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秋涼爽快のカルチャーゾーン [コンサート感想]

 秋の爽快な空に誘われて、秋の休日に回った市内の美術館巡りの記録を。

 岡山市内には岡山城を中心に文化施設が集まっており、『岡山カルチャーゾーン』として売り出しています。
 これほど一つのエリアに文化施設が集結しているというのは珍しいとのことで、バブル期には特に地方都市において郊外に美術館などが建設される傾向があっただけに、今となってはこの集積が岡山の都市魅力の原動力の一つになっていると言えます。

 今回は3か所の美術館を訪問。1か所目は夢二郷土美術館
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ゆめじ×えいじ デザイナー水戸岡鋭次が発信する夢二 という展覧会。

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 僕は水戸岡さんのデザインが好きだし、竹久夢二の絵も好きなので、結構楽しめましたが、人によっては「う~ん・・・」という感じかも?(ある意味、美術館を経営する、両備グループの宣伝、と言えなくもない。)
 自己主張よりも時代の要請に真摯に応えることを志向し、人々の暮らしに向けるまなざしは、竹久夢二も水戸岡さんも、共通するところがあるな、と思いました。

次は林原美術館
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岡山城二の丸屋敷対面所跡にふさわしい荘厳な門構え 

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 公立文化施設の多い中で、この私立である林原美術館の存在は、岡山カルチャーゾーンの存在に奥行きを与えていると思います。

 特別展「平家物語絵巻展」の後編。全巻を揃えているのはここだけだそうですが、じっくり鑑賞すれば2時間はかかろうかという、見ごたえのある展覧会でした。会期は9月23日で終了しています。
 絵巻物も見ごたえがあったのですが、それを収める漆塗りの化粧箱!漆塗りで蒔絵が施された容器には、一つ一つの引き出しに収められる絵巻の巻名が書かれていて、ある意味、この化粧箱を特注するときが一番収集家冥利に尽きたのだろうなあ、、、と思わされます。
 下世話な話で恐縮ですが、デアゴスティーニの全巻蒐集したらついてくる専用のアルバムみたいな?昔から変わらぬ収集家マインドを感じさせます。

 3か所目は10月1日、オリエント美術館
 
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 『香りのシルクロード』と題した特別展。 香水の容器や香炉などの香りにまつわる容器や装飾品を中心に展示されていますが、面白いのが色々な香料を実際に嗅ぐことができる。なかでもジャコウの香りを初めて嗅ぎましたが、なんとも魅力的な香りでした。原料はクジラの小腸に出来る結石だそうで、どうしてこんな香りになるのか不思議です。

 前回のエントリーはコスタリカ国立響カルテットの岡山公演でしたが、2週連続でオリエント美術館でクラシックを愉しみました。今回は岡山フィルメンバーによる弦楽四重奏。

演奏:岡山フィルメンバー
近藤浩子、河野園子、大道真弓、山本玲子

曲目
パッヘルベル:カノン
J.S.バッハ:アリア
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリアからイタリアーナ・シシリアーナ
J.シュトラウスⅡ:アンネン・ポルカ、美しき青きドナウ
レハール:メリーウィドウから
坂本九メドレー、昴、情熱大陸
アンコール:ピチカート・ポルカ

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 このオリエント美術館の中央ホールは吹き抜けになっていて、採光と同時に音楽の反響空間を想定しているのでしょう(東京オペラシティ・コンサートホールのステージの上にも採光と反響空間を兼ねていますね)。
 演奏された音が反響空間で増幅し、展示室にも聴こえるようになっているんですね。無料のギャラリーコンサートということで、入館者は思い思いに音楽に耳を傾けていました。

 先週は同じ会場でのコンサートに色々難癖をつけてしまいましたが、こういう気軽なコンサートも好きなんですよ。ただし、鑑賞料を取る真剣勝負のコンサート、リラックスして楽しむことを目的とした街角・サロンコンサート、両者のけじめをしっかりつけてほしいのです。

 岡山フィルの演奏は、実直誠実なもので、ことさらにお客さんのウケを狙おうというものはありません。ですが、非常に心のこもった演奏で。最後には中央ホールに椅子が足りなくなるぐらいのお客さんが埋まりました。しかし、この空間は良く響きます。最後のピチカート・ポルカのピチカートの芳醇な音は、さすがにこの空間のツボを心得ている選曲だなと思いました。


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コメント 4

angela

こんにちは。お久しぶりです。いつも読み逃げですみません・・
「岡山カルチャーゾーン」いいですね。
交通の便が良いところで、これだけ色々と楽しめると得した気分ですね。
岡山はこちらからは1時間ほどで行けますし、少し時間に余裕が出来れば是非訪れたいと思います。
美術館で鑑賞しつつ生演奏を楽しめるのもいいですね。
いつも丁寧にご紹介下さるので、楽しみに拝見させて頂いています(^^)
by angela (2015-10-05 10:52) 

ヒロノミンV

>angelaさん
 コメントありがとうございます。
 「岡山カルチャーゾーン」のあたりは、かつて岡山城内だったところで、美術館以外にも貸し出し冊数10年連続日本一の県立図書館、ルネスホール・市民会館・岡山シンフォニーホールの3つの音楽ホールも擁しています。
 後楽園・岡山城ともども、ぜひ岡山にお越しください。夏に来られると、白桃やピオーネなどのフルーツも楽しめますよ(笑)
by ヒロノミンV (2015-10-06 19:17) 

木曽のあばら屋

こんにちは。
「オリエント美術館」は好きな空間で、岡山に住んでいた頃はよく行きました、
「夢二美術館」は一度だけ行ったことがあります。
私が行った日だけかもしれませんが、入館者の男女比が1:9くらいだった記憶が。
「林原美術館」にはまだ行ったことないんです。
隣にあったルネサンス・ビルのイタリア料理屋は好きだったんですが、
林原が倒産したらなくなってしまいました(林原が経営していたっぽい)。
あの界隈は散歩していて楽しいですね。岡山城のお堀端を歩くのも好きです。
by 木曽のあばら屋 (2015-10-10 18:29) 

ヒロノミンV

>木曽のあばら屋さん
 竹久夢二は女性に人気ですね。我が家から徒歩10分で行けるのですが、久しぶりに足を運ぶことになりました。
 林原美術館は、当面存続が図られることが決まりましたが、存続のために史料価値の低い美術品を売ることにもなるようで、10年後20年後にはどうなっているか予断を許さない感じです。
 ルネサンス・ビル、懐かしいですね!大学時代に卒業謝恩会をその店で開催しました。今は山陽放送のアーカイブ映像センター(?)みたいなのになっています。
by ヒロノミンV (2015-10-12 23:04) 

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