神戸市演奏家協会 レクイエムの夕べ [コンサート感想]
神戸市演奏家協会 第389公演
神戸市室内合奏団・神戸市混声合唱団 『レクイエムの夕べ ~祈りを込めて~』
(第1部にヘンデルの合奏協奏曲、デュリフレ:慈悲と愛のあるところに、パリー:嵐に傷めつけられた船が、バーバー:アーニュス・デイ、が演奏されましたが、私は間に合わなかったため聴けませんでした)
第2部
フォーレ/レクイエム
指揮:小泉ひろし
ソプラノ:金岡怜奈、バス:五島真澄
管弦楽:神戸市室内合奏団
合唱:神戸市混声合唱団
1月17日 神戸文化ホール中ホール
西宮での兵庫PAC管の演奏を聴いた後、どうしても行かなければならない場所に行ってきました。
19年目にして初めて行きました。「レクイエムの夕べ」の終演時間が20:30過ぎると予想されたため、「つどい」の終了時間に間に合わないため前半のプログラムが聴けなくても行っておかねばと思ったのですが、終演は20:20ごろで結果的に終わってからでも充分に間に合いました。写真は人が少なくなった午後9時前のものです。それでも何十人という人が祈りをささげており、東遊園地を見下ろす市役所の展望ロビーにはたくさんの人が1.17と3.11の明かりを静かに見つめていました。
いったん「追悼のつどい」を離れ、ホールに向かいます。中央図書館の自習室で受験勉強をするために何度も降りた大倉山駅を降り、神戸文化ホールに向かいました。
ちょうど休憩時間に到着。お客さんの入りは9割ぐらいだったと思います。オーケストラ(合奏団)は各パート2~3人というサイズ。
小泉ひろしさんの指揮に久しぶりに触れました。中学生の頃に行ったコンサートで聴いた覚えがあります。背筋をピンと伸ばして気品を漂わせながらのタクトさばきは、古き良き時代の指揮者像に重なります。
このフォーレのレクイエムは、本当に好きな曲で、怒りの日の激しい表現が無くて、何よりもこの世のものとは思えない美しい音楽で・・・。生演奏でこうして接することが出来ただけでも幸せでした。
入祭唱から、なんとも渋いというか味わい深い響きが鳴り響きます。人一つの音を慈しむような演奏。合唱の神戸市混声合唱団はさすがにプロの合唱団で、素人の自分でも声の表現の幅広さ、ピッチの正確さは充分に分かります。
神戸市室内合奏団も、もちろんプロのアンサンブルで、演奏は安定しています。メンバーの中に、岡山フィルでもお見かけする方がいらっしゃいました。
しかし、第3曲のサンクトゥスの美しさと言ったら。このメロディーだけでもフォーレは名を遺せたでしょう。この世に存在する音楽の中で、もっとも美しいものの一つであるのは間違いないと思います。
続く第4曲の金岡さんのソプラノ独唱・・・心が洗われる清らかな歌です。オケの演奏も何も特別なことはしていないのに音楽が徐々に熱を帯びて来る・・・。
この日の演奏のクライマックスは、第6曲のリベラ・メ(赦祷文)。こうして生演奏で聴くまで深く意識はしていなかったのだけれど、震災復興の祈りを込めたレクイエムの演奏会で聴くと、これほど心をつんざくようなメッセージだったとは!
バリトンで歌われる赦祷文
「主よ、我を永久の死から救い出したまえ
あの恐るべき日に
それは天と地が揺れ動く時
あなたがこの世を炎で裁きに来たもう時・・・・」
どうしたってあの1.17を思い出すし、3.11の映像も頭をよぎります。フォーレのレクイエムは、例えばモーツァルトやヴェルディのレクイエムのような、激しい「怒りの日」の表現はありませんが、やっぱり秘めたる激しさというか・・・、思い知らされましたね。
第7曲のイン・パラディズムでの文字通り天国的な音楽の中、静かに演奏が終わります。沈黙が10秒近く続き、拍手のヴォルテージが徐々に上がっていきます。理想的な静かなフィナーレを味わうことが出来ました。
「私たちの祈りをこめた音楽が、優しく温かく響きますように」という、プログラムのメッセージの通りのコンサート。これから1.17が来るたびに思い出すことと思います。
会場を出た後も、なかなか家路に着く整理がつかず、三宮で下車してもう一度東遊園地まで行きました。
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5/17 神戸市混声合唱団の演奏会に山田和樹が登場....
http://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/201904/0012247904.shtml
2019/4/17 05:30神戸新聞NEXT
神戸市混声合唱団、震災乗り越え30周年 5月に記念演奏会
http://www.kobe-ensou.jp/schedule/2019/pdf/20190517.pdf
by サンフランシスコ人 (2019-04-19 06:47)