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京都市交響楽団第580回定期演奏会 ジェームス・ジャッド指揮 Vn:クリストフ・バラーティ [コンサート感想]

京都市交響楽団第580回定期演奏会

モーツァルト/交響曲第31番「パリ」
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番
~休憩~
エルガー/変奏曲「謎(エニグマ)」

ジェームス・ジャッド指揮
Vn独奏:クリストフ・バラーティ

2014年6月20日 京都コンサートホール大ホール

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 3曲ともジャッドのタクトさばきに合わせて、鮮やかな演奏でした。もう『お見事!』としか言いようのない一夜。

 モーツァルトの交響曲第31番は、ピリオド奏法での演奏になりました。ジェームス・ジャッドはヨーロッパ室内管弦楽団の創設者の一人だったんですね!そりゃ~ピリオド演奏の権威と言ってもいい人ですわな。
 ノンビブラートで音がスッと消えていく部分と、レガートでつなげていく部分。実に巧みな解釈で、傑作ぞろいのモーツァルトの交響曲の中では、決して傑作とは言えないこの作品を、本当に鮮やかに、一切退屈させることのない演奏となりました。
 この日の配置は3曲とも対向配置。1stVnと2ndvnが10人づつ向かい合う完全なシンメトリー配置。1stVnの上手側にVaが8本、2ndVnの下手側にVcが4本とベースが3本が前後ろ一帯で配置。Vn同士の対話と低音を絞り込むことによってピュアなハーモニーを狙って、それは大成功だったように思います。

 2曲目は、実は個人的に最も楽しみにしていたバラーティのソロによるパガニーニの1番コンチェルト。大植さん指揮大阪フィルで実演に触れて以来、彼のソロ演奏はもう一度聴いてみたいと思っていました。
 大阪での演奏は、とにかく彼の技術力の高さに唖然とした強烈な印象がありましたが、その技巧の高さは全く衰えるどころか凄みを増していたのですが、今回はその音楽の懐の深さに感じいった次第です。前回も技巧をことさら強調した演奏というわけでもなかったんですが、今回は音楽にストーリーがあって、パガニーニの世界観のバラーティのパガニーニへのリスペクトが印象に残ったのです。
 この曲は、個人的にはオーケストレーションの面では決して名曲とは思えなくて、生かすも殺すもバイオリン・ソロ次第の曲。バラーティーの深みのある音、リズム感、音色の多彩さ、そしてもちろん超絶技巧、それらによって本当に魅力的な演奏に仕上がっていました。いい意味で余裕があるというか、パガニーニの音楽世界の中で遊んでいる感じ・・・それが心地よかったです。第三楽章はオーケストラもバラーティーとのキャッチボールを楽しんで演奏してましたね(笑)指揮者・ソリスト・オケが間合いを見計らいながらの演奏に、会場も本当に盛り上がりました。アンコールは2曲ありましたが、バッハのサラバンドが良かったなあ・・・・

 メインのエニグマ変奏曲は、今の京響の充実ぶりを存分に感じられる快演となりました。ジェームス・ジャッドはさすがに母国の楽曲ということで、完全に手の内に入っている曲のようで、抜群のセンスとバランス感覚でダイナミクスをコントロール。エルガーが関わった各人物のエピソードを読みながら聴いていくと、自分がロンドンの街の中に迷い込んで、色々な出来事に遭遇する様な・・・・そんな錯覚に陥りました。各人物のモチーフをユーモアたっぷりに表現する木管も(本当に相変わらず!)見事だったし、トッティーでの金管と打楽器のスピード感のあるサウンドには心も体も震える思いがしました。オケのすべてのパートが盤石なんですよね。
 ジャッドのタクトは繊細に緻密に作り込むけれど、一方でそれに拘泥することなく、大きな流れとうねりの中でオケを歌わせて行きます。そこらへん、京響との相性はバッチリという感じ。
 最後の第14変奏では、オケが神々しく見えました。去年聴いたパリ管や、一昨年聴いたバンベルク響がまとっていた、充実したオーケストラだけが持っているオーラ、それを京響も纏っているように思います。オルガンが入ってきたあたりから心が震える思いで聴いたフィナーレ。素晴らしかった!

 余談になりますが、終演後にホール1階玄関で楽団員さんたちにお見送り(?)していただきました。お客さんも「今日も良かったわ~!」「来月も期待してるよ」などとやり取りしながら、楽団員さんもお客さんも笑顔、笑顔。
 これは「営業努力」とか「おもてなし」とかいうレベルの話ではないなあ・・・と感じます。じっさい、楽団員さんもお客さんの反応を見るのが楽しみにされているのが伝わって来ますし、終演後ホール内で鳴りやまなかった拍手・・・その続きの交流がここで行われている、というのもあるでしょう。オケと聴衆・市民のしっかりとした紐帯を垣間見た一夜でもありました。

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 当日は宿を取りました。コンサートの余韻を噛みしめながら三条大橋のあたりを散歩
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噂に聞くスタバの『川床』へ

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運よく、川床の席でカフェ・タイム

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宿へ帰る途中、先斗町を通って京都の雰囲気を満喫しました

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大仏と鹿

おはようございます。

今回、京響かセンチュリーか
どちらかに行こうと思い
センチュリーに行ったのですが・・・

まあ可も無く「普通」だったので(^_^;)

ここのところの京響は
本当に充実していているので
やはり京響にすればよかったと
後悔しております。

7月の「木挽歌」と「ハーリーヤーノシュ」は
何とか都合を付けて行きたいなぁ・・・

by 大仏と鹿 (2014-06-24 06:17) 

ヒロノミンV

>大仏と鹿さん
 実は今日も京響の演奏を聴いてきたんですが( ^^)
 センチュリーは、ル・サージュのソロでしたね。前日入りしてそれも聴きたかったです(笑)
 エニグマ変奏曲は、上手いオケが演奏すると本当に映える曲で、今の京響で聴けて本当に幸せでした。7月は同じ日に大フィルと関フィルとも重なっているので、迷いますね・・・
 外山御大の渾身のプログラムで、これも名演が期待できそうですね。
by ヒロノミンV (2014-06-24 23:10) 

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