関西フィル第258回定期演奏会 シェレンベルガー指揮 Fl独奏ジャコー [コンサート感想]
関西フィルハーモニー管弦楽団第258回定期演奏会
モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
C.P.E.バッハ フルート協奏曲ニ短調
~休憩~
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
フルート独奏:セバスチャン・ジャコー
2014年7月18日
ザ・シンフォニーホール
関西フィルってこんな音がしてたっけ!まるでヨーロッパのオーケストラの音でした。素晴らしい響き。
シェレンベルガーのタクトは岡山フィルの時と同様、各楽器・各奏者のポテンシャルを最大限引き出し、力任せでなく楽器の自然で豊かな響きでホールの空間を満たすというものだったと思います。特に弦楽器の豊かな響きに心を奪われました。
フルートのソリストも大変な逸材で、大いに楽しめました。
(7月21日追記)
まず、モーツァルトの「魔笛」序曲で、このオケの音色に惹きこまれました。1年以上ご無沙汰だったこのオケ、デュメイの薫陶よろしくヨーロピアンな音色を手にした、と言われているけれど、これほどとは・・・
配置は通常配置の6→5→4→3→2、チェロがアウト側に位置。
カール・フィリップ・エマニュエル・バッハのフルート協奏曲。セバスチャン・ジャコーという若きフルーティスト。神戸国際フルートコンクールの覇者で、関西には縁が深いそうな。
まず、フルートって、こんな音がするん?という驚きの音。いや、実は普通のフルートではなくて、特殊な素材とかを使ってるんじゃないのか?そう思うほど澄み切った音に唸らされます。
テクニックも万全で第三楽章の高速パッセージでの演奏が圧巻。それに加えてアンコールのシリンクスも半端なく凄かった。
演奏中はシェレンベルガーやオーケストラとアイコンタクトを取りながら、非常に人懐っこい(それに加えて、かなりのイケメンでもある)。セコバイのおばちゃん(失礼)奏者がデレデレだったのには笑えた。
同じくイケメンのエマニュエル・パユが、ジェントルマンなら、こちらのジャコー君はやんちゃな遊び人な感じ(いい意味で・・・ですよ)。この人のリサイタル、かなり行ってみたいかも。
休憩を挟んで後半。配置は通常配置のままで14→12→10→8→6。快速のインテンポな演奏で、タメを作ったりせず、音楽の流れを非常に重視した演奏でした。中間部の大音量の部分でも力みが無く、何度も生演奏で聴いているはずのこの曲が本当に新鮮に響いた。
例えば、ダンダ~ん!というトッティーの後、同じ音階をユニゾンで奏で続ける、この楽章の一番の見せ場。そのダンダ~ンの部分で響くコントラバスの音がこれほどスパイスが効いて感じられたのは初めて、あのコントラバスの音だけで、この部分の響きがこれほどドラマティックに感じられるんだ。あそこで力み切ってがなり立てる演奏だったら、まったくこんな感じ方はしなかっただろう。
例えば、ダンダ~ん!というトッティーの後、同じ音階をユニゾンで奏で続ける、この楽章の一番の見せ場。そのダンダ~ンの部分で響くコントラバスの音がこれほどスパイスが効いて感じられたのは初めて、あのコントラバスの音だけで、この部分の響きがこれほどドラマティックに感じられるんだ。あそこで力み切ってがなり立てる演奏だったら、まったくこんな感じ方はしなかっただろう。
シェレンベルガーの音楽の真骨頂が出たのは第3楽章だったかも知れません。かなり速いテンポで進んでいくが、あっさりした感じは全く無くて、むしろ引き締まった濃厚な音楽が展開してゆく。
関西フィルの分厚く芳醇な弦のハーモニーに酔いしれ、木管のソロもハーモニーも素晴らしかった。正直、木管に関しては翌日聴いた大フィルよりもハーモニーの心地よさという点で上回っていたように思います。
関西フィルの分厚く芳醇な弦のハーモニーに酔いしれ、木管のソロもハーモニーも素晴らしかった。正直、木管に関しては翌日聴いた大フィルよりもハーモニーの心地よさという点で上回っていたように思います。
第四楽章も快速テンポで進むものの、響きの美しさは健在。 ショスタコーヴィチの音楽がこれほどスッキリ聴こえた経験がなかった。
この曲にまつわる色々な解釈や思い込みを排して、純音楽として、虚飾に惑わされることなく、最後はホールの隅々まで響きわたる「ラ」の音に乗せて高らかにファンファーレが鳴りわたる。ここでも本当にハーモニーが気持ちいい。情熱のこもった演奏でしたが、力みや無理やり感は一切ない、絶妙のバランスで締めくくられました。
これは僕の完全な思い込みですが、このシェレンベルガーの音楽づくりは、この曲は現代音楽的なカテゴリーではなく古典(クラシック音楽、という意味で)の重要なレパートリーとしてとらえられているように思います。だから、モーツァルト→C.P.Eバッハの後に続いても、非常におさまりが良かった。
大学時代に、恩師が「100年後にはソ連邦の崩壊とIT時代の到来した90年代が近代と現代の境目になるかも知れない」という話をしていましたのを思い出しました。それに当てはめると、このショスタコーヴィチも、ベートーベンやブラームス、チャイコフスキーと同じく、近代の楽曲になっていくのかも・・・そんな気がする演奏でした。
最も、シェレンベルガー自身は、あのベルリンの壁の崩壊の前と後、両方の時代にベルリンの街で活躍し、ショスタコーヴィチの音楽を同時代的に感じられる体験もしていると思います。しかし、政治的なメッセージを解釈に盛り込むのではなく、音楽そのものが持つ響きやストーリーの力を引き出す演奏には逆に胸に迫るものがありました。
関西フィルは、ヨーロッパ遠征を企画し、それに向けて着々と準備が進んでいるようですね。デュメイの元、こういう楽団にしたい!という方向性がハッキリ決まってて、一つ一つの演奏会で何を吸収するかというものも明確なんでしょうね。
シェレンベルガー氏が唯一オーケストラのポストを持っている我らが岡山フィルですが、シェレンベルガーの指示に当意即妙に応えている関西フィルの演奏を聴くと、我らが岡フィルもまだまだなんやな~と思います(って何様やねん!)。
関西フィルのブログを見てみると、シェレ様との共演は6回目とか・・・
ということは、岡山フィルもシェレ様との共演を重ねれば、もっともっと飛躍できるということ。期待したいですね。って最後は岡フィルの話になってしまってすみませんです。
経営が変わってから初めてのザ・シンフォニーホール。2階のカフェスペースが拡大し、非常に居心地がよくなっています。各階の休憩スペースには椅子が増設され、ウォーターサーバーまで備え付けられています。以前は、館内で持ち込みのドリンクを飲もうものなら血相を変えて「持ち込みのお飲み物は禁止です!」と注意されたかつての雰囲気は皆無。正直、これならABCから経営が変わって良かったんちゃうん!と思います。
さて、今回もお送りするグルメ編(?)
終演後にラーメン人生JETへ。ホンマは三ツ星製麺所に行きたかったんですが、終演後には閉まってるんですよね~。
店の外に10人以上並んでいて、コンサート帰りの人たちなのか?と思ったが、当の並んでいる人たちが「今日、人が多いけどなんかあったん?」などと話していたから、普段からこんな感じで行列のできる店なのだろう。
次回に来た時も行ってしまいそうです。
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2014-07-18 23:14
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