回の演奏を素晴らしいものにしたのは、大植さんの描く世界を東響のメンバーが深い共感を持って受け入れたことも大きいのだろうな。その様子は動画をみれば一目瞭然。



 去年の緊急事態宣言中から始まった東響のニコ生配信。今回も3万人を超える視聴者があったそうで、これはやっぱり凄いことだな。


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

大阪クラシック2020オンライン公演 6日目・7日目(最終日) [ストリーミング]

 大阪クラシックのオンライン公演から、「もし自分がハシゴするなら」という想像でのオンライン・タイムシフト鑑賞。
5日目 配信No.21 大阪市中央公会堂 中集会室
ライネッケ/オーボエ、ホルンとピアノのための三重奏曲イ短調
 <出演者> オーボエ:大森 悠、ホルン:高橋将純、ピアノ:原 由莉子
大阪フィル
6日目 配信No.25 大阪フィルハーモニー会館
保科 洋/祈り、そして戯れ~光のもとの~
グリーンバーム/オーボエ・ソナタ
<出演者> オーボエ:水村一陽、ピアノ:佐々木有紀
大阪フィル


6日目 配信No.26 大阪フィルハーモニー会館
武満 徹/ア・ストリング・アラウンド・オータム
ピアソラ/ル・グラン・タンゴ
<出演者> ヴィオラ:木下雄介、ピアノ:法貴彩子
大阪フィル

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

大阪クラシック2020オンライン公演 4日目・5日目 [ストリーミング]

 大阪クラシックのオンライン公演から、「もし自分がハシゴするなら」という想像で秘曲めぐりをしています。
 コロナ禍の中で、なかなか大阪にも足を運べていない私にとっても、大阪市役所や中之島の公会堂など、以前足を運んだ場所での演奏を動画で聴くことが出来、また動画の冒頭の大植さんのお元気そうなお顔と独特のトーク(やっぱり英語のほうが聞き取りやすいww)も拝見でき、この音楽祭の熱気を思い出し、雰囲気を感じることが出来るのはありがたい。
4日目 配信No.13 大阪市役所
2CELLOS/影武者
バリエール/2つのチェロのためのソナタ ト長調より 第1楽章、第3楽章
クンマー/ヘンデルの主題による変奏曲
アーロン・ミンスキー/3つのアメリカ風二重奏曲
<出演者> チェロ:高橋宏明、望月稔子
センチュリー響
4日目 配信No.16 大阪市役所
フォーレ/組曲「ドリー」作品56(オーボエ、ファゴット、ピアノによる編曲版)
プーランク/オーボエ、ファゴットとピアノのためのトリオ FP43(作曲者自身による改訂版)
<出演者> オーボエ:浅川和宏、ファゴット:久住雅人、ピアノ:浅川晶子
大阪フィル
5日目 配信No.17 こどもの本の森中之島
ブルーニ/3つの協奏的二重奏曲 ニ長調
マルティヌー/二重奏曲 第1番 「3つのマドリガル」
<出演者> ヴァイオリン:田中美奈、ヴィオラ:川元靖子
大阪フィル
5日目 配信No.19 中之島中央公会堂 中集会室
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン・ソナタ
<出演者> ヴァイオリン:崔 文洙、ピアノ:野田清隆
大阪フィル

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

大阪クラシック2020オンライン公演 1日目・2日目 [ストリーミング]

 今年の大阪クラシックは、有観客公演は客数が管理できる有料公演のみで、無料公演28公演のオンラインで配信をしてくれている。
 まあ、無料公演はこんなだったり。
androidapp/39850130914153944704984093.png
 こんな感じで超過密状態になる(それがこの音楽祭の魅力でもあり・・・)ので、今年は無理ですね。。。
androidapp/4340813091418301596785188.png
 この大阪クラシックは大植英次プロデューサーの「敷居は低く、格調は高く」という合言葉により、誰もが知っている名曲だけでなく、滅多に聴けないマニアックな楽曲も取り上げてくれる。芥川也寸志のトリプティークなど、この音楽祭で出会った隠れた名曲に出会うことが出来た。
 動画がいつまで配信してくれるのかわからないが、マニアック・プログラムを埋め込みでピックアップして、ゆっくり楽しんで観ていきたい。
1日目 配信No.1 大阪市立自然史博物館
関西フィル
トランペット:白水 大介、池田 悠人 ホルン:中川 直子 
トロンボーン:風早 宏隆 バス・トロンボーン:松田 洋介W.ルトスワフスキ/小序曲
V.エワルド/金管五重奏曲 第1番 作品5
カルヴァート/組曲「モンテレジャンヒルズ」
1日目 配信No.4 大阪歴史博物館
大阪交響楽団
フルート:小林 志穂、奥本 華菜子、江戸 聖一郎、森本 英希ベルトミュー/猫
マウアー/フィクションズ 
2日目 配信No.7 大阪市立美術館 
フルート:野津 臣貴博 ハープ:平野 花子
大阪フィル
アンドリーセン/間奏曲
ドップラー/カシルダ幻想曲

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ライヴ配信:ノット&東響の「リモート指揮」東京オペラシティシリーズ第116回 [ストリーミング]

 コロナ禍の中での演奏活動を進めていく中で、世界各地のオーケストラは様々な課題に挑んでるが、今回のジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のニコ生での配信を見て、「ついにここまでやったか!」ととても驚いた。
 指揮者の位置に置かれた4台のモニター。それを見ながら楽団員たちが演奏する・・・。指揮台に立つはずだったジョナサン・ノットは東京にも日本にも居ない。
 経緯については、東京交響楽団のホームページに書かれていますが、音楽監督のジョナサン・ノットが来日出来るよう手を尽くしたが、それが叶わず、代役を立てるか指揮者無しで演奏するかなど様々な可能性を検討した結果、前半のブリテン/ブリッジの主題による変奏曲は指揮者なしで演奏、後半のドヴォルザーク/交響曲第8番は、ノットのスイスの自宅で滞在中された指揮映像を見ながら演奏する、という前代未聞・空前の方法で挙行することになった。
toukyou_rimote1.jpg
 これはオーケストラ側にとっては、全く割に合わない。指揮者の大きな仕事は2つあって、1つ目は演奏のディレクションを決めて、オーケストラから最高のパフォーマンスを引き出すこと。これはある程度はリハーサルなどで徹底できるだろう。もう一つは演奏上の危機管理。何か起こったときに事態を収拾し軌道修正する役目、場合によっては最終的に責任を被る対象として存在する。今回の録画映像による霜ーと演奏では2つめの役割は期待できない。当然、危機管理はオーケストラが自分たちで行わなければならず、とりわけコンサートマスターには想像を超える負担となる。
 指揮者側も無人の空間を前にして、頭の中でオーケストラの音を鳴らしながら40分近い指揮を続けるのは、相当な集中力と熱意が必要だ。
 ネット上では驚きの声があがるとともに、概ね好意的な意見が多かったが、クラシック音楽ファンの間ではこのやり方に批判的な声が上がっていた。それはる当然の意見でもある。しかし、自分の動画を見ての感想は、とてもエキサイティングで叙情的な心揺さぶられる素晴らしい演奏だった、ということ。
 確かに、オーケストラが熱が入って走って行きそうになるのを、ノットの指揮に合わせてセーブするような場面はあった。もし生身のノットが指揮していたら、そのままの勢いに任せたかも知れないとも思った。
 しかし、指揮をメトロノームにとどまらせず、動画上のノットが見せる仕掛けに的確に反応し、ノットの設計図に沿いつつも、よく歌い・躍動する。最終的にはオーケストラが主体的に音楽を作っていっている様子がよく判り、オーケストラ側にとっても非常に収穫のある演奏になったことがよく判った。
 これはどこのオーケストラでも出来ることじゃなくて、ジョナサン・ノットと東響が6年間の時間をかけて作り上げてきた関係、それも信頼関係なんていう言葉では内包しきれない、ある種の反駁や軋轢も含んだ共同作業のなかで培われた緊張的信頼関係の成果なのだろうと思う。終演後にスイスで演奏を聴いていたノットの会心の笑みに対して、「俺たちはここまでやった!」という楽団員の表情が印象的だった。
 ジョナサン・ノットは世界の指揮者の中でもトップ20に入る実力派指揮者であり、バンベルク交響楽団とのマーラー演奏などは今世紀最高のマーラーとの評価も髙い。そんなノットの日本のオーケストラとの試みは、世界のクラシック演奏の歴史の中で、確実にマイルストーンとなる演奏になったと思う。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

無観客ライヴ配信:阪&山響の田園、下野&広響の運命 [ストリーミング]

 無観客ライブ配信の感想・・・といってもタイムシフト再生で一部のみの視聴の感想を。
 まずは山形交響楽団の6月22日に開催されたライヴ。後半のベートーヴェンの田園のみ、タイムシフト再生で視聴しました。
 緊急事態宣言に入る前にも山響はクラシック音楽ストリーミングサービスの「カーテンコール」で無観客ライブ配信を行っていましたが、前回と様相が異なっていたのは、休憩時間中に山形の特産品やふるさと納税制度による山響の支援制度の宣伝を行っていたこと。
yamakyo2.jpg
yamakyou1.jpg
 このふるさと納税、先週末の時点でなんと760万円(6月29日現在で825万円)も集まっています。オーケストラ公演2~3回分のお金が集まっている計算。演奏を聞いた人が寄付したんでしょう。すごいなあ・・・
Screenshot_2020-06-27-11-42-08.jpg
 休憩時間中に紹介された山形の情報も興味深く・・・
Screenshot_2020-06-27-12-03-52.jpg
 山形県は北前船の寄港地だった庄内地方、そして紅花を運んだ最上川の水運など、とても交易が盛んで、財を成した事業者が文化的な投資を盛んに行っていた。東海道や(岡山を含む)山陽道の諸大名とは違い、幕府の締め付けも緩かったこともあって瀟洒な文化が花開いていた土地なんですね。人口規模が決して大きくはない山形にオーケストラ文化が根付いているのも、こうした江戸時代以来の文化的バックボーンあってのことなのだろうと思います。
yamakyo3.jpg
 さくらんぼ農家の紹介もありました。休憩時間後に聴いたベートーヴェンの田園の第5楽章が、まさにこのさくらんぼ果樹園の風景のように、里山の濃厚な匂いと澄み切った空気を運んでいるような音だったのが印象的でした。特にこの清涼感は西日本のオーケストラからはあまり聴けない音であり、やはりオーケストラというのは土地の風土の影響を受けることを改めて感じさせてくれました。
 それにしても、この3ヶ月間でクラウドファンディングの仕組みを整え、「やむを得ない措置」である無観客ライヴ配信をオーケストラだけでなく、山形全体のプロモーションのコンテンツに仕立てて、ピンチをチャンスに変えようとする山響は、やっぱりすごい。
 次に広響について。こちらはYOUTUBEの広響チャンネルでのライヴ配信。
 広響は年に2回以上は聴いてきたオーケストラで、楽員さんの中には名前と顔が解る人も居るし、緊急事態宣言中にも「テレワーク」で発信された音楽を見てきたので、ベートーヴェンの5番の第4楽章の最後の方で、皆が笑顔で演奏しているのを見ると、こちらまで目頭が熱くなってしまった。。。岡山フィルの田中郁也さん(Vn)と藤原さよさん(Hr)もエキストラで乗っておられました。
 アステールプラザ大ホールの多目的ステージの左右をできるだけ広く取った配置。弦5部と管楽器との間にアクリル板を設置していて、そのせいもあって第1楽章ではアンサンブルを作るのに苦労している印象でした。しかし、動画でも緊張感や舞台上の濃密な空気が伝わってきて、不自由な状況と3ヶ月以上も演奏披露の機会が与えられなかった鬱憤が音楽にぶつけられていて、とても心動かされる演奏でした。
 この広響の動画も休憩時間中は楽団や、広島の自然風土や広島の街が歩んだ苦難の歴史が紹介されて飽きさせることがない。
Screenshot_2020-06-27-12-13-56.jpg
Screenshot_2020-06-27-12-14-53.jpg
 コロナ禍が早く収束し、演奏者も聴衆も心からコンサートを楽しめる日を切望するとともに、もしかしたら収束後は新たなオーケストラ・ライヴの楽しみ方が確立されるかも知れない・・・そんな予感を感じさせる動画ストリーミングでした。

nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

最近見た動画から:準メルクル&広響の「火の鳥」 [ストリーミング]

 Covid-19は想像以上にしぶとく、引き続いてコンサートが中止・延期になる中、地元の岡山フィルは7月の定期演奏会の中止を発表しています。FM岡山の番組で岡フィル事務局の野村さんが「秋山さんの指揮だから、どうしてもやりたかったのですが・・・」という悔しい思いが滲んだ言葉が印象的でした(パーソナリティの大橋由佳さんのブログ)。
 演奏の再開を具体化しつつある楽団もありますが、岡山フィルの7月定期は、メインがストラヴィンスキーの「火の鳥」ということで編成規模も大きいが故に、東京や関西からのエキストラも予想され、首席奏者の方も関東在住の方が多く人の移動や座席の再割り当てなど解決が必要な課題が多すぎたのだと理解しています。
 最近、見た動画もバレエ組曲「火の鳥」。2018年12月に開催された広島交響楽団定期演奏会の動画(映像は静止画)です。この定期は7月に開催されるはずが、西日本豪雨の影響で延期になったもの。期せずして豪雨災害の復興への狼煙となったコンサートで、年末休みと重なったこともあって、会場はたいへんな熱気に包まれていました(コンサート感想はコチラ

 大幅にカットされた1945年版の組曲(岡山フィルもこの版で演奏予定でした)ではなく、バレエ音楽の主要部分をほとんど残している1910版。当時の感想ブログには、

「火の鳥」は、ダイジェスト版とも言える1945年版が演奏されることが圧倒的に多いけれど、1910年版でしか味わえない感興がある。全曲盤をオーケストラのみでの演奏を「冗長」だと言い切ってしまうのは、このメルクルの魔法のようなタクトと愛すべき広響の情熱的な演奏を聴いてしまうと。『それは早計だ!』と言ってしまいたくなる。
 特に中間部分の「王女たちのロンド」から「夜明け」「イワン王子、カッチェイ城に突入」「不死の魔王カッチェイの登場」などを経て「イワン王子とカッチェイの対決」「火の鳥の出現」「カッチェイたちの凶悪な踊り」に至るまでの部分は、誠に息詰まり手に汗握る一大スペクタクルで、1945年版だと、「王女たちのロンドから」「カッチェイたちの凶悪な踊り」にまで一気に飛んでしまうのは、ほとんどおいしい部分をすっとばしている、ということが今回のコンサートを聴いて認識を新たにした。
 との感想を書いている。
 こうして後になってストリーミングで追体験できるのは本当に嬉しい。
 岡山フィルもコロナ禍が収束した後に、秋山さんを招聘して必ず「火の鳥」をして欲しい。なにかこの曲にはそういう力があるように思います。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽
前の10件 | - ストリーミング ブログトップ