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大阪フィル第485回定期演奏会 K.ヤルヴィ指揮 Vn:三浦文彰 [コンサート感想]

大阪フィルハーモニー交響楽団第485回定期演奏会

エネスコ/ルーマニア狂詩曲
ハチャトゥリアン/ヴァイオリン協奏曲
~休憩~
ラフマニノフ/交響的舞曲

指揮:クリスチャン・ヤルヴィ
ヴァオリン独奏:三浦文彰

2015年2月21日 フェスティバルホール

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 「東欧のラテン」のルーマニア民謡溢れる狂詩曲に(聴いてみて、過去に生演奏で聴いたことに気付いた)、協奏曲というよりヴァイオリン独奏付き舞踏組曲といった風情のハチャトゥリアンの協奏曲。そしてシメにはラフマニノフの最高傑作の一つと(僕が独断で思っている)「交響的舞曲」。東欧の土の匂い・汗のにおいをひたすら堪能する素晴らしいプログラム構成。 こんなプログラム、なかなか、岡山でコンサート通いをやっていても聴けるプログラムじゃないですからねぇ。
ハチャトリアンの「ヴァイオリン独奏付き舞曲」は、三浦文彰さんの惜しげもなく繰り出される技と躍動感を堪能!ホント、よくぞこのプログラムを組んでくれた!

 ラフマニノフの交響的舞曲は大植さんの時にも聴いてるんですが、その時と比べると、大フィルサウンドを聞かせてくれた点では満足したけど、舞台上から発せられるパワー、力がかなり落ちたな…と、感じざるを得ませんでした。いい演奏だったんですがね。
 一方でラフマニノフのメランコリーな旋律を唄うところは、ホンマに泣かせる、前半は乗ってなかったcl金井さん、fl野津さんはじめ、弦五部も大フィル節を存分に聴かせてくれた。
 しかしクリスチャン・ヤルヴィのタクトはシャープで、音楽を自在に操る能力は極めて高い。あのタクトだったら、演奏に綻びが生じることはないやろうな、と安心して聴いていられました。


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(2月26日追記)
 あれからもう5日も経って、今更更新しても誰が見てくれんねん。と思いつつも更新します。 
 この日のお客さんの入りは・・・どうでしょう?3階席は見ていないですが、全体で5割=1300人ぐらい?ザ・シンフォニーホールなら1300人ぐらい入ると「埋まってる感」は出るんですが、フェスティバルホールのキャパシティ2700人だと閑散とした感じがしてしまいます。
 1曲目はエネスコのルーマニア狂詩曲。
 この曲、初めて聴く曲と思っていたら、後半部分の早いパッセージのところで「あれ?」と気付く。
よく考えたらこの曲、生演奏で聴いていました。指揮は井上道義、しかもオケは大フィルで。K.ヤルヴィは井上ミッキーに負けないぐらい指揮台で踊りまくってましたね。なかなか高カロリーな演奏を聴かせてくれました。
 2曲目はハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。この曲、結構楽しみにしていました。三浦文彰さんは初めて拝聴します。お父上の三浦彰宏さんは大植さんとのマーラー9番の時のコンマスの印象が強く記憶に残っていて、太くて伸びのある音を聴かせてくれました。
 文彰さん、まだ20代半ばですよ!第1楽章の超絶技巧を駆使する(この曲、ツイゴイネルワイゼンやチャイコンよりも技巧が求められますね)部分でも、余分な力が入らず自然体でいとも簡単に弾いているようにしか見えません。それでいて親父さん譲りの伸びのあるしっかりとした音がホールの隅々まで響き渡ります。音色も僕の好きなタイプの音で、オケと指揮を見ながらちょっと遊びの部分も作るような余裕もある。カデンツァに入る部分では会場の空気を一変させる華もある。いいヴァイオリニストです。マスクもイケメンだし(これだけの名手ならそういう売り出し方は決してしないでしょうが)、今後も人気を博しそうですね。
 オーケストラパートもなにげに難しいんですね。弦とか筋肉が吊りそうな動きをするし、何よりもフルート!これが払いパッセージの連続、トランペットも結構目立つ場面が多い。正直、演奏のクオリティとしてはイマイチな印象。トラッペットやホルンに軽微なミスが多く、木管のハーモニーも大フィル独特のハーモニーがあまり聴かれなくて、個人的には物足りない演奏でした。
 終演後は大きな拍手が沸き起こり、何度もカーテンコールに応えるんですが、お客さんのボルテージはいっこうに収まりません。すると、なんとヤルヴィがヴァイオリンを、三浦さんが指揮棒を持て登場。なんとも粋な感じで「アンコールはしませんよ」アピールをしていました(笑)この曲、それだけ消耗する曲なんでしょうね。
 
 後半はラフマニノフの交響的舞曲。前述の通り、大植さんが音楽監督をしている時に一度聴いている曲です(その時の感想が翌月のプログラムに掲載されたので、よく覚えているんです)。
 演奏自体は大変な熱演であったし、大フィルは1回1回の演奏会に勝負がかかっている立場ですから、その熱意は鬼気迫るものがありました。木管もClの金井さん、Flの野津さんが乗ったことで音が変わり、「そうそう、僕はこの木管を聴きに大フィルに足を運んでるんや!」と満足させてくれる、歌があふれる強烈な音を聴かせてくれました。
 ただ・・・・。僕が大阪までわざわざ聴きに行くのは、大フィルしか味わえない音。地の底から湧いてくるような大フィル・サウンドを味わいに行くんですが、その音が・・・少し薄かった。
 音量的に薄いわけでは無く、むしろフェスティバルホールであれだけ鳴らせるのは、流石大フィル!と思うし、第2楽章や第3楽章昼間部での弦の繊細な響きと美しさは、大植さんの時代からずっと引き継がれている確信を持ちました。K.ヤルヴィの音を掴んで自在に操る特とで、80人のオーケストラサウンドが生き物のように変化する。
 特に圧巻だったのは第3楽章の終決部、ラフマニノフがよく使う「怒りの日」のメロディーを金管が高らかに咆哮してからの場面。ヤルヴィもここが勝負所として、かなり綿密に練り上げたんじゃないか?走って・止まって・変化して、という変化の連続。これがビシバシ決まって、胸のすく演奏になりました。
 バランス的にはどうしても金管や打楽器が目立つように作られている曲であるし、一方で弦五部がそれに対応してしっかり鳴ってくれないと、厚みが出ないやっかいな曲だと思いますが、特に弦ファーストVnなどは半分がエキストラという状態にあって、技術的にはここまでの演奏を聴ければ充分じゃないかと思いました。日本の地方都市を巡業する東欧のオーケストラなんて、この大フィルよりもレベルが落ちる演奏を何度も聴いてるしね。
 なんとも言えない薄さ・物足りなさは、大フィルがコンサートという「場」を創る力が落ちているのではないかと思うのです。そんな時期にフェスティバルホールという大きな箱に移ったため、客席からもなんとなく遠く感じる。客席にまで圧迫するようにな力が弱くなっている。

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 本来、大フィルは4管編成90人ぐらいの規模のオーケストラの筈が、今では70人を切っていて2管編成プラスアルファのサイズにまで減員になっています。現有の楽団員者が、この大フィル史上未曾有の困難な状況で、大フィルの看板を汚さない踏ん張っているんでしょう。これは、やはり資金面での目途が立たないとどうにもならないでしょうね。
 何でも自由競争をすれば、成長するというわけでもなく、オーケストラに関しては潤沢な財源と長期的な展望を開くことのできる環境が整えられた上での、競争や自助努力なんだと思います。

 演奏の感想からは少しずれましたけど、最終結論としては、大フィルは色んな意味で過渡期にあるが、大フィルサウンドがその輝きを失っていない限り、機会をみて再び聴きに行こう。そう思ったわけです。クリスチャン・ヤルヴィも再び聴きたいですね。
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バルビ

 魅力的なプログラムですね。私もラフマニノフの交響的舞曲やハチャトゥリアンのヴァイオリンコンチェルトは大好きです。数年前、群響でも、ちょうど同じようなプログラムの定期がありました。最初の曲だけが、グリンカのワルツでしたけれども。
 ハチャトゥリアンのコンチェルトは、とにかく「格好良い」くて、日がな一日聴いていた時期がありました。第3楽章の音の進行が耳にこびりついています。
 当方、我が群響は、来週末28日(土)2月定期です。漆原朝子さんでエルガーのヴァイオリンコンチェルトとシベリウス5番。エルガーはこれまた大好きな曲なので、大変楽しみです。
by バルビ (2015-02-22 09:25) 

ヒロノミンV

>バルビさん
 演奏す方はなかなかに大変な曲が続くプログラムですが、聴衆にとってはわくわくするプログラムでした。
 交響的舞曲は2回目ですが、失敗作とされている交響曲第1番の野性的でロシアの土臭さを感じる作風への原点回帰と、アメリカに渡った後の色々な試行錯誤が結実した、ラフマニノフが最も書きたかった最高傑作だと思っています。生演奏で聴いたのはどちらも大フィルで、2度も聴けて本当に幸せでした。
 群響のエルガーとシベリウス(しかも僕の大好きな5番!)も魅力的ですね。コリン・デイヴィスのご子息が父の十八番をどう振るのかも興味が尽きないですね。
by ヒロノミンV (2015-02-22 23:11) 

モエナマン

はじめまして。
いつもブログを拝見させていただいております。

私も岡山から大阪へ聴きに行って参りました。
ハチャトゥリアンの演奏にはまさに脱帽という感じですね。
by モエナマン (2015-02-23 14:23) 

ヒロノミンV

>モエナマンさん
 こんばんは、「初めまして」でいいでしょうか?もし以前にコメントくださってたらすみません。
 モエナマンさんも、岡山から行かれてたんですね!
 三浦文彰さんのハチャトゥリアンの独奏には、本当に度肝を抜かれました。これが聴けただけでも大阪まで行った甲斐があるというものです。
 ちょっと先に京響の方の感想を作成しておりますので、大フィルの方は数日後に覗いて頂けると嬉しいです。いつもご覧いただき、ありがとうございます。
by ヒロノミンV (2015-02-23 22:02) 

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by 岡山商科大学は就職や大学院進学に強い! (2018-11-12 09:12) 

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