【ニコ生】東響交響楽団第692回定期演奏会 ノット指揮 [ストリーミング]
東京交響楽団第692回定期演奏会【ニコニコ生放送】
R.シュトラウス/交響詩『ドン・キホーテ』
ヴィオラ独奏:伊藤文嗣(東響首席)
チェロ独奏:青木篤子(東響首席)
シベリウス/交響曲第5番変ホ長調
指揮:ジョナサン・ノット
2021年7月17日 サントリーホール
【配信開始しました】#ニコ響 はこのあと18:00開演。
? 東京交響楽団 TokyoSymphony (@Tokyo_Symphony) July 17, 2021
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東響のニコ生はタイムシフト配信でほぼすべて視聴しているが、今回はこれまで見てきた中で一番良かった。特にシベリウスの5番が素晴らしく、私の手持ちの数ある名盤たちを凌駕する演奏だったように思う。配信から4日経っているが毎晩繰り返し聴いている。もし、音源が発売されたら必ず買う。
奥行きの深いところから精緻なアンサンブルが湧き上がってくる感じで、亜寒帯の針葉樹の森の中に分け入り、湖に反射する太陽。針葉樹を揺らす風がつむじ風となり、空を白鳥の群れが飛翔する。そんなヴィジョンがありありと現出する。そして同じヴィジョンを観ている者の多くが共有していることが、画面に流れていくコメントが証明している。
「風景わかる」「ほんと風景うかぶよねシベリウスって」「ノットの棒って魔法かけてるみたい」「魔法かけてるわかる!」「きれいだなあ」
一方で、一方で焼き鳥を片手にビールを飲んでる奴がいたりw、コシヒカリのご飯と刺身食ってる奴がいたりw、
オーケストラ鑑賞の初心者の人が、「トランペットの先についてるお茶碗みたいなのは何」と質問したら、「ミュートだな」「笑点のオープニングみたいな音になる」と絶妙の返しをする玄人たち。
それぞれが自分の居場所から接続して、マニアから初心者までフラットに同じ演奏を楽しむ。このニコ生の雰囲気は最高に楽しい。
閑話休題
演奏の感想に戻ると、いやー、ホルン隊の演奏が素晴らしかった。そして弦楽器のウネウネした音が、シベリウスの世界を見事に描き出していて、瞬間瞬間に湧き上がってくるフレッシュな音楽に感動した。
ジョナサン・ノットは、東響の音楽監督とスイスの名門:ロマンド管弦楽団の音楽監督も兼務しているが、確かにスイス・ロマンド管弦楽団のような世界の一流オーケストラと比較しても、全く遜色のない実力を見せつけてくれた。
前半の「ドン・キホーテ」。この曲は、自分の中ではあまり評価が高くなく、R.シュトラウスの楽曲の中では、やや散漫な印象を持っていた。「英雄の生涯」や「アルプス交響曲」があまりにも傑作すぎるので、あくまでそれと比較して・・・の話ではあるが。
しかし、今回の東響の演奏は、まったく退屈する瞬間がない。ノットのタクトさばきが芸術的で、棒先を「チョン」と動かしただけで、音色がガラリと変わっていく。まさに魔術師ノットだ。ヴィオラとチェロの首席2人のコミカルで雄弁なソロも見事だったが、オーケストラも管楽器を中心にソロが超絶上手い。このコンビを配信で何度も聴いているうちに、ノットと東響のコミュニケーションの豊富さや関係性を感じられるようになってきた。
しかし、今回の東響の演奏は、まったく退屈する瞬間がない。ノットのタクトさばきが芸術的で、棒先を「チョン」と動かしただけで、音色がガラリと変わっていく。まさに魔術師ノットだ。ヴィオラとチェロの首席2人のコミカルで雄弁なソロも見事だったが、オーケストラも管楽器を中心にソロが超絶上手い。このコンビを配信で何度も聴いているうちに、ノットと東響のコミュニケーションの豊富さや関係性を感じられるようになってきた。
これまでニコ生で聴いてきた演奏はミューザ川崎でのライブだったが、今回のサントリーホールの空間の共鳴をよく捉えてくれて、東響のシルキーな弦・絶妙のバランスで鳴る管が融合した素晴らしい音楽世界を堪能した。
2021-07-21 22:10
nice!(3)
コメント(4)
R・シュトラウスの「ドン・キホーテ」、交響詩とはいいながら、独奏チェロと独奏ヴィオラと管弦楽による競演で、とても特殊な曲だと思います。
ヒロノミンさんの仰るように、私もどちらかというと長さを感じてしまう散漫な印象がありました(もちろんほかの曲との比較論ですが)。
ただし、その発想は非常に興味深く、小説の内容に沿って変奏を繰り広げるところはさすがと思います。
東響の演奏では、ソリストはいずれも東響の首席奏者であるとのこと。
ノットと東響との素晴らしいコンビネーションが垣間見えてきそうです。
シベリウスの第5番は、私も大好きな曲で、あのフィナーレを聞くたびに、「終わってほしくない」といつも思ってしまいます。
これも超名演だったとのこと。
ニコ生、私も視聴してみたくなりました。
by 伊閣蝶 (2021-07-22 11:26)
>伊閣蝶さん
このニコニコ生放送での東響を聴くようになって、このオーケストラが持つ華やかで輝かしく音色に魅了されています。
この演奏によって「ドン・キホーテ」がこんなに生き生きとしたドラマを描写した作品だったことに気付かされ、シベリウスの5番は手持ちのどの演奏よりも充実した内容だったと思います。
おそらくニコ生のアプリをインストールする必要がありますが、明日の夜まではタイムシフト再生が無料で楽しめる筈ですので、よろしければお聴きください。
by ヒロノミン (2021-07-22 20:54)
今、聴き終えました!
これは本当に素晴らしい演奏です。
ドン・キホーテでは、なんといっても独奏者のお二人の演奏が光りますが、キホーテの最期を示すグリッサンドの緊張感にはうならされました。伊藤さん、すごい!
私は、吹奏楽をやっていた時にユーフォニアムも吹いていたので、この楽器の活躍も、こうして映像で見ると格別のものがありますね。ミュートを使ったことがなかったので、そうかあんなに大きいのか、と改めて気づかされました。
シベリウスの5番も、これは他を圧倒する名演と思います。
東響の金管はハイレベルで安心して聴けますが、このホルンのバランスは最高ですね。
それからティンパニも。
この曲のみならず、シベリウスの曲はティンパニが活躍する場面が多いように思われますが、裏拍の処理など、よほど的確に演奏しないと台無しになってしまいます。
清水さんは、緊張感が途切れることなく最後の一音には気迫が込められていたように感じました。
このような演奏の視聴をおすすめいただいたこと、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
余談ですが、指揮台には転落防止柵がありませんでしたね。ノットさんだから?などと余計なことを考えてしまいました。
by 伊閣蝶 (2021-07-23 11:42)
>伊閣蝶さん
なるほど、ユーフォニアムですか。それは気づいていませんでした。ヴィオラ・チェロお二人のソロも本当に素晴らしく、演奏によってこの曲はこれほど生き生きとした音楽になるのかと瞠目しました。
シベリウスも伊閣蝶さんのコメントを拝見したあとに、もう一度見てみましたが、錯綜するテンポを事も無げに演奏するオケの能力を改めて感嘆した次第です。
指揮台は、以前の配信でも無かったように思います。指揮を拝見する限り、ノットさんは運動神経(音楽神経も?)が良さそうなので、後ろのバーは必要ないのかも知れませんね。
by ヒロノミン (2021-07-26 21:04)