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読売日本交響楽団第11回大阪定期 ロト指揮 Vn:神尾真由子 [コンサート感想]

読売日本交響楽団第11回大阪定期演奏会

ベルリオーズ/歌劇「ベンヴェーヌ・チェッリーニ」序曲
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番
~休憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲

指揮:フランソワ=クザヴィエ・ロト
ヴァイオリン:神尾真由子
コンサートマスター:小森谷巧

2015年6月25日 ザ・シンフォニーホール

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 今日の読響大阪定期をひとことで言い表すと「すべては細部に宿る 」。

 メインの幻想交響曲。ロトのディテールへのこだわりが徹底されていて、当然要求も厳しい。ダイナミクスのレベルだけで25段階ぐらい?をコントロール。ピアニッシモだけで5段階ぐらいあるんじゃないか?ヴィブラートやトリルも、どれひとつ取ってもこだわりを見せた。

 表現のパレットも多彩にして劇的!キレッキレのアーティキュレーションを魅せたかと思ったら、オーケストラに存分に歌わせるところもあり。読響も、個々の奏者のミスは僅かにあったものの、聴くものを圧倒する鉄壁の(それでいて、極めて柔軟で、何よりも音楽的な)アンサンブルで、あらためて「ほんま、いいオーケストラやなあ…」と思い知らされました。

 第四楽章は鳥肌が立ち、脚が震えましたね。

 神尾さんのサン=サーンスの3番は舞台横のバルコニー席の二列目で、全然音が飛んで来なくて残念。まあ、覚悟はしてましたが…、それでもハイトーンの美しさは堪能させてもらいました。神尾さん、前回聴いた時から演奏スタイルが変化しましたね。

(6月30日 追記)
 翌日の京響の方を先に更新したため、こちらが手に着きませんでしたが、しかし翌日にあれほどのブルックナーを聴いても、ロト&読響の強烈な印象は衰えません。なんという2日間だ。

 5月の大フィル定期で取り上げられた幻想交響曲を引っ提げての読響大阪「定期」。11月に取り上げるシベリウスの2番は10月の大フィル定期で取り上げられる曲。いやはや、まったく容赦の無いプログラムですね。
 ザ・シンフォニオーホールは満席、補助席や立ち見までは出ていないものの、大植音楽監督時代の大フィルの定期演奏会のような期待と熱気に包まれていました。

 フランソワ=グザヴィエ・ロトは若い時は古楽オケを率いて・・・と書いてから年齢を見てみたら、なんとまだ44歳!自分とそんなに年齢かわらんやん。それでいてあの風貌に老獪なタクト。これだけでもタダものではありません。

 1曲目の「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲。事前にNMLで何度か聴いて臨んだんですが、この曲もティンパニが3人、ファゴットが4本という独特の編成!幻想交響曲が演奏されるときしか、取り上げられないであろう序曲。
 冒頭のサウンドから鮮烈でした。ティンパニは固めのマレット2種類を持ちかえ、ソリッドな音+もっと硬い音を使い分ける。管も弦もバリバリっとした肌触りの音を聴かせたと思ったら、静かな部分ではしっとりとしたサウンドも入れてくる。いやはや、この指揮者、やはり只者ではない。
 2曲目の神尾さんがソロを取ったサン=サーンスの3番。座席選択を完全に間違え、充分な音量で聴くことが出来なかったのが悔やまれます(神尾さんが指揮者の方を向いたときだけ音が飛んで来た)。非常によく歌う、誰にも出せないよく伸びる美しい高音は健在。
 しかし、前回聴いた時とは印象がちょっと違った。以前は何か自分の身を削るように演奏をする感じを受け、ちょっとやそっとでは人を寄せ付けないようなオーラを発しておられたように思いますが、今回聞くと神尾さんから発せられるオーラが柔らかくて、第2楽章の演奏に代表されるように、慈愛に満ちた世界を魅せてくれました。アンコールはなし。神尾さんがソリストをつとめたコンサートは3回目ですが、いずれもアンコールはありませんでしたので、ポリシー、なんだろうなあ。
 コンサート後には1階窓口で、神尾さんの登場するセンチュリーの9月定期のチケットが飛ぶように売れていたのが印象的。
 メインの幻想交響曲は、とにかく情報量がもはや多すぎて、個別の部分がどうだったかは覚えていないんですが、ダイナミクスとアーティキュレーションを精緻にコントロールして、このロマン派の幕を強引にこじ開けた革命的な曲を、これまた現代の古楽研究を反映した革命的な響きで満たされた演奏だった。この系統の演奏は、ガーディナー&オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティクの演奏を聴いて度肝を抜かれたんですが、これを東洋のフル編成のモダンオーケストラに、初めての顔合わせで徹底したところは凄い。
 アンサンブルの前面にでて動くパート、後ろで動くパートの立体感に圧倒されたた。まるで艦隊運用の魔術師とわ言われたフィッシャー提督の運用を見ているようだ(再び銀英伝ネタ)。
 第4・5楽章では、この立体感がこの曲のグロテスクさと諧謔性を一層際立たせていたように思うし、第1楽章の展開部の後半、もっとも盛り上がる部分で、ヴァイオリンのプルトの内と外で掛け合いをしている。視覚的にはいつも「別々に動いているな」と思ってみていたのですが、実際の音が聞こえてきたのは初めて。
 個人的な趣好でいうと、先月のメルクル&大フィルのモダンで音が溶け合うハーモニー感がありつつも、鮮烈なリズムと躍動が感じられたモダンな演奏が好みですが、巨大編成でこれだけ明晰な演奏と、激しいリズムを展開した、ロト&読響には、ただただ、その対応力の高さとアンサンブルの精度、オケ奏者の能力の底の高さに驚嘆せざるを得ないです。終演後の会場の熱気も物凄いもので、読響の『大阪定期』は大阪の聴衆に完全に定着した感がある。オケの性能面でも在阪オケとの間で決定的な差があるように思います。

 1階の特設窓口で、次回の大阪定期のチケットが一般発売に先駆けて売られていたのだけれど、これも飛ぶように売れていました。
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 恒例?のグルメレポート、と言っても今回はパンです。
 ザ・シンフォニーホールに行くときは、ヴィド・フランスのパンを買って、前の公演で食べることが時々あったんですが、ヴィド・フランスが岡山にもできて以降、「わざわざ大阪で食べんでも・・・」と思い、浄正橋交差点のちょい北、路地へ少し入ったところにある評判の「パネ・ボルチーニ」というパン屋へ。
この店はクリームパンが名物になっているようなんですが、クリームが美味しいうえに、御座候もビックリのあんこならぬクリームがギッシリ。パン生地とクリームの比率が1:2ぐらいなんじゃないでしょうか?コンサート前にはあまり重いものを食べたくないので、パンは非常に重宝来るんですが、ザ・シンフォニーに来る時の贔屓のパン屋さんになりそうです。

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