ウィーン・ヴィルトゥオーゼン 岡山公演 [コンサート感想]
ウィーン・ヴィルトゥオーゼン 名曲コンサート
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
モーツァルト(フランセ編曲)/ピアノと管楽器
シューベルト(ヘルベック編曲)/ドイツ舞曲
シューベルト/グラーツのギャロップ
~休憩~
ブラームス/ハンガリー舞曲第1番,第5番
ヴェルディ(パッシ編曲)/リゴレット幻想曲
R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ビゼー(ボルヌ編曲)/カルメン幻想曲
J.シュトラウスⅡ/ワルツ「春の声」、ポルカ・シュネル「浮気心」
ヴァイオリン:クリストフ・コンツ
〃 :トーマス・キューブルベック
ヴィオラ:エルマー・ランダラー
チェロ:フランツ・バルトロメイ
コントラバス:ヨーゼフ・ニーダーハマー
フルート:ワルター・アウアー
オーボエ:クレメンス・ホラーク
クラリネット:エルネスト・オッテンザマー
ファゴット:シュテパン・トゥルノフスキー
ホルン:ウォルフガング・ヴラダー
2014年11月3日 岡山シンフォニーホール
ウィーン・ヴィルトゥオーゼンは弦楽五重奏+木管五重奏という編成。これならほとんどの室内楽が演奏できるんでしょうね。
当たり前なのですが、ウィーン・フィルのあのゴージャスで気品あふれるサウンドというのは、ウィーン・フィルの音が出せる奏者が集まっているから出るのだ、ということを改めて思い知らされました。もう音が鳴るたびにため息がでるような何とも言えないグラマラスでゴージャスなハーモニー。
一番印象に残ったのは、ヴラダーのホルンの音、音が鳴るや、一閃してホール内にオーストリアの空気を運んでくれる。目の前にオーストリアの高原の景色が見えるような感じです。管の巻き方を見ると、ウィンナー・ホルンに見えましたが、どちらにしてもあの柔らかくも、時折パリッとしたソリッドな音はウィーンのホルンの音でした。トゥルノフスキーのファゴットの音の柔らかさも、これも聴いたことが無い音だったなあ。
前半、最も心に残ったのはシューベルトの2曲。その地で生まれ育って血となり肉となっているシューベルトというのはこういうものか・・・と。いい意味で土俗的・庶民的というか、気品や優雅さではなくノリと激しいリズムの中に香る格調高さ・・・自分自身がシューベルトをあまり聴かないので、「モーツァルトはこう!」「ベートーヴェンはこう!」というものが(あくまで自分の中で完結してます)あるのに対し、シューベルトの音楽の感じというか、立ち位置というのが把握できていなかったのだけれど。『モーツァルトがこういう感じなのに対し、シューベルトはこういう感じか~』と思いながら聴きました。ボキャ貧で表現できないけど(苦笑)
後半は、ヴィルトゥオーゼンの名に恥じぬ、超絶技巧全開のその演奏の数々。リゴレット幻想曲ではオッテンザマー氏がそんじょそこらのテノール顔負けに、クラリネットで歌う歌う、客席からは大喝采!
この方のソロを岡フィルとの共演で聴いたのはもう9年前の事ですね。ウィーン・フィル首席の座は息子さんに禅譲なさっても演奏は微塵も衰えを見せませんね。
ティルは、ヴァイオリン、クラリネット、ヴィオラ、ファゴット、コントラバスの五重奏で、全員がソロ演奏みたいな編曲。コントラバスが低音を支えつつも、打楽器のように色々な技を繰り出して、まるでオーケストラで聴いているようだった。
カルメン幻想曲はコンツ氏がソロを採っての演奏ですが、単に自らの技巧を見せつけるだけに留まらない、メンバーとアイコンタクトを取りながら、引っ張ったり追い込んだり、完全にステージ上で皆さん遊んではります(笑)
ウィンナ・ワルツ、ポルカも披露して、あっという間に終了。でもきっちり2時間たっていることに驚く。アンコールは2曲、ラデツキー行進曲で締めくくる。
『名曲コンサート』と銘打った、聴衆を愉しまさる仕掛けがいっぱいで、愛嬌もふりまいてくれて最後は会場みんなで手を振ってお別れ、なコンサートでしたが、次回はこのメンバーのガチンコの演奏を聴きたいなあ。と思ったのも事実。ウィーンの音を満喫したけど、4月に聞いたルードヴィッヒ・チェンバー・プレイヤーズの方がアンサンブルとしての精度も高かったし音楽の深みへ誘ってくれた。そういう演奏もこのメンバーで聴いてみたいと思いました。
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いやぁ、愉しいコンサートのようでしたね。
知ってる名前はオッテンザマーさんだけでした。
確か、エーラー式のクラリネットのはずですから
フランス式とは違う、ふくよかな芳醇な音がしたと
思います。
あぁ、そんな音に酔ってみたかったです。
by MU (2014-11-04 22:27)
>MUさん
10名の名手の演奏は本当に絶品でした。
エーラー式というのですね、あのクラリネット。。本当に芳醇な音がしました。
また、色々と教えてください!
by ヒロノミンV (2014-11-06 19:23)