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岡山フィル第41回定期演奏会 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団第41回定期演奏会(2013ニューイヤーコンサート)

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プログラム
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指揮:飯守泰次郎
ピアノ独奏:松本和将

客演コンサートマスター:佐藤一紀

2013年1月13日 岡山シンフォニーホール

 今年は岡山フィルにとって飛躍の年、なんせ楽団史上初の常任の指揮者(首席指揮者)を迎えるわけですから、楽団の士気が低かろうはずがない。
 その上、ワーグナー、チャイコフスキー、ヨハン・シュトラウスⅡ、どれも飯守御大の十八番中の十八番!たいへん満足度の高いコンサートとなりました。

 格調の高いワーグナー、そして地元出身ヴィルトゥオーゾ・ソリストの熱演。後半は軽妙洒脱で、かつ気品あふれるウィンナー・ワルツ&ポルカを堪能しました。個人的にはピアノ・ソロの演奏で、少し思うところもあった演奏会でしたが、今宵は音楽の余韻に酔いしれようと思います。詳細な感想は後日・・・

(1月14日追記) 

 全曲通じて編成は14型の通常配置で、チェロが上手の外側。客席は8割5分ぐらいの入りでしょうか。ここ数回の岡フィル定期は、まず8割が埋まっていますね。

 順番は前後して、まずはラフマニノフのピアノ協奏曲から。松本和将さん。地元出身の名手だけあって、この日も松本さん目当てのお客さんが多かったのではないか?
 結論から言うと、今回の演奏は全体的にイマイチだった印象。シンフォニックに鳴らしていきたいオーケストラと、ヴィルトゥオーゾ的に駆け回りたいソリストの間の齟齬が結構目立った感じ。第1楽章も第3楽章も、ラストはバシッと決めてくれたけれど、その間がなんとも、う~ん、詰め切れていないなあ・・・という感想を持った(もう少しリハの時間があれば・・・という仕上がりのような気がした)。

 松本さんのピアノは素晴らしいテクニックだったし、ダイナミックなところだけではなくて、繊細な表現も粒のたったアルペジオも、非常に聴き処満載で、ラフマニノフを堪能させてもらったと思う。しかし、なんだろう・・・何か物足りない感じがしたのも事実なのだ。それが何か?というのはうまく言えないのだが・・・・、演奏を聴いてこうして一夜明けて思い出してみると、何か深く心に刺さるものが無くて、ガシガシ弾いていた残像しか残っていない(失礼極まりない表現だけど「一本調子」という言葉が頭をよぎったのも事実)。

 岡響や倉管などのアマオケとの共演で聴いたときには、その実力の桁違いの高さに瞠目するとともに、プロ相手ならどれほどのポテンシャルを発揮するだろうか!という期待が強すぎたのかもしれない。客席の盛り上がりもイマイチだと感じたのは僕の先入観だけではないと思う。

 そんな中でもオケの方は例えば、金星さんというんでしょうか?ホルン首席のソロは本当に素晴らしかったし、お馴染み渡邉さんのティンパニも冴えわたっていたし、フルートも素晴らしかった。オケの演奏には聴きどころ満載だった。

 1曲目のワーグナーに戻しますが、息の長いフレーズを自然に丁寧に描く公演だったと思う。さすがにバイロイトでの経験を積まれた飯守さん。ヴァイオリンの旋律などでは風がさあああっと吹き抜けるような爽快感があった。ドイツ音楽、あるいはワーグナーというと、重厚な演奏、というイメージが強いけれど、飯守さんのワーグナーは何か風というか空気の動きを感じる。これこそが本場のワーグナーなのだという説得力がある。

 そして後半のニュー・イヤー・プログラムでは、今回もいろいろな仕込がありました(笑)
 「常動曲」では、演奏が続く中飯守さんが袖に引っ込んでしまったり、「観光列車」では鉄道員のコスプレ(解説によると運転手兼車掌、だそうな)に、指揮台の上で汽笛を吹く。シャンペンポルカではシャンペンの音の専用楽器(?)も登場!「美しき青きドナウ」では、冒頭の弦のトレモロで拍手が起こり、HAPPY NEW YEAR!の挨拶も(あれって、仕込んでいた!?・・・わけではないよねぇ)。一昨年と同じく、今回も大いに楽しませてもらった。

 今回も岡フィルの弦楽器部隊の明るく芳醇な音色が光った。この実力はいよいよ本物だと思う。シェレンベルガーの首席指揮者就任コンサートが本当に楽しみになった。
 後半も助っ人ホルン首席の金星さんが本当に随所で名人芸。帰って調べてみると、オーケストラアンサンブル金沢の首席の方なんですね。ティンパニの渡邉さんも本籍はOEKだし、文化芸術都市・金沢の威力を思い知る結果になりました。岡山も金沢に追い付き追い越せで頑張ってほしい・・・なんていつも書いてしまっているが、正直、これほどの実力奏者たちを、相応の待遇で迎え入れられるような懐の深い音楽文化都市になれるのだろうか?

 ソリスト・アンコールは、ラフマニノフのヴォカリーズ。オーケストラのアンコールはラデツキー行進曲。手拍子がオケの演奏とズレズレになっても演奏がほころびないのはさすがプロ、と妙なところで感心してしまいましたが、非常に楽しいエンディング。終わってみれば名匠:飯守泰次郎の本場仕込みのフルコースを存分に堪能しました。客席も8割5分方埋まっていましたし、これは毎年の恒例行事にしてもいいのとちがうかな~。

 思えば去年の9月の定期、10月のモーツァルト、12月の第九、そして今回と、ほぼ約1か月おきに岡フィルを聴いてきたわけだが、岡フィルの音がだんだんと耳に馴染んだ感じ。やっぱり定期演奏会は毎月あった方がエエですね。次回は10月ですか?そんなん、岡フィルの音を忘れてしまうがな・・・


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こもじゃー

いつもコメントありがとうございます。

協奏曲の後、汚いブラボーがなくてホッとした反面、多くのお客さんがヒロノミンVさんや私の様に、どこか物足りないところがあったのかなと思いました。

拙ブログに書き忘れたのですが、今回ゲストコンマスで来られていた佐藤一紀さんは、現在どこかの正コンマスを務めておられる訳ではないようです。私はつい、シェレンベルガー体制下での正コンマスとして、佐藤さんを迎える、その布石が今回打たれたと勘ぐってしまったのですが、ヒロノミンVさんはどうお考えでしょうか?
by こもじゃー (2013-01-15 21:25) 

ヒロノミンV

>こもじゃーさん
 こちらにもコメントありがとうございます。
 う~ん、僕の思い込みだけじゃなくて、やっぱり協奏曲の盛り上がりはイマ一つだったんですねぇ。
 一昨年の飯守泰次郎さんが振ったときは、東京シティフィルの戸澤さんがコンマスだったと思います。今回のコンマスの佐藤さんは、現在フリーなのですね。岡フィルの次の課題は、コンマスを固めることだと思っていましたので、もしそういう布石ならこれは楽しみになりますね!
 以前、某楽団のコンマスを客演コンマスとして呼んだ際、ネット上で、たまたまその方があまり岡山での仕事に乗り気ではない旨の発言を見てしまい、悲しい思いをしたことがあります(その方は2度目は無いようですが・・・)。できれば岡山での仕事に遣り甲斐を感じてくださる方がいいなあ、と思います。
by ヒロノミンV (2013-01-15 22:39) 

ムース

なかなかよいコンサートだったようで。
ただ、ワーグナーとシュトラウスの間にラフマニノフが入ると何となく食べ合わせが悪いような気がしますし、実際いまひとつとのことで、考えさせられますね。ベートーベンやシューマンならぴたっと嵌まるような気がします。私はどうしてもラフマニノフは好みで受け付けないのですが、この曲は一般的には人気がありますからね。
by ムース (2013-01-16 16:14) 

ヒロノミンV

>ムースさん
 コメントあえいがとうございます。
 確かにベートーヴェンの協奏曲だと座りは良かったかもしれませんが、飯守さんのアプローチが絶妙で、これはこれで面白いプログラムとして楽しめたのも事実です。
 近年よく演奏されるようになった人気曲ではありますが、聴かせる演奏をするには、技巧的な意味ではなく表現力の面で非常に難しいと感じます。
 ベレゾフスキーがPMFオケをバックした演奏が一番印象に残っています。
by ヒロノミンV (2013-01-16 19:46) 

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