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シェレンベルガー・セレクション ベスト・オブ・カルテット Jホール・レインボーコンサート [コンサート感想]

Jホール・レインボーコンサート
シェレンベルガー・セレクション ベスト・オブ・カルテット

モーツァルト/オーボエ四重奏曲ヘ長調
ブリテン/幻想曲
 ~ 休 憩 ~
ハイドン/弦楽四重奏曲「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(オーボエ四重奏版)

オーボエ:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ヴァイオリン:松山 冴花
ヴィオラ:クリスティアン・オイラー
チェロ:ウェンシン・ヤン

2017年1月18日 岡山大学 Junko Fukutake Hall
DSC_0465.JPG

 日曜日の岡フィル定期演奏会も含めて、これほど豊かなクラシック音楽ライフを、この岡山の地で送れるようになるとは、10年前には思いもしなかった。

 それほどこの4名の四重奏は凄かったです。シェレンベルガーさんと岡山の聴衆の間に流れる親密な空気、そして、その雰囲気を感じ取った世界有数のソリストたちが、聴衆の期待に応えようと、渾身の演奏を見せる。まさに夢の共演です。

 それにしても、シェレンベルガーという偉大な音楽家が、世界中あまたある都市の中から、よりによって僕の住んでいる岡山を、日本での拠点に選んでくれた。そのことで僕の生活はどれほど豊かになっただろう?決して順風満帆とは言えなかった、岡山フィル・岡山という都市の音楽文化に、シェレンベルガー氏の世界のクラシック音楽界のまさに枢軸を担っていた経験やメソッドを惜しげもなく岡山へ投入して下さっている。そして、氏もその作業を楽しんでやっているように思える。今日のコンサートで、岡山の聴衆が驚き、感動し表情がどんどんほころんでいく、氏はその様子を見渡して満足そうな表情を浮かべて下さる。  

(以下、後日更新分 )

 なかなか更新できませんでしたが、3週間以上経ってようやく更新できます。
 今後も、こんな感じでコンサート後、すぐに更新することは少なくなりそうです。いつかは必ず…更新しますので、気長に見に来ていただけると幸いです。
 会場の岡山大学病院の中に立つJホールは、お客さんでメインホールはほぼ満席、2か所のサブスペースにも半分近く人が入っていました。平日の昼間なのによく入ったなあ・・・と思います(自分も人の事言えませんけど、いちおう正月明けほとんど休みなしの代休です)。
 クリスティアン・オイラーさん以外の、シェレンベルガー、松山冴花、ウェン・シンヤンの3名は、カメラータ・トウキョウから出ている、このCDを録音したメンバー。

モーツァルト:オーボエ四重奏曲&ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉

モーツァルト:オーボエ四重奏曲&ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ㈱カメラータ・トウキョウ
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: CD


 この日のプログラムも、このCDと全く同じものです。僕は事前にNMLで聴き込んでこの日に臨んだのですが、そこは一筋縄ではいかないシェレンベルガーさん。特に、ブリテンは録音よりも「間」を長めにとって、持続する緊張感の中で飛び交うモチーフの妙味を楽しませてくださいました。
 モーツァルトとハイドンも、セッション録音でなない、ライヴならではの突っ込んだ表現が聴けました。

 モーツァルトのオーボエ四重奏曲は天衣無縫の美しさ、第1楽章なんて音が消えた後も、芳醇な残り香か漂っているようで、本当に惚れ惚れする。これほどのメンバーが集まれば、相当にレベルの高い音楽が聴けるとは、当然と言えば当然なんですが、あまりにも美しい表現と多彩に広がる音の薫りに、もう目がくらくらするほどの感動がこみ上げてきました。
 ブリテンは研ぎ澄まされたやりとりの中にも、フレーズ一つ一つを楷書体で描き上げる、極めて誠実な演奏。それでいて、4名とも予定調和な演奏は皆無。相手がどのように出て来るか?を楽しんでいるようにも見えます。録音では絶対に感じ切れない鋭さと楽しさがあった。
 ハイドンは、圧巻の一言!特にシェレンベルガーの気合の入り方はハンパではなく、この曲を本当に愛しているのだと感じた。第2、第3のソナタではシェレンベルガーのオーボエが、まるでキリストが我々に語り掛けているような、人の声のような音が印象に残った。また、第3のソナタでは弦の3人が極力ヴィヴラートを抑えた表現で、ルネサンス音楽のような響きだった。
 Jホールはガラス張りの建物で、独特のリラックスした雰囲気があるのは利点だが、車や人が歩いているのが見えるので、聴衆がそちらに気を取られるなど、やや空気が散漫になる傾向があるのですが、このハイドンの演奏では、皆が4人の演奏に集中して聴いていて、閉ざされたコンサートホールでもこれほど客席がかたずを飲んで見守ることは少ないのではないか?と思うほどでした。
 会場は大変な盛り上がりで、恐らく予定していなかったアンコールは、メイン曲の「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」から第4のソナタ。唯一、シェレンベルガーが、少し首を傾げて納得がいっていない様子だった曲。これをアンコールに持ってきて再演をするあたりは、完璧主義者の顔をのぞかせたように感じた。 

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コメント 9

サンフランシスコ人

「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」にオーボエ四重奏版があるんですか.....知りませんでした...
by サンフランシスコ人 (2017-01-19 03:19) 

ヒロノミンV

>サンフランシスコ人さん
 オーボエの旋律がとても印象的ですよ。僕は弦四よりも好きかも知れません。
by ヒロノミンV (2017-01-21 00:12) 

サンフランシスコ人

2/17 リッカルド・ムーティとシカゴ交響楽団が演奏....

http://cso.org/holyname

Program

Haydn The Seven Last Words of Our Savior on the Cross

"Riccardo Muti and Members of the Chicago Symphony Orchestra for an unforgettable performance of Haydn's Seven Last Words of Our Savior on the Cross."

by サンフランシスコ人 (2017-01-21 07:36) 

木曽のあばら屋

こんにちは。
うわあ、これは聴きたかったなあ・・・。
最近多忙でなかなか岡山に足が伸びません。
by 木曽のあばら屋 (2017-01-22 22:05) 

ヒロノミンV

>サンフランシスコ人さん
 「十字架上の・・・」のオーケストラ版は、シェレンベルガー氏は関西フィルにてすでに披露しているようです。
by ヒロノミンV (2017-01-24 23:34) 

ヒロノミンV

>木曽のあばら屋さん
 モーツァルトのオーボエ四重奏曲は、まさに「待ちに待った!」シェレンベルガーの生演奏でした。ハイドンの「十字架上のキリスト…」もシェレンベルガーの思い入れが詰まった演奏でした。
 来シーズンは、実質4回のオーケストラ・コンサートがあるようです。ぜひご検討ください。

by ヒロノミンV (2017-01-24 23:36) 

伊閣蝶

ハイドンの「十字架上のキリストの七つの最後の言葉」、私も大好きな曲の一つですが、オーボエ4重奏版があるとは過分にして知りませんでした。
これは聴いてみたいところです。
それにしてもシェレンベルガーさんが岡山を拠点に活動して下さり、岡山の観客との間で素晴らしい紐帯を築かれていること、本当に嬉しく思います。
by 伊閣蝶 (2017-01-26 20:18) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 このシェレンベルガーが吹くオーボエ四重奏版を聴いてしまうと、弦楽四重奏版よりも魅力的に感じてしまいます。
 地元の山陽新聞でもコンサートのレビューが取り上げられて、
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「音楽と岡山のまちが好きだ」と語るシェレンベルガー。指揮台ではあまり見せない笑みをこの日は何度もファンに向け、カーテンコールに応えアンコールも披露した。あらためて世界的な音楽家が身近にいる幸せを感じる。
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 こんな記者さんの感想が掲載されていました。
 岡山の聴衆は、みな同じ思いだと思います。


by ヒロノミンV (2017-01-30 19:24) 

サンフランシスコ人

シェレンベルガーと岡山フィルは、モーツァルトのセレナード第10番を演奏するのでしょうか?
by サンフランシスコ人 (2017-04-28 06:33) 

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