SSブログ

岡山フィルのマイシート会員 [岡山フィル]

 岡山フィルおよび岡山シンフォニーホールの年間プログラムが発表されています。
CCI20150320.jpg
CCI20150320_0001.jpg
 2015年3月の定期演奏会は3月4日の金曜日になったようですね。シェレンベルガー氏のHPの事前情報では日曜日になっていて、この日は都合がつかないだろうなあ・・・と半分あきらめていたのですが、この日程なら来季の3回の定期演奏会はすべて行けそうです。
 それから、来季の大きなトピックとしては、岡山フィル史上初の「マイシート」(定期演奏会年間座席指定券)が設定されたことですね。
20140320122155img.jpg
 このマイシートの発売日が今日だったわけですが、第1希望の1階中央の席は逃しましたが、第2希望の2階席はゲットしました(最終的には定位置になりました)。
 7月の定期演奏会のプログラムを考えると、ソリストが間近で見られる1階席がいいな、それに1階の中央ブロック最前列って『お大尽』感があって(実際、ベルリン・フィルが来た時は4万円した席ですし)、そこに席を持つというプレミアム感を味わいたかったのですが(笑)、3月の定期演奏会の「ドイツ・レクイエム」は明らかに2階席で聴いた方が僕が好きな音が聴けるし、音響は知り尽くしている席なので安心感があります。結果的にはこれで良かったかな?と思います。
 このマイシート会員は、いわゆる定期演奏会会員と呼ばれるもので、これが発足したことはシェレンベルガーの首席指揮者就任に並ぶ大事件だと私は考えています。なぜなら、これが岡山のオーケストラ文化の成熟への大きな転機になるトピックだと思うからです。
 定期演奏会の年間座席指定券はプロ・オーケストラなら例外なく存在する制度です。中国地方でいえば広響にもありますし、松江のプラバホールには主催事業を年間指定席で聴くことが出来る会員制度もあります。
 この制度はすべての演奏会に行こうと思っている聴衆にとっては、かなり割安で購入できる。そして、いちいちコンサートのたびにチケットを買う手間が省けるうえに毎回同じ良席で聴けるというメリットがあり、岡山フィルの募集のチラシでもそのメリットをアピールしています
 一方で、オーケストラにとっても大きなメリットがあります。まず一定数のお客さんを確実に確保できることで、思い切ったプログラムが打てること。逆に、来季の岡山フィルの7月定期のように目玉公演の話題性・集客を年間の定期演奏会の集客に波及させることが出来ること。いい席で目玉公演を聴こうと思うと、年間マイシートを買うのが一番確実ですからね。
 
 私が最近行った関西のオケのプログラムから、定期演奏会会員数を拾ってみると、関西フィルは約600人 大フィルは約1000人、京響は約1200人程度の定期演奏会会員(正会員なども含む)が居ます。特に京響は京都コンサートホールの2000人のキャパの60%が会員席で占められており、ラターであろうがニールセンであろうが、ショスタコ8番であろうが、毎回満員になっていますので、定期演奏会会員の波及効果というのは凄いものがあります。
 しかし、定期演奏会(マイシート)会員のメリットはそれだけではありません。 

 シェレンベルガー氏が首席指揮者に就任する前の岡山フィルは、1回こっきりの指揮者がやって来て演奏会が開催され、その演奏会が終わってしまったら(その指揮者の再演の可能性はあるにせよ)それでおしまいだったわけです。聴衆も「いい演奏だったな」と思っても、その先に続くストーリーが無かった。 

 シェレンベルガーが就任してからは明らかに岡山フィルの演奏水準が向上し、特に楽団のカラーが出たと言われていますが、私が思うに一番変化した点は、ストーリーの中で1回の演奏会が聴けるようになったこと。これが本当に大きい。
 1回1回が聴き応えのある演奏でありながら、その充実した演奏会が、シェレンベルガー&岡山フィルの軌跡の1部となることで、1回のコンサートが終わった後もストーリーの「次」を待ち遠しく楽しむ時間が得られること。それによって明らかに聴衆の熱気も上がっていることは、舞台に上がっている楽団員の皆さんも感じておられることと思います。
 定期演奏会(マイシート)会員は。そのシェレンベルガーと岡山フィルの軌跡をすべて共有するためのプラチナチケットになるわけです。
 私が岡山フィルに要望したいのは 指定席の年度更新制度を導入すること。要するに次の年も同じ席で聴けるようにしてほしいのです。そうすれば岡山に真のオーケストラ文化が誕生する。 
 
 私の身内や友人にも、在阪、在京、在東京のオーケストラの定期演奏会会員を続けている人が居ます。彼らはコンサートホールに自分の席が待っていて、月に1回そこに通いつづけることに喜びと張り合いを感じています。
 何年も会員を続けていると座席の周囲の人と顔見知りになる、自分だけの特別な席であると同時に、ホールの中に職場や住んでいる街とは全くコミュニティを持つことになるわけです。
 周囲が顔見知りだと安心して聴けるし、マナーに注意を払おうというインセンティブにもなる。コンサートの空間づくりにも重要な役割を果たします。
 
 そして、私が大阪や京都に行って羨ましいと思うのは、会員という音楽を愛する仲間同士がリアルに交流していること。そういった場に参加させてもらったことも何度かありますが、同じ音楽空間を共有したもの同士の談笑は本当に楽しい。しかも、いい演奏だったら旨い酒と最高の音楽体験を肴に盛り上がり、これぞ人生の至福ともいえる時間です。もしイマイチの演奏でも、次のコンサートに気持ちを切り替えて盛り上がることも出来る(笑)
 
 オーケストラの歴史を紐解けば、熟練した技術を持つ奏者を何十人も抱えるオーケストラは、はじめは王侯貴族の娯楽として発展し、産業革命以降はブルジョア層がお金を出し合ってオーケストラの会員制度を作った。いわゆるフィルハーモニーと言われているものです。現代においては行政や有力企業・篤志家からの寄付や財政支援と定期演奏会会員からの収入が経営の屋台骨になる。
 岡山「フィルハーモニック」管弦楽団は、これまで明確なフィルハーモニー=楽友組織が無かった、賛助会員の積極的な獲得と、この定期演奏会(マイシート)会員の発足という車の両輪が動き出して、はじめてフィルハーモニックと胸を張って名乗れるようになりました。 
 ウィーン・フィルなどは、何代にもわたって定期演奏会会員が相続されているという座席もあります。岡山のオーケストラ文化、音楽文化もそこまで成熟するでしょうか。いやして欲しいですね。その第一歩が踏み出された今夜はわがオーケストラのために祝杯を挙げたいと思います。
 マイシート年度更新は、特定のファン層に手厚いとの意見も出るかもしれませんが、オーケストラとのかかわり方で待遇に差をつけるのは、興業マーケティング的にも実に理にかなったことなのですが、これについては、また記事を改めます。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。