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くらしきコンサートの終焉 [岡山]

 このブログでは記事に書けていなかったのだが、音楽プロデューサーで、『くらしきコンサート』の主宰者の大原れい子(本名:犬養麗子)さんが、今年の4月に逝去された。
 私は生粋の岡山県民ではないので、岡山・倉敷の人々の大原一族に対する敬愛、そしてれい子さんに対する思いを根底の部分まで理解出来ていないかも知れないのですが、クラシック音楽ファンの私としては、今が旬の超一流アーティストを招聘して開催され続けた「くらしきコンサート」を運営されていたことに感謝してもし切れない。
 就職活動に失敗して、非正規雇用で採用された会社から転職する際に、関西での就職を諦めて岡山で就職する決断が出来たのも「くらしきコンサートがあるから、年に2,3回は一流の音楽家の演奏が聴ける」ということが大きかったのです。
 岡山の人の大原一族やれい子さんに寄せる思いをよく表されているなぁと感じたブログをリンクさせていただきます。

大原れいこさん(大原総一郎氏の長女)逝去、大原総一郎氏の意外な側面|つぶやき館|ウィブリブログ

 心配だったのは、『くらしきコンサート』がどうなるのか?だったのだが、やはりこの事業はれい子さん個人の能力や人脈に依るところが大きかったこともあって、今年の12月に予定されていた、ヤルヴィ&ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団が最終公演になることが発表されていました。

くらしきコンサートを愛してくださる皆様へ(くらしきコンサートHP)

 しかし、憎きコロナ禍のため、その最終公演までもが中止になり、盛大なフィナーレを飾れないまま『くらしきコンサート』が終焉することになってしまった。
 この本の『くらしきコンサート 山陽型ノブレス・オブリージュ』の章から抜粋します。
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代表を務める大原れい子氏は番組制作会社テレビマンユニオンのディレクターで、10年にわたり『オーケストラがやってきた』というテレビ番組を手掛けていた。そして、たまたま、倉敷という町の経済と文化を語るに欠かせない大原總一郎の長女でもあった。あえて誤解を恐れずに言えば、この主催団体は音楽愛好家の集まりでもなければ、演奏者の聴衆獲得の拠点でもない。山陽の工業都市に残ったノブレス・オブリージュの麗しき具体例なのだ。
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 もっとも、大原美術館のギャラリーコンサートは、引き続き継続するようなので、倉敷で一流の演奏家を聴く機会が全く無くなってしまうわけではないのですが、倉敷市の行政も文化事業に潤沢な予算を投入する余裕が無くなっている以上、大規模なオーケストラ公演などは激減していくものと思います。
 過去のコンサートの一覧を見てみると、『くらしきコンサート』でなければ、この地方都市で招聘できなかっただろうアーティストが目白押しで、アーティストの中には倉敷の街並みや大原姉弟による歓待に感激して、倉敷に来ることを楽しみにしていた方も多かったようです。
 一聴衆としては、昔はツアープログラムが1冊2〜3000円も取っていた時期でも、ワンコイン500円でくらしきコンサート独自の記事なども収められたプログラムは毎回買っていましたし、ステージ上に飾られていた見事なフラワーアレンジメントを見る楽しみなどもありました。特筆すべきなのは地元の学生を安価な値段でコンサートに招待していた「くらプレ」の事業で、子供の頃に超一流の演奏を聴く機会が与えられた人の中から、松本和将・守屋剛志・福田廉之助などのトッププレイヤーを輩出した功績は、今後も花開き末永く語り継がれることでしょう。
 『くらしきコンサート』の関係者の皆さん、これまで本当にありがとうございました。

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岡山市による「路面電車の将来のネットワーク」についてのパブリックコメントの募集 [岡山]

 クラシック音楽に関するブログなのですが、ちょっと脱線記事を書きます。興味のない方はスルーしてください。
 岡山市が路面電車の延伸・環状化についてのパブリックコメントを募集しています。 期限は10月7日(月)まで。
 私が岡山来てから四半世紀以上経ち、いつの間にか岡山で永住状態に入りつつあるが、ずっと「我慢」してきたことが一つあります。それは朝夕ラッシュ時の大渋滞による時間・心理面でのロスの問題。特に今日なんて消費税増税前の納品ラッシュも重なって、夕方は大渋滞。6kmの通勤路が50分かかりました・・・

 以前にこんな記事を書いたことがあります。
 こんな感じでブログにも意見表明をした以上(笑)、この機会に私もコメントを応募しようと思います。 
 パブリックコメントに応募するのは初めてではなくて、以前、文化振興計画の意見コメント募集にも応募したことがあります。
 その時の市の回答。
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 この前向きな回答があった後、ついに2017年に岡山フィルの日本オーケストラ連盟加入が認められ、体制整備が急速に進みました。
 この経験から、パブリックコメントってちゃんと市民からの意見を真摯に受け止めているんだなあ、ということがわかりました。今回のパブリックコメントも、賛成の方の意見は路面電車ネットワーク整備への後押しになりますし、反対意見はその内容を精査して検討してくれるように思います。いずれにせよ、憲法で保証されている選挙権の行使よりも、よほど具体的にわが街がよりよい方向に向かうためのアクションになります(笑)
 パブリックコメントに関して参考にした資料は次の通り。
 この岡山市の計画を見れると、岡山における公共交通の問題がよく整理されていて、この四半世紀の間、市当局は何もしていなかったわけではなく、相当な問題意識を持って検討を続けていたことがよくわかるんですよ。
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 この総合交通計画自体へのパブリックコメントは去年、募集があり、とても活発な意見が提出されています。私はコメントに応募できましんでしたが、この総合交通計画を目にして、市当局の現状への強い危機感に対して、後押しになる意見を送りたいとは思っていました。
 上記の計画の中に「自動車中心の交通体系と、交通問題に対する市民意識が変わらなければ、誰もが暮らしやすく住み続けたい岡山市の実現は困難」と明記されていますが、まさに市民の間で今こそ機運を盛り上げていく必要があるでしょう。
 バスロケーションシステムなど、IT技術で公共交通の改革に取り組まれている、交通関係コンサルタント会社の方のブログ、これは本当に勉強になりました。
③まッきいろさんのグログ
 岡山における路面電車の位置づけや可能性について、本当にわかりやすく書かれています。特に岡山の「都市文化」と公共交通の関係に関する考え方は拙ブログと全く同じだと感じました。
 先に紹介した拙ブログのエントリーの中でも、私はこう書きました。
「もし岡山が街の中心の人の往来がじり貧状態のまま放置され、それに加えてオーケストラをはじめ一流の芸術文化に触れる機会も減り、繁華街の活力も低下したとすると・・・
 
 僕はおそらく老後を岡山で過ごすことは無いと思う。」
 この考えは今でも変わっていません。永住状態にある私がこう思うのですから、移住された方や転勤族の方が岡山から逃げ出す大きな要因になり得るでしょう。
 岡山市と同規模の自治体でも、同様の問題意識から、富山市を筆頭に、熊本市、宇都宮市、松山市などで路面電車を核にした公共交通ネットワークの構築への取り組みが盛んになっている。

 今回の路面電車のネットワーク化は、岡山市が構想する公共交通の見直しの中のほんの一部です。私は中心部の路面電車ネットワークは大賛成の一方で、郊外から市内への流入は、BRT(バス専用レーンと優先信号システムによる定時性・速達性が確保と、2両以上の連節バスによる大量輸送を実現した交通システム)に絞って整備をすすめるべきと思っています。
 理由は大きく分けて2点
①大規模な用地買収や整備工事などが必要な路面電車は整備に20年はかかる。岡山市にはそのような時間的余裕はない。
 市の案にある、岡大津島キャンパス方面は、運動公園から岡大のいちょう並木道路に抜ける箇所がネックで大規模な用地買収が必要。青江の日赤病院方面は清輝橋〜十日市間での拡幅のための大規模な用地買収が必要。よって整備には20年以上はかかるでしょう。岡山市は2020年台後半以降、本格的に人口減少時代に突入します。いや、すでに東区や南区の住宅地では人口減少トレンドに入っている。これを放置すれば郊外のゴーストタウンが一気に進行。市全体での地価の低下や人口減少は税収に影響し、福祉や教育、あるいは(私が強い関心を持っている)文化芸術にかける予算はどんどん減少する。
 出来るところからスピーディーに整備が可能なBRT(基幹バス)に絞って整備を図り、それによって市民の公共交通を利用した移動が活発になれば、BRTに使っていた「公共交通専用レーン」を路面電車の軌道に転用することも可能です。
②都心部の環状化路線の敷設には、郊外からの自動車流入防止策とセットで同時進行で進めないと大渋滞になる。
 もうこれは当たり前のことですが、都心部の環状化路線を整備する際には、郊外から都心部への自動車流入防止策とセットでやらないと、一時的にせよ渋滞が激化し、市民の大反対が起きることは明白。やはり郊外から都心部への「定時性・速達性・大量輸送が確保された公共交通システム」のすみやかな整備を同時進行でやらなければならず、路面電車の郊外線に注力する余裕はないと思います。
 BRTのイメージはこんな感じ。台湾の台中市です。かつては日本統治下にあったこともある台湾。日本と同じく平地が少ない環境でここまで出来る。日本の都市にできないはずはありません。LRTよりも輸送人員が減りますが、システムとしてはよく似ていて、しかも末端部の路線設定のフレキシビリティはLRTにない利点があります。
 一番大事なことは市民の間で「公共交通に確固たる優先権を与えるというコンセンサス」を共有し、専用軌道・専用レーンを与えて最短時間で大量輸送するシステムを作り、市民の「移動権」を保証する。市当局にはぜひ頑張ってもらいたいと思います。

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岡山の路面電車 岡山駅乗り入れ賛成表明エントリー(その3) [岡山]

(前回からの続きです)
 前2つの記事が、普段のアクセス数の2倍になっていて、この問題に対する岡山市民の関心の高さを実感しています。 
 『市街地が死ぬと都市の文化が死ぬ』というお話の前に、ちょっと前振りの雑談です。

 岡山シンフォニーホールのコンサートで、素晴らしい演奏に出会ったとき、なんとなく立ち去りがたい余韻を残すことがある。
 そんな時、例えば商店街の中の喫茶店に行って余韻をかみしめる時間を過ごしたり、あるいはCDショップのアルテゾーロ・クラシカで店長と話をしたりしながら、せっかくの「非日常」「ハレ」の体験の余韻が体にゆっくりとしみこんでいくのを愉しむ時間を持ちます。
 これが、例えば車で郊外に立地するホールでの出来事だったとしたら、どうだろう?ショッピングモールのドトールやスタバで余韻を楽しむ?それとも車で行けるロードサイドの喫茶店を探す?どれも私にはしっくり来なくて、結局は車で自宅まで一直線に帰らざるを得なくなる。
 あるいは、自家用車をコインパーキングに置いて来ていたとしたら、どうだろう? 20分単位で上昇する駐車料金が気になって余韻を楽しむよりも、さっさと家に帰ることを優先するかもしれない(だから私はホールや繁華街に自転車で行けるところに家を買ったわけですが)。
 
 市街地にあって郊外に無い物。それは「無駄なもの」であり文化なんです。 
 結局のところ、郊外のショッピングモールなどは必要を満たしてくれるだけで、そこに豊かな文化的土壌は生まれない、郊外だけじゃなく、岡山市街地のど真ん中にイオンモール岡山が立地して1年経過しましたが、モール経営者の狙ったとおりに買い物をして、狙ったとおりに、未来スクエアのイベントを見て、狙ったとおりに10店舗以上はあるカフェの中から選んで一息つく。
 でも、そこには「逸脱する何か」が全くない。逸脱する何か、それが文化的土壌になるのだとしたら、そうした一種の『無駄なもの』『余剰なもの』が入り込む余地のある市街地が死んだら岡山という都市文化は死を迎える、ということだと思います。
 ここ3年でもこんな経験がありました。県立美術館やオリエント美術館などがある天神町は僕の好きなエリアで、特に用が無くてもぶらぶらと散策していることが多いんですが、3年前にひょんなことで知り合いになった人が演劇をやっていて、天神町のある場所で劇団の練習をしたりワークショップを開いたり、ということを教えてもらいました。
 でも、何度聞いても具体的な場所が分からない、その建物は「上之町会館」というんですが、「そんな場所、あったっけな~?」と、どうしても思い浮かばない。
 次に天神町に行ったときに、探してみると、確かにありました。
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 オリエント美術館の真裏に、お稲荷さんへの入り口があります。ここの存在は知っていました。
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 中に入ってみると、意外に立派な祠があります。まさにそのお稲荷さんへの参道に面して建っている、かなり年季の入ったビル。
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これが、上之町会館でした。
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 甚五郎稲荷から見た上之町会館。いやあ、こんなところにこんな場所があるとは思いもせなんだ。ビルには靴やアクセサリーの工房や、くだんの演劇などが練習できるホール(そんなに広くはなさそうですが)骨董品店などが入っています。カレーの美味しいカフェなんかもありましたが、残念ながら閉店してしまいました。
 これまで何百回と訪れていた落ち着いた雰囲気の街区の真ん中の小さな森に埋もれるように。「上之町会館」という場所は存在しました。岡山に20年住んでいても、まだまだ知らない所があって、僕の知らないところでクリエイターや芸術家たちが創作にいそしんでいる・・・かも知れない。

 
 岡山の市街地がかつてのように人がもっと集まって来るようになれば、こういう知る人ぞ知るわくわくするような場所がどんどん増えて行くと思います。
 そのためにも、路面電車の駅前乗り入れを端緒に、公共交通を充実させることで、利便性だけではなく都市文化を陰で支えるインフラになって欲しい。

 11月に広響を聴きに広島に行ったとき、路面電車で色々な場所へ行ったわけですが、中心街の区間は「銀山町」「八丁堀」「立町」「紙屋町東」という風に、2~3ぐらいの街区ごとに停留所がある。電車も1分おきぐらいに走って来る。金曜日ということもあって買い物袋を提げたおばさまたちが、ひょいっと乗ってさっと降りて別の目的地に行くんですね。大阪のように地下鉄の街だとこうはいかない。道路から階段&エスカレーターを使って2分ぐらいかけてホームへ降りたり昇ったり・・・駅間距離が長いので目的地が駅の間だと、10分は歩くことになる。
 それから言うと、路面電車の街と地下鉄の街、どっちが便利かというと、僕は前者だと思いますね。幸いにして岡山には100年を超える歴史ある路面電車がある。
 1回目のエントリーでも述べたように、もし岡山が街の中心の人の往来がじり貧状態のまま放置され、それに加えてオーケストラをはじめ一流の芸術文化に触れる機会も減り、繁華街の活力も低下したとすると・・・
 
 僕はおそらく老後を岡山で過ごすことは無いと思う。
 今、東京圏からの移住者が全国一ということで注目されている岡山ですが、交通がこのままだと早晩「車が無いと生活できない」という烙印が押されて、移住者の需要は神戸や広島や福岡あたりに収れんされていでしょうね。
 「車が無いと生活できない」ことが当たり前の、生まれも育ちも生粋の岡山人の方には、この感覚はわかりにくいかもしれない(私の家人もそうです)。都市生活者にとっては、公共交通でどこへでも行けるということが自由の象徴であり、そのターミナルに展開される様々な街の文化が大好物なんです。
  
 岡山もここ10年でだいぶ「面白い街」になって来てるとは思いますけれど。これに加えて『車が無くても生活できる街』になったら最強ですよ。だって、車って本当に維持費がバカにならないでしょ?たとえ軽自動車であっても。なんだかんだと平均して年に30万年ぐらいはかかる。老後の年金生活者でも、そのお金があったらもっと文化的な事にお金をつぎ込めるわけです。

 議論が散乱しちゃいましたが、『路面電車を生かした街づくり』に賛成するとともに、大森市長の決断を期待します。私自身もウェブ空間だけでなく、まずは周囲の人々から機運を盛り上げていきたいと思っています。

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岡山の路面電車 岡山駅乗り入れ賛成表明エントリー(その2) [岡山]

 前回 「岡山の路面電車 岡山駅乗り入れ賛成表明エントリー(その1)」 の続きです
 

 私は疑問に思ったのです、どうして私の地元の神戸のように、JRの駅までのバスがないのだろう?確かにバスが市街地まで直通するのは便利ですが、朝夕の渋滞の列にバスまでもが突入して交通網を麻痺させている現状はどうして放置されるのか?座っている乗客はまだしも、立っている乗客はノロノロ運転の車内でよく我慢していられるな、と。

 私の生まれ育った街である神戸は、①まず鉄道を整備し、②団地を造成し、③開発に合わせてバス路線を整備する。という手順で住宅地が整備されていきます。神戸に限らず、大阪・京都・広島など、一定の規模の都市は、ほぼこの手順を踏んで郊外を拡張していきます。岡山は既に八方に鉄道網があるのだから、それを踏まえて都市と郊外の設計を行うべきだったのです。
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 googleマップで示しているのは、神戸市北区の住宅街です、赤い線が神戸電鉄で、この鉄道の駅からフィーダーバスが出て、三宮や大阪へ乗客を輸送します。

 私が慣れ親しんだライフスタイルは、自宅近くのバス停から10分ぐらいで私鉄や地下鉄の駅に着き、電車に乗って三宮に出る。いったん三宮に出てしまえば大阪や京都まで30~60分で移動できる。関西圏では単体の都市内部の
回遊性どころか、1時間半あれば自宅の玄関から京阪神のどこへでも行けてしまう公共交通機関ネットワークと繋がっています。これがどれだけ関西経済の発展に寄与したことでしょう。このありがたみが分かったのは、皮肉にも岡山に来たからですが・・・

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 こちらは神戸市西区の住宅街。ここは昔は田んぼと畑と丘陵地帯しかない所でしたが、まず神戸市地下鉄が開通し、団地が造成され、その地下鉄の駅を中心にフィーダーバス路線が網羅されています。逆に言えば、鉄道の駅から距離が離れた土地が開発が抑止され、田んぼや畑が広がるなど自然環境が維持されています。 

 岡山の住宅地開発は本当に無計画で、それを放置している行政は、「都市」と「郊外」をどのように連携させ、成長・発展させていくか?というポリシーが欠落しているように思います。移動手段の多くが車に頼るため、朝の渋滞は神戸や大阪以上だという状況に、岡山市民は「これはおかしい!」と声を上げないのでしょうか?いや、声を上げてはいますね、『もっと道を作れ』と。でも、今まで何百億何千億もの予算を道路建設に投じても、渋滞知らずの経済効率のいい都市は出来なかった。そりゃそうです、車一台で運べる人間の数には限界があるんです。
 私も東岡山から総社方面へ通勤していた時には、岡山市街を抜けるだけで1時間かかっていました。こんなことじゃあ地域経済が発展しない訳です。

 せめて、JRの周辺の人口集積地ぐらいは、公共交通が便利なようにバス路線網などを再整備していくべきと思います。その大前提として、岡山駅から市街各所への排出ポンプとなる路面電車を岡山駅構内に乗り入れさせ、ジョイント部分を強化する必要があるわけです。

 自分の自宅とJR最寄り駅+市街地の路線電車網で、自分の生活が交通ネットワークの中で息づいている。普段の通勤が車でも、特別な買い物のときは、この交通ネットワークを使って街に出られる、その実感が持てるようになる必要があります。

 前回エントリーの宿題。今、起こっている深刻な問題は、公共交通機関について真剣に考えてこなかった結果。渋滞や駐車場を探す面倒くささを嫌って、市街地に人が近づかなくなってしまったこと。郊外にはイオンモール倉敷やシネマタウン岡南など、大規模なショッピングモールがある。だから、日常の買い物はおろか、ちょっとした衣服や生活雑貨の買い物に至るまで、岡山市街地に来なくなってしまたわけです。

 路面電車の駅前乗り入れに反対している、岡山駅前商店街。気持ちはよく解ります、。そりゃー、駅の噴水の位置に路面電車の停留所が出来れば人の流れが阻害される。「表町に人を流すために、なんでわいらが我慢せんとおえんのんじゃ」という気持ちも理解できる。

 でも、このデータを見てください。

 岡山市は商店街通行量調査を公表しています
http://www.city.okayama.jp/keizai/sangyou/sangyou_00075.html
 
岡山駅前商店街
    西入口   東入口
S47 12800人    6946人
S57   6809人    5435人
H04   5071人    4087人
H14   3961人    2331人
H24   4238人    1772人
 
 数字をみると一目瞭然でしょう。まさに『じり貧』という言葉以外にない惨状です。商店街西入口にビックカメラが出店してからは、一見数字が持ち直しているように見えますが、実感と東入口のデータから底が抜けたように下げ止まっていないといえるでしょう。
 何もしなければこのままじり貧状態が続くことは明らかで、市街地全体にやって来る人間のパイを増やさないとどうにもならないでしょう。
 
 それに、駅前商店街の顧客は、本当に駅からなんとなく流れてきたブラブラ散策する人が主要顧客なのでしょうか?僕はこのあたりでよく飲み会をするし、ドレミの街にはかかりつけの病院もあるんですが、地下改札から降りて地下道を上がっていきますよ。大部分の客はその店に行く必要があるから行くわけです。そのあたりの分析を岡山市当局がやらないといけないとは思いますけど。  

 大森市長は中心市街地に流入するパイを増やす政策を考えている。この数字に真剣に向かい合えば、賛成派・反対派、両者が折り合うのはそれほど難しくない。駅前商店街の問題は、市街地へ来るパイの全体の増加量が、路面電車の駅設置による「通行阻害」による減少量を上回ればいい。

 そのためには、岡山市はこれからの人口減少社会の岡山の街を、どう維持していくのか?充分に説明しなければならないでしょう。
 大森市長の頭の中には公共交通機関を中心とした地域に、インフラを集約し、低コストな運営と中心地の経済活性化を目的とする「コンパクト・シティ」が念頭にあると思いますが、それは公共交通機関と繋がっていない地域の住宅地の資産価値の下落などの副作用を招くため、説明が充分になされていない 。しかし、やはり全体像を説明すべきなんです。
 バブルの時に、車でしか行けない所に県が作った「コンベックス岡山」のような公共施設は、今後は人口集積地区にしか作らない、その代り中心市街地へ向かう公共交通アクセスを整備することで効率的に運営していく。

 元々、岡山市は中心街に文化施設を一体的に整備してきており、そこは先見の明があった。それがいま、全国的にも注目される岡山カルチャーゾーン、として異彩を放っている。
 路面電車の中量輸送機関としてのポテンシャルは高く、岡山駅と商業地だけでなく、全国に例を見ない文化集積エリアの岡山カルチャーゾーンへの輸送機関としての役割も重要。
 岡山シンフォニーホールでコンサートイベントがあった際、電停に何百人の人が列を作っていても、あっという間に運び去ってしまう。小型の車両1両だけでも、実質、バス2台分、2両編成のMOMOならバス4台分の輸送量はあり、いざとなったら増発も容易。これはたいへんな資産だと思います。

 しかし、多くの岡山市民はこう考えているかもしれない。

「別に、自分は岡山市街に出かけないからいいや」「近所のモールで用は足りるし」

 でも、市街地が死ぬと町は死にます。それについてはまた次回。


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岡山の路面電車 岡山駅乗り入れ賛成表明エントリー(その1) [岡山]

 新年一発目のエントリーは、ちょっといつもとは違うネタになります。
 普段はクラシック音楽を中心に、アートや街歩きをテーマにしたブログですが、今、岡山では大きなターニング・ポイントを迎えている問題があり、私が理想に思っていた方向へ進みそうだったものが、揺り戻しを起こしているため、一岡山市民として、泡沫ブログながら意思表示をする必要を感じました。

 その問題とは、路面電車の岡山駅構内への乗り入れ問題です。私の意見は『賛成』なんです。

 現在、私の生活の基盤は岡山にあり、転勤で東京や関西に住む可能性はゼロではありませんが、基本的には定年まで岡山で過ごすことになると思います。その後・・・、定年後には生まれ故郷の関西に帰るか?岡山で天寿を全うするか?迷うところです。僕はもし、岡山の街が『車無しで生活でき、質の高い文化芸術(端的に言えばプロのクラシックのコンサート)に触れる生活が出来るなら、岡山に住み続けようと思っています。  

 まずは、この問題のこれまでの経緯について、Jタウンネットのライターさんの記事。これまでの経緯と、将来構想が分かります。
 『岡山駅と岡電とイオンモール岡山が「つながる」日、街は大きく変わるかもしれない』

鉄道ニュース546(動画)

(すごい、地元のニュース番組より解りやすい)

 一方で、これを阻止する動きもあります。地元町内会と駅前商店街が反対運動を活発化。市議会が陳情を採択しました。

 『路面電車平面案の反対陳情を採択 JR岡山駅への乗り入れ』(山陽新聞2015.12.17)

 技術的な課題などは、専門の方が色々な意見を出していますので、ここではあえて情緒的な意見を書きたいと思います。

 私が岡山に住むようになって、延べ年数でいうと20年になります。その間、一貫して不満があったことの一つが公共交通機関網の貧弱さでした。市内西部(新幹線側道近く)や東岡山あたりに住んでいた時は、車通勤は渋滞覚悟の1時間通勤だし、公共交通機関での通勤は難しい・・・というわけで結構大変でした。3年前に自宅を購入する際は、この公共交通機関網の貧弱さを嫌って、庭付き一戸建てを諦めて、表町まで徒歩圏内のマンションを買ったぐらいです。

 岡山の公共交通機関網の問題点は、『吸い込みポンプ』と『吐きだしポンプ』の貧弱さ、問題はここに着きます。岡山駅に集まる路線網を見てみると・・・・
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 なんと、在来線だけで6路線が集まって来る交通のジャンクションなんです。事実、岡山駅の乗降客数(12万6千人:新幹線を含む)は中国地方最大都市の広島駅(14万4千人)の9割近い人数です。

 しかし、ここからが問題です、岡山の本来の中心地は表町地区で、岡山駅から1.5kmほどの距離にあります。私の勤める会社の本社も表町に近い所にあります。そこに向かうためにはバスか路面電車を使うことになる。
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 私のように公共交通機関の発達した土地で生まれ育った人間にとっては、バスは選択肢に上がりにくい。やはり鉄道がその都市を代表する交通機関。その考えが染みついています。多くの人にとっても紙の地図からスマホでgoogleマップの時代になっても、それは変わらないのではないでしょうか?岡山市内のバス路線に慣れてる岡山市民も、自分が知らない土地に行ったら、まず鉄道に乗って移動することを考えるでしょう?

 ぐるなびや食べログなどの情報サイトも、岡山市内は岡電の停留所から検索することができても、バス停からは検索できない。鉄道の駅というのは、ネットの時代になって街のランドマークとしての機能を強めていると言えるでしょう。

 しかし、岡山の致命的なのは12万6千人もの人を運んでくる動脈の掃き出しポンプが極端に離れている。路面電車の停留所から岡山駅へは、信号を2回以上渡って屋根の無い道路を10分近く歩くか、階段しかない入り口から地下道を通って7分程度歩くしかない(新幹線ホームへはもっと時間がかかる)。岡山駅から見ても、駅に降り立った時に路面電車の姿が見えない。一方のバス停留所も複雑な路線網の上に、バス会社が5社以上もあって行先別に整理されていない。岡山市民もどれに乗ったら目的地に行けるのか分からないというシロモノなんです。si-an.JPG

 JRという大動脈から、掃き出しポンプを担う路面電車まで、スムーズな誘導が出来ていない。するとどうなるか?

 一つ目の結果は、私の以前の職場の同僚の多くは自宅とは別にもう一台自転車を購入して、駅の地下の駐輪場に置いています(駐輪代は通勤手当で出ないため、全額自腹、それでも自転車は重宝します)。駅の駐輪場の方が路面電車の駅に行くよりも近くて便利なんです。んなアホナ!ってな話ですが。

 2つ目の結果は、電車ではなく車でお出かけ・通勤する。岡山市内の通勤時間帯の渋滞は壮絶なもので、エネルギー、時間、労力の浪費以外なんでもない。土休日の表町界隈の駐車場は空車待ちの車の列で一杯です。車で来るとどうしても駐車料金が気になるため、買い物は一か所で済ませて回遊性が生まれない。神戸や広島のように、ただぶらぶらと街歩きをしている人の姿が本当に少ないですね。

 最後の結果、これが最も深刻なんですが・・・別の記事で述べます

 路面電車の駅構内乗り入れは、この掃き出しポンプと交通の大動脈をしっかりジョイントすることが大きな目的だと思います。
 僕は、それに加えて吸い込みポンプ側の問題も解決してほしい。最寄りのJR駅までの、いわゆる「フィーダーバス」路線網の再整備です。

 私が、東岡山に住んでいるとき、足を骨折したことがありました。右足ですので車は運転できません。必然的に電車で表町方面へ通勤することになるんですが・・・
 東岡山駅まで徒歩20分、松葉杖をつくと40分はかかる。その上、JR岡山駅から路面電車の岡山駅まで、バリアだらけの道が続く。あのときは本当に参りました。
 もう一つの選択肢は、バスで一気に表町まで行くこと。幸いバス停は東岡山駅よりは近く、松葉づえでも20分弱。しかし、バスが時間通り来ない。バスに乗った後も苦労は続き、混雑している路線なので立って行くことになりますが、鉄道よりもはるかに揺れるため大変でした。道路も渋滞しているので、直接表町へ行く路線にも関わらず、岡山駅経由で路面電車を使っていくよりはるかに時間がかかった。
 
 電車に比べて、バスは(座れる場合はまだしも)身体に障害のある人にとっては、決してやさしくない乗り物であることを実感しました。少なくとも、路線バスは長時間乗る乗り物ではない。
 私は疑問に思ったのです、どうして私の地元の神戸のように、JRの駅からバスが出ていないのだろう?と。

(記事を改めます)


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ももちゃりを利用してみた(考察編) [岡山]

 前回のエントリーで、ももちゃりを使ってみての感想を書きました。個人的には非常に面白い試みだとは思いますが、はっきりと問題点も見えている気もします。

 まず、市街地にやって来る人を分別してみると

①市外からの観光客・出張者など
②半径2km以内の市街地在住の市民
③半径2~5km圏内の準郊外(高島、原尾島、大安寺、今、など)在住の市民 
④半径5km圏外の郊外在住の市民
⑤市内に勤めている人

などに分けられます。

 このももちゃりの導入で、無条件に恩恵を受けるのは①、⑤。実際に、ビジネスユースやカメラを持った観光客風の人はよく見かけました。
 ②は、自分のように『今は無料だから使ってみる』という人は利用しているでしょうが、基本料金がかかるようになると、自分の自転車で移動するようになるでしょう。

 ももちゃりのターゲットとしては③~⑤の人の利用が増えてくれれば・・・というところでしょうが、車社会が根深く定着した岡山では、何か抜本的な取り組みが無いと難しいのではないかと思います。
 まずは郊外から市街地へやって来る流れを、車から公共交通機関へシフトさせるような政策誘導が必要。山陽本線一つとっても、15年ほど前は1時間に4本の普通列車+快速サンライナーが1時間に2本の本数が走っていましたが、日中の快速は廃止され、普通列車も1時間に3本程度まで減便している。要するに電車に乗って移動する人が居なくなっているのです。ここから改善していかないと、ももちゃりの導入目的の一つである「自動車依存社会からの脱却」の端緒も掴めません。
 それに加えて、ももちゃりが市街地の公共交通網に打撃を与えかねないということ。岡山市は岡山駅周辺と表町という2つの都心があり、その間の移動手段として岡電や各路線バス会社が担ってきたわけですが、ももちゃりの登場で、公共交通機関とバイクシェアリング(ももちゃり)が競合し、公共交通網の弱体化につながる危険性すらあります。

 もう一点、郊外から都心へ車でやって来て、その都心の内部回遊にだけ「ももちゃり」を利用する、という使われ方も考えられます。自分が思ったのは、例えばイトーヨーカドーは1000円以上買い物をすると3時間駐車料金が無料になるのですが、ショッピングモールまで車でやって来て、そのあとは「ももちゃり」で他の用事を済ませる・・・という使われ方もあり得る。イトーヨーカドーは休日になると駐車場が満車になるので、ルール違反ではないにせよ、こういう利用のされ方は痛手になるかもしれませんし、『クルマ依存社会からの脱却』とは逆の現象が起こります。 

 こういった問題点を解決するには、市街地へ向かう公共交通網の再編・再整備を同時進行で行い、市内へ流入する人口の『パイ』を増やすこと。車の流入をあるていど規制し、大きくなったパイを交通機関とバイクシェアが分け合うような形に持って逝く必要がある。岡山市も当然、そんなことは分かっている・・・と思いたいですが、この『ももちゃり』も政策的な広がりの中から生まれてきた、という印象はあまり感じないのです。

 前回エントリーに、富山市在住のとしゆきさんからコメント頂きましたが、富山市のコンパクトシティ構想のように、公共交通機関の利便性向上と合わせて、都市設計を見直し、岡山市の将来像を見据えたうえで、「ももちゃり」にどういった機能を担わせるのか?同時に、岡電や市内のバス路線網、あるいは自家用車の乗り入れ規制なども含めて、一体的に考えるべきなのは明白。
 こういった市民団体⇒(公共の交通ラクダさんのHP)の力を借りれば、岡山の潜在能力をもってすれば、すぐにでも取り掛かれそうなもんですが・・・、たま駅長で和歌山電鉄を再生したのも、岡山の両備グループなわけですし・・・。あとは市役所次第という気がします。

 岡山の市街地も、都心回帰によるマンション建設ラッシュで、通りを歩く人もだいぶ増えました。それに加えて、市民団体や民間の企画するイベント(「ハレノミーノ」のような・・・)で、年々活気が出てきている感があります。

 郊外の巨大ショッピングモールでも、生活の用は足りますが、中心市街地には『歴史』と『文化』と『多様性』が息づき、何かが生まれる土壌のようなものがある。
 博物館・美術館や後楽園、岡山シンフォニーホールやルネスホールなどのイベント施設など、いっそう活用されるべきインフラも整っています。

 個人的には岡山フィルを中心とした、音楽面からの文化振興にいっそう期待したいところですが。

 岡山市の今後の活性化策、次なる一手に期待したいと思います。どうしたらいいのか?

 実は・・・ESDユネスコ世界会議が終わったら、こういった取り組みも尻すぼみになるんじゃないか・・・?、という気がしています。色々前科が多い岡山市だけに。そこらへんも含めて一市民として注視していかないと・・・ 


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ももちゃりを利用してみた(その1:利用レポート) [岡山]

 月曜日はお休みだったので、ここのところの猛暑で外出を控えていたために、溜まっていた諸々の用事を済ませました。

 市街地の各所を回る際に、『ももチャリ』を使いました。ももチャリとは・・・

岡山市の「ももチャリ」のホームページより

●岡山市コミュニティサイクル「ももちゃり」は、お手持ちのICOCAやHarecaなどのFeliCa対応ICカードやおサイフケータイ対応端末が、そのまま  利用者カードとして利用していただける、新しいコミュニティサイクルです。
●使い方は、電車に乗るのと同じくらいシンプル。一度利用者登録をしていただければ、あとは駅前や街中のポートに利用者カードをタッチする だけで、簡単に自転車の貸し出し・返却・支払いができます。
●観光地や街巡りをはじめ、普段の買物からビジネスまで、新しい岡山の日常の足として、是非ももちゃりをご利用ください。

 このももチャリ、8月中はキャンペーン期間中ということで、1時間以内にポートに返せば、8月中は無料で使用できます。

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 西側緑道公園のポートで借ります。

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利用登録はこの機械で出来ます。自分はICOCAで登録しましたが、いったん登録が出来れば、ICカードをタッチすればすぐに借りられるようになります。

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 ポートは市内各所にありますね。これだけあれば充分です。

 いったん岡山シンフォニーホールへ行き、そこで返却。用事が済んだらまた借りて、イトーヨーカドーのポートまで移動。

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かなりいい自転車を使っています。自分が持ってるママチャリよりも走りやすい!3段変速付きのSHIMANO製、たぶん5万円ぐらいするんじゃないでしょうか?

 

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西川緑道公園を通ります。途中に幸町図書館のポートを通過。そしてももチャリに乗った人と、何度もすれ違います。結構利用されているようです。

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イトーヨーカドーのポートに到着、ここで返却した自転車で溢れかえっています。

 使ってみると非常に便利だと思いました。私の自宅は市街地から近いので、実際そんなに使わないかもしれませんが、車や電車で出てきて、ちょっと移動したいときなんかは大変重宝しそうです。

 間違いなく、いい試みであるとは思いますが、これが定着するかどうかは、無料キャンペーン期間が終わった後の利用状況を見てみないと、なんとも言えないでしょうね。それに、色々と問題点もありそうです。そこらへんを、また別のエントリーに起こしてみたいと思います。


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狙いは「移住促進」!?岡山市のプロモーション [岡山]

 「おしい!桃太郎市」の炎上マーケティングで始まった、岡山市による『伝説の岡山市』のプロモーションですが、最近はすっかりアクセス数も落ち着いているようで、ネット上ではこんな意見もあるようです。

岡山市の炎上マーケティングは、やっぱり「おしい!岡山市」だと思う   永江一石のITマーケティング日記から

 確かに、『伝説の岡山市』の動画を見てると、観光客を呼び込みたいのか?特産物を売り込みたいのか?なんだかよくわからないPRになっているような気がします。ホントおっしゃるとおり、キラーコンテンツを一から作る必要性もそのとおりだと思う。

 しかし、ある仮説を立てると、あるていど説明がつくんですよね。これって、観光客を呼び込んだり特産品を売り込んだりするのではなくて、 岡山市への移住を促進するためのプロモーションなんですよ、たぶん。
 それも、岡山に縁もゆかりもない人に訴えているというよりも、生まれ故郷が岡山である人とか、転勤で数年住んでいた人、あるいは学生時代に何年か居たことがある人や、親戚に岡山に住んでる人が居る、などなど、岡山と多少は接点があった人を集中的に狙っていると・・・

 岡山の事を少し知っている人だと、かなり笑えるツボがあるんですよね。『バナナクリームロール』とか『あの市役所のうらぶれた地下の食堂』とか・・・
 動画の風景も観光客が行きそうなところだけではなく、西側緑道公園や石山公園、県庁通りの並木道や岡大のイチョウ並木などなど、岡山に居住経験がある人なら、なんとなく郷愁を誘われる場所が多い。ああ、岡山って気候も良くて食べ物もおいしくて、よくよく考えてみるといいところだったなあ、と。


 
 こういうプロモーションをする一方で。岡山市は4月から移住支援室を立ち上げるのと事です。
県庁も移住対策に本腰を入れるとの発表もありました。僕は観光客の誘客よりも、住む人を呼び込んでくる方が経済効果は高いと思っています。なので、こういう移住者をターゲットにしたPRは有り、だと思いますよ。

 この記事を書いてるときに発見したんですが、山陽新聞のサイトにこんなページがあるんですね。
『移住―安全・安心の岡山へ』(山陽新聞特設サイト)

 これまでの岡山の歴史を見てみると、水島の工業地帯の発展時期は別として、県外から多くの人が移り住んでくるとことはなかったと思います。地域経済もそれなりの規模があり、山陰や四国のように大都市圏への大規模な人口流出も無かった。一言でいえば、岡山で生まれ育ち、岡山で仕事をして家庭を設け、岡山で死んでいく人の割合が、他の地域に比べると高かったのではないかと思います。

 ここ2年の岡山への人口流入、その流れがこの先も続くなら、岡山が歴史上経験しなかったような社会変動をもたらすことは間違いないところで、だからこそ役所も本腰を入れて対策に乗り出そうとしているのでしょう。

 しかし関西で生まれ育ち、岡山に住んでからも長い自分の目から見ると、外からの移住者の環境という面で、色々と岡山には物申したいことがあります。確かに住みやすいが、しかし、この分野とこの分野はお粗末!というものがたくさんあるんです。それについての辛口のエントリーは、また後日に起こしたいと思います。
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岡山県が2年連続転入超過 [岡山]

 日経新聞、1月29日の記事から。

岡山県が2年連続転入超過 12年の人口移動報告 

 総務省が28日発表した2012年の住民基本台帳人口移動報告によると、中国5県では岡山が2年連続の転入超過となった。転出超過となった他の4県はいずれも超過幅が拡大した。47都道府県では11都府県が転入超過だった。

 岡山は転入者が前年比0.6%増の3万173人、転出者が1.3%増の2万9769人で404人の転入超過となった。超過幅は前年の605人から縮小した。転入者の移動前住所地をみると、最も多いのが広島の5106人で、大阪、兵庫、東京と続いた。東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)からは計387人だった。

 岡山経済研究所の大崎泰正常務理事は「震災以降、岡山の地震の少なさや温暖な気候などによる安心・安全のイメージが定着しつつある。今後は受け皿になる雇用の増加や防災への備えが必要だ」と分析する。

 他の4県のうち転出超過数が最も多かったのは山口の3635人。広島は2786人、鳥取1453人、島根1199人だった。

 市町村別にみると、岡山市が1655人の転入超過となり、全国で14番目に多かった。一方、転出超過では呉市が全国で12番目に多い1041人、下関市が17番目の924人、鳥取市が19番目の862人だった。

 

 このデータだけを見て判断することはできないのですが、震災や原発事故後の放射能汚染からの避難先として、岡山への転入の流れは、静かなトレンドとして定着している感じがします。
 同じ西日本で、都市の発信力という点では岡山よりは上の広島が転出超過が続いているのに対し、岡山はまだ転入のトレンドが続いているようです。
 自分の周りにも3月に埼玉県から引っ越しされる方がおり、一時的なものではなくて、本格的に移住をして来られる方の数は、震災のあった一昨年やよりも増えている実感さえあります。
 

 確かに岡山県南部は地震が少ないです。震度4クラスの地震でさえ、10年に一度あるかないかというところです。自分自身の記憶を辿っても、震度4以上の地震は、2000年の鳥取県西部地震以来、覚えがありません。

 しかし、 決して自然災害が少ない訳ではありません。

 まず、洪水です。これは10年間に2~3度、かなり危ない水準までいっています。岡山は池田藩の農地開墾政策で、干拓地が多いことは知られていることですが、1000年ほど遡ると市街地の大部分が海の底や干潟でした。その様子は地名にも残っていて、今ではかなり内陸の印象のある津島や伊島、吉備津なども海のそばだったことが読み取れます。
 あるいは旭川の土手道から市街地へ向かう道は、どの道もかなりの下り坂です。つまり、干拓地に限らず市街地も海抜が低く、地盤も緩いということになろうかと思います。

 次に火災。
http://www.japan-now.com/article/236759905.html
 上のデータは2011年のデータですが、岡山県は常にワースト10に入るほど、火災件数が多い。特徴としては自然発火による山火事が多いこと。冬から春先にかけて、常に乾燥注意報が出されます。岡山の県南部、特に児島半島のあたりでは、例年、山火事に対する厳重な警戒態勢が取られます。「晴れの国岡山」がこの季節は仇となっている感じです。

 そして最も怖いのが・・・・『安全神話』の上に胡坐をかいていること。岡山の人々は、そもそも自然災害に対する備えや意識といったものが非常に希薄です。 
 例えば2011年の9月に、和歌山県などで甚大な被害をもたらした台風12号。岡山も河川の氾濫による浸水被害が出ましたが。被害は限定的でした。このとき笹ケ瀬川流域の21万人に対し、避難勧告が出されましたが、実際に避難したのは数百人にとどまった・・・。
 あるいは、僕が阪神大震災の経験から「非常持出袋や食料・水を常備している」と言うと、「へぇ~、凄いね」と、まるで他人事のような反応が返ってくることが多いです。この岡山の人々の災害に対する楽観的な意識のまま大災害に直面した場合・・・大パニックになる恐れもあります。

 そもそも地震についても岡山県内には県北を中心に活断層が多く見つかっており、県南にも未知の活断層が存在する可能性も否定できません。瀬戸内海を挟んだ四国には、国内最大の断層帯である「中央構造線」が横たわっており、そこにかかっているエネルギーなどを考えると、岡山が地質学・地震学的に安定しているとは、とても言い切れないという話も聞きます。
 また南海地震が引き起こす揺れや津波、地盤の緩い地区での液状化現象も懸念されています。 

 備えあれば憂いなし、少なくとも何かあった時には1週間ぐらいは自力で生きていけるだけの準備は必要でしょうね。


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伝説の岡山市 [岡山]

 ちょっと出遅れた感がありますが 『おしい!桃太郎市』の種明かしがありましたね。

 どうやら悪い鬼に操られていたということで、南方保育園の園児にしっかり退治してもらったようです(笑)余談ですが、ちょうどその発表の時間帯に南方の法務局に行っておりましたが、NHKやらのTV曲の車が周辺に駐車していて、『いった何事か?』と思っていたんですが、そういうことやったんですな。

 広島県と香川県にも仁義を立てての企画だったようで、両県の宣伝にもなったでしょうね。香川県とは瀬戸内国際芸術祭なんかでもコラボがありそうです。
 それにしても高谷市長のいい意味での田舎の中小企業の社長さん、みたいなキャラをうまく使いましたな(じっさい、高谷さんはおもちゃ王国を経営する会社の社長でしたし)。

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 そして、本当のキャンペーンが『伝説の岡山市』ということで、地元出身の甲本ヒロト・雅裕兄弟を起用するなど、お金も手間もかかったクオリティの高い動画が紹介されました。
 これ、傑作でっせ!岡山の人間だったら爆笑間違いなし。ここまでやるか!っていう・・・。性格俳優の甲本雅裕さんの演技力もうまく使っていますね。
 山陽新聞をめくりながらキムラヤの「バナナクリームロール」を食べ、オハヨー牛乳を飲む!で、張り込みをしている車の中でカバヤの「ジューC」をパクリと・・・もうこのビデオを見ながら家族でPCの前で笑い転げましたって。(笑)くまモンまで登場して、もう何でもありですな。


 それに続いて、岡山市の数々の伝説を紹介する動画も公開。デイブ・ブルーベック風の「桃太郎さん」の音楽もエエ感じですね。その中で『大都会岡山』ネタを使ってくるとは・・・、一瞬目が点になしましたけど、この動画も本当にうまく作ってあって、某巨大掲示板の悪ノリのネタを逆手にとって、溜飲の下がる思いをした地元住民は僕だけではないはず(笑)

 地元では、「こんなことに1900万円も使ったんか!」という声もポツポツと上がっているようですが、僕はそうは思わんなあ。

 大阪や東京の百貨店などで物産店とか観光キャンペーンをよくやってますよね。『晴れの国岡山物産展』みたいなの。あれって北海道とか沖縄なんかを除いて、自治体(あるいは、自治体のお金が入っている観光協会など)が結構お金を出してるんですよ。1900万円なんて、ちょっとした規模の物産展なんかを開催したら消えてしまう金額。でも、ああいう定番のイベントってあまり広がりのある投資効果はなくて、他の自治体も同じようなことをやっているわけで、知名度とかイメージの向上にはそれほど寄与しないという意見も多いようです。

 それに引き換え、この『伝説の岡山市』は、岡山市の知名度やプレゼンス向上のコストとして考えたら、安いものですよ。『伝説の』っていうフレーズもいい!言葉の前に「伝説の」をつければ、何でもこのキャンペーンに乗っかることができますからね。伝説の果物、伝説のパフェ、伝説のラーメンに伝説の料理、なんでもできるでしょう。これは展開が広がりそうです。

 あと、今回の動画などを見ていて思ったのが、今までの自治体のキャンペーンは、観光や特産品のPRが主だったように思います。『うどん県』も『おしい!広島県』も、キホンはそうですよね。しかし、今回の『伝説の岡山市』は、「岡山市は(自称)日本一くらしやすい街である」という動画に端的に表れているように、移住や企業の進出や移転・促進を打ち出したキャンペーンにもなっていること。大都会岡山ネタの動画でも、岡山は大都会ではないが、医療や福祉が充実していて、暮らしに関するインフラについては大都会並であることをアピールしてますしね。
 この背景には、東日本大震災後に、災害が少ない地域ということで岡山市の人口構成が変わるほどの移住者が増え、企業の拠点も移ってくる動きがあり、有効求人倍率も全国で最高水準にあるという状況です。そんな岡山への移住希望者への、社会的なニーズにもこたえた形になっているように感じます。

 クラシック音楽ファンとして、我田引水な要望になりますが、今年はちょうど岡山フィルがシェレンベルガーを首席指揮者に迎える記念の年。世界のベルリン・フィルの中心に君臨した伝説の音楽家が愛する(ということにしとこう)、『伝説の岡山市』として、紹介してほしいですなあ。

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 じっさい、「岡山市は大都会である」ネタでは、ランドマークとして岡山シンフォニーホールが使われてるわけですし。こんだけプッシュするんなら、岡フィルをもっと本格的なプロ・オーケストラに育ててくれよ~という気もします。
 あれっ?もしかして、シェレンベルガーの招聘って、今回の『伝説の岡山市』を睨んだものだったりして・・・(そうだとすると、岡山市、まっこと見直しますけどね)。


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