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岡山フィル特別演奏会 「ヨハネ受難曲」 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団 特別演奏会「ヨハネ受難曲」

指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
福音史家(テノール):クリストフ・プレガルディエン
キリスト(バリトン):三原剛
ソプラノ:秦茂子
アルト:福原寿美枝
テノール:吉田浩之
ピラト・ペテロ(バス):萩原潤

合唱:岡山バッハカンタータ協会
合唱指揮:佐々木正利
管弦楽:岡山フィルハーモニック管弦楽団
ゲストコンサートマスター:長原幸太

 良かったです~、本当に生演奏で聴けて良かった「ヨハネ受難曲」。演奏会までにもう少し勉強して臨もうかと思っていたのだけれど、結局ほとんど予備知識無くコンサートの座席に座ってしまった。

 私はバッハの良い聴き手とは到底言えず、ヨハネ受難曲も家ではほとんど聴きませんが、生演奏で聴くと面白い(って言ったらこの曲に対して語弊があるかもしれませんが)ですねぇ。2時間があっという間に過ぎてしまいました。

 お客さんの入りは85%ぐらいでしょうか。結構入りましたね。バッハと言えば、リリングやヴィンシャーマンが来られた時もここまで入っていませんでしたから。シェレンベルガーだから聴きに来た、という方は(僕も含めて)けっこういたように思います。客席の雰囲気も良かったと思います(途中で脱落した方は何人か居ましたが、鑑賞出来ないと感じて退席するのはそれはそれで見識だと思います)。

 オケの編成は下手からVn→Va→中央奥にオルガン・手前にリュート&ヴィオラ・ダ・ガンバ。その上手に木管パート→チェンバロ→コントラバス→チェロという配置でした。弦五部は6-6-4-3-2

 この日の演奏で、まず称賛されるべきは合唱でしょう。ディクションが明晰で、かつ重厚なハーモニーを聴かせて頂きました。2時間以上もの間、まったく集中力が切れないのは尊敬に値します。

 シェレンベルガーのタクトは明快で、確信を持ったタクトさばきでした。隅々までこの曲を把握されているのだと思います。
 冒頭はアクセントが効いたきびきびしたテンポで始まりましたが、重厚壮大に響かせる部分、柔らかに響かせる部分と、非常にメリハリの効いた演奏になりました。ホールを震撼させるようなことは有りませんが、広大な空間を過不足なく響かせるのは、やはりシェレンベルガー流といったところでしょうか。休憩なしで2時間という長大で壮大なこの曲をまったく飽きさせることなく聴かせてくれました。

 エヴァンゲリストのプレガルディエンは、やはりこの曲の世界的スペシャリストで、堂々たる歌唱でしたが、私が座った3階席の客席では少し声量に物足りなさを感じました。あと、アルトの福原さんは関西でのステージでは何度も聴いていますが、「こんなものじゃない筈なのにな・・・」と感じます。
 他のソリストさんは健闘されていたと思います。理想を言えばこの曲は1200人ぐらいのサイズのホールで聴きたいところですね。

 第1部も素晴らしい演奏でしたが、第2部に入ってから特に合唱がどんどん音が充実する感じで、「判決」、「磔刑」に向かうところの盛り上がりに酔いしれました。「埋葬」の最後のコラールも良かった。客席から演奏者の感動が伝わって来る、心が熱くなる演奏でした。最後の一音が鳴った後に、一呼吸あってから拍手が起こったのも良かった。余韻が消えるまで音楽に没頭できました。

 欲を言えば、今回は木管パート・弦楽器の各トップに客演奏者で固めて来ていたのが、「う~ん・・・、いつものメンバーではだめなのか?」とやや残念な所ではありました。演奏のレベルは非常に高かったですから、贅沢を言っちゃあいかんのですけどね。
 終演後は客席がかなり盛り上がっているのに、一部奏者の方々はテンションが高くなかったですね。4度目ぐらいのカーテンコールの後にコンマスの合図でステージから立ち去ろうとするときに、名残惜しそうにする奏者と、「はよ、帰ろうぜ」っていうテンションの奏者に真っ二つに分かれた。拍手が止まずに再びシェレンベルガーが登場して、奏者の皆さんもステージに戻るわけですが、聴衆からの栄誉にもう少しの間浴したい一団と、そうでもない一団が客席からでもハッキリわかったんです。こういうステージ上の雰囲気は客席に結構伝わります。
 この次には東京公演が控えてますから、この雪の中で早く東京に戻りたい、というのは分かるんですが・・・。

 岡山フィルが、岡山の街でもっと愛される存在になるためには、岡山フィルの一員として演奏することに誇りを持っている奏者が集まらないといけないんじゃないかな。

 合唱団が退場する際に、再び大きな拍手が沸き上がりまして、その合唱団の方が胸を張って誇らしげに退場する姿が印象に残りました。

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伊閣蝶

週末の大雪は、岡山でも相当の積雪となった模様で、次の講演のためにも早く帰りたい、と思う奏者の方の気持も分からないではないのですが、料金をとって演奏している限り、やはり聴衆の熱い想いに水を差すのは如何なものかなと思いました。
私はこれまでに、合唱団の一員としてマタイ受難曲を三回歌ってきましたが、ヨハネ受難曲はまだ参加が叶いません。
大好きな曲だけに、是非ともという気持があります。
きっと、合唱団の皆様は、相当の思い入れを以て、この曲の演奏に参加されたことでしょう。
ヒロノミンVさんの記事を拝見すると、是非ともその演奏会を聴いてみたかったという気持ちにさせられますが、この「ヨハネ」は一層その想いを強くさせられました。
by 伊閣蝶 (2014-02-11 23:08) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 コメント有難うございます。奏者の熱気は僕の思い込みかも知れませんが、エキストラの方と正団員の方で温度差を感じました。
 合唱団の皆さんは、この曲の演奏にかける意気込みと集中力、そしてバッハへの尊敬と愛情を感じました。伊閣蝶さんでも「ヨハネ」はまだ歌っておられないとのこと、僕も大変貴重な演奏が聴けたのだなあ、と改めて感慨が湧いてきます。
 
by ヒロノミンV (2014-02-12 20:28) 

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