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岡山フィルの2019年の定期演奏会プログラム情報 [岡山フィル]

 少し気が早いですが、岡山フィル首席指揮者のシェレンベルガーのホームページに2019年の出演情報が掲載されていましたので、そこから岡山フィル関連情報をピックアップしてみました。
 その前に、まずは2018/19シーズンの確定情報を記載します。
岡山フィル第57回定期演奏会
2018年10月14日(日)15:00開演  会場/岡山シンフォニーホール
~シェレンベルガーのベートーヴェン交響曲シリーズ完結~
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ソリスト:中桐 望(ピアノ)
 
ベートーヴェン/レオノーレ序曲第3番 作品72b
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調
ベートーヴェン/交響曲第4番変ロ長調 作品60

岡山フィル『第九』演奏会2018
2018年12月9日(日)15:00開演 会場/岡山シンフォニーホール
~巨匠 秋山 和慶 岡山フィル第九再登場~
指揮:秋山 和慶
ソリスト:未定

ベートーヴェン/交響曲第9番 ニ短調作品125
岡山フィル第58回定期演奏会
2019年1月20日(日)15:00開演  会場/岡山シンフォニーホール
~新年の幕開けはモーツァルトの傑作オペラと交響曲で~
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ソリスト:岡山にゆかりのある声楽家の方々
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」ハイライト
モーツァルト/交響曲 第41番「ジュピター」ハ長調 K 551
岡山フィル第59回定期演奏会
2019年3月10日(日)15:00開演  会場/岡山シンフォニーホール
~シェレンベルガーのブラームス交響曲シリーズ進行中~
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ソリスト:グスターボ・ヌニェス
 
ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
ウェーバー/ファゴット協奏曲 ヘ長調 Op.75
ブラームス/交響曲第4番ホ短調作品98
 さあ、いよいよ2019年の未確定情報です。
岡山フィル第60回定期演奏会
2019年5月11日(土) 岡山シンフォニーホール
R.シュトラウス/オーボエ協奏曲
  〃    /交響詩「ドン・ファン」
ブラームス/交響曲第3番
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
オーボエ独奏:吹き振り?
岡山フィル第?回定期演奏会
2019年10月20日(日) 岡山シンフォニーホール
ブルックナー/交響曲第4番「ロマンティック」
ほか
岡山フィル『第九』演奏会2019
2019年12月15日(日) 岡山シンフォニーホール
ハイドン/交響曲第?番
ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 このほか、2020年の1月にはカメラータ・ザルツブルグとの日本ツアーが予定されているようです。
 まだ正式発表されていないので、このままのプログラムが採用されるかどうかは何とも言えないのですが、来年10月の定期で、ついに岡山フィル史上初めてのブルックナーが演奏されることになります。新首席奏者陣にとっては、就任後最大の関門となりそうですね。特にホルンの梅島さんによる第1楽章冒頭のソロには注目です。あと、このころには選考中のファゴット・第2ヴァイオリン・チェロ首席も新しい体制になっていることしょう。
 5月の定期演奏会は、前半に「ドン・ファン」を持ってきていることから、弦5部は12型か14型の大規模編成になりそうですね。

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おらが町のオーケストラ ~岡山フィルの新たな挑戦~ RSK地域スペシャル [岡山フィル]

RSK地域スペシャル「メッセージ」
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2018年6月20日放送  山陽放送テレビ 
 
 たいへん見応えのある番組でした。
==番組HPから================
1992年に岡山初のプロオーケストラとして産声を上げた岡山フィルハーモニック管弦楽団。演奏者は、学校の先生や音楽教室などを掛け持ちしながら代わる代わる出演する「登録団員」。それに関東・関西の大手オーケストラから助っ人に駆けつけた「エキストラ」で構成されている。岡山フィルの魅力は、登録団員の堅実な演奏とエキストラが持ち込む都会的な香りの融合とされてきたが、一方でこんな指摘もあった。「楽団員の顔が見えない」「独自の音を持たないオーケストラ」。
そこで岡山フィルは結成以来初めてのプロジェクトに踏み切った。
各楽器の首席奏者をオーディションで選んで専属契約を結び、楽団の顔を作るのだ。
専属で楽団員を抱えるには新たな予算を組む必要がある上、楽団の顔として登録団員に溶け込めるのか、一つ間違えばオケの運営に亀裂が入るリスクも伴う。しかし、岡山フィルには賭けに出なければならない背景があった。
クラシック音楽業界は、昭和20~30年代初頭に、戦後復興で国民が西洋文化に傾倒し黄金期を迎えたが、その後、ポップス、フォーク、ジャズ、あらゆるジャンルの西洋音楽が登場したために音楽ファンが分散化。その結果、現在のクラシックコンサートの観客は、昭和20~30年代に青春時代を過ごした高齢者が目立ち、このままでは興行、すなわちオーケストラの運営は先細る一方との危機感がある。加えて、地方オーケストラの経営は企業や自治体の支援に負うところが大きいが、世の中の合理化が進む中、費用対効果が説明にくい文化活動への協賛は、最も予算カットの対象になりやすい。岡山フィルのオーディションには、新たなファン層の開拓と協賛各社に岡山フィルが地元になくてはならない「おらが街のオーケストラ」に生まれ変わることをアピールする狙いがあった。
オーディションには全国から200人以上が応募。去年10月、実技試験と面接を経て7つのパートで候補者が絞りこまれた。最終審査は今年3月と5月の定期演奏会。実際に首席奏者を任せて適性を試し、正式採用するか否かが決まる。7人の演奏家たちのサバイバル。岡山フィルの新たな挑戦が始まった。
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 番組冒頭のシーンは、シェレンベルガーが「日課」としているジョギングをするシーン。
 『おお~~!ウチの近所の河原をシェレンベルガーさまが走っとうやないか』とすでに興奮。それはさておき。
 オーディションに受かった7人の首席奏者候補の、3月と5月の2度の定期演奏会での最終選考の様子を追ったドキュメンタリーで、クラシック音楽ファンだけでなく、一般の視聴者も惹き込まれる内容だったのではないかと思います。同時に、岡山フィルの運営面での課題や将来展望についても詳しく解説されていて、取材班が山形にまで飛んで山形交響楽団の運営について取り上げられているのには驚きました。
まず、7人の首席奏者候補の顔ぶれです
ビオラ首席:七沢達哉(東京都在住)
コントラバス首席:谷口拓史(神奈川県在住)
フルート首席:畠山奏子(茨城県在住)
オーボエ首席:工藤亜紀子(東京都在住)
クラリネット首席:西崎智子(東京都在住)
ホルン首席:梅島洸立(東京都在住)
トランペット首席:小林鴻(東京都在住)
 
 全員が関東圏に在住している方で、7人中6人が東京芸大の出身。年齢も芸大大学院在学中の方から、30代半ばの中堅世代で豊富なキャリアの持ち主の方まで多士済々。コンサートで聞く限り、皆さんかなりの腕前の持ち主で、5月の定期演奏会でのチャイコフスキー/交響曲第5番のソロパートを聴いた手ごたえは「これはもう全員合格で決まりだろう」と思わせられたほど。
 しかし、これほどの腕前の持ち主でも、例えば梅島さん(ホルン)が「芸大に入ったから、プロの奏者なれると、ちょっと甘く考えていたけれど、甘くないですね。この業界は」と語り、自ら出場する室内楽のコンサート会場の椅子を並べたり、釣銭を用意したり、と、まさに手弁当で運営しているシーンが取り上げられます。
 谷口さん(コントラバス)は、その経歴を見ると、PACオーケストラにも居られたんですね。コントラバスの講師をしながら、オーケストラのエキストラ奏者などで演奏活動を続けてこられた苦労人。若い頃には学歴コンプレクスがあった(でも彼だって、洗足音大の出身の音楽エリート)が、東京芸大出身でもこの世界から去って行く仲間が多い中で、自分が生き残れたのは「何か他の人には無いものがあるから生き残って来れた」と自信を持てるようになったと語っています。
 クラシック音楽の1ファンとして、本当に厳しい世界だということはわかっていたつもりでしたが、我々ファンがスポットライトを浴びるステージで見る・聴く奏者たちは、いわばエリート中のエリート、その中の圧倒的な勝ち組なんだ、という事実。オーケストラの専属プレイヤーになるというのは、おそらくプロ野球選手になるよりも狭き門かもしれない。
 岡山フィルだけではなく、素質のある音楽家に安定した活躍の場がもっと増えてもいいのに、と思います。
 定期演奏会のリハーサルのシーンも興味深かった。ホルン首席候補の梅島さんが、3月の定期演奏会では日本一のブラスセクションとの評価も高い読響のホルン奏者:久永重明さん、国内オーケストラ初の女性金管奏者の東響の曽根敦子さん、東京シティ・フィルの小林祐治さんなど、サイトウキネン・オーケストラ級の錚々たるメンバーのホルンセクションの中で首席奏者としての能力を試されます。そして、周囲の先輩たちの、暖かくも的確なアドバイスを受けながら成長していく様子が描かれていきます(いや、ホンマ皆さん、暖かくも優しい・・・)。
 他にも興味深いシーン(三度の飯よりゲームが好きなフルートの畠山さん、自転車が趣味で旭川沿いのサイクリングロードを水を得た魚のように疾走するヴィオラの七澤さん、岡山フィルの創立時から聴衆として聴いてきて、「岡フィルで演奏するのが目標だった」と語っていた西崎さん(倉敷出身)、など)が沢山ありましたが、ブログではとてもすべてを取り上げることは出来ません。
 岡山フィル創立時からの団員へのインタビューも印象に残りました。創立時からコンサートマスターを務められた上月さんの「責任感に押しつぶされそうな日々だった」という懐想と、大都市のオーケストラからの助っ人エキストラ奏者との演奏について「いろいろなものを吸収させてもらった」と語っておられました。
 シェレンベルガー体制後の「おらが街のオーケストラ」として地域に根差し自立したオーケストラを目指す方向性は、絶対に正しいと僕は思っていますし、このブログなどでも『オーケストラの顔が見えない』『独自の音がない』さらには『素晴らしい演奏をしても、奏者が変わるので次への蓄積が感じられない』と、コメントしてきましたが、この番組でエキストラ奏者時代の岡山フィルについて、楽団員さんの声が記録されたことは今後、岡山フィルの歴史を語るうえで貴重な証言だと思います。
 
 番組のラストシーンは、首席候補最終選考の最後のコンサート(5月の定期演奏会)後の7人の表情や言葉。
梅島さん(ホルン):「やれるだけのことは、やり切りました」
小林さん(トランペット)「楽しみに(結果を)待ちたい」
畠山さん(フルート)「どうなっても、まあ・・・、(力は)出しきったかな、っていう感じです」
工藤さん(オーボエ)「うまくいけばラッキー」
七澤さん(ヴィオラ)「これからも、ご縁があったらぜひ(来たい)」
谷口さん(コントラバス)(10月の定期演奏会に)「来たいです、すごく来たいです」 
 
 そして番組最後に7人の候補者全員が、岡山フィル初代首席奏者として採用が決定したことが発表されました。昨日の山陽新聞でも記事になっています。
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 彼らがこれほど岡山フィルで演奏したい!という熱意を持ってくれていることに、こちらまで熱くなります。在東京や関西のオーケストラからの助っ人エキストラさんには経験も実績もありますが、やっぱり今の岡山フィルや岡山の街には、この7人の「サムライ」たちの熱い思いのこもった音楽が必要なのです。
 10月の定期演奏会を楽しみにしたいと思います。
 この番組のもう一つのメインテーマであった、岡山フィルの楽団運営改革の部分については、拙ブログの連載「国内オーケストラ業界と岡山フィル発展への研究」の新たな記事(7月中に更新予定)の中で改めて触れてみたいと思います。
 

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クラシック音楽バー『ココルーム』 大阪市西成区山王 [クラシック全般]

 「店、店主、客層、すべてが超ディープ!!」「三千枚以上のCDとレコード。二百万円のオーディオ装置を常備」
 このチラシの文言に間違いはなかった!
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 コンサートの後、あーと屋さんにご案内いただき、念願のクラシック音楽バー「ココルーム」に行ってきました。
 場所がどこにあるのか詳しくは知らなかったんですけど、動物園前で降りて飛田本通り商店街を南に下る。まあ、ディープにもほどがあるだろう!という立地。私は神戸や宝塚に20年近く住んでいたものの、船場より向こうにはほとんど行くことが無く、行くときも難波や恵美須町ぐらいでしたので、ちょっとドキドキしながら歩いていました。
 店を開けた瞬間、大音量のオーケストラ音楽が鳴り響いています。カウンター席10席とテーブル席が2つ程度。長細いウナギの寝床の店舗の突き当たりには、総額200万円のオーディオが鎮座。
 そして店内もディープ、店には3000枚以上のCDがうずたかく積まれ、クラシック関連本やなぜか心理学や精神分析の本、あるいはコミックで埋め尽くされております。ホンマ、漫画世代、クラシック音楽大好き、オーディオオタクの筆者だったら、何時間でもおれそうです。
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 マスターもディープです。クラシックの音源の話題について何でも答えてくれますし、その語り口がマスターの人の良さとクラシック音楽への愛情を感じさせてくれます。
 この日聞いたのは・・・
・ブラームスのピアノ協奏曲第1番、ルドルフ・ケンペ指揮BBC交響楽団 ピアノ独奏:カッチェン
・マーラー 交響曲第6番 ブーレーズ指揮ベルリン・フィル
・ベートーヴェン 交響曲第8番 シェルヘン指揮ルガノ放送交響楽団
 アンコール(?)上記シェルヘンのベートーヴェンから、交響曲第4番の第4楽章
 常連客も超ディープで、『この演奏の録音は、60年代ぐらい?』と聞くと、『65年の録音やね』と即答で返ってくる(笑)
 お店は居心地の良さ、ゆるさは従来の「雑音禁止」の名曲喫茶とは一線を画すもの。でも、オーディオの音はいいんですよ。家の近所にあったら入り浸ってしまうやろなあ。最後は常連さんと店長で、シェルヘンの超高速変態演奏を魚に笑い・語り合いながら終電まで居着いてしまいました。
  
 お店の話題とはズレますが、後から来られた常連さんが「岡山フィルって、シェレンベルガーがシェフやってるんよね」と、ご存じだったのにはびっくりしました。ディープなファンの間では、もう既に知名度があるぞ!岡フィル!関西公演を打つ日も近いか?(笑) 

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日本センチュリー交響楽団第226回定期演奏会 指揮:飯森範親 [コンサート感想]

日本センチュリー交響楽団第226回定期演奏会
ワーグナー/舞台神聖祝典劇「パルジファル」より  聖金曜日の音楽
~休憩~
ブルックナー/交響曲第7番ホ長調(ハース版)
指揮:飯森 範親
コンサートマスター:松浦奈々
2018年6月14日 ザ・シンフォニーホール

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 梅雨とは思えないカラリとした気候の中、ザ・シンフォニーホールの音響と、この気候を味方につけ、センチュリーの極上の美しい響きが印象に残ったコンサートとなった。
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 配置は12型の対向配置。1stVn:12→Vc:8→Va:8→2ndVn10、コントラバス6本は舞台最上段に横一列に並ぶ。ウィーン・フィルが黄金の間でやる配置。また、金管は下手からホルン→トランペット→トロンボーン→ワーグナーチューバ&チューバ。ブルックナーでは、この配置の利点が遺憾なく発揮された。お客さんの入りは8割程度。
 プログラム解説によると、ブルックナーが尊敬するワーグナーの最晩年(1882年)の傑作「パルジファル」からの音楽、それと同時期に書かれたブルックナーの交響曲第7番(1883年)を取り上げる、特に、ブルックナーの7番の第2楽章がワーグナーへの哀悼の意を示した音楽という繋がりがあるようだ。
 ブルックナーに比べると、やはりワーグナーの音楽は隙がなく、冗長さも皆無。ワーグナーの傑出した才能を感じるとともに、一方で不器用で愚直なブルックナーがこの7番で神話の領域までの高みに達したことを感じさせられる、終わってから振り返ると、よく考えられた絶妙のプログラミングだった。
 センチュリーのハイレベルなアンサンブルと高潔な響きは健在。毎度毎度ため息をつきながら感心する。ブルックナーに対する期待も否応なしに高まるというもの。
 そのブルックナーの7番開始前。空席のあった自分の周りの席が埋まり、1500人、3000個の目が舞台上に注がれる視線が見えるような、何とも言えない重苦しい緊張感が客席を包む。やはり大阪はブルックナーの「聖地」だと思う。この雰囲気だけで鳥肌が立つ。
 その会場の緊張感が伝染したのか、第1楽章では硬い演奏だった印象。いや、一つひとつのフレーズを紡いでいく仕事はさすがセンチュリー響と言うべき精緻な仕事だったし、個々のパートは素晴らしい音を奏でいるのだけれど、どこか緊張が解け切れない、波に乗れない感じが残る。
 しかし、第1楽章終盤から響きに輝きが増し、第2楽章は文句なしの演奏。対向配置+ベースを後方に並べる配置によって、ベースと金管の音が絶妙の塩梅でブレンドされ、極上のサウンド響かせた。
 ここで不思議な感覚に襲われたのが、センチュリーの見通しの良い練りこまれたアンサンブルでこの曲を聴くと、ルネサンス以前のレオナンやペロタンらが作曲したオルガヌム音楽のような響きが感じられたこと。いや、これは自分に原因の一端があるかもしれないのが、OTTAVAで流れたことがきっかけで、作業用BGMとしてオルガヌム音楽を聴いているからそう感じるだけかもしれない。しかし、ブルックナーの音楽が描く「神話的」な世界は、こうした中世的な響きにも秘密があるのかな?とも思う。それもこれも、センチュリーのサウンドが極めて純度の高いがゆえ、気付かされたことだろう。ずっと、永遠に聴いていたい。夢のような20分間だった。
 前半2楽章が、テンポは中庸ながら一つ一つのフレーズを紡ぎ出すように丁寧に描いていたのに対し、後半2楽章は、前半よりもテンポを速めに推進力を増して、マッシヴかつ色彩豊かなサウンドで押していく演奏になった。かといって、決して力づくの演奏にはならずダイナミクスが大きくなるにつれ、ハーモニーは研ぎ澄まされ、ブルックナーが見せたかった世界を鮮烈に見せてくれている感覚があった。飯森さんも、楽員さんも音楽に入り込んでいくのが解る。舞台上で泉のようにこんこんと音楽が涌き出でるかのように、音楽が「創り出されて」いく。第3楽章の中間部で、あまりの儚い美しさに涙腺が緩む。
 第4楽章でもオケと指揮者、あるいはパート同士の対話が密になっていく。弦が艶を放ち、金管は輝きを増す(特にラストのタタタタンタン、というブルックナーリズムの部分の神々しさと言ったら!)、ティンパニーは神の啓示のようにホールを震わせ、それら三位一体となったハーモニーに包まれる時間をかみしめるように聴いた。
 1楽章の硬さと、「まだ余力はあるかな~」という印象から、「もう1日、この定期の本番があれば」と思ったが、僕としては十分に満足する演奏だったことは間違いありません。
 それに対して、会場の反応は・・・悪くはなかったです。でも、必死で拍手する私が若干浮き加減な感じで、「もう一息!」という感じの反応だったのがすごく印象に残りました(笑)
 いやいやいや、もし岡山フィルが岡山でこんなブルックナーを演奏したら、客席は熱狂の渦になるだろう。
 私にとっては滅多に聴けない水準の演奏でも、大阪の聴衆にとっては「ん、まずまずやったな」的なものだったのでしょうか。うーん!大阪でブルックナーを演奏するというのは大変なことだなあ。
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 この日、新幹線に飛び乗ろうと岡山駅に行ってみると、人身事故で車両が新幹線が緊急停車しているため、ダイヤが大いに乱れていた。なんでもボンネットが破損したまま100km以上走っていたらしいという・・・。
 『これは、開演までに間に合わないかな?』と思っていたら、すぐに新大阪行きが到着。久しぶりのJR九州の車両で、岡山出身の工業デザイナー水戸岡さんの快適な座席でスムーズに新大阪に着いた。

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山陽放送テレビのドキュメンタリー番組で岡山フィルが取り上げられるようです [岡山フィル]

 近年の岡山フィルの躍進は、クラシック音楽ファンの間にとどまらず、この街のホットな話題の一つになった・・・ということでしょうね。
 6月20日(水) 19:00~19:55
 平日のゴールデンタイムど真ん中の放送です。
 詳細な内容は明かされていませんが、おそらくシェレンベルガーの首席指揮者就任後の楽団改革・演奏能力の向上の軌跡、そして好調な観客動員とそれに伴って行政・財界を中心に「中心市街地活性化の起爆剤」としての期待が高まっている、そんな内容のドキュメンタリーになるのではないでしょうか。
 このブログにコンスタントに訪問いただいている方の6割が岡山県外からのアクセス(アクセス解析による)で、RSK山陽放送の放送エリアは岡山県・香川県ということで、それ以外の地方の方は見ることが出来ないのが残念です。山形交響楽団のドキュメンタリーのように、何らかの賞を受賞したりすれば全国放送されるかもしれません。そのためには、まずは視聴率と反響が高いことが条件になるでしょうね。
 このドキュメンタリーの放送に伴って、
 RSK「4時なま」特集(6月15日(金) 16:00~)と、
 RSK「イブニングニュース」特集(6月20日(水) 18:15~)でも取り上げられるようです。
 これらの放送予定については、岡山フィルから会員あてに郵便で送られてきました。
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 楽団の意気込みを感じますね。これがきっかけに、もっと話題になっていけばいいですね。
※6月13日 追記
 山陽放送の番組HPに内容予告が掲載されました。なるほど、オーケストラの運営を含みつつ、今回は首席奏者オーディションでの人間模様にスポットを当てていく内容のようですね。そうであれば、オーケストラに馴染みが無い視聴者も惹き込まれる番組になると思います。さすがですね。

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