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アマオケの岡山交響楽団で、ドヴォルザークの6番を堪能する [コンサート感想]

・岡山を代表するアマオケの岡響を久々に聴いた。


岡山交響楽団で第74回定期演奏会


スッペ/喜歌劇「詩人と農夫」序曲

グリーグ/ノルウェー舞曲

 〜 休 憩 〜

ドヴォルザーク/交響曲第6番


指揮:杉本賢志


2022年11月20日 岡山シンフォニーホール


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・配られたプログラムに過去の定期演奏会が掲載されているのだが、それを見ると2019年のブルックナー4番以来になるんやなー。その後、コロナの影響で2回中止、1回は無観客演奏という苦難の道のりを辿る。今日は大好きなドヴォルザークの6番がかかるので馳せ参じた次第。


・編成は1stVn9→2ndVn11→Vc9→Va9、上手にCb5というやや変則的な編成。奏者が揃わないパートには賛助奏者(プロ)が入って補強していた。

・3年ぶりの岡響サウンド、やっぱりいいもんですね。楽章の最後やトゥッティのあとの休符の際にホールに響き渡るサウンドが、このオーケストラ独特の柔らかいサウンドで、岡響健在を確認できた。

・音の迫力も充分でノルウェー舞曲はビシビシとトゥッティが決まって素晴らしかった。

・さあお目当てのドヴォルザークの6番。私のドヴォルザークの交響曲遍歴は、まず中学生の頃に9番にハマり、続いて8番、7番にドはまりした。6番は銀河英雄伝説のアニメで頻繁に使われていたので馴染みはあったものの、本当の良さに気づいたのは大人になってプロで実演(大阪シンフォニカー交響楽団、指揮はヴァーレクだったか)で聴いてから、そしてこの岡響の演奏で実演は2回目の鑑賞。

・ロマン派きってのメロディーメイカー、ドヴォルザークの面目躍如ですよね。第1楽章〜第2楽章はこれでもか!というほど魅力的なメロディーが惜しげもなく使われている。

・岡響はこの曲を偏愛する自分が「ここはこういう風に演奏してほしい」と思っている部分を、ほとんど叶えてくれた。自然賛歌を歌い上げる弦の泣きっぷり、そよ風が吹くようなティンパニ。木質感とぬくもりのある管楽器の音。そしてオルガニストだったドヴォルザークのハーモニー感覚を再現したようなオーケストラの全体の響き。どれも素晴らしかった。


・プロだと涼しい顔して通り過ぎていく部分も、こうして聞くと結構難所のある曲だということも解った。それらはすべてクリアされていたが、舞台上に「ここ、気をつけよう!」という空気が走るので、よくわかるのだ。第1楽章の提示部の部分からして落とし穴のような所がある。第4楽章に至っては、かなりの集中力とスタミナが必要な印象。

・そう、この曲は題3楽章までは第1級の名曲なのだ。しかし、第4楽章は演奏者の労多くして功少なし、の印象は否めない。ブラームスを意識せずに、交響曲題8番のようにドヴォルザーク自身の筆に任せて書き上げていたら、「後期4大交響曲」として一角を占める傑作になっただろうに。

・ともあれ、2〜3日で仕上げなければならないプロとは違って、半年の時間をかけて身体に染み渡った音楽をステージ上で出していく。聴き手も暖炉の火にあたっているような味わい深い温かみを感じながら音楽に没頭する、音楽を聴くことの一つの醍醐味を存分に味わった。

次回の定期演奏会は2023年5月14日。元N響首席ホルンの福川さんを迎えてのグリエール/ホルン協奏曲にメインはシベリウスの1番!これは聴き逃がせない。

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西日本のオーケストラの常任ポスト、世代交代が鮮明に [各地プロ・オケ情報]

 日本の諸都市オーケストラ(当ブログでは「地方オーケストラ」という表現はなるべく使わないようにしている)の来シーズンの体制・プログラムの発表が進んでいる。
 当分は「岡山引き籠もり」を決めているので、遠征する機会はそんなにないだろうが、西日本を中心に来シーズンのプログラムをザッピングするのは楽しい。

 そんな中で西日本諸都市のオーケストラの指揮者体制でハッキリした傾向は、指揮者の世代交代が鮮明になったことだろう。

 京都市交響楽団の常任指揮者に沖澤のどかが36歳で就任。名古屋フィルは川瀬賢太郎が音楽監督に38歳で就任し、九州交響楽団は2024年シーズンから太田弦(就任時29歳)を首席指揮者に起用すると発表。

 特に沖澤さんは、女性指揮者が常任ポストに就くのは、松尾葉子さん(1999年にセントラル愛知響常任指揮者に就任)以来ということで、その点でも注目を集めている。

 太田弦の九響首席指揮者就任は異例の若さでの抜擢、という文字が踊るが、過去の例を思い返すと、実はそれほど異例というわけでもない。

 高関健が85年に広島交響楽団音楽監督に就任したのも30歳の若さだった。その広島交響楽団は高関さんのあとに、1990年に田中良和(31歳)を音楽監督に起用、続いて十束尚宏(33歳)を音楽監督に起用するなど、若い力を楽団発展の原動力にしてきた。
 九州交響楽団も1996年から山下一史(34歳)を常任指揮者に起用。
 我らが岡山フィル・ミュージックアドバイザー(MA)の秋山和慶も東京交響楽団音楽監督に就任したのは27歳の1968年。岡フィル元MAの小泉和裕さんは1975年に26歳で新日本フィル音楽監督に就任している。

 そういえば小泉さんは今年度は名古屋フィル音楽監督にラストイヤーで来年度は九響のラストイヤー。ここ3年は来日キャンセルになった指揮者の代役(聴衆が納得する実力者はそうは居ませんから・・・)としても獅子奮迅のご活躍だった。少しお時間が出来るようなら再度岡山フィルへの来演をお願いできないものかな?


 最近では川瀬賢太郎さんが2014年に29歳で神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者に就任した例もある。

 上記に名前が出てきた指揮者たちは、現在は押しも押されぬ大指揮者になっている。若手指揮者の起用は賭けではあるが、素質が開花すれば楽団にとっても指揮者当人にとっても得るものは極めて大きいということだろう。

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