SSブログ

古代ガラス展 岡山市立オリエント美術館 [展覧会・ミュージアム]

古代ガラス展 色彩の饗宴

岡山市立オリエント美術館
WS000000.JPG

岡山市立オリエント美術館HPから

 本展は、大英博物館より特別出展される世界的名宝10点(うち8点が日本初公開)に、国内に所蔵される世界的ガラス・コレクションを合わせた約200件を一堂に展観します。
 会場では、ガラスの色彩と装飾技法を手がかりに古代のガラス作品と貴石製品を比較や、最新の分析化学の応用成果をふまえた再現研究の成果など、謎に包まれた古代ガラスの神秘に迫ります。
 ガラスが天然の貴石と同等の価値を持っていた時代、透明感や自在な成形といったガラスの特性を巧みに利用し、ついに新たな美の世界を生み出した古代の美意識をご堪能ください。

 

IMAG0598.jpg

 副題に「大英博物館の名宝・特別出展」とありましたが、その名宝とは『スパイラル・レース・ガラス碗(伝クレタ島出土/紀元前2世紀)』と『ゴールドアカンサス文碗(イタリア・カノッサ出土/紀元前250懇ろ)』。どちらも往時の輝きを再現するために岡山のガラス作家の松島巌さんがレプリカを制作し、その制作過程をビデオで見ることが出来ました。

  ビデオを見ると、現代一流のガラス細工師をもってしても、あり得ないほど高度な技術で作られた事がわかります。

 他にも感銘を受けたことをいくつか

・いわゆる『コバルト・ブルー』と言われる、コバルトと銅を用いたガラス細工は、紀元前2050年ごろにはその技術が使われていた。

・イランなどから出土する銀化したガラス製品は、時間の贈り物。地中に長い時間埋まっているときに銀化。MIHOミュージアムにはそのコレクションがある。

・ガラスの成分は、非破壊で検出できるそうだ。それによって製法や原材料の産地など詳細な情報が得られるらしい。

 それにしてもMIHO MUSIUMからの展示物には圧倒された。アメンホテプ3世の「ファラオ頭部」といい、美しいガラスの器やガラス装飾品のコレクションといい、今回展示されたコレクションを見ると、古代オリエント・エジプトのコレクションとしては西日本最大と言われる、岡山市オリエント美術館を凌ぐのではないか?と思う。同じジャンルの展示物で比較すると、明らかにMIHO MUSIUMの方が状態が良いように思えるのだ。一度はMIHOミュージアに行ってみたいが、滋賀の信楽の近くということで、何か機会を捉えないと行く機会がなさそう・・・

IMAG0601.jpgIMAG0599.jpgIMAG0602.jpg 

 こういう考古学遺物の展覧会に行くと、時々思うんですが、こういう古代の遺物って、何千年も経っているのに、なんというか人間臭いんですよね。今回の展覧会でいうと、ゴールドアカンサス碗やスパイラルガラス碗を作成した古代の技術者が実際に手を掛けたモノ、そのものを目にするって凄いな・・・と。歴史のロマンという要素もありますが、僕が思うのは、「王様(あるいわ皇帝)が、こんな無茶なモン作れって、やってらんねえよな!」とか、ブツクサいいながら、それでも「目にモノ見せてやる!」と腕まくりして作ったりしたんやろうなあ・・・と。想像逞しすぎますか?

 近代以降の絵画や彫刻を見ても、こういう感動って味わえないんですよね。彼らにとって作品は近代エゴの発露であったり、自己表現そのものであったわけです。宗教壁画なんかだったら上から無理難題を押し付けられて愚痴をこぼしながら作ったかもしれませんが。

 考古学遺物の名も知らぬ製作技術者って、なんだかオーケストラに似ていると思います。指揮者の自己表現や解釈のお蔭で演奏技術的にはかなりの無理難題を強いられたり、でも心の中で反発しようとも「これができるのは自分達しか居ない」という矜持が湧いてきて、音楽が始まっちゃうと夢中で演奏する。

 モーツァルトより前の宮廷や貴族お抱えの作曲家も同じかもしれませんね。

IMAG0597.jpg


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

木曽のあばら屋

岡山オリエント美術館
この建物の雰囲気というか空間が好きで、
岡山に住んでいた頃はときどき行ってました。
最後に行ってから10年以上経ちます。
久しぶりに行ってみたくなりました。


by 木曽のあばら屋 (2013-08-18 10:44) 

ヒロノミンV

>木曽のあばら屋さん
 こんばんは。
 確かに石室のような壁面が雰囲気を持っていますね。2階の撮影禁止エリアの外から館内を撮りましたが、2階の構造は他の美術館では見られない凝った作りですね。
 吉村作治のエジプト展・・・的な展示にもよく合いますし、今回のような玄人好みの展示にも合いますね。ぜひ、再訪してみてください。
by ヒロノミンV (2013-08-18 19:19) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。