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兵庫芸術文化センター管弦楽団第66回定期演奏会 佐渡裕指揮 [コンサート感想]

兵庫芸術文化センター管弦楽団第66回定期演奏会(1日目公演)

レスピーギ/交響詩『ローマの祭』
  〃  /交響詩『ローマの噴水』
  〃  /リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲
  〃  /交響詩『ローマの松』

指揮:佐渡裕
ゲストコンサートマスター:ウェイ・ルー(ベルリン・ドイツ交響楽団コンサートマスター)

1月17日 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

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  佐渡さんが開館以来音楽監督として、この1月の定期演奏会には必ず登場していますが、今回はレスピーギのド派手な曲を最初と最後に持ってくるという。ああ、こういう曲をプログラムに並べるということは、ここまで復興したということなのかな?と思っていました。動-静(休憩)静-動のシンメトリーなプログラム構成。ロビーには、CD録音のためにavexのスタッフが入る旨の告知がありました。

 しかし、その考えは最後の『ローマの松』を聴いたときに間違っていたことを思い知らされる。それについては後ほど・・・

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 会場は超満員。この兵庫PACの定期演奏会は3日間連続開催で常に完売という凄さ。すっかりこのオケが地域に根付いています。
 僕が座ったのは4階バルコニーのD席1000円。個人的には1階席よりも音の迫力があり、気に入っています。ちょっと高所恐怖症の人にはキビシイかもしれませんが(笑)
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 編成は弦5分は14型の通常配置。オーケストラの響きを極限まで追求したレスピーギの曲。打楽器に至ってはティンパニ、大太鼓、スネア、シンバル、銅鑼、鐘、シロフォン、グロッケンシュピール、タンバリン、トライアングル、ラチェット、鈴、タヴォレッタ・・・、鍵盤楽器も、オルガン、ピアノと、本当に壮観!開演前の舞台を見るだけで浮き立つ心が抑えられません。

 佐渡さんのプレトークで、来年のこの復興記念定期にマーラーの「復活」を演奏することや、ウィーン・トーンキュンストラー管の音楽監督就任についての挨拶などがありました。
 まず、プログラムに入る前に、バッハのアリアを演奏。佐渡さんの希望で拍手なしで締めくくられます。

 『ローマの祭』の冒頭、冒頭の猛獣と人間(迫害されたキリスト教徒)の見世物。佐渡さんの汗を飛び散らせてのエネルギッシュな節回しが全開するか?と思っていましたが、非常に抑制的(といったら語弊がありますかね)で、全体のバランスに注意を払いつつ各楽器の響きを生かすアプローチ。第3楽章まで派手目な曲調のこの曲を、繊細に丁寧に描かれていく様が印象に残ります。

 しかし、第4楽章が、これ!来たよ来たよ!という感じ。佐渡さん一流の血沸き肉躍る躍動感、大地を揺るがすようなリズム感!レスピーギの万華鏡のようなサウンドを見事なまでに引き出します。まるで佐渡さんのタクトや手や腕から糸が引かれているかのように、オーケストラを自由自在に操ります。最後はホールが震撼しました。

 次に『ローマの噴水』木管も金管も、若手奏者とはいえ個々の技量が高く、ほんとうに感心します。
 実は、この2年ぐらいは地元兵庫のオーケストラにもかかわらず、若手奏者のアカデミーオケということで、何度か聞いた結果あまり足を運ばなくなっていたんですね。特に弦楽器が全く物足りなかったんです。しかし、この『ローマの噴水』と次の『リュートの・・・・』では、以前聴いたときとは全く別のオケになっていることを実感しました。確かにもう少し精妙なニュアンスを効かせてほしいな、という場面はありましたが、『リュートの・・・』で聴かせた、低音がどっしりし艶やかなサウンドには瞠目しました。第4曲のパッサカリアは凄かったなあ。客席に飛んでくる音の圧力は相当のものだったものね。

 『ローマの松』では、冒頭で木管に危ない場面があったり、(ホールの音響の問題も大いにありますが)どうしても弦楽器の音がトゥッティーでは音が埋もれてしまっていたり(もう少しパワーが欲しい)、大フィルや京響・日本センチュリーあたりと比べると、まだまだな感じもありますが、何より一生懸命に演奏されていて、ステージ上の熱気というのは歴史ある他のプロの楽団には無い魅力がありますね。

 もちろん、この日も手練れの奏者が要所要所を抑えていて、特にトランペットとトロンボーン、ホルンなどのゲストトッププレーヤー陣が強力でした。プログラムには、誰がゲストで誰がコアメンバーかを明記しており、こういうあたりも好感が持てます。

 冒頭で少し触れた、『ローマの松』に込めた佐渡さんの想い。この日のハイライトは、実は第2曲の「カタコンベ付近の松」だったかもしれません。無念を抱えながら死んでいった使者たちが眠るカタコンベ。ここでの佐渡さんの演奏は、鬼気迫るものを感じた。普通は舞台裏で響かせるトランペットを、4階席後ろの扉を開けてホールの後ろから響かせたこの効果もあり、会場全体が祈りに包まれた。『震災19年でド派手なプログラムを持ってきたな~』と勝手に思っていたことを恥じた瞬間でした。
 『アッピア街道の松』はただ迫力があるだけではない、決然とした思いが込められたもの。佐渡さんも躍動感やエネルギッシュさを強力に押し出すスタイルではなく、巨大な伽藍を出現させるようにどっしりと構えた指揮姿、リズムと躍動の切れ味はそのままに、圧倒的なオーラで会場を支配していました。オーケストラのサウンドを極限まで追求したレスピーギの曲を、オーケストラの能力を最大限引き出す指揮者が振ると、こういう演奏になる。本当に歯ごたえのあるコンサートでした。オーケストラを聴いた!満足感に包まれながら会場を後にしました。

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