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三浦文彰 ヴァイオリン・リサイタル 岡山公演 [コンサート感想]

三浦文彰 ヴァイオリン・リサイタル
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ伴奏:イタマール・ゴラン
 
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 K.306
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.18
~ 休 憩 ~
(作曲者・曲名失念)赤とんぼの変奏曲?
(曲目自信なし)バルトーク:ルーマニア民俗舞曲から?(あやふやな記憶)
チャイコフスキー:「懐かしい土地の思い出」からメロディー
チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ ハ長調 op.34
チャイコフスキー:感傷的なワルツ op.51-6
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 op.28
 
2018年2月26日 岡山シンフォニーホール
 
 後半プログラムが変更になって、三浦さんからアナウンスはされたものの(ホールの残響で聞き取りにかった、あと演奏中にはメモを取ったりしない主義なのと筆者が記憶力に乏しいため)、当日は楽章構成も何も書いていないコンサート案内チラシが配布されたのみで、プログラムが無いので曲目を確認することも出来ません。主催者からの掲示やHP等での事後フォローもないので、曲名があやふやなままです。赤とんぼのメロディーの変奏曲のような曲と、バルトークのルーマニア民俗舞曲から1曲?(だと思うんだけど)。あと、チャイコフスキーの「懐かしい土地の思い出」のメロディー、これぐらい有名な曲ならばわかるんだけれども・・・。コンサートに行って、演奏された曲がわからないまま、というのは気持ちが悪いものです。
 
 三浦文彰さんの演奏は、大フィル定期演奏会で演奏されたハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲での凄演が強く印象に残っています。
 
 会場は2階・3階を閉鎖し、1階席+バルコニー席の5割ぐらい(600人ぐらい?)の入り。三浦文彰といえば大河ドラマ「真田丸」のソロ演奏で有名になり、メディアにも露出が多いアーティストの一人だと思うが、月曜の夜のコンサートということを差し引いても、もう少し入ってもいいんじゃないの?という印象。
 
 演奏は、後半のヴァイオリンの名曲を並べたプログラムでの演奏が、やはり凄かった。文句なしです。超絶技巧のみならず音にコクと照りがあり、いつまでもず~~っと聴いていたい美音だった。
 
 前半は、久しぶりに1階に座ったこともあって、前半1曲目のモーツァルトのソナタの演奏が始まった瞬間、自分の頭のはるか上を過ぎていくようなヴァイオリンの音に、正直言って戸惑った。10分ぐらいすると耳が慣れてきたが、ヴァイオリンのソロといえども、やはりこのホールは2階席で聴きたい。
 三浦さんの演奏は、まさに天衣無縫というべきもの。美音のささやきのようで魅了されたが、(楽章間に拍手が入ったこともあって)曲全体の構成感がやや不足していて、「モーツァルトのソナタを聴いた」というよりも、小品を3曲聴いたような印象が残った。
 
 しかし、R.シュトラウスのソナタでの演奏は三浦さんの美音に磨きがかかり、素晴らしい演奏になった。現在の三浦文彰を聴くならば、後半のロマン派の小ピースか、もしくはこのR.シュトラウスのようなコテコテの後期ロマン派の耽美的な音楽が合っているようだ。かといって外連味のある演奏ではなく、的確に音をとらえてく、どちらかといえば誠実な演奏。三浦さんの奏でる音の美しさがとにかく際立っていて、音楽そのものが持つ美しさをよく引き出していた。
 そしてピアノのゴランさんの演奏がこれまた素晴らしく、粒が立った音を変幻自在の音色で彩り、もはら伴奏の域を超えている。さすが世界屈指のピアノ室内楽奏者だと思った。三浦さんにとってはこれほど心強くも手ごわいピアノ伴奏者はいないでしょうね。三浦さんの美音とゴランさんの絶妙のタッチから繰り出される美音の饗宴に、陶然と耳を傾けた。
 
 アンコールはグルックのメロディー(歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」の中の曲のようだ)、そしてクライスラーの中国の太鼓。
 
 松江公演のプログラムには、ベートーヴェンの6番ソナタと、ブラームスの雨の歌を並べていて、プログラム的にはそちらの方が良かったな。次回のリサイタルはクラシックのソナタを並べるガチンコ・プログラムで聴きたいと思いました。

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「三浦文彰 ヴァイオリン・リサイタル」の感想の前に [クラシック雑感]

 昨日、三浦文彰さんのヴァイオリン・リサイタルを岡山シンフォニーホールへ聴きに行きました。その感想を書こうと思っていたんですけど、演奏そのものとは関係のない、運営面で腹の立つことが多くて、いったんそのことについて書き散らして、頭の中から追い払ってから三浦さんの演奏については、また後日書きたいと思う。
 
 私は音響の素晴らしい岡山シンフォニーホールを愛している、このホールは音が素晴らしいだけではなく、主催公演のスタッフの教育が行き届いている。サントリーホールのように全員がプロのホールスタッフというわけではなく、ボランティアのスタッフが大半を占めるが、彼らに対する教育が行き届いていて、「何を差し置いても音楽が主役であること」という思想が徹底されているし、「その存在を忘れるぐらい、さりげなくもしっかりと仕事はするスタッフ」を送り出している。岡山フィルの定期演奏会をはじめ、彼らの働きに毎回敬意を表するものである。
 
 しかし、ホールが主催しない、いわゆる貸館公演の場合は、その事業主催者が会場運営を行うのだが、岡山はその質が概してよくない。
 
 昨日のコンサートは、バイトくんのスタッフだけがやたら多かった。その割に印刷されたプログラム(有料も含めて)が配布されておらず、まあ、三浦さんがマイクを取ってプログラムについて説明してくれたからよかったようなものの、その日のコンサートへの思いやプログラムの意図をくみ取る重要な手がかりがなかった。せめてモノクロでもいいから楽章構成ぐらいは書かれたプログラムが必要だろう(イマドキ、たとえコンサート当日でもオルフィスで印刷すれば、700枚のプログラムなんてあっという間に出来るだろう)。前半のモーツァルトとR.シュトラウスのソナタでは毎楽章拍手が起こって間延びしてしまった。
 
 それぐらいはよいとしましょう。問題なのは、そのバイトくんとマネージャーか社員さんたちが、会場の入り口からホールのロビーに至るまで(あえて言いましょう)ムダに動き回って「携帯の電源を切れ」だの「カメラの撮影は見つけたらしょっぴく」だのと、常に声を張り上げている。コンサート前の非日常の時間が台無しだ。
 こちらも気になりだしたらだんだん腹が立ってくるもので、マネージャーっぽい人物が若いバイトの兄ちゃんを集めて何やら指示をだしているのだが、そこ、思いっきりホール内への出入り口の導線に被ってるから!一番偉そうなあんたが一番、客の邪魔だから!もうちょっと、人目を引かないところで集合をかけろよ!誰にアピールしてるんだ!?などと、だんだん腹が立ってくる。
 逆にバイトくんが「俺たち、邪魔になってるんじゃないかな~」と、通路に目線をおくっていたのが印象に残る。
 演奏が始まると、バイトくんは起立してドアの前に立っている。ここで嫌な記憶がよみがえる、4年ほど前に佐渡裕&兵庫PACオケの岡山市民会館でのコンサートで、会場見張りのバイトくんがじっとしていられなく、ずっとそわそわしていて、聴き手のこちらも気になって集中できなかったこと、あのコンサートも同じ主催者だっけなぁ。
 でも、この日の会場見張りの二人のバイトくんは偉かった。直立不動、微動だにせず、仕事を全うしていた。でも、岡フィル主催のコンサートみたいに会場見張りの子は椅子に座らせましょう。岡山シンフォニーホール主催のコンサートの運営を見て勉強していないのか?マネージャーさん。

 休憩時間中にはいり、いつもならロビーに出るのだが、「ロビーに出たら、また『携帯の電源を切れ』だのとオッサンが声を張り上げてるんやろうなあ・・・、そんなん、三浦さんの美音の余韻が台無しやん」と思って、ホールの中に引きこもっていたら、なんと、そのおっさんがホールの中に入ってきて、「携帯の電源を切れ、演奏が始まったら客席には入れない」と、注意をして客席を回っていた。ホンマ、首を絞めたろかと。
 失礼・・・取り乱しました。
 確かに、携帯の電源やカメラや録音禁止の注意は必要。実際、昨日も演奏中に携帯が鳴ったしね(おっさんの汚い声の注意を聴かされた上に、三浦さんの演奏中に着信音を間近で聴かされた自分、ホントに踏んだり蹴ったり・・・)。
 でも、昨日のやり方は「何を差し置いても音楽が主役」であるクラシックのコンサートでの注意喚起の方法としてどうなのか?じっくり反省をしていただきたい。くらしきコンサート主催公演では、プラカードを持って回っていたり、あるいは岡山フィルの公演では女性の声でのアナウンスで、注意喚起しています。
 おっさんの肉声で大声で叫んで回る、っていう対応は効果がないばかりか、最悪の対応の仕方だと思う。私は美しい音楽を聴きに来たんです、オッサンの声を聴きに来たんじゃないよ。前半の三浦さんの美音の余韻が台無しだわ、ある意味フライングブラボーと同じコンサート破壊行為ですよ。それを主催者が犯してどうするの?
 昨日のコンサートの主催者に告ぐ、あなたがたはイベントのプロかも知れないが、クラシック音楽のコンサート運営のプロではないよ。先にも書いた通り、プロのホールスタッフやレセプショニストは、仕事はするが存在感は消す。そして、そこで演奏される「音楽」が引き立つために、どうすればいいかを真剣に考えて行動する、そういう対応ができる人です。
 クラシックのコンサートが、なぜセットを組んだり照明演出をしないのか?オーケストラ奏者をはじめ、なぜ演奏者は燕尾服やシンプルな服装で演奏するのか?すべて主役である音楽にすべてを捧げるためです。
 コンサートが終わって、追加されたプログラムやアンコールの曲目を確認しようとロビーやエントランスを見回したが、どこにも貼られていない(僕が見落としたんでしょうか?でも、他にも「アンコールの曲目がわからない」と探しているお客さんがたくさんいました)。ホント、最後まで仕事のなっていない運営に、笑けてきました。
 それに対比して、普段のシンフォニーホールの仕事がいかに素晴らしいかもよく解った。頼むから、今後は岡山シンフォニーホールのプロの仕事に準拠した会場運営をしてください。よろしくお願いします。

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クァルテット・ベルリン=トウキョウ 2018冬 岡山ルネスH公演 [コンサート感想]

ルネスクラシックシリーズ Vol.17
クァルテット・ベルリン=トウキョウ 2018岡山公演
 
モーツァルト/弦楽四重奏曲第19番ハ長調「不協和音」
バルトーク/弦楽四重奏曲第1番
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第9番ハ長調「ラズモフスキー3番」
 
守屋剛志(第1ヴァイオリン)
モティ・パヴロフ(第2ヴァイオリン)
ケヴィン・トライバー(ヴィオラ)
松本 瑠衣子(チェロ)
 
2018年2月10日 ルネスホール
 
 記録を辿ると、このクァルテット・ベルリン=トウキョウ(以下、QBTと略)を聴くのは6回目になる。岡山という、決してクラシック音楽が盛んとは言えない土地で、これほどのレベルの弦楽四重奏団の演奏を、まるでシリーズのように毎回違った名曲で楽しめる・・・。これほどの僥倖があろうか。
 しかも第一ヴァイオリンの守屋さんは、東京芸大在学中には地元のアマ・オケなどの演奏会にソリストとして登場していて、その並外れた音楽性を存分に発揮されていた。それが今や世界的室内楽団体を率いて毎年凱旋してくださる。2010年以降の岡山のクラシック音楽シーンを後世で語られるとき、シェレンベルガーの岡山フィル首席指揮者としての活躍と、このQBTの連続室内楽シリーズが語られ続けるだろう。 
 そんなわけで、僕がこのQBTのコンサートにおいて冷静に感想を書くことなどできないわけでありますが、今回も本当に満足のコンサートだった。
 先に、バルトークの1番から。同じくバルトークの3番を、2年前の県美公演で聴いており、当時もQBTのアンサンブル能力の桁外れの高さに舌を巻いたのだが、今日の公演は3曲とも配置を入れ替えており、守屋さん(1stVn)とパブロフさん(2ndVn)が対向配置で向かい合い、守屋さんの隣にトライバーさん(Va)、その隣に松本さん(Vc)という配置だった。QBTは守屋・松本の二枚看板という印象だったのだが、この配置でパブロフさんと守屋さんが掛け合う構図が明瞭になり、守屋・松本・パブロフの3人の奏者が真剣で殺陣を繰り広げ、そこへトライバーが割って入る隙を伺うような、そんな緊張感が痺れる掛け合いとなった。バルトークの真骨頂の民俗舞曲調の場面での燃焼度は、以前にもまして高い。やはりQBTは凄い。
 モーツァルトの柔らかい息遣いと「間」の変化は、「やはり世界トップレベルのクァルテットは違う!」と思わせるに十分。ベートーヴェンのラズモフスキー・セットは、3年前に第1番を聴いているが、今回の第3番は貫禄と迫力十分の横綱相撲。前回の「大フーガ」が、一生心に残るような演奏を聴かせてもらったのと同様、今回もQBTのベートーヴェンを聴かせてもらった。ベートーヴェンの気高くも美しい音楽が、心の襞に沁みわたるようだった。
 もっと詳細に感想を書きたいのだが、物書き仕事が溜まっているので、とりあえず筆を置きます。気が付いたことは箇条書きで追加するかもしれません。
 
 
 ・守屋さんのプログラムトークによると、今回のプログラムの変更には理由があって、差し替え後のモーツァルトの「不協和音」はベートーヴェンの「ラズモフスキー第3番」に多大な影響を与えている、ハ長調という調整も同じなら曲のモチーフも類似性が見られる。しかし、だからこそモーツァルトとベートーヴェンの違いが分かるのではないか、ということで差し替えを行った、とのこと。
・アンコールには、当初のプログラムに組まれていた、ハイドンの弦楽四重奏曲第76番ニ短調「五度」から、第4楽章。
・今回のツアーでは岡山公演が2回組まれていて、2月6日には岡山大学Junko Fukutake Hall で、ハイドン79番、バルトークの2番、ショスタコーヴィチの9番を演奏した由。こちらにも行きたかったが、火曜日昼間の公演で断念せざるを得なかった。。。

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