THE MOST in JAPAN 2022 岡山公演 [コンサート感想]
THE MOST in JAPAN 2022 岡山公演
モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調 K.136
ブリテン/シンプル・シンフォニー(岡山市ジュニアオーケストラとのコラボ)
ブリテン/シンプル・シンフォニー(岡山市ジュニアオーケストラとのコラボ)
〜 休 憩 〜
バッツィーニ/妖精の踊り(※)
グリーグ/ホルベルク組曲
グリーグ/ホルベルク組曲
独奏(※)・コンサートマスター:福田廉之介
弦楽合奏:THE MOST
ヴァイオリン:小島 燎、佐々木つくし、関朋岳、竹田樹莉果、山根一仁
ヴィオラ:正田響子、田原綾子
チェロ:上村文乃、松岡陽平
コントラバス:岡本潤
チェロ:上村文乃、松岡陽平
コントラバス:岡本潤
共演:岡山市ジュニアオーケストラ
ヴァイオリン:2022年10月10日 岡山シンフォニーホール
・ホンマに気持ちのいい音楽を聴いた感じ。昨日の岡フィルの70人以上の大編成オーケストラもいいけど、12人の才能による泉のように湧いてくる新鮮な音楽を身体で聴く快感を堪能。毎回思うけど、この人数で2000人のホールを豊かな響きで鳴らし切れるんだよなぁ。
・1曲目はモーツァルトのディベルティメント、K.136。よく聴いている筈のこの曲が、とても新鮮に聴こえて来る。馬車に揺られるような通奏低音の上に、音楽にふわりと浮力が与えられたかと思うと次の瞬間、光が降り注ぐような音にワーッとなったり、ザクッとした肌触りに変化したりと思ったら乗っている馬車が勢いよく駆け出したり、みたいな目くるめく変化に心が浮きたっていく。
・2曲目は岡山ジュニアオーケストラのメンバー17名が加わってのブリテン/シンプルシンフォニー。一音目が鳴った瞬間、「これは凄い!」と。中高校生が中心だが、バスには分数楽器を使っている子もいるのにこの迫力と表現力。
・MOSTのメンバーも本気ですよ。このテンポで行きますかっ!てところにジュニアオケも食らいついて、アンサンブルに乱れはない。音大をめざしたり、中にはプロを目指している子がいるかもしれないが、にしても見事な音楽がはじけていた。
・休憩後は福田廉之介くんのソロによる。バッツィーニ/妖精の踊り。初めて聴く曲だったが廉之介くんのヴィルトゥオジティ全開のジェットコースターのような曲だった。妖精というより、金斗雲に乗っる孫悟空という感じだ。
・MOSTのメンバーも変幻自在。隙あらばなんか仕掛けてやろう、あっそれいいね、おっそう来る、じゃもっと煽ってやれ、みたいな遊びの要素もありつつ。
・変幻自在といえば、最後のホルベルグ組曲もそう。前奏曲から北欧の自然の風景が眼前に展開し、舞台上からの音はまるで高緯度地域を吹き抜ける冷涼な「風」。活気と愉悦に満ちた演奏。このTHE MOSTの演奏を聴いてると、なんだか日本のアンサンブルじゃなくて、本場のヨーロッパのアンサンブルを聴いている感じがするんだよな。フレージングなのか力強さなのか素人には判らないけど、第4曲のアリアの鳴きっぷりなんて、ホールが共鳴していたもんなぁ。一番は「とことん音楽してる」のが伝わって来るところ。
・アンコールはフィドル・ファドル、こんなお洒落で格好良くてニュアンスたっぷりなフィドル・ファドル、ありかよ!最高の時間でした。
・客席の入は800人弱ぐらいか、この小さな都市に音楽祭の期間はコンサートが目白押しになっている。岡フィルと1週間ずれていたら行けたのに・・・という人も多かったのでは?
・ソリストがオーケストラを組織してツアーを行うという点で反田恭平&ジャパン・ナショナル・オーケストラがある。あちらも奈良に本拠をおいて「地方からの旋風」を巻き起こしているが、バックには大スポンサー・レコード会社・大きな音楽事務所が付いている。THE MOSTは正真正銘、地方のグラスルーツから、福田くんの情熱と人格に共鳴した個人や企業がカンパのような賛助会費で支えている。本当、頑張ってるなあ、もっと色々なところに知られてほしいな、と思う。「おい、音楽之友社よ!海外のオーケストラ・ランキングとかやってないで、こういう活動を取り上げるのがおたくらの使命とちゃうんか!?もっと取り上げてよ!」と東京の音楽メディアには物申したくなる。
・メンバーの体調不良で6日の東京公演が延期、岡山公演も代演のチェロ奏者がなんと、昨日、獅子奮迅の熱演を聴かせてくれた岡フィル特別首席の松岡さんで、それがまるで昔からメンバーだったかのように若いメンバーとガチンコの見事な演奏に度肝を抜かれ・・でも、ここ数日の主催者の心労はいかばかりだったことか。まだまだ日常にはほど遠いけれど、来年も期待してます。
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