Alto de Campagne Vol.3 岡山公演 [コンサート感想]
テレマン/4つのヴィオラのための協奏曲第1番ト長調
ルクレール/2つのヴィオラのためのソナタニ長調
ビゼー(編曲:對馬時男)/オペラ「カルメン」メドレー
~ 休憩 ~
對馬時男/4つのヴィオラのための四重奏曲第2番「夏たけなわ」(世界初演)
ヘンデル(編曲:ターティス)/2つのヴィオラのためのパッサカリア
ノックス/4つのヴィオラのためのマラン・マレ変奏曲(スペインのフォリアの主題による)
棚橋恭子、中村翔太郎、中村洋乃理、村田恵子
2016年9月23日 ルネスホール
Alto de Campagneは「田舎風のアルト」の意。4人の出身者はそれぞれ鳥取・三田・笠岡・赤穂ということで、4人とも田園風景に馴染んだ田舎出身ということで結成された、珍しいヴィオラ四重奏のアンサンブル。
棚橋さんはフリーランスだが、両中村さんはどちらもN響次席奏者、村田さんは都響の奏者ということで、4人とも極めてハイレベル。これほどのレベルのヴィオラ奏者が4人も揃うというのは、岡山のような地方都市ではなかなか見られないです。私は去年に続いて2回目の鑑賞。
ヴィオラの音は理屈無しにいい音です。このカルテットがレベルが高く、どんな音を出すのかというイメージが豊かで、かつ統一されているから、これほどのいい音が鳴るのでしょう。アンサンブルでは深みとコクのあるサウンドが楽しめ、1曲家のテレマンにはよく登場した、ユニゾンではこんなに透明な音に重なるの?というほど、透明感のあるサウンドに酔いしれます。この4名の演奏を聴くと、なんで今までヴィオラ四重奏というジャンルが開拓されてこなかったのか?(実際に、ヴィオラ4本のための楽曲は極めて少ない、とのこと)不思議になります。
2曲目のルクレールは、棚橋さんと中村洋乃理さんのデュオ、5曲目のヘンデル(ターティス編)は、中村翔太郎さんと村田恵子さんのデュオ。特にヘンデルの曲をベースに、ヴィオラの達人:ターティスが編曲した曲は、たいへんな難曲のようで、聴いてる方も力が入りました。
ビゼーのカルメンの編曲も、ヴィオラのツボを心得た聴き応えのある編曲だったし、前回に引き続いての對馬さんのヴィオラ4本のための四重奏曲の第2弾、「夏たけなわ」は懐かしい日本の旋法を取り入れた非常に聴きやすい曲で、第3楽章の夕立なんて本当に雨がぽつぽつ→一気にザーッと降る感じが出ていて驚きました。
最後のノックスの曲は、ヴィオラの特殊な奏法のデパートのような曲で、村田さんの事前の解説もあり、興味深く聞かせていただいた。
普段は内声をやることが多い楽器だからか、どの演奏も聴き手の耳に心地よいアンサンブル。激しい場面もありましたが、それでも耳に届く音は尖りのないヴィオラ独特のしなやかな音。ヴィオラの音を「聴く」、というよりも、途中からは頭を空っぽにして「音を浴びる」ようなイメージで聴きました。
鳥取・姫路・三田・広島・東京とツアーで巡っていくようです。お近くの人はお勧めのコンサートです。
アンコールはパッヘルベルのカノン、そして「ふるさと」。
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