SSブログ

相愛オーケストラ西日本ツアー 岡山公演 [コンサート感想]

相愛オーケストラ西日本ツアー 岡山公演

吉松隆/朱鷺によせる哀歌
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー/交響曲第5番

指揮:尾高忠明
ヴァイオリン独奏:長原幸太

2014年8月21日 岡山シンフォニーホール

 関西の人にとっては「相愛」はある種のブランドを伴って親しまれる存在。私が子供のころ(そして、ピアノを習っている頃)、近所にK君というピアノもヴァイオリンも別格に上手い子がいました。K君が小学校4年ぐらいの時でしょうか。「K君って、相愛の先生について大阪までレッスンに行っとうらしいで」という話が聞こえてきました。小学校高学年で「相愛」の先生に習いに行く・・・、それは彼が類まれな才能を見いだされ、プロの音楽家としての道を踏み出したということを意味していました。
 そんな子供の頃も記憶もあり、相愛というと音楽でメシを食っていく人のために最高の教育を受けられるところ、というイメージがあり、それは実際にそうなのだろうと思います。この日の演奏も本当に見事な演奏で、恐らくオケのメンバーの何人かは在阪のプロオケにもエキストラなどで出演している人もいるでしょうね。

 メインのチャイコフスキーは14+1型の通常配置でヴィオラがアウトに位置。チャイコフスキーを指揮させたら右に出るものは居ないマエストロの尾高さんが求めているものをほとんど余すところなく表現で来ていたんじゃないかと思う、その演奏は躍動感に溢れていました。何よりこの名曲に対する共感に溢れていて、この曲を実演で聴くことが多い自分の耳にも、本当に新鮮に響きました。第2楽章はこれぞロマン派の絶頂と言える恍惚感を感じられました。

 順番が逆になっていいますが、前半はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。長原さんのソロを聴くのは大フィルのコンマス時代に演奏されたブラームスのコンチェルト以来。盤石のテクニック、ますます深みを増す音色、聴く者の心をひきつけて離さない歌。大満足でした。
 オケの伴奏も、最初は(ソリストに引っ張られたのかな?)若干ぎくしゃくしましたが、あとはほぼ万全の伴奏だったように思います。

 1曲目は吉松隆の「朱鷺によせる哀歌」。チラシでプログラムを見たときに、長原君のソロとこの吉松隆の曲が聴けるから、即チケットを買ったぐらい楽しみにしていた曲でした。  

 演奏はチューニング無しに始まります。楽器配置中央に配置するピアノから翼が伸びるように弦楽器陣が配置されて、視覚的にも朱鷺という日本を象徴する種の絶滅へのレクイエムを演出。
 この演奏を聴いていて改めて思いましたですよ・・・こういう湿度と潤いのある音色、風や鳥の羽ばたき、この空気、日本人の心や魂の中にある何かを表現したこの曲は、日本人のオーケストラだからこそ出る音色というか音楽というものがあるなあ・・・と。そういった日本人のDNAが音大生のオケにも脈々と流れていることに感銘を受けました。もちろん演奏の方も緊張感と”しなり”の効いた絶妙の演奏で、本当に素晴らしかった。

 アンコールにはシベリウスのカレリア組曲から行進曲風に。その後の尾高さんの挨拶によると、斉藤秀夫が導入した教育システムを実践し続けているのは、この相愛だけになってしまったとのこと(逆に言うと、桐朋は斉藤秀夫のシステムを捨てた・・・ということか)。マエストロにとってもそれだけに相愛でタクトを振るというのは大変思い入れのあることのようです。


にほんブログ村 クラシックブログ クラシックコンサート・演奏会感想へ
にほんブログ村
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 2

木曽のあばら屋

こんにちは。
内容に関係ないコメントで申し訳ありませんが、
ちょっと事情があってURLを変更しましたのでお知らせします。
by 木曽のあばら屋 (2014-08-23 08:34) 

ヒロノミンV

>木曽のあばら屋さん
 お知らせくださってありがとうございます。ブックマークを差し換えておきますね~
by ヒロノミンV (2014-08-23 16:54) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0