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クラウディオ・アバド氏の逝去 [雑感・出来事]

 私が取っている地方紙の一面に掲載されるぐらい、社会的にインパクトのある訃報です。

 アバド氏の実演に接したのは、1992年のベルリン・フィルとの来日公演(ザ・シンフォニーホール)1回のみでした。
 ベルリン・フィルの実演に接したのも、今のところこれ1回のみです。当時は安い席なら現在の半額程度で聴けました(しかもブラームスの協奏曲のソリストがブレンデルという・・・今から考えると大変豪華でした)。

 当時はまだカラヤン時代の印象が強かったので、アバドの音楽づくりに若干戸惑ったのは事実ですが(それと、当時高校生だったため分かりやすい派手な演奏を好む傾向にあった)、終演後のベルリン・フィルメンバーの充実した笑顔が印象的でした。カラヤン時代のビデオなんかを見ると、まるでサイボーグのような集団だと思っていたので(そういう映像づくりだったのですが・・・)。両者の関係の良好さを強く印象付けていました。

 何年か前に、ルツェルン祝祭管とのマーラー3番のDVDが本当に衝撃的で・・・。癌の厳しい闘病を乗り越えた人とは思えない躍動感と生命力にあふれていて、一度生演奏に接したいと思いつつも、首都圏以外での公演のチャンスがなかなか無く、結局聴けませんでしたね。80歳という年齢は、病身を押してのご活躍を考えると、よくぞここまで・・・と思えますが、しかしこの先どれほどの高みに進んでいかれるのか、その可能性を考えると勿体ないですね。

 追悼盤などを若干期待している自分が、ちょっと卑しくん感じるのですが、マエストロの音楽に今一度浸ってみようと思うことが、供養にもなると思うので、たぶん何らかのセットを買うことになるでしょう。

 ご冥福をお祈りいたします。

ベルリオーズ:幻想交響曲

ベルリオーズ:幻想交響曲

  • アーティスト: アバド(クラウディオ),ベルリオーズ,シカゴ交響楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: CD
 オーケストラという『楽器』としての能力を、これほどまでに執拗に引き出した演奏は、他に無いと思う愛聴盤です。

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MU

胃癌からの驚異的な復活。
最近のモーツァルトは大好きで
愛聴していたんですが・・・

残念でなりません。
by MU (2014-01-21 22:49) 

KUMA

私もルツェルン管とのマーラー9番を聴いてます。もう一度コンサートに行きたかったです。
by KUMA (2014-01-21 23:03) 

風来坊

とくに大ファンということもありませんが、関西での公演はほとんど聴きました。東京にもいくつか行きました。

やはりなんといってもアバドはマーラーが格別。アバドのマーラーだけはなんとしてもぜったいに聴いておかねばならなかったと思います。

それとオペラは言うまでもありません。ミラノ・スカラ座やウィーン国立歌劇場の公演はどれも素晴らしかった。凄かった。ベルリンフィルとの《トリスタンとイゾルデ》はオケの響きはもう奇跡的でした。

残念なのはルツェルンのオケを生で一度も聴けなかったことです。チケットのコピーはしっかりファイルしてあります。自分があの世に行った時、それを出そうと思っています。

ありがとう、マエストロ・アバド!
by 風来坊 (2014-01-21 23:59) 

うたえもん

こん**わ。
(こちらに来るのはむちゃ久しぶり、だったですか?)

ザ・シンフォニー、ブレンデル!
同じ時間を共有していた、とは!(笑)

あの頃のBPOはカラヤンの呪縛から解き放たれて、
オケが好き放題しとるなぁ・・・という印象でしたが。
(だからアバドの印象はそれほどでもなかったのですが。)

病気をして、その後「還って」きてから、まるで別人のように
音楽が変わって。(悪魔と取引して還ってきたのか?!)
「最初からこれだったらよかったのに!」と思ってました。

還ってきてからは映像のみ、でしたが。
ルツェルンで始めた「BPOアンドオールスターズ」オケ!
あれこそ「本当にやりたいこと」だったんでしょうね。
* あのオケでのマーラー全集、完結してほしかったなぁ。
(大地とか、やってませんよね・・・)

80歳だったので、「充分」だったのかもしれませんが、
御大の例もありますし、あと10年とは言わないまでも、
あともう少しだけ、なんとか・・・と感じてしまいました。

ただただ、黙祷。合掌。

by うたえもん (2014-01-22 10:21) 

ヒロノミンV

>MUさん
 MUさんの記事、拝見しました。モーツァルト管弦楽団との録音、気になっていました。そしてオペラの録音も気になっていたものの、なかなか手が出せないでいましたが、お勧めの合唱曲集の録音ならすぐに聴けそうですね。ありがとうございました。

by ヒロノミンV (2014-01-22 18:34) 

ヒロノミンV

>KUMAさん
 闘病から復帰後のルツェルン祝祭管とのコンビは、歴史に残る名演の数々だと思います。マーラーの9番はまだ聴いていませんので、これから聴くのが楽しみです!
 ありがとうございました。

by ヒロノミンV (2014-01-22 18:35) 

ヒロノミンV

>風来坊さん
 コメントありがとうございます。

>やはりなんといってもアバドはマーラーが格別。アバドのマーラーだけはなんとしてもぜったいに聴いておかねばならなかったと思います。
 
 本当に仰る通りだと思います。映像を見るだけでこれほど心を揺れ動かす演奏であれば、実演はどれほどのものだったか・・・
 自分はアバドのよい聴き手ではありませんでしたし、オペラについても同様で、実演自体に接したのも10回いきません。
 ヴェルディだけではなく、ワーグナーも素晴らしかったんですね。もう新譜が出ないのが本当に残念なことですが、残された録音をじっくり聞いていこうと思います。
by ヒロノミンV (2014-01-22 18:37) 

ヒロノミンV

>うたえもんさん
 あの日の公演にうたえもんさんもいらっしゃったんですね!
 
>あの頃のBPOはカラヤンの呪縛から解き放たれて、
オケが好き放題しとるなぁ・・・という印象でしたが。

 確かにそういう感じもありましたね(笑)しかしブラ1の第2、3楽章なんかは、コンマス・木管を自由に歌わせて、『こういうブラームスもいいな~』と思ったのを覚えています。

 ルツェルンでのアバドは本当に鬼気迫るものを感じました。音楽的に大見得を切るようなところは無いのですが、音楽が奥へ奥へ向かっていくというか・・・
 伝統ある楽団の運営の難事に振り回されなくなったことも良かったのかもしれませんね。
 「大地の歌」、録音してませんでしたか・・・、それは残念ですね。本当にもう新譜が出ないのが返す返すも残念です。
by ヒロノミンV (2014-01-22 18:43) 

angela

こんばんは。
生でアバドの指揮をご覧になられたのですね。うらやましいです。
以前にアバド、ルツェルン、ポリーニのコンサートが東京であり、行くべきか悩みましたが決心つかず行きませんでした。昨年10月のコンサートはなんとしても行かねば・・とチケットを買ったらキャンセルに。
幸い映像等は多く残っているので、そちらで楽しむしかありませんね。
またお勧めのものがあれば教えてください。

by angela (2014-01-22 20:10) 

ヒロノミンV

>angela様
 そうでしたね。angelaさんは去年のコンサートのチケットを取っておられたんですね。
 近年はなかなか来日する機会も少なくなって、前回の来日は東京のみということもあり、聴くことが出来ませんでした。
 90年代は大阪のザ・シンフォニーホールに何度も来て下さっていたので、もう一度ぐらい行くべきだったかな~と思います。
 また、アバドの演奏でこれは!というものがあったら、感想を書きたいと思います。コメントありがとうございました。
by ヒロノミンV (2014-01-23 20:20) 

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