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福田廉之介プロデュース ALL Mozart [コンサート感想]

おかやまアーツフェスティバル2023
福田廉之介プロデュース ALL Mozart
これを聞けば〇〇がわかる!

モーツァルト/ ヴァイオリンソナタ第18 番 ト長調 K. 301 (293a)
  〃   /ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K. 423
  〃   /ピアノソナタ イ短調 K. 310
  〃   /クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

ヴァイオリン:福田廉之介(K301,K423,K581)、篠原悠那(K581→1st)
ヴィオラ:渡部咲耶(K423,K581)
チェロ:菅井瑛斗(K581)
ピアノ:松本和将(K301,K310)
クラリネット:西崎智子(K581)

2023年11月21日 岡山芸術創造劇場ハレノワ・中劇場

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・この秋、福田廉之介さんのコンサートを最大で3つ聴ける予定だった。ところがコロナ明けでコンサートが目白押しの状態だったのと、諸々都合がつかず、10/6のTHE MOSTはチケット購入しながら見送り(THE MOSTは創設以来、皆勤だったのに・・・)、11/18の中部フィル新見公演も聞き逃し、この秋三度目の正直での福田さんの生・ヴァイオリンだった。

・曲の合間にトークセッションがあり、副題の「これを聞けば〇〇がわかる!」の〇〇は、聴く人が思い思いに埋めてくれればいいとのこと。

・この日の客席は、私が陣取った二階席は半分ほどの入りだったものの、1階席は9割がた埋まっていた。キャパが800人なので700人ぐらいは入っただろうか?廉之介さんが「火曜日の夜なのにこんなに入って下さって本当にありがとうございます。これで僕の馘が繋がりました」とおどけていたが、本心からうれしそうな様子。

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・2階席最前列に陣取ったのだが、座ってみて一番驚いたのが「うわー、舞台が近い!」ことだった。市民文化ホールは客席が縦に長かったが、その市民文化ホールの建替え施設であるハレノワ中劇場は横幅が広く奥行きが短い。ステージから遠くならないような設計になっていた。

・そして2階席、1階席後段客席の急勾配にもビックリ。階段の段差が高く、高齢の方は降りるのに難儀しており、私の見てる間だけで4人転けそうになってた(しかも、内一回はホールスタッフの方)。大阪の松竹座3階席と張る急勾配だった。

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(怪我にご用心!!な2階席)


・今回のメンバーのうち、廉之介さんと松本さん、西﨑さんの3名は岡山お馴染みのメンバー。渡部咲耶さんはタレイア・カルテットのメンバーで、今年からはTHE MOSTのメンバーでもある。篠原悠那さんはカルテット・アマービレの1stVnはじめ、メディアからも注目される若手ヴァイオリニストの第1人者。菅井瑛斗さんも今年からTHE MOSTのメンバーで新進気鋭のチェリスト。とまあ、超優秀な若手を集結させたメンバー。廉之介さんの人脈は凄いな…



ヴァイオリンソナタ第18 番 ト長調 K. 301 (293a)

・モーツァルトらしい一筆書きで書いたような天才的な楽曲。この曲はこんな風に演奏して欲しい、という聴き手の感性にピタリとハマるような、少女が踊るような天衣無縫さ。松本さんのピアノもとても優雅で可愛らしさを感じる演奏でヴァイオリンと溶け合い、掛け合っていた。

ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K. 423
 ヴィオラの渡部咲耶さんは姉貴肌のようで、プレトークでは福田さんに鋭いツッコミを入れていたが、音楽についてもヴィオラの渡部咲耶さんが重心の低いしっかりした音を軸にして廉之介さんを泳がせている感じ。しかし、廉之介さんの美音が素晴らしいな。なかなか聴く機会がない曲を堪能。

ピアノソナタ イ短調 K. 310
・この日の客席は、楽章間の拍手も起きる感じで、「ハレノワの中ホールに行ってみるか」という動機のお客さんも一定数いた感じだが、松本さんの凄まじい集中力と濃密な表現は否応なく客席を惹き込み、楽章間も咳払い一つ無い心地よい静寂が包んだ。

・ハレノワ中劇場はピアノとは相性が良さそうだ。かなり細かい音価の伸縮と音色の変化が感じ取れ、松本さんの緻密な解釈が感じ取れた。見事な演奏だった。

モーツァルト/クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
・とにかくクラリネットの西崎さんが本当に見事で、この日のメインディッシュの風格たっぷり。今回のメンバーの中では西﨑さんだけ一回り上の世代になり、脂の乗り切った名手による堂々たる演奏だった。第1楽章は穏やかな田園風景を思わせる場面から、快活な場面へと表現の色彩の切り替わりが見事。第2楽章も息の長いフレーズが絶品。第3,4楽章は適度な遊びを入れながら5人の伸びやかな表現に魅了される。


・ハレノワ中ホールは反響板があるものの、響きは少なめ(体感残響1.3秒ぐらい?)で、クラリネットの音は本当によく通る一方で弦楽器の音は、例えば同サイズの倉敷市芸文館のように豊かな響きのなかでブレンドされる…という感じにはならないのが少々残念。

・それだけに個々の奏者の持っている「素の音」の違いが明確に出るなあと。この曲は1stに篠原さんが座り2ndに廉之介さんが座ったのだが(キャリア・実績では福田さんよりも篠原さんの方が上だろう)、篠原さんのテクニックは物凄いレベルのものを見せてくれ、かつ音の迫力・大きさも充分。その一方で、彼女のヴァイオリンの音が、どうにも耳にキツイなと感じてしまった。出来れば岡山シンフォニーホールや倉敷芸文館のような残響豊かなホールで聴きたかったなと思った。

・ヴィオラ・チェロなど中低音はマイルドに響く。人の声に近い音域にマッチしているのかも。廉之介くんは(彼もこの会場は初めてのはずだが)いつものように角の取れた柔らかく輝かしい音を奏でていたのは流石。

・チェロの菅井さんは、トークの時に天然ボケっぷりを発揮していたが、演奏は研ぎ澄まされたような鮮烈な音を放っていた。今後のご活躍に要注目。

・アンコールはクラリネット協奏曲の第4楽章終盤から。これは思いっきり遊んでたね。この中劇場での実質的はクラシック演奏としてのこけら落としは、才気あふれる若手・中堅のプレイヤーの演奏に大満足で岐路についた。

(ハレノワ周辺駐車場事情)
・ボローニャ歌劇場公演の際は、開演40分前午後半休を取って1時間前には現地周辺に車で到着したが、なかなか安価なコインパーキングの空きが無く、結局、中納言のあたりに停めて京橋を歩いて渡る事になった。今回は中劇場での開催という事もあって、近隣の1時間100円のパーキングに停められた。

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(絶滅危惧種になった60分100円の激安パーキング。昨今、市内のコインパーキングは値上がりが激しい)


・この数年で市内の再開発が急速に進み、コインパーキングが減少傾向にあったところに城下地下駐車場の耐震化工事と(駐車場の無い)ハレノワのオープンで需給が逼迫した。地元経済誌でも取り上げられ、今後も駐車場不足の問題は深刻化しそう。なるだけ自転車で行くようにしないといけないんだけど、通勤に車を使っていたら、平日夜の公演は必然的に車で行くことになり、なかなかそれが出来ないのよね。


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コメント 1

サンフランシスコ人

モーツァルト/クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581.......大好きです....

http://www.midsummermozart.org

サンフランシスコにモーツァルト祭がありますが、 行ったことがありません...
by サンフランシスコ人 (2023-11-30 03:48) 

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