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岡山芸術交流 Okayama Art Summit 2016 の県民優先チケット [展覧会・ミュージアム]

 10月2日から11月27日まで岡山カルチャーゾーン各地で開催される、岡山芸術交流の岡山県民向けの前売り券を買いました。

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 元々現代アートには疎くて、これだけ話題になっている瀬戸内国際芸術祭にも行ったことがないんですが、会場が自宅から自転車移動圏内に集まっているし、宇喜多氏以来400年の歴史を誇る岡山の元城下町地域を舞台に、各国の現代芸術家による作品展示が行われるということで気軽に楽しみたいと思います。

 ところがですね・・・

 開催2週間を切った地元の岡山。

 全っ然、盛り上がってない!!

 周囲の人に言っても「何それ」状態で、前売り券をJTBに買いに行っても「あまり出ていませんね~」との店員さんの声。
 
 9月26日現在で、岡山の観光ホームページにもバナー広告すら載っていません。しかも、『瀬戸内国際芸術祭+岡山の旅』というコーナーもあるのですが、そこには岡山芸術交流の事は一言も載っていない。

 本来は相乗効果を狙っていくべきなのに、どうしたことでしょう。役所はやる気あるのか?

 全国的には、現代美術の愛好家には、それなりに注目されているようで、「えっ、このアーティストもお日本に来るの?」というような、国内ではなかなか見ることが出来ない作品もあるようです。 

 生まれて初めて買った美術雑誌の「美術手帖」。絵描きが趣味の自分の親父が買っていたので、なじみはある雑誌でした。

 10月号のとじ込みを切り取ると、『Okayama Art Summit 2016 Guidebook』になります。ああ、開催地の岡山は静まり返っていても、コアな業界内ではホンマに話題なんやな~。

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(以下はどうでもいい話 飛ばしていただいてOKです)

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宮川香山展 岡山県立美術館 [展覧会・ミュージアム]

世界を魅了した陶芸家 宮川香山 没後100年展  岡山県立美術館

 もう5月8日で会期は過ぎてしまいましたが、ゴールデンウィークに岡山県立美術館で開催されていた宮川香山展へ行ってきました。

岡山県立美術館HPから================

 宮川香山(本名:虎之助1842-1916)は九代茶碗屋長兵衛[初代楽長造(らくちょうぞう)]の四男として京都真葛原に生まれました。父の跡を継いだ虎之助は、一時、岡山で虫明焼の指導にもあたっており、今日、虫明焼が全国区で知られるようになったのは香山の功績と言えるでしょう。その後、香山は、薩摩の御用商人梅田半之助らの求めに応じ、明治3年横浜へ移住、翌年横浜太田村字富士山下に眞葛窯を開窯し、職人たちとともに輸出用陶磁器を製造しました。香山はフィラデルフィア万博、内国勧業博覧会等、国内外の博覧会に出品し輝かしい成績を収め、その名は世界にとどろきました。明治初年、一斉を風靡した薩摩焼風の錦手(にしきで)を制作することから始まり、技巧を凝らした細密で彫刻的な手法を用いた高浮彫(たかうきぼり)作品、さらに明治20年代以降は、ヨーロッパの趣向の変化に応じ、釉下彩磁(ゆうかさいじ)や結晶釉など釉薬の研究を進め、新機軸の作品を次々に発表しました。明治29年には帝室技芸員に選ばれ、明治を代表する陶芸家として活躍しました。

 本展は、没後100年を記念して、虫明焼の発展に寄与した香山を顕彰するとともに、日本の近代窯業界の寵児として海外で高い評価を受けた香山を同時代の作品群とともに紹介します。草創期から現代までの虫明焼作品、薩摩焼に影響を受けた明治期の各地の焼物、重要文化財2点を含む高浮彫作品から釉薬物まで多彩で魅力溢れる香山の作品など、合わせて約250点の作品を一堂に展覧します。

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 香山の作品だけでなく、彼に影響を与えた「薩摩焼」の名品や、真葛窯の他の職人や香山から影響を受けた岡山ゆかりの作陶家など、実に300点を超える点数で、想像以上に疲れましたが(笑)陶芸について全く造詣の無い私でも、ストレートに訴えかけて来る立体的な装飾や煌びやかな文様は、本当に心を奪われました。

 そして、今回の展覧会で、薩摩焼の見事な装飾技術にも触れ、もしまとまった展覧会があったら、また行きたいな、と思いました。

 展覧会の後は、地元民以外はあまり知られていませんが、岡山で最も美しい景色の場所:石山公園のイベントに行ってきました。

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 夕方から屋台が出て、お城と後楽園の周囲の水辺の景色を眺めながら一杯やる・・・。石山公園の野外ステージからは生演奏も聴こえてきます。
 向かいの後楽園は、今月末までライトアップイベントの『幻想庭園』が開催されていて、この日の前の日には暴風雨の中、岡山フィルのステージイベントも開催されたそうです(行こうと思っていたけど、あの風雨では「さすがに中止やろ~」と思っていたら、開催されていたんですね・・・、演奏者の皆さんには頭が下がります。次回は必ず行きます!!)。
 僕が学生の頃はこんなイベントはほとんど無かったと思いますが、同世代のやる気とセンスのある有志がどんどんこんな素敵なイベントを発案して、現市長の後押しもあって定着させています。仕事の繁忙期ということもあって、ほとんどどこにも行けなかったゴールデンウィークですが、いい思い出ができました。


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最後の印象派~もうひとつの輝き~展 ひろしま美術館 [展覧会・ミュージアム]

最後の印象派展 ~もうひとつの輝き~
ひろしま美術館

(後日更新します)

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大英博物館展 神戸市立博物館 [展覧会・ミュージアム]

大英博物館展 ~100のモノが語る世界の歴史から

神戸市立博物館

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 会期末寸前でなんとか見ることが出来ました。神戸市立博物館の展示概要から。

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人類200万年の「傑作」大集合
 英国・ロンドンにある大英博物館は、人類の文化遺産の殿堂として約700万点に及ぶ膨大なコレクションを誇ります。本展は、大英博物館館長ニール・マクレガーによる解説で人気を博したBBCのラジオ番組にもとづき、8つの全所蔵部門から厳選された100作品を通して「世界の歴史」をたどろうとする壮大な試みです。アフリカで作られた最初期の石器から、現代のクレジットカードに至るまで、さまざまな時代と地域のモノが人類200万年の「歴史の断片」を語りかけます。「ウルのスタンダード」や「ルイス島のチェス駒」など、教科書や映画で紹介され、大英博物館でも抜群の知名度を誇る作品も来日します。作った人は何を考え、どのような時代を生き、何を信じていたのか-100のモノに秘められた物語を読み解き、時空を超えた世界旅行をお楽しみ下さい。

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 展示はプロローグ「モノは語る」→想像の芽生え→都市の誕生→古代帝国の出現→儀式と信仰→広がる世界→技術と芸術の革新→大航海時代と新たな出会い→工業化と大量生産が変えた世界
 というテーマ順にみていきます。ほぼ時代順です。
 印象に残った展示物をいくつか。
 
「メソポタミアの大洪水伝説を語る粘土版」
 抗うことのできない自然災害、その巨大で破滅的な破壊力を後世の人間に知らせようという意図がある。自分よりも後に生きる者たち、受け継ぎ・受け継がれるものに対しる確固たる認識があることに感銘。
 
「ロゼッタ・ストーン」
 これが一番感動した。教科書やテレビなどで何度も見ているし、実は大学の授業でも少し解読のまねごとなんかもしたことがある。でも本物を見て、これが出土した時の人々の驚きと、その後の社会に対する影響力の巨大さに、思いを馳せないわけにはいかない。巨大な建造物だけが残された古代エジプトという『伝説』が、この1枚の石の出土で『科学』に変わった瞬間。いや、ほんとうに感動した。
 
「ウルのスタンダード」
 これが見たくこの展覧会に行ったようなもの。ばらばらになった装飾を復元して現在の姿に成ったとのこと。展示品保存のため、照明が暗く、ラピスラズリの装飾の青さが分からなかったが、これはいた仕方が無いところですね。
 
愛すべき様々なキャラクターたち
「トナカイ角に掘られたマンモス」「古代エジプトの化粧パレット」「アメリカ先住民のパイプ」など、動物をモチーフにした装飾品たちが目を楽しませてくれました。動物に限らず、こういった装飾の類は、「食うこと」が安定しているから出来る発想。現代に生きる自分も、経済効率や数字に追いかけられ過ぎず、遊び心を忘れずに生きていたいものです。

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 この展覧会に行ったのは1月2日。まだまだ初もうでの人出で、神戸の街はごった返していました。我々も久しぶりに生田神社にお参りしました。


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ルーブル美術館展 京都市美術館 [展覧会・ミュージアム]

ルーブル美術館展
日常を描く~風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄~

京都市美術館

 6月下旬にこの特別展に行ってから、放ったらかしにしておりましたが、時間が出来ましたので記録用に更新を。
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 季節は梅雨の真っただ中でまだ肌寒かったのを覚えています。ロームシアターが出来ると、この岡崎界隈にもよく足を運ぶことになりそう。

 今回の目玉はフェルメールの「天文学者」。
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 3月にフェルメールの『リ・クリエイト作品』で見ていたので、それほど大きくない絵画だというのはわかっていましたが、その小さな絵に人が集中するので、いいポジションで見るには時間がかかりました(汗)

 やっぱり本物が放つ光は違いました。天球儀と「天文学者」(地理学者と同じ人物か)と言われる部分にあたる光と、部屋全体を包む暗さのコントラストが、「学者」というよりも占星術家と言った方が良いような独特の雰囲気を醸し出しています。この人物が切る着物のような衣服はその名も「ヤポン」。江戸幕府の時代の日本が唯一西洋に扉を開いていた国、オランダで大流行していたそうです。

 絵画を見ていくと、自分がよく知らない名前が多い。いかに自分の知識が19世紀以降に偏っているかが分かります(ホントに18世紀までだと、ムリリョとブリューゲル、ルーベンスぐらいしか知らない・・・)。しかし、絵としては見ていて楽しいものが多いです。

 しかし、解説などを読んでいくとなかなか一筋縄ではいかないんですね。
 例えばピーテル・デ・ホーホの「酒を飲む女」には、お酒を飲む女を中心に若い男が二人、その横で老婆が描かれている。手前の床には犬が眠っている。この眠っている犬がポイントだというんです。眠る犬は誠実さや貞操が「眠っている」状態。女は娼婦で男は女を物色し、横の老婆はお金をピンハネする「取りもち女」という答えでした。
 一方でハブリエル・メツーの「若い女性を訪れる士官」にも犬が登場し、犬は若い女性に語りかける士官をしっぽを振りながら見ている。これは若い士官が女性に愛情を向けている様子を表している。犬の目が空いているか閉じているかが重要・・・うーむ、奥が深い。

 他にもいわゆる「画中画」と言われる、絵画作品の中の壁などにかけられている「絵」にも色々なメッセージが込められていたり、登場人物の服装はもちろん、描かれた果物や家具や道具などの種類など、作者がメッセージを込めるアイテムには事欠かない。 

 風俗画は実際の生活の場面を切り取ったわけでは無く、画家たちの想像力によって創作された「日常の風景」が描かれている。だから絵画の中に当時の社会の倫理観や価値観の宗教感といったものが凝縮されているわけですね。

 特別展では気に入った絵の絵ハガキを買うようにしていますが、今回買ったのはこの5つ。

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ジャン=バティスト・クルーズの「割れた水瓶」、ヨハネス・フェルメールの「天文学者」、クエンティン・マセイスの「両替商とその妻」、マルタン・ドロリングの「台所の情景」、ペーテル・パウル・ルーベンスの「満月、鳥刺しのいる夜の風景」

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京都市美術館の帝冠様式の堂々たる建物


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チューリッヒ美術館展 神戸市立博物館 [展覧会・ミュージアム]


チューリッヒ美術館展 ~印象派からシュルレアリスムまで~
神戸市立博物館 

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 「展覧会のみどころ」ということで、『圧巻!すべてが代表作!』と謳われていたこの特別展。その名にたがわぬ圧巻の作品群でした。

以下、展覧会説明文より 


 金融の街として知られるチューリヒは、スイスの富を象徴するような、優れた美術品の宝庫でもあります。そして、美しい街の中にあるチューリヒ美術館は、18世紀末に地元の芸術家や鑑定家たちが立ち上げた小さな集まりに端を発します。

 1910年にコレクションの収集と企画展開催を目的とした美術館の建物が落成し、その後、若き日のムンクやピカソ、ボナールなどの個展をいち早く開催すると同時に、スイス国内の裕福なコレクターからの寄贈を受け、コレクションを充実させました。現在は10万点以上の作品を所蔵しており、特に19世紀の印象派以降から20世紀にかけた近現代美術コレクションが優れていることで知られています。 
 充実した美術コレクションの中より本展では、19世紀後半から20世紀に活躍した、印象派からシュルレアリスムにいたる34作家の作品74点を紹介します。これらの中には、モネ、ドガといった印象派の巨匠をはじめ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソーといったポスト印象派・素朴派の画家、ボナールなどのナビ派、ムンクなどの表現主義、マティス、ヴラマンクらのフォーヴィスム(野獣派)、ピカソ、ブラックらのキュビスム(立体主義)、さらに、モンドリアン、カンディンスキーらの抽象主義、そして、ダリ、ミロ、キリコ、マグリットらシュルレアリスムの著名な画家たちの傑作が名を連ねています。また、ホドラー、セガンティーニ、ジャコメッティ、クレーら、スイスにゆかりの深い芸術家たちの作品も登場します。


 私は30代に入ってから西洋画を見るようになったんですが、その大きなきっかけが、大原美術館によく通うようになったからでした。
 美術館ギャラリーで行われるコンサートのたびに、そのギャラリーに展示されている西洋画の代表作を何度も見ているうちに、その作品を描いた画家たちに親近感を抱くようになり、海外の美術館の特別展などを見た時も、自分の中で「ああ、これは大原にもある〇〇だな」という、立ち返る場所みたいなものが出来た気がしています。

 そういう視点で見たことで、今回の特別展の素晴らしさが、なおいっそう感じることが出来ました。

 まず、今回の目玉作品の一つ、2m×6mのモネの「睡蓮」。
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 天井のそれほど高くない神戸市博に展示されていると、いっそうその巨大さが実感できました。僕が普段見ている大原美術館の睡蓮
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 これは1906年の作品、この作品ではまだ蓮の葉や花がハッキリとわかりますが、今回見た睡蓮は水面から立ち上る瘴気のように、姿かたちが見えません。しかし、出来るだけ原色をとどめた絵の具が本当に輝くように描かれている。モネの庭に対する思いが強く伝わって来るようでした。

モネと言えば、次は『積みわら』
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これ1891年の作品。

大原美術館の『積みわら』
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1885年の作品です。

 大原美術館の『積みわら』は大原の作品の中でもお気に入りの一つですが、わずか6年間で全く違う作風。この6年の間に何があったのか?また勉強したいと思います。 

 もう一つ、『国会議事堂、日没』
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 圧巻の色づかい。テムズ川に映り込む夕日の美しさに息を飲みました。
 
 スイスと言えばアルプス、アルプスと言えばセガンティーニ、ということで。
 セガンティーニの『虚栄』
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 いつも親しんでいる大原美術館の『アルプスの真昼』
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 いやー、やはりセガンティーニの『緑』は本当に奥行きがあるなあ・・・と思いました。この緑色はカミーユ・ピサロと並んで印象に残ります。
 一方で、これらとは全く色使いが異なる『淫蕩な女たちへの懲罰』という作品もあり、自分の知らないセガンティーニに触れた思いです。

 次にセザンヌ。『サント=ヴィクトワール山』
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 これを見た時、「なんか、どっかで見たことがあるような・・・」と思っていましたら、この絵の一部を切り取ってズームしたような作品が大原美術館にある
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『風景』(白樺美術館永久寄託作品) 

 セザンヌは故郷のエクサン・プロヴァンスの風景を何十枚と書き残しているそうです。どちらもその風景を収めた作品。

 モンドリアンの『赤、青、黄のあるコンポジション』
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 前の職場に居られたパートの方が、このモンドリアンの図柄のTシャツを着ていました(爆)
 大原美術館にある作品はもうちょっとセル(と言っていいのかな)が複雑ですね。

 このほかにもジャコメッティ、ピカソ、ゴーギャン、ルソー、ドガ、ボナール、特にスイスの画家であるホドラーの作品の充実が光りました。

 最後に、僕が一番印象に残ったのは
 ゴッホ『サント=マリーの白い小屋』
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 この壁の白さは何なの?ほんとうにキャンパスが白く輝いていました。絵の前の滞在時間が一番長かった。ゴッホの絵に世界中の人々が魅了される理由が初めてわかった気がします。

 チューリッヒ美術館展の公式ページを見ていると、あの有名な(耳を切り落とした)ゴッホの自画像を収蔵しているのも、チューリッヒ美術館なんですね。

 もう、本当におなか一杯になった特別展でした。そして、やはり地元の大原美術館の偉大さも実感。大原美術館があって、気軽に足を運べる環境にあったから、こうして世界的な美術館の一級の作品群を目にしても、何らかの親しみを感じることが出来る。これは本当に大きい。次回、大原美術館に行ったときはまた違った印象を楽しむことが出来そうです。


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フェルメール 光の王国展 岡山シティ・ミュージアム [展覧会・ミュージアム]

 チュリッヒ美術館展の感想の前に、4月の下旬にはこんな催しに行ってきました。

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 世界に三十数点しかないフェルメールの名画。それが一堂に会します。

 ただし、すべて「リ・クリエイト作品」。色々と難しい説明が書かれていましたが、乱暴に言えば、作品が書かれた当時の状態を科学的に分析した結果、作成された「複製」です。
 「複製」の作品としては、どの絵も非常に奥行きを感じ、フェルメール独特の構図の妙というものがうまく出ていたと思います。
 ただし、(当たり前の話ですが)絵具による独特の立体感・迫力というものはもちろん再現出来ませんし、大きく引き伸ばした絵は輪郭が甘かったり、僕が本物を展覧会で拝見した「真珠の耳飾の少女」についてはもっと絵のうちから放たれていた色彩感・輝きというものが全く感じられませんでした。それ以上に、『あれれ、こんなに小さい作品だったっけ!?』と驚くほど存在感がなかった。
 複製とは言え、再創造=「リ・クリエイト」と言うならばもう少し精度の高いものを展示しないと、1000円の入館料を取る「展覧会」としては少々お粗末だと感じました。
 この催しの意義としては、フェルメールの数少ない貴重な作品を年代順に、かつ原寸大で感じ、勉強できること、これに尽きるのだろうなあと思われます。
 あと、展示作品すべてが複製であったことで、館内は撮影OK。監視役の職員も居られません。当日は土曜日ということもあり、なかなかの人出だったのですが、一部の観覧者の中には、スマホで写真を撮ること「だけ」が目的なんとちゃうんか?と思われるような人も居ました。正面から撮らないと絵がゆがむので、その正面の位置を取り合い、上手く撮影したらじっくり絵を見ることもなく次の絵へ・・・・
 絵が見たければ図録や、世の中にあまたあるフェルメールの画集でも買えばいいのに、と思いましたが、恐らく彼らはLINEやFacebookに自分が撮った写真を上げることに意味を見出しているのでしょう。
 こうまで(複製とはいえ)作品に敬意を払われない『展覧会』は、はじめて経験しましたね。

 写真撮影は禁止、照明にも最新の注意が払われ、要所には監視の職員。小声で話をするのもはばかられる静寂・・・・。こういった形式的な要件が揃わないと、美術展でもこういうことになるんだ・・・といういい勉強にはなりました。
 ともあれ、今年は京都まで足を伸ばせば「天文学者」と「水差しを持つ女」の本物を鑑賞することが出来る。ぜひ本物を見たいと思います。

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岡山城春季特別展「黒田官兵衛の生きた時代」 [展覧会・ミュージアム]

 少し前になりますが、連休最終日に岡山城へ。

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 新緑の中にそびえるお城もなかなかの風格です。

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 あまり近づきすぎると鉄筋コンクリート造りがバレバレ・・・

 しかししかし・・・岡山城には違う魅力があります。中がちょっとした歴史博物館になっているんです。

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大河ドラマの公式な展覧会ではありませんので、衣装や小道具の展示はありません(笑)どうも、そういうのを期待して来てはったお客さんが多かったような。

展示点数は少なかったですが、秀吉による備中高松城の水攻めの様子がジオラマで確認できたり(物凄い大規模な土木工事!土地勘がある岡山の人は「ホンマにこんな大規模なことをやったのか??」と疑問に思うぐらい)、黒田家だけではなく、宇喜多家についても詳しい説明がありました。今年の大河ではかなりの曲者として描かれていて、戦国の梟雄としての史実も多い訳ですが・・・違う一面も持っていたとのことでした。

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ターナー展 ~英国最高の風景画家~ 神戸市立博物館 [展覧会・ミュージアム]

 今回の帰省の主目的の一つでもあった、ターナー展に行ってきました。

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 4年前に岡山県立美術館で開催された特別展で、ターナーの絵は何点か見ましたが、こうして一堂に拝見することが出来て、特に円熟期から晩年期の絵画の進取性に感銘を受けました。

展覧会の開催趣旨については、神戸市立博物館サイトから
英国絵画の地位を飛躍的に高めた風景画の巨匠として名高いジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)はロンドンに生まれました。幼い頃から優れた画才を発揮し、10代で英国の風土や名所旧跡を描く水彩画家となります。やがて油彩画にも取り組み、弱冠26歳にして、英国の美術界で絶対的な権威を誇っていたロイヤル・アカデミーの正会員になりました。ターナーは風景をどのように描くかを探究し続け、自然の劇的な変化を描き出した壮年期の作品や、光と色彩があふれる幻想的な晩年の作風から、ロマン主義を代表する画家の一人と称されます。
 また、その画風は、クロード・モネをはじめとする後のフランス印象派の画家たちにも大きな影響を与えたとされますが、日本では、英国留学経験のある明治の文豪、夏目漱石が愛した画家としても有名です。
 本展では、世界最大のコレクションを誇るロンドンのテート美術館から、ターナーの油彩画の名作30点以上に加え、水彩画、スケッチブックなど計113点を紹介します。日本でまとめて見る機会が少ない巨匠の大回顧展をどうぞお楽しみください。

 開館直後の9:40、それほど人も多くなくゆっくり見れました。展示は年代順に展示されています。
ターナーの絵の特徴である「光」と「色彩」。
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 展覧会のポスターやパンフレットに使われている、この「チャイルド・ハロルドの巡礼-イタリア」の見事な色彩と緻密な描画に圧倒される(サイズにも圧倒されましたが)。
 母国イギリスの風景画は、図録なんかで見ると「なんだか暗い色使いやな~」(⇐素人の浅はかな妄言)、と感じるだけなんですが、こうして実物で見ると色彩の奥行きというか、空気感はハンパないですね。

 「光」といえば、「レグルス」という作品。これが本当に1820年代に書かれた作品なのか?と、目を疑ってしまうような斬新な光の描かれ方。クラシック音楽界でいえば、大騒動を起こしたベルリオーズの「幻想交響曲」のような作品かも?(ちょっと違う?)
 
 それから個人的に勉強になったのは、18世紀のヨーロッパにおいて共有されていた『崇高』という概念。ターナーも、この「崇高」の表現のために、自然の猛威や美しさをモチーフにした風景を見ました。18世紀と言えばベートーヴェンなども活躍した時代。ベートーヴェンの作品からも自然に対する敬意を表する作品が沢山ありますね。

 若いころは権力者や大衆に受けるような、今でいうナショナリスト的な一面を見せていたようですが、晩年は批判をものともせず、独自な世界を模索していったようです。
 

 イギリスが世界帝国への地歩を着々と固め(同時に戦争と侵略を重ね)、産業革命と急速な工業化や貧富の格差など社会問題の真っただ中にも居たターナー。
 どの作品も、その人類史上まれに見る社会変動の時代の『空気』を運んでくれるようで、興奮しながら観覧しました。

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 ターナーの風景画を使った「天気予報」ボード。

 余談ですが、ブログ仲間のとしゆきさんが、同じ日に同館を数時間差で訪れていたことを後で知り、驚きました(笑)

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古代ガラス展 岡山市立オリエント美術館 [展覧会・ミュージアム]

古代ガラス展 色彩の饗宴

岡山市立オリエント美術館
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岡山市立オリエント美術館HPから

 本展は、大英博物館より特別出展される世界的名宝10点(うち8点が日本初公開)に、国内に所蔵される世界的ガラス・コレクションを合わせた約200件を一堂に展観します。
 会場では、ガラスの色彩と装飾技法を手がかりに古代のガラス作品と貴石製品を比較や、最新の分析化学の応用成果をふまえた再現研究の成果など、謎に包まれた古代ガラスの神秘に迫ります。
 ガラスが天然の貴石と同等の価値を持っていた時代、透明感や自在な成形といったガラスの特性を巧みに利用し、ついに新たな美の世界を生み出した古代の美意識をご堪能ください。

 

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 副題に「大英博物館の名宝・特別出展」とありましたが、その名宝とは『スパイラル・レース・ガラス碗(伝クレタ島出土/紀元前2世紀)』と『ゴールドアカンサス文碗(イタリア・カノッサ出土/紀元前250懇ろ)』。どちらも往時の輝きを再現するために岡山のガラス作家の松島巌さんがレプリカを制作し、その制作過程をビデオで見ることが出来ました。

  ビデオを見ると、現代一流のガラス細工師をもってしても、あり得ないほど高度な技術で作られた事がわかります。

 他にも感銘を受けたことをいくつか

・いわゆる『コバルト・ブルー』と言われる、コバルトと銅を用いたガラス細工は、紀元前2050年ごろにはその技術が使われていた。

・イランなどから出土する銀化したガラス製品は、時間の贈り物。地中に長い時間埋まっているときに銀化。MIHOミュージアムにはそのコレクションがある。

・ガラスの成分は、非破壊で検出できるそうだ。それによって製法や原材料の産地など詳細な情報が得られるらしい。

 それにしてもMIHO MUSIUMからの展示物には圧倒された。アメンホテプ3世の「ファラオ頭部」といい、美しいガラスの器やガラス装飾品のコレクションといい、今回展示されたコレクションを見ると、古代オリエント・エジプトのコレクションとしては西日本最大と言われる、岡山市オリエント美術館を凌ぐのではないか?と思う。同じジャンルの展示物で比較すると、明らかにMIHO MUSIUMの方が状態が良いように思えるのだ。一度はMIHOミュージアに行ってみたいが、滋賀の信楽の近くということで、何か機会を捉えないと行く機会がなさそう・・・

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 こういう考古学遺物の展覧会に行くと、時々思うんですが、こういう古代の遺物って、何千年も経っているのに、なんというか人間臭いんですよね。今回の展覧会でいうと、ゴールドアカンサス碗やスパイラルガラス碗を作成した古代の技術者が実際に手を掛けたモノ、そのものを目にするって凄いな・・・と。歴史のロマンという要素もありますが、僕が思うのは、「王様(あるいわ皇帝)が、こんな無茶なモン作れって、やってらんねえよな!」とか、ブツクサいいながら、それでも「目にモノ見せてやる!」と腕まくりして作ったりしたんやろうなあ・・・と。想像逞しすぎますか?

 近代以降の絵画や彫刻を見ても、こういう感動って味わえないんですよね。彼らにとって作品は近代エゴの発露であったり、自己表現そのものであったわけです。宗教壁画なんかだったら上から無理難題を押し付けられて愚痴をこぼしながら作ったかもしれませんが。

 考古学遺物の名も知らぬ製作技術者って、なんだかオーケストラに似ていると思います。指揮者の自己表現や解釈のお蔭で演奏技術的にはかなりの無理難題を強いられたり、でも心の中で反発しようとも「これができるのは自分達しか居ない」という矜持が湧いてきて、音楽が始まっちゃうと夢中で演奏する。

 モーツァルトより前の宮廷や貴族お抱えの作曲家も同じかもしれませんね。

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