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カフェ・モンタージュ 田村安祐美・小峰航一・佐藤禎・塩見亮 [コンサート感想]

カフェ・モンタージュでの1時間

ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番

ヴァイオリン:田村安祐美
ヴィオラ:小峰航一
チェロ:佐藤禎
ピアノ:塩見亮


2017年9月1日 カフェ・モンタージュ
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 会場のカフェ・モンタージュには、カフェ営業の時には行ったことがありましたが、ライブははじめて。

ぎちぎちに詰めても70人ぐらいしか入らない空間に響きいたブラームスのピアノ四重奏の濃密なこと! まるで音楽が僕の襟首を掴んで、異世界に連れて行かれるような感覚になった。

 コンサートホールで聴く時の音楽を浴びる、という感覚とは全く違う。格闘技のリングサイドかぶり付きで見ている感覚。

 これは、まさにコンサートというより、ライブだ。


 地下鉄丸太町駅から地上に上がると、落ち着いた中京の町家が並ぶ。実はこのあたりは祖父の代まで住んでいた場所。家があった場所が麩屋町二条なので、このカフェモンタージュからは目と鼻の先で、なんとなく親近感がわく。

 角地に建つコンクリート打ちっぱなしの建物には、すでに開演を待つ列が出来ている。ライブスペースは半地下状になっていて、大きな音を出しても近所迷惑にならないような構造になっている。

 チケット代は2000円。今回は演奏時間は約45分の曲、1曲勝負。そうだとしても安い。70人入っても売り上げは14万円。奏者たちの手元にわたるのはごくわずかだろう。

 今回のメンバーはピアニストの塩見さんに、京響のメンバー3名。塩見さんはブラームスのピアノが含まれる
室内楽曲を少しづつコンプリートしていっている最中とのこと。公演は8/31日と9/1の2日連続公演。弦楽3名は京響の定期演奏会のリハーサルの真っ最中の時期の筈(じっさい、3名とも本番にも乗ってらっしゃった)。なんとタフなことか。

 ピアノ四重奏の編成は、ヴィオラが内声をやるだけでなく、ヴァイオリンを受けて丁々発止のやり取りを受けて立つ場面が多い。いわば弦楽四重奏でいうと第2ヴァイオリンとヴィオラの役目、両方担う感じ。

 その小峰さんのヴィオラの存在感がハンパ無い。ここ数年、室内楽の生コンサートを聴いて、ヴィオラ奏者のレベルの高さが、満足度に比例するとの実感があり、この日はいう事の無いバランスだった。 この曲、第1楽章の冒頭で示されるモチーフは、決して馴染みやすくはない。どこか落ち着きどころのない雰囲気が漂っていて、無調音楽の世界を切り開いたシェーンベルクが偏愛したというのもなんとなく得心がいく。
 でも、流石にブラームス、曲が展開するにつれ、ロマンティックでメランコリックな世界が目くるめくように展開する。

 冒頭にも書いた通り、小さい空間に響くプロの本気の演奏にはガツン!とやられた感じ。19世紀にもこんな感じの小さい空間で数十人の人々が大いに楽しんだことだろう。


 室内楽の新たな世界に触れた一夜だった。

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