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ラフマニノフ/交響曲第2番ほか 広上淳一&京響 2017年ライヴ Altus [クラシック音盤]

 今年3月のエントリーで、「20世紀の偉大なる巨匠たちの名演・名盤よりも、今、活動している音楽家の演奏を聴きたい」と書き、じっさいに地元と関わりのある音楽家や「会いに行ける演奏家」を中心に聴いています。

 今回はその中で愛聴盤になりつつある演奏を。

 京都市交響楽団は、従来から関西・西日本随一の演奏水準を誇るオーケストラでしたが、広上淳一が常任指揮者に就任して以来、その音楽性に磨きをかけて、2010年代に入って黄金時代を築きました。

 録音は2017年9月18日のサントリーホールでのライブ録音。まずその表現の巧みさや、淀みのないクリアなサウンドが印象に残ります。特に木管楽器のソロが素晴らしく、第3楽章冒頭のクラリネットのソロは、少し早めのテンポで心に染み渡る音を聴かせます。

 この曲の第1楽章は、悲劇性を伴った荒々しい部分と、ラフマニノフの真骨頂の一つである耽美的でねっとりと聴かせる部分が交互に現れ、ロシアのオーケストラが演奏すると、荒々しい部分は楽器が冬の嵐のように咆哮し、耽美的な部分はひたすらに甘美に演奏されますが、京響の演奏は地の底から沸き上がってくるような重心の深いトゥッティーで聴くものを圧倒、この表現を荒ぶる父性=ゼウス的とするならば、美しいメロディーの部分は甘美になりすぎず、菩薩的とでも言える温かい眼差しに溢れた気品あるサウンドに仕上がっている。これはもしかするとこの曲にロシア的な濃厚さを求める人には物足りない部分もあるかも知れないが、日本人の美的感覚にとてもマッチするもので、日本の風土が持つ、生活を一瞬にして破壊する荒ぶる自然と、泣けるほどの美しい風景という二面性が音楽に立ち現れているようにも感じます。
 「京響らしい緻密で明るいサウンド」という観点での聴きどころは第1楽章の後半部分と、第3楽章でしょうか。この京響の黄金時代が続いていくことを願わずには居られない、素晴らしい録音です。

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ベルリンの壁「解放」コンサート ベルリン・フィルによるベートーヴェンの7番 [クラシック音盤]

 昨年10月の岡山フィルの定期演奏会でベートーヴェンの7番を聴いていたとき、第4楽章でのあまりの熱量のある演奏と、シェレンベルガーがあまり見せない我を忘れるような激しいタクトに驚き、当日のブログにこう書きました。


『この日のコンサート、ここまでが非常にハイカロリーかつ異常な集中力連続だったので、「最後まで持つかな?」と心配したのもつかの間、シェレンベルガーのタクトの勢いは一層熱を帯びていきます。これほど激しいタクト捌きを見せたのは、東日本大震災被災者鎮魂のためのドイツ・レクイエム以来です。』


 我を忘れたように激しいタクトを見せるマエストロ、それはこの6年間で「ドイツ・レクイエム」とこのベートーヴェンの7番の2回のみ。滅多に見せない激しさに圧倒されると同時に、私はある歴史的コンサートの演奏を思い出していました。それは、ベルリンの壁崩壊のわずか3日後にベルリン・フィルハーモニーへ東ベルリン市民を招待して行われた記念コンサートです。


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「ベルリンの壁 解放記念コンサート」

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番(※)
   〃   /交響曲第7番


指揮&ピアノ独奏(※):ダニエル・バレンボイム

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1989年11月12日 ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音

ソニー・ミュージック


 第4楽章の途中で「シェレンベルガーさんは、このコンサートについて思い返しているのではないか」と感じたのだが、そのコンサートにシェレンベルガーが参加していたかどうか、その時点ではわからなかったし(ベルリン・フィルともなると2人以上もも首席奏者を擁しているので、すべてのコンサートに乗るわけではない)、「いや、やはり目の前の演奏に集中しているのだ」とも感じたので、その時は別個のこととして考えるようにしていました。


 この解放記念コンサートの演奏は、カセットテープで持っていて、家にあった唯一の(災害時用にとってあった)ラジカセでかけて聴いてみると、ベートーヴェンの7番の冒頭ののびやかで華やかなオーボエの音は、やはりシェレンベルガー以外に考えられない。HMVを検索してみると、DVD付きCDが売られている。これは買うしかない、ということで年末にようやく納品となり、それ以来何度も繰り返し聴いています。


 DVDには途中で「ベルリンの壁」についての歴史についてまとめた短編のドキュメンタリーと、指揮とソリストを務め獅子奮迅の活躍だったダニエル・バレンボイムをはじめ、当時のコンサートマスターのゲラーマンなど、ベルリン・フィルの関係者のインタビューが収録されていて、なんと楽団員代表の一員として若き日のシェレンベルガーさんもインタビューに答えています。

DSC_0769.JPG

 この歴史的瞬間での興奮した空気の中で(あと、インタビュアーが、空気の読めない質問をしたこともあって)、冷静沈着なシェレンベルガーさんが、興奮を隠しきれないように早口でインタビューに答えていて、このコンサートの意義と、実現するために楽団メンバーたちも最善を尽くした様子が語られています。もちろん、演奏でもシェレンベルガーさんはオーボエ首席奏者として乗っています。

 後ろには東ベルリンから聴きに来た聴衆(このベルリン・フィルハーモニーは、東西ベルリンの境界近くに位置しており、統一が成った現在では文字通りベルリン市の中心にある)が映っていて、映像で見る東ベルリン市民の服装は着の身着のままのような感じ。壁が崩壊してたった3日後のこのコンサート、様々な混乱の最中での開催で、東ドイツ政府の機構・組織もまだ存在していた時期。つい昨日まで秘密警察が跋扈し、壁を超えようとすると最悪の場合、銃殺されていた時代。聴衆の中には東ドイツ政府に近い立場の人もいただろうし、逆に政府から弾圧される立場に居た人もいたでしょう。
 旧ソ連が崩壊していく過程では、開放路線を推進した当時のゴルバチョフ大統領が拘束されるクーデターが起こっています。当時の東ドイツでもそうした不穏な動きが起こっても不思議ではなかった。
 「もう少し落ち着いてから」という意見も当然に出たはず。しかし、ベルリン・フィルのメンバーは、バレンボイムとともに、この「解放記念コンサート」を開催を目指して東奔西走を続けた。このコンサートの様子が全世界に発信されれば、歴史の反動を抑え、「壁の無い平和なベルリン」の既成事実を固める意味合いもあったはず。


 前半のバレンボイムによるベートーヴェンの1番コンチェルトについての具体的な感想は、また別の機会に書こうと思いますが、前半のソリスト&指揮者としてバレンボイムが登場した場面、そして後半のタクトをもって再びバレンボイムが登場した場面でも、スタンディング・オベーション。そしてその拍手が鳴りやまないのですよ。

 バレンボイムがうなづいて何度も謝意を示しても鳴りやまない。オーケストラに向かって腕を上げてようやく静まりますが、興奮のるつぼともいうべき会場の異様な空気が映像からでも伝わってきます。


 後半のベートーヴェンの7番の演奏、FM放送を録音したテープで聴いているときには、その熱気あふれる演奏にただただ圧倒された感想しかなかったのですが、こうしてDVDで見てみると、ベルリン・フィルのメンバーたちが、こうした尋常ではない会場の空気にのまれることがなく、どっしりと構えた鉄壁の演奏を聴かせてくれます。シェレンベルガーも第1楽章の冒頭では、興奮する聴衆を慰撫するように、優しい人間的な音で聴き手を魅了します。

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 音は、やはりフルトヴェングラー~カラヤン時代の重厚で伝統的なスタイルのアンサンブルで、たいへんに聴き応えがあります。第2楽章の大河的なアプローチは、べルリン・フィルに限らず、現在のオーケストラでは聴けない世界観。


 第3楽章以降は楽団員たちの気分の昂揚が感じられると同時に、まったく崩れないテクニックと多彩な表現、隙の無いアンサンブル、細かいところまで神経の行き届いた演奏に圧倒されます。ベルリン・フィルの圧倒的なレベルを思い知らされます。

 しかし、第4楽章の後半になるとバレンボイムの興奮したタクトに呼応して、彼らも人の子、若干感情が抑えきれないとばかりに音楽が走りだします、しかし大きな乱れはなく怒涛の勢いでフィナーレを迎えます。

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 会場はブラボーが延々と続き、カメラが客席を抜くと、みな晴れやかな笑顔でスタンディングオベーションで歓迎する様子が見て取れます。壁が出来た後、「おらが街のオーケストラ」の一つであったはずの、ベルリン・フィルの演奏を聴けなくなった旧東ベルリン市民の興奮と歓迎がストレートに表れていて、あれから30年近くたった私(当時は中学生だった・・・)もジーンと来てしまいます。


 常に前を向いて前進するマエストロゆえ、岡山フィルとの共演の最中に89年の出来事が去来したわけではないかもしれませんが、彼の音楽家人生に深く刻まれた出来事であることは間違いないわけで、そうした経験と音楽性を持った方が、オーケストラのシェフとして、そのキャリアのすべてを注いでくださっている縁を、本当に貴重なことだと思うのです。

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日本のオーケストラがここまで来た、と感慨を抑えられないSACD [クラシック音盤]

 NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)にEMIやユニヴァーサルが参加して以来、CDを買うことはほぼゼロになっていましたが、ちょっときっかけがあって、このSACDを購入して聴いています。

マーラー:交響曲第5番

マーラー:交響曲第5番

  • アーティスト: マーラー,インバル(エリアフ),東京都交響楽団
  • 出版社/メーカー: オクタヴィアレコード
  • 発売日: 2013/10/23
  • メディア: CD

 インバルのマーラーは、壮年期のフランクフルト放送響(以下、Hr響)との演奏が代表作、ということになっているけれど、この都響との演奏は完全に総合力でHr響の演奏を上回っています。
 とにかく都響の演奏が凄いレベルなのです。インバルの意図するところを鋼のような鉄壁のアンサンブルを駆使して十全に表現しきっています。これを聴いてHr響盤を聴くと、Hr響の方がオケが非力に感じてしまうのだから、今の東京都交響楽団の実力が知れようというもの。
 もちろん、Hr響も30年近い年月の間に進化しているから、両者を比較するのはフェアじゃないですね。


 印象的なのは、
第2楽章の彫の深い表現、弦部隊の分厚さ、馬力全開の管楽器も「無理してる」感は皆無。若杉さんとのコンビでオール日本人の演奏でマイスルトーンを残した90年前後の全集から、わずか二十数年でここまで進化しますか!?
 第5楽章の後半のテンションの高さたるや・・・。オーケストラへの賛辞とともに、「インバルってこんな凄い指揮者やったんや!」という再発見をさせてくれました。都響の献身的ね熱演ゆえです。録音も優秀で音場の広がりが凄い。
 この曲はスコアを見ながら何度も聴いているのだけれど、各声部がこれほど厳格に整然となっている演奏は初めてかも知れない(実演では経験あるんですけど、録音では初めての経験。これはSACDの効果かも)。

 今世紀に入って以降の、MTT&サンフランシスコ響、ラトル&ベルリン・フィル、ヤンソンス&RCO、そしてお気に入りのノット&バンベルク響、これらの輝かしい録音を大いに楽しんできましたが、それらの錚々たる演奏を凌駕する、と言っていい類を見ない手応えのある演奏でした。

 この演奏を聴く限り、都響の実力派「世界レベル」かどうかなんて全く議論の余地なし、僕は本気でバイエルン放送響やロンドン響あたりのレベルじゃないかと思いました。凄すぎだわ!

 僕にとって、マーラー5番のベストチョイスです。


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ベートーヴェン 七重奏曲ほか ルードヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ [クラシック音盤]

 怒涛のような4,5月が過ぎ、なんとか週休2日が確保できるようになってきました。4月は大阪国際フェスの大植&大フィルは聴きに行けなかったし(前日の京響もあわよくば聴きに行こうと思っていましたが・・・どちらも断念)、6月8日の岡山フィルの定期も勤務日のため聴きにいけそうにありません。
 しかし捨てる神あれば拾う神あり(?)で、関西へ帰ることを断念したために聞くことが出来たのが、このルードヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズのコンサート、何が幸いするかわかりません。 
 コンサートの感想記事をようやく更新できたところですが、このLCPの記事に飛びぬけてアクセスが集中していました(他の記事の10倍です)。アクセス解析を見てみると、『ラ・フォル・ジュルネ』『ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ』という検索語が・・・。
 やっぱり国内最大の音楽祭の影響力は凄いなあ・・・ 

 先日のコンサート会場でCDを購入して、もう10回ぐらい聞いています。HMVやタワレコのサイトでも探しましたが、ありませんね・・・。会場で買っておいて良かった(笑)
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 収録されているのは先日のコンサートのプログラムとほぼ同じ内容です。やはりベートーヴェンの七重奏曲は素晴らしいですね。ハーモニーの融合感というか心地よさはベルリン・フィル八重奏団の演奏よりもこちらが好みです。
 ベートーヴェンのセプテットで見せる気負いのない情熱、自然なリズム。ブラームスの間奏曲で見せる聴いた後に心が澄みわたる様な爽快感とほんの少しの切ない余韻・・・。いや~いいですね。
 カップリングされているニールセンのかいなきセレナーデの、ウィットに富んだ演奏を聴いて「そうそう、この感じやったなあ・・・」と、当日の演奏が反芻されます。

 ただやはり、会場で聴いた迫力と演奏の凄さには敵わないですね。特にファゴットとホルンはもっと見事な音だったように思います。それでもこの室内合奏団のエッセンスは楽しめますし、当日の熱気を反芻するには充分な情報量だと思います。

 一昨年ぐらいから室内楽の魅力にはまりつつあります。自分の場合はやはり生演奏から入りますね。というより生演奏で聴いた曲を家で聴いて改めて曲の魅力に気付くという感じです。
 コンサートホールで聴く室内楽もいいものですが、やはり本当の意味の「室内」で楽しむような場所で聴いた方が、その迫力とか緊張感・息遣いを感じられるので面白さが全然違います。先日のLCPぐらいのメンバーをいつもルネスホールぐらいの場所で聴ければいいんですが(笑) 

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ステンハンマル セレナード [クラシック音盤]

 だいぶ前のエントリーで、BIS版のN.ヤルヴィ&イエテボリ響の、ステンハンマル 交響曲第2番がとにかく素晴らしい!と書いた覚えがあるのですが、まあ、それからこのセットをしょっちゅう聴いているわけです。

ステンハンマル:交響曲 第1番、2番、セレナーデ (3CD)

ステンハンマル:交響曲 第1番、2番、セレナーデ (3CD)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bis (Swe)
  • 発売日: 1994/11/01
  • メディア: CD

 今日は交響曲ではなく、セレナーデヘ長調の方です。この曲も本当に素晴らしいんねんな~。管楽器も入るので、ドヴォルザークやチャイコフスキーのような「弦楽セレナード」では無いけれど、その2曲に匹敵するようなキャッチ―なメロディーに溢れ、曲としての完成度も高い、どこかワーグナーのような重厚な和声が聴こえてきたり、R.シュトラウスのようなニュアンスたっぷりの心躍るような旋律があったり、非常に魅力的な楽曲と思います。
 イエテボリ響も、ステンハンマルと深いかかわりのある楽団ということで、さすがに聴かせどころのツボを心得ています。

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インバル&フランクフルト放送響のマーラー4番 [クラシック音盤]

 ブログにはあまり仕事の事は書かないようにしてきたのですが、ストレス発散に一言(苦笑)
 来年度の新事業について、昨日説明会がありました。が・・・まだ詳細な工程表・目論見書も出来上がっておらず、唖然・・・。
 こちらは関係各所から具体的な事業設計を示すように、突き上げを食らっているというのに・・・

 昨日は元々休みのシフトだったので、大フィルの定期演奏会のチケットを買っていたのですが、重要な説明会と会議のために、行けませんでした。その上、その肝心の説明会で何のお土産(具体的な成果)も、持たされず・・・。ということで、その無念さの代償行為としてマーラーの4番(大フィル定期のメインの曲)を聴きました。

 インバル壮年の頃の録音。素晴らしい音質はいまだ他の追随を許さないと思う。テンポはかなり速め。僕はこの録音でこのマーラー4番を覚えたので、他の演奏を聴いたときに「遅っ!」と思ってしまった(笑)
 この曲、生演奏で聴いてこそ価値があるんですよね。第2楽章のコンマスのヴァイオリン持ち替え、第3楽章のマーラーならではの立体的な美しさを持つ緩徐楽章、第4楽章の天国的なソプラノ歌唱。現実逃避的な世界観。 

 生演奏は一度、大友&京響で聴いていますが、まだ聴く機会があるかしら・・・

 真央ちゃんのフリーのプログラムの画像を、昨日の夜から何度も見ました。素晴らしい演技です。最後の最後でフィギュアの神がほほ笑んだかのような完璧な演技。全身からあふれ出る喜び。胸の奥がブルブル震えるような感動がありました。これって、スポーツを見ている感動というよりも、凄いコンサートに出会った時の感動に似ている感じ。

 ショートプログラムでの結果、あるいは真央ちゃんのこれまでの努力や前回オリンピックでの無念。そういった文脈を排してみることは不可能なのですが、あえて文脈から切り離しても素晴らしいもんは素晴らしい!
 そう思いました。

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グリュミオーのブラームス、ヴァイオリン協奏曲 ベイヌム&ACO [クラシック音盤]

 先日の堀米さんのブラームスを聴いてから、ブラームスのヴァイオリン協奏曲づいています。改めて名曲だなあ、としみじみ思います。この2日間で何枚か聴きました。そして、今、一番『ええのう・・・』と思っているのがこれ。

ブラ-ムス:ヴァイオリン協奏曲/ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ブラ-ムス:ヴァイオリン協奏曲/ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

  • アーティスト: グリュミオー(アルテュール),ブラームス,ブルッフ,ベイヌム(エドゥアルト・ファン),ハイティンク(ベルナルト),ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/11/02
  • メディア: CD

 グリュミオーのヴァイオリンは本当にいいですねぇ。一音一音が本当に耳に心地よく、音がまるで人の声のように耳から染み入ってきます。
 低音は黒光りするような艶と輝きがあって、高音はキュルルーと、どこまでも伸びていくような解放感があって・・・・。今、こういう独特の音を聴かせてくれるのは、オーギュスタン・デュメイぐらいでしょうか。。。

 改めて聴いてみて驚いたのは、アムステルダム・コンセルトヘボウ管の音。ビロードの管と評される木管・金管の壮麗でブリリアントな響きは、もうこのころから完成されている感じがありますが、弦の音が今のRCOの音よりも、なんていうんでしょう・・・濃厚というか、南ドイツのミュンヘン・フィルやバンベルグ響のような響きがします。今のRCOの響きも、とても高次元でバランスが取れていて素晴らしいと思いますが、昔の音も味わい深くていいですね。


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Rakastava(愛する人) [クラシック音盤]

 朝晩はかなり肌寒くなってきましたは、昼は25度を超える日もあり、持病のある僕には体がついていくのが大変です。しかし秋は確実に深まっています。

 こういう気候になると、シベリウスを聴きたくなります。シベリウスには交響曲以外にも、魅力的な管弦楽曲が沢山あって、Rakastava(愛する人)も珠玉の名曲の一つと思います。どこか寂しげで虚ろな旋律、心が洗われて清らかになるようなハーモニー、しみじみと音楽を噛みしめながら聴く・・・そんな曲です。

 元々は合唱曲ということで、いちおう合唱曲のCDも持ってはいますが・・・管弦楽版の方をよく聴きますね。今回はサー・ジョン・バルビローリ指揮、ハレ管弦楽団の演奏。素朴ながら本当に美しい演奏です。

Symphonies & Orchestral Works : The Complete Stereo EMI Recordings

Symphonies & Orchestral Works : The Complete Stereo EMI Recordings

  • アーティスト: Jean Sibelius,John Barbirolli,Hallé Orchestra
  • 出版社/メーカー: EMI Classics
  • 発売日: 2000/02/11
  • メディア: CD

 ついでに言うと、同じCDに入っていた「歴史的情景」も素晴らしい!シベリウスは、交響曲やフィンランディア以外にも、聴かれるべき曲が多いです。


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キレキレの『春の祭典』 サロネン&ロス・フィル [クラシック音盤]

 今の職場では、20代前半の若手とコンビを組んで仕事をしています。それで、その若手君がよく使う言葉遣いに『キレキレ』という言葉があるんですが、僕は最初、意味がよくわからなかったんですね(笑)

 キレる若者、とかキレるオヤジ、みたいな「怒り」のイメージを持っていたんですが、どうも違うらしい。ある感覚が研ぎ澄まされて、極限を超えるような状態を『キレキレ』というようです。EXILEのダンスって、キレキレだよね、とかダルビッシュの今日のピッチングはキレキレやった、みたいな感じ(たぶん・・・)。

  それでいくと、このサロネン&ロサンゼルス・フィルの『春の祭典』は、まさにキレキレのハルサイだと思う。

ストラヴィンスキー:バレエ春の祭典/バルトーク:中国の不思議な役人

ストラヴィンスキー:バレエ春の祭典/バルトーク:中国の不思議な役人

  • アーティスト: サロネン(エサ=ペッカ),ストラヴィンスキー,ムソルグスキー,バルトーク,ロサンゼルス・フィルハーモニック
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/05/11
  • メディア: CD
 2006年1月 ロサンゼルス、ウォルト・ディズニー・コンサートホールでの録音


 
 どの部分をとっても、完璧な演奏。ロサンゼルス・フィルは、僕が初めて聴いた海外オーケストラで、それ以来ずっと好印象のオーケストラなんですが、それにしてもこんなに上手かったっけ!?という驚きが先に立ちます。音の純度が高く、響きに濁りが無い。ショルティ&シカゴ響ですら、金管がかなり頑張って吹いているような場面が結構あるのに、このサロネン&ロス・フィルは、そんな部分もキレキレで濁りも力みもなく突進していく。これって驚異的なことだと思う。このキレっぷりを聴いてしまうと、ラトル&ベルリン・フィルの演奏ですら、普通の演奏に感じてしまう・・・

 第2部の、例の11拍子が連打される部分のテンポの速さ、そこから快速で畳みかけて、ラストまで突っ走る様は、録音で聴いていても手に汗握る。これを聴いていると、『春の祭典』も、現代のオーケストラにとっては、もはや「古典」のレパートリーの一つになったんやなあ・・・と思います。春の祭典を演奏してるぞ!という異常なテンションではなくて、まるで、マーラーの交響曲第1番でも演奏しているような・・・

 このキレキレのハルサイを、これまたSACDのキレキレの音質で堪能する。グラモフォンの録音って、アナログ時代の柔らかい音質を志向しているからか、一枚ベールがかかった向こう側から音が鳴っているようなもどかしさをいつも感じてるんですが、アメリカでの録音には時々ビックリするような音質の録音が出ることがあって(レヴァインの惑星など)、この録音がまさにそれ。
 2chのステレオで聴いていても、音が上から後ろから飛び出してくる感じがあり、この曲を聴くにはやぱり優秀録音であることは欠かせない条件だと感じました。

 こちらはサロネンがもう少し若いころの動画だろうか?この動画もかなり凄い演奏。まだ『ハルサイを演奏するぞ!』という力みが感じられるのはライヴならでは。でも、SACDで聴くハルサイはこれよりも1段階レベルが高いです。

 


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ドホナーニ&ウィーン・フィルのスコッチ [クラシック音盤]

 ミチョランマ(未聴CDの山)の中から取り出したるこのドホナーニ&ウィーン・フィル、メンデルスゾーンの交響曲第3番『スコットランド』。これが本当に素晴らしい!!

メンデルスゾーン:交響曲全集

メンデルスゾーン:交響曲全集

  • アーティスト: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,メンデルスゾーン,ドホナーニ(クリストフ・フォン),バラッチュ(ノルベルト),ベック(ヨーゼフ)
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1996/03/01
  • メディア: CD

 これを聴くまでの一押しだった、ハイティンク&ロンドン・フィルは、しみじみと味わうような愉しみというものがあるんですが、このドホナーニの指揮は、緻密かつガッシリとして押し出しが強い演奏、肉食民族のゲルマン魂が燃えるようなところもある一方で、格調高さと気品はみじんも失わない。何よりも・・・

 ウィーン・フィルの響きが素晴らしい!!

 特に第4楽章のコーダの輝かしいこと、唸る低音弦・美しい高音弦、そして高らかに謡うホルンの輝かしい咆哮。こらーウィーン・フィルにしか出せない音ですね。第一楽章の終結部も聴きものだし、第2楽章の天国的な美しさもイイ!!一つ一つのフレーズの細部に神経がいきわたっているのだけれども、この曲のおおらかさは失っていないどころか、その生命力を確固たるものにしている。

 このコンビで、この曲を引っ提げて来日しようものなら、必ず馳せ参じたいと思うのですが・・・地味すぎて、集客に難が出そうですねぇ(ドホナーニの指揮って、決して『地味』に分類されるものではないと思うのだけれど)。


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