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スイス・ロマンド管弦楽団倉敷公演 山田和樹指揮 Vn:樫本大進 [コンサート感想]

スイス・ロマンド管弦楽団 倉敷公演

ビゼー/「アルルの女」第2組曲より
    メヌエット、ファランドール
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
~休憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲

Vn独奏:樫本大進
指揮:山田和樹 

2014年7月11日
倉敷市民会館

 台風の中でのスイス・ロマンド管弦楽団のツアー。前日までは丁度関東の方を回っていたようで、ちょうど台風一過の青空の中、倉敷入り等日程になりました。

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 当日は公休日だったので、倉敷の名店、「名代とんかつ かっぱ」さんで早めの夕食。
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ミニとん定:950円也
これ、一応この店ではスモールサイズですからねぇ(笑)レギュラーサイズのとんかつはこれの1.5倍あります。
ソースは岡山とんかつの王道、デミグラスソース。このソースとラードでコクのあるさくっとしたとんかつが絡み合い、絶品の旨さ。

 さて本題です(笑)

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 チケットは完売です。このたびのツアーでは関西圏での公演が無かったようです。おそらく何十人かは遠征組も居たことでしょう。そしてチケット代が5000円~12000円というのもニーズにマッチしたのだと思います。

 やはり満員の会場で聴くと気持ちが盛り上がります。それはやっぱりオーケストラ、ソリストも同じじゃないかな。
 幻想交響曲の巨大編成のために、前4列ほど拡張してのステージはド迫力。弦5部は3曲とも16型の通常配置の巨大編成(チェロがアウト側)でした。

 1曲目のアルルの女から、瞬発力のあるこのオーケストラ独特の響きを堪能。プログラムノートにも有った通り、アンセルメの死後50年近くたっても、このオケの原点の音は健在!を感じました。

 2曲目のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストは樫本大進さん。この演奏が本当に凄かったのです! 
 樫本さんは好きなヴァイオリン奏者で、赤穂の音楽祭にも足を運んで、そのヴァイオリン音色の美しさと真摯で落ち着いた雰囲気の中に時折飛び出す情熱的な音楽が魅力的です。
 今回のチャイコフスキーは殆ど神がかったような演奏・・・・これほどまで凄いヴァイオリニストだとは・・・・。
 音に深みと黒光りするような照りと輝きががあって、35歳の音楽家をつかまえていう言葉ではないのですが、円熟を極めたような演奏でした。フレーズひとつひとつに、自らの全てを捧げる演奏に本当に心を打たれました。
 第1楽章の カデンツァでは息をするのも憚られる程の緊張感。この日の演奏をどうやって言葉で表せばよいのやら・・・。結局、その会場に居た人にしかわからない凄みのある演奏だった。そう言うしかありませんね。降参です。

 樫本さんの演奏を支える山田さんの指揮とオーケストラの演奏も、神々しいまでに凄かった。一言でいうと『志のどこまでも高いチャイコフスキーだった』ということになるでしょうか。指揮者・ソリストが最高の音楽を作ろう、そういう意思が伝わってきましたし、それにオーケストラも充分に応えた。来日オーケストラ演奏で、これほど充実した協奏曲演奏を、僕は聴いたことがありませんでした。これは僕の中では革命のようなものでした。

 プログラムが発表された時、「ああ~またチャイコフスキーの協奏曲かい!」と、実はがっかりしていたんです。しかし、これほど音楽的に深みのある曲だったとは・・・
 でも、無理もないんですよ。有名な海外オーケストラに、音楽事務所やそのバックの元締めのプロモーターが売り出し中の若手ソリストをつけて・・・オケも特にソリストからインスピレーションを得られることもないまま、なんとなく前半が終わる・・・、そんなコンサートを何度も聴かされてきたのですから・・・

 だから今回はソリストが樫本さんということもあって期待はしていたのですが、これほどの演奏に接することが出来るとは・・・

 会場は前半のプログラムとは思えない大変な盛り上がりで、何度カーテンコールに応えてもヴォルテージが落ちることがありません。アンコールはバッハの無伴奏パルティータ第3番の「ガボット」。その演奏後もヴォルテージが下がらず、やむなく客席の照明を明るくして、強制的に(爆)盛り上がりを収束させた、そんな感じでした。あの対処がなかったらいつまでたっても拍手が鳴りやまなかったと思います。

 後半の幻想交響曲。このスイス・ロマンド管弦楽団は、例えばベルリンフィルやバイエルン放送響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管のように、 鼻血が出るほど上手い(実際、BRSOのコンサートで鼻血を出した私・・・)、というわけではありませんが、アンサンブルに粗さを感じる瞬間がある一方で、大きなトッティで一点突破する場面では、寸分の狂いもなくバシッと決めて来る。失礼ながらめちゃめちゃ上手いオケなのか?そうでもないオケなのか?つかみどころがなかったのですが(笑)独特のローカル色というか、柔らかいなかにも目のギッシリ詰まった手ごたえのある音色は本当に素晴らしかった。

 山田さんはこのオケから絶大な信頼を置かれているようで、これほど指揮者とオーケストラのステージ上での意思疎通が、客席からもはっきりと分かる、というのも珍しいのでは?と思うぐらい。両社の良好な関係を感じることが出来ました。プログラム的に、管楽器のソロや旋律を浮き立たせる場面が多かったんですが、奏者に任せて、気持ちよく演奏させる姿勢が見えました。このあたりも山田さんが信頼されるゆえんなのかもしれません。

 第1楽章の一番盛り上がる場面、第4楽章、第5楽章の後半、ここの突破力と推進力は相当なものでしたが、そんな場面でも耳を突き刺すような音はほとんどなく、聴いているものには夢の世界の物語のような、音が消えていく瞬間に宝石がキラキラと落ちていくような、独特のハーモニーが本当に心地よかった。

 東名阪ならいざしらず、倉敷のような地方として、このレベルのオーケストラの幻想交響曲を聴く、というのは本当に貴重な機会、二人目のチューバやハープも自前で帯同していたようなので、徹頭徹尾、本気度100%前回の来日ツアーだったのだろうと思います。

 終演後の会場の興奮度は凄かった。空調が充分に効いているはずなのに、汗ばむ感じでした(ちゅうか、それは私が興奮していたからか・・・)。アンコールはシュレーカーの舞踏劇「ロココ」より「マドリガル」これが後期ロマン派の薫りと色気がプンプンするような演奏で、鳥肌が立つような演奏でした。終演は21時30分の大熱演でした。

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コメント 12

かず

ヒロノミンVさん、こんにちは。昨晩のスイスロマンド管弦楽団のコメント、楽しく拝見しました。いやあ、行きたかったなあ。直前まで迷っている間に完売…。樫本さんのチャイコフスキーがシベリウスだったらとか、くらしきコンサート100回目にベルリンフィルが来る?!から、それに賭けようとか、いろいろ迷っていました。でも、ヒロノミンさんのブログを読んで、パリ管に続いて後悔した次第です。熱気溢れる市民会館が目に浮かびました!
by かず (2014-07-12 11:27) 

angela

こんばんは。お久しぶりです。いつも楽しく拝見はさせて頂いていますが、なかなかコメントを入れられなくて・・・
ところで、こんなコンサート、あったっけ?と思えば、関西での公演はなかったのですね。
私も随分前から大進さんの演奏は聴いていますが、ベルリン・フィルに入られてから、本当に成長されたと言うか、きっと得られるものが沢山あるのでしょうね。
感想を読ませて頂いて、とても演奏を聴きたくなりました。
多分今年も赤穂には行けないと思いますが、近場で機会があれば是非行きたいと思います。

by angela (2014-07-12 21:15) 

ヒロノミンV

>かずさん
 いつもご覧いただきありがとうございます。金曜日の夜公演ということで、僕もまさか完売するとは思いませんでした。会場は大変な熱気でした。
 樫本さんの奥へ深く深く、深淵まで掘り下げていくようなチャイコフスキーの協奏曲を聴いて「この曲に、こんなアプローチがあるのか・・・」と衝撃を受けました。
 オーケストラの方も山田和樹さんを中心に、結束力の強さを感じさせ、いいオーケストラだなあと思います。
 100回目記念!そうですね!ベルリン・フィルは契約の関係で(確か、フジテレビ・グループしか興業にかかわれない?)どうなるか微妙ですが、ウィーン・フィルという線ならあり得ると思います。今から楽しみですね。

by ヒロノミンV (2014-07-14 21:38) 

ヒロノミンV

>angelaさん
 そうなんです。このツアー、なんと関西丸ごと飛ばしてしまっていたようです・・・。
 そのため、何十人規模で関西から遠征してきていた、との情報も。
他の方の記事を拝見すると、この日の協奏曲の演奏は、通常よりも10分程度長い(遅い)演奏だったようですが、聴いている最中はまったく「長い」とは感じませんでした。
 一音一音に魂が込められた演奏で、聴いている自分が樫本さんの表現する世界に、深く深く沈み込んで入っていって、それが本当に心地いい感覚でした。
 これからベルリン・フィルでもソロ活動でも活躍されて、どこまで巨匠の道を究めていかれるのか、ほぼ同世代の自分としてはそれが本当に楽しみです。
by ヒロノミンV (2014-07-14 21:39) 

MU

うちのオケのファゴット奏者と山田和樹さん、
同級生で、友達なんですって。

今度来ていただこうかな。。。(ムリムリ)
by MU (2014-07-14 22:55) 

ヒロノミンV

>MUさん
 山田さん、ブザンソンの指揮者コンクールで優勝される前は、アマオケも指揮して実力を蓄えてらっしゃったようです。
 山田さんと同級生・・・もしかして芸大出身とか!?
by ヒロノミンV (2014-07-15 23:17) 

別のかず

サントリーホールのTV見たのですが、確かにおっしゃる通りですね。いい演奏でした。第一楽章終わって拍手くるなんて凄い。あー録画すれば良かった。ヒロノミンさんの言う通りでした。慧眼に感謝^^

by 別のかず (2014-08-24 22:22) 

ヒロノミンV

>別のかずさん
 コメント有難うございます。せっかくのコメント、今気づきました。ご返事が遅くなってすみません。
 クラシック音楽館ですね、我が家のハードディスクには自動で録画されておりましたが、まだ見れていません。サントリーホールでもいい演奏だったとのこと、これから見るのが楽しみになりました。
 これに懲りず、またご覧ください。よろしくお願いいたします。

by ヒロノミンV (2014-08-30 23:41) 

サンフランシスコ人

2017年04月 山田和樹がヒューストン交響楽団に客演....

http://www.houstonsymphony.org/tickets/production/detail?id=7346

Program
Charbrier: España
Castelnuovo-Tedesco: Cello Concerto
Falla: The Three-Cornered Hat (complete)
by サンフランシスコ人 (2016-02-02 07:44) 

ヒロノミンV

>サンフランシスコ人さん
情報ありがとうございます
by ヒロノミンV (2016-02-05 18:45) 

サンフランシスコ人

2017年05月 山田和樹がユタ交響楽団に客演....

http://www.utahsymphony.org/tickets/single-tickets/1231-rhapsody-in-blue

2015年05月 山田和樹はユタ交響楽団でアメリカ・デビューしたようです...

http://www.utahsymphony.org/mastersc/992-saint-saens-organ-symphony
by サンフランシスコ人 (2016-02-09 04:00) 

サンフランシスコ人

山田和樹は、来年、シアトル響楽団に客演...

http://www.seattlesymphony.org/concerttickets/calendar/2017-2018/symphony/sub22

Program

Camille Saint-Saëns: Danse macabre
Frédéric Chopin: Piano Concerto No. 2
Camille Saint-Saëns: Symphony No. 3, “Organ”



by サンフランシスコ人 (2017-07-02 06:16) 

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