SSブログ

佐渡裕&日本センチュリー響のコンサート [コンサート情報]

 今年の岡山シンフォニーホールでの公演は、ほぼ毎月、岡山フィルを中心にしたオーケストラ公演が楽しめるラインナップになっていますが、次に楽しみなのが来月の佐渡裕指揮、日本センチュリー交響楽団の公演です。
 この公演の注目点は指揮の佐渡さんと、ピアノの反田恭平さん、というのが一般的な認識だろうと思いますが、僕は、日本センチュリー交響楽団の演奏に期待をしています。
 関西にはプロ・オーケストラが6つありますが、センチュリー交響楽団は京都市交響楽団と並んで、西日本でトップのアンサンブルを誇るオーケストラだと思っています。 
 この3年間、僕が聞きに行った日本センチュリー交響楽団のコンサートの感想一覧です。
 こうして列挙してみると、自分でも驚くぐらい足繁く聴きに行ってたんですねぇ・・。読み返していてもポジティブな感想ばかりで、時間がたった今でも、センチュリーの緻密で透明感があって、かつノーブルで心地よいサウンドをはっきりと思い出すことができます。ファンの中では『西の超高機能オーケストラ』と表現する向きもあり、まさにそのとおりだと僕も思います。
 聴いたコンサートの中でも、現在も継続中のハイドン・マラソンとシトコヴェツキーとのシューマンは素晴らしかった!ハイドン・マラソンでは、シェレンベルガーさんとの共演もありましたが、とても気持ちよく演奏していて、シェレンベルガーさんからの仕掛けに対して、オーケストラが素早く反応し、その掛け合いの中から音楽が泉のように生まれてくるのを心から楽しんでいる様子を見て、「岡山フィルをこういう風に育てたいんだろうな」と思ったのを覚えています。
 来月の岡山でのこのコンサートは2月19日からの12日間で国内11都市を回るツアーの9公演目で、マンネリ化や疲れが心配されますが、佐渡さんは若手の頃にセンチュリー交響楽団の首席客演指揮者だったこともあり、気心は知れているでしょうから大丈夫でしょう。
 センチュリー響の実力通りの演奏が出来れば、ここ数年の海外から岡山に来てくれたオーケストラと比較しても、アンサンブル能力は頭2つ3つ抜けています。本当に楽しみです。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

岡山フィル第58回定期演奏会 シェレンベルガー指揮 柴山昌宣・森野美咲ほか [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団 第58回定期演奏会 ニュー・イヤー・コンサート
〜きらめく、モーツァルトの響き〜
モーツァルト/交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
 〜 休 憩 〜
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」ハイライト
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
コンサートマスター:高畑壮平
歌劇キャスト
 アルマヴィーヴァ伯爵:片桐直樹
 伯爵夫人:柳くるみ
 フィガロ:柴山昌宣
 スザンナ:森野美咲
 ケルビーノ:川崎泰子
 マルチェリーナ:脇本恵子
 バルトロ:渡邉寛智
 バジリオ/ドン・クルツィオ:松本敏雄
構成・演出:柾木和敬
2019年1月20日 岡山シンフォニーホール
Scan20190123211744_001 - Edited.jpg
 「フィガロの結婚」は舞台美術はなく、いわゆる「演奏会形式」でのハイライトだったが、構成・演出を担当した柾木さんのアナウンスに沿ってとてもわかり易く、しかも作品の肝は押さえた見応えのある舞台になった。
 まずもって地元出身の森野さんのスザンナがとにもかくにも素晴らしい!!フィガロの柴山さん、伯爵の片桐さんらトップクラスの名歌手のため息が出るようなバリトンも堪能。
 前半のジュピターは、シェレンベルガーさんと楽団員が一体となり、理想のモーツァルトのジュピターを作ろうという気概に燃えた演奏で、アーティキュレーションや強弱の徹底、そしてフォルテへ向かうときのドイツ語の破裂音のアクセントのような切れ味は、聴いていて胸がすく思いだった。第一楽章冒頭の提示部が鳴った瞬間、これもドイツ語の巻き舌の発音が聞こえてきたようで「やっぱりシェレンベルガーのモーツァルトは違う!」と思った。
 アンサンブルの完成度や精度は、いま一つの部分もあったけれど、安易に妥協せず、貪欲に理想の音を追求した岡フィルの演奏に胸が熱くなった。最終楽章は見事だった。
 客席はほぼ満員で3階奥に少し空席があるのみ。相変わらず客足は絶好調。
 当日は気温14度まで上がり、「大寒」とは思えない寒の緩みだったが ときおり突風が吹きすさぶ天候で、自転車ごと飛ばされそうになった。今から思えばシェレンベルガー&岡山フィルの疾風怒濤のジュピターを暗示していたのかも知れない(笑)

 プレトークで事前のチラシに書いてあった曲順を入れ替え、前半にジュピター交響曲を演奏し、後半に「フィガロの結婚」を持ってくる旨、シェレンベルガーさんから直接発表される。去年は職場から抜けられずに、魔笛の途中から入ったが、今日は余裕を持って到着できたから全く問題ない。

 編成は舞台下手から順に1stVn8、2ndVn6、Va4、Vc4、上手奥にCb3の8型2管編成のストコフスキー配置。このぐらいの編成が岡山フィルの本来のサイズだと思う。弦のメンバーを見ても精鋭が揃った感じで、シェレンベルガーも楽団員も思い切ったことが出来る。

 ジュピターの演奏は、これまで岡山フィルで聴いたどのモーツァルト演奏よりも素晴らしく、エキサイティングだった。冒頭にも書いたとおり、エッジの立ったアーティキュレーションや、ジェットコスターのような強弱の徹底。最も印象に残ったのは、ピアノからフォルテへ向かう瞬間の、突風が吹き抜けるようなアタックの強さ。まさに疾風怒濤の演奏で、この曲が作曲された18世紀末の激動の中欧の雰囲気を伝えてくれた。もし、この日、はじめてモーツァルトの生演奏に触れた人が会場にいたとしたら、世間一般に流布されている「癒やしの音楽、モーツァルト」とのギャップに、さぞかし驚いたことだろう。
 僕も冒頭の主題の提示から驚いた。編成は小型なのにブルルンと腹の底から響いてくる、弦のドイツ式のグリッサンドに痺れた。そして、まるでオペラのテノールとソプラノの二重唱を思わせるような掛け合いから、全パートが有機的に連携して壮麗な世界が拡がってゆく。疾風怒濤の激しさの中にも、シェレンベルガー&岡山フィルらしい、止め・はね・払いが徹底された形式感のある演奏だった。

 ティンパニは木のマレットでバロックティンパニのような音。弦楽器はヴィヴラートを抑え、全体的にはピリオド系の要素を取り入れた演奏。トランペットは普通のドイツ式なのに、古楽器のようなパリッとしたテイストの音を奏でていた。今回は首席の小林さんは乗っておらず、テレマン室内にもおられた横田さんがトップだったが、さすがの音色だと思った。

 第1楽章はアンサンブルが整いきれない部分もあったが、理想のモーツァルトを演奏しようという火の玉のような情熱が舞台から伝わってくる演奏に聴き手の気持ちも昂ぶってくる。岡山フィル定期演奏会でのモーツァルトのシンフォニーが取り上げられたのは、前回(10年ほど前?)のシェレンベルガーとの初顔合わせの共演以来だと思うが、そのときよりもオーケストラが数段ステージの高い音楽づくりに挑戦していて、一瞬たりとも目が離せないのだ。
 第2楽章も速いテンポで進む。ピアニッシモは「弱い音」ではなく、ちゃんと芯のある弱音が聴こえてくるのが凄い。木管は盤石だった。殆どが30代以下の若い奏者だが、味わい深い音を聽かせてくれて、とりわけファゴットは首席が決まっていないため客演首席の方だったが、(後半のフィガロの結婚も含め)とても良かった。この楽章はロマン的にゆったりと聞かせる演奏が好きだったはずが、この日の岡フィルの演奏で、「こういう弛緩することのない、それでいて優美な演奏もたまらなく美しいなあ」と思った。
 第3楽章でも木管はやはり盤石で、弦楽器の音も一層艶が出てきたところで、アタッカ気味に第4楽章へ突入した。この楽章では、それまでシェレンベルガーの細かいタクトに従って動いてきたオーケストラが、指揮者の描く酵航路図にそって自分たちで新しい世界を拓いている瞬間のように感じた。まさに光り輝く瞬間の連続で、海外のオーケストラの演奏も含め、この水準の演奏のモーツァルトをこのホールで聴いた記憶がない。ちょっと褒めすぎ?いや、でもこういう魂のこもった演奏は、地元オーケストラが命を懸けて演奏するから聴けるのだ。どんな海外の一流オーケストラであっても、強行日程のスケジュールの中でのツアー公演では、こんな演奏はなかなか聽かせてくれない。

 シェレンベルガーは、定期演奏会で一通りモーツァルト後期交響曲をやると思うが、10年後ぐらいにもう一度後期交響曲ツィクルスをやって欲しい。10年前からこれほど進化するのだ。10年後には世界に出せるようなモーツァルトを聽かせてくれるようになると思う。

 後半のフィガロの結婚は、ステージには小道具のみで勝負。
 今回の歌手陣は本当に充実していて、冒頭述べたスザンナ役の森野美咲さんの歌声に聞き惚れた。第一幕のフィガロ(柴山昌宣さん)とスザンナの二重奏からして、「おお、これは凄い!」と圧倒された。「ハイライト」と銘打ちながら、全曲75分のボリュームが有り、重要なシーンはほとんど入っている。昨年の魔笛は、オペラ・アリア集といった趣きが強かったが、今回はほとんどオペラの舞台を堪能した気分。
 僕は管弦楽や室内楽作品に比べるとオペラは本当に見る習慣がないので、舞台美術のある専用劇場での大掛かりなステージとは比べる基準は無いのだが、歌手の方々の歌と演技、そしてオーケストラの美しい伴奏だけで充分に堪能した。
 自らも地元を代表するテノール歌手であり、今回は演出・構成に回った柾木さんの、絶妙のナレーションも良かった。岡山で数多くのステージに立っている経験からか、岡山の聴衆にはどこまでナレーションで説明すれば良いのか、そして客席の反応はどうなのか?独特の残響の岡山シンフォニーホールでのナレーターはどうあるべきなのか。計算しつくされていたように感じた。

 このモーツァルトのオペラを見て思う。人生は当人たちにとっては大真面目に苦しくしんどい、欲望やプライド・メンツに縛られ、偽善や露悪に翻弄され大切なものを見失ってしまう。でも少し離れた視点で人生を見つめてみると、何事も喜劇に思えてくる。
 モーツァルトは、そんな人生喜劇を涙がでるほど美しい音楽で抱擁してしまった。そこにはモーツァルトの人間に対する暖かい眼差しがあり、この日の演奏者たちの演奏からも、その暖かさが伝わってきた。大切なものや大切な人の存在に気づいた者は幸福だ。僕にとって大切なものは、家族との時間と、こうしてこのホールで生の音楽を聞きながら過ごす時間だ。

 これまで岡山フィルは、開館記念の目玉事業のワカヒメを筆頭に、僕が思いつくだけでも結構オペラの演奏の蓄積があって、そこへシェレンベルガーが継続的に関わるようになって、ニューイヤー・コンサートでのオペラのハイライト公演が定着しつつある。今回のキャストも岡山のオペラ公演を支えてこられた方々が出演・演出に関わっていて(池田尚子さんが急病で降板されたのは残念だったけれど)、これまでの蓄積が花開いている感がある。
 来年のニューイヤーコンサートは「カルメン」を取り上げる由。こうして、岡山の「オペラ・ニュー・イヤー・コンサート」が定着したら20年後には、岡山の聴衆はオペラの主要レパートリーを一通り聴くことになる。ぜひ定着してほしい。
 なかなか記事を書く時間も取れないので、文章をシンプルにしようとは思うのだけれど、いざキーボードを叩き始めると、書き残しておきたいことがどんどんと湧いて出てくる。それだけ充実した時間だったということか。

 当日の夜には賛助会員向けのレセプションが開催されたが、今回は遠慮させてもらった。子供がまだ小さい中でコンサートには行かせてもらっているので、終わったらさっさと帰らないと行けません。出席メンバーが地元政財界の重鎮の方が多いと思うので(自分の雇い主の偉いさんも来られそうだし)、シモジモの私はビビってしまいます。しがらみの無い地元以外のこういうレセプションには図々しく出ていくんですけどね(笑)

nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:音楽

2018年に足を運んだコンサートのデータ [コンサート感想]

 年末にその年に足を運んだコンサートデータのまとめを記事にしていましたが、2018年は「そんなに足を運べていないし、まとめるほどでもないかな」と思っておりました。

 ところが、年末年始の休みに散乱していたプログラムなどをファイリングしていたら、25回もコンサートに行っていたことが判り(笑)それなら・・・というわけで、今更ながらまとめ記事をエントリーします。

2017年のまとめ
2016年のまとめ
2015年のまとめ
2014年のまとめ

 2017年に足を運んだコンサートは25回。年間のチケット代総額は66,360円、1回あたり平均2,654円でした。
 今年は県外(電車で45分の福山は県外に含めず)に2公演しか行っておらず、今後も当分はこんな感じなので、浮いたお金を岡山フィルの賛助会員会費に充てています。

◎ジャンル別
 オーケストラ12回、室内楽7回、器楽ソロ5回、ピアノ・ソロ1回
WS000002.JPG

◎オーケストラの楽団別
WS000003.JPG
 
岡山フィルハーモニック管弦楽団:4回
他はすべて1回
 シュトゥットガルト室内管弦楽団、ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル、ポーランド放送室内合奏団、釜山フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団、NHK交響楽団、広島交響楽団、アマチュアオケ:1回(岡山交響楽団)

◎指揮者別
 ハンスイェルク・シェレンベルガー:2回
 以下、1回(おもな指揮者のみ)・・・準・メルクル、ステファン・ブルニエ、秋山和慶、飯森範親、高原守、村上寿明

◎ソリスト・アーティスト
2回:福田廉之介(Vn)、柾木和敬(T)、
 以下、すべて1回(おもな奏者のみ)
 内田光子/上原彩子/松本和将/梅村知世(Pf)、三浦文彰/シン・ヒョンス/戸澤采紀/福田廉之介/岸本萌乃香/(Vn)、、ワルター・アウアー(Fl)、西崎智子/橋本杏奈(Cl)、阪本清香/塚村紫/池田尚子/川崎泰子(S)、岡村彬子(A)、渡邉寛智/鳥山浩詩/山田大智(B)

室内楽団体:カルテット・ベルリン=トゥキョウ

◎プログラム曲目別
 2018年は集計せず

◎コンサートホール別
WS000004.JPG

◎会場の市町村別
WS000005.JPG

以上


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

今年もよろしくお願いいたします [自己紹介]

 遅ればせながら新年のご挨拶をさせていただきます。クリスマスに続いてまたまた他人のふんどしで相撲を取ります(笑)
2019oka-phil nenga.jpg
 岡山フィルからの年賀状です。こういうラフな感じの写真はいいですよね。「気軽に私たちの音楽を聴きに来てよ!!」という感じがあると、聴きに来たことが無い人の心理的ハードルが下がるでしょう。どんどん宣材に使っていくべきだと思います。
 それでは、この機会にこのブログの今後について書いておきます。 
コンサートのチラシやプログラムの表紙をそのまま掲載することにしました
 このブログでは昨年の途中まで、著作権・肖像権の問題のため、コンサートのチラシや演奏者の写真をなるべく掲載しないようにしてきましたが、あるSNSで「クラシックのコンサートの情報はただでさえ露出が少ない。チラシを配る方もなるべく多くの人に知って欲しい、と思って作るのだから誹謗中傷とかネガティブキャンペーンでない限りはネットに上げても良いのではないか」という意見を見て、「なるほどその通りだな」と思い。12月からチラシをボカシなしで掲載するようにしました。もちろん、アーティストや内容によっては掲載しないこともあります。


ブログの題名を昔使っていたものに戻しました
 コンサート以外の、例えば旅行などの写真を掲載するつもりでしたが、旅行の写真はほとんどアクセスが付かず(コンサート感想記事の1/5程度)、更新する時間も無いので馴染んでいた名前に戻しました。
言葉遣いについて
 「地方オーケストラ」という表現を止め、「諸都市オーケストラ」という言葉を使うようにします。ある諸都市オーケストラの常任指揮者の方も主張しておられますが、「地方オーケストラ」という表現は、中央(=東京)に対する地方という対比意識が根底にあり、ややもすると中央より少し遅れている・劣っているもの、という評価を内包する恐れがある。
 各都市で活動しているオーケストラはその都市において独自の文化を作り上げているわけですから、「地方オーケストラ」という呼称はなじまないと考えます。
 東京のオーケストラを指す「在東京オーケストラ」という表現も、京都のオーケストラとの区別を明確にするため、引き続き使用します。

岡山の街の話題についても触れていきたいです
 今年こそ「岡山フィル発展への研究」シリーズの完結を目指していますが、調べれば調べるほど、岡山の街がどのような街になっていけばいいのか?について考えさせられています。中心は岡山フィルの話題ですが、岡山芸術創造劇場の建設、現市民会館と石山公園周辺と旭川の一体的な水辺空間整備、路面電車の駅前乗り入れ、相次ぐ市街地再開発の動き、市役所の建て替えと跡地のアリーナ建設計画など、岡山の街がダイナミックに動いています。街づくりに関しては全くの素人ですが、文化や芸術に関心がある街づくりの素人ゆえに書けるものもあるかも知れません。
 仕事や子育てで全体的なブログの更新回数は減って来ていますが、幸いなことにアクセス数は以前とほとんど変わらず。岡山の街についてエントリーした記事はアクセス数がむしろ多いです。今後も気晴らしに書いていこうと思いますので、よろしくお付き合いください。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽