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これぞシベリウス!岡響第54回定期 [コンサート感想]

 日曜日に岡山シンフォニーホールへ行ってきました。諸般の事情でコンサートに行くのをやめていたんですが、この日は時間が出来たので思い切って行くことに。ただし、前半の「ウィンザー~」序曲とRVWのチューバ協奏曲には間に合いませんでしたが・・・

 シベリウスの交響曲第2番の第1・2楽章は、苦戦しているように思いました。弦楽器・木管・金管の各パート内部はまとまっているんですが、全体のハーモニーがうまく融合しない感じ。ショスタコーの12番や、ヒンデミットの画家マティスで、アマチュア離れした堅牢なアンサンブルを聴いてきた自分としては、『岡響さんらしくないなあ・・・』と。

 ところがですよ。第3楽章から徐々にテンションも上がって来てアンサンブルも引き締まって溶け合って、非常にいい感じになって来ました。指揮の杉本さんを見ているだけでも、前半と全然切れ味が違います。第3楽章の中間のオーボエのメロディーに導かれたレント・エ・スアーヴェの部分なんか、本当に涙腺が緩んで緩んで、本当にいい音だなあ・・・とため息しか出ませんでした。

 第4楽章は、全く言うことなしですよ。躍動感あふれる岡響サウンド炸裂!という感じ。
 前半(1・2楽章)と後半(3・4楽章)で全く違うオケだったですね。生演奏の怖さ、醍醐味が詰まったコンサートでした。
 特に第4楽章の北欧民謡調の第2主題の部分は見事でした。冷涼な空気の中に浮かび上がる幽玄な世界、森の奥深く、もっと深く分け入っていくような感覚。
 最後のコーダは、霧が立ち上る湖を見つめて心が洗われているような瞬間に、徐々に霧が晴れて、湖の向こうに巨大な山脈が眼前に立ち上がるような・・・
 奏者の方々も非常に気持ちよく演奏しているのが分かります。実際、演奏して手気持ちいいんだろうなあ、この曲。ステージの充実感が客席にビンビン伝わってくる。これこれ、これなんよね、生演奏を鑑賞するの醍醐味って。
 最後の音が鳴りやんでも、岡響さんのシベリウスの幽玄で雄大な世界に頭がぼーっつとなってしまって、周囲が拍手をはじめてからふっと我に返った。第4楽章の後半は完全に頭が真っ白の状態で聴いていたと思う。まるで、シベリウスの魂が舞い降りてオーケストラに乗り移ったような演奏だったと思います。

 また、コンサート通いへの欲望がメラメラと湧いてくる演奏でした

岡山交響楽団第54回定期演奏会

ニコライ/歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
ヴォーン=ウィリアムス/チューバ協奏曲
シベリウス/交響曲第2番
※僕は後半だけ聴きました

10月21日 岡山シンフォニーホール


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杉本賢志

いつもコメントありがとうございます。
今回は(も)、ヴァイオリンが少なく前日練習でやっと
本番メンバーが揃ったことと、通常より1ヶ月近く本番が早かったこともあり、仕上がりが遅れました。また、団員のソリスト、しかもチューバということもあり、こちらにも少し時間を割いたこともありますが、私自身の勉強不足が最大のまづさだったと反省しております。
 でも終楽章後半部では、コメントいただいたように一瞬シベリウスが間近にいるような気配を感じながら演奏できました。会場の皆さんと一瞬でもその境地を共有で来たのは、とても幸せです。11月は3日4日とミュージカルファンタジー後楽園の公演があります。岡山市の文化団体が多数参加しての公演です。音もありますがどちらかと言うと舞台芸術といえると思いますが、創作としては結構面白いと思います。お忙しいとは思いますが是非ご鑑賞いただければ思います。
 岡響次回は30周年記念として、岸本萌乃加さんとブルッフで再共演、メインはエロイカです。私もそろそろ引退を考えていますので、この公演はなんとしても最高の演奏会にしたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。
by 杉本賢志 (2012-10-29 22:51) 

ヒロノミンV

>杉本様
 拙ブログにコメント頂き、誠にありがとうございます。そして全身全霊を賭けたコンサートであったにも関わらず、個人的な事情で後半のみの鑑賞となり、さらに生意気な感想を書き散らしたこと、どうか大目に見ていただけたらと思います。

>前日練習でやっと本番メンバーが揃ったことと、通常より1ヶ月近く本番が早かったこともあり、仕上がりが遅れました。

 秋の演奏会は、勤労感謝の日あたりでしたね。それよりも1ヶ月も早いという時間的な制約とメンバー集めのご苦労、お察しします。それを考えると、益々お見事としか言いようのないシベリウスでした。

>一瞬シベリウスが間近にいるような気配を感じながら演奏できました。
 指揮台の杉本様・舞台の奏者の皆さんも、同じように感じておられたんですね!ちょっとゾクゾクします。当日の興奮が再び甦ってきました。第4楽章の、あのハーモニーはまさにシベリウスの音です。貴重の体験をさせていただきありがとうございました。

 そして、演奏会の案内、ありがとうございます。後楽園の方は都合がつくか、微妙なのですが、2日もチャンスがあるので、なんとか行ってみたいと思います。

 そして、なんと引退を考えてらっしゃるのですか・・・、出来ますれば、ホルン・指揮ともにもう少し勇姿を見せていただければ、と思います。
 次回の定期演奏会は、私の大好きなエロイカということで、必ず聴きに行こうと思い、手帳に予定を記入していたところです。楽団のメモリアルの最高の演奏会、期待して楽しみにしています!
by ヒロノミンV (2012-10-30 19:39) 

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