岡山フィル第４４回定期演奏会 十束尚宏指揮 Vc:宮田大

岡山フィルハーモニック管弦楽団　第44回定期演奏会

ドヴォルザーク／チェロ協奏曲
～休憩～
ドヴォルザーク／交響曲第8番

指揮：十束尚宏
チェロ独奏：宮田大
ゲストコンサートマスター：松野弘明

２０１４年６月８日　岡山シンフォニーホール

　順番から言えば、前日のギャラリーコンサートから更新したいのですが、アクセス数がこちらの方が５倍以上伸びていて、若干のプレッシャーを感じたので（笑）、岡フィルの方を先に更新しますね。

　当日は勤務日でして、九分九厘諦めていたにですが、私の岡山フィル愛を感じてくれた職場の応援もあり（？）2時半からお休みを頂いて聴きに行くことが出来ました。

　今回のチケットのお値段は一番高いＳ席でも３，０００円！会員価格で２，４００円という破格の値付け。プログラム的には１時間４０分ぐらいのボリュームということもあるのだと思いますが、こういった軽めのプログラムで、（宮田さんのような）目玉商品が明確で、気軽に聴きに行けるような企画、大歓迎です。

　弦５部は１２型の2管編成。1Vn-2Vn-Vc-Va上手奥にコントラバスという配置。お客さんの入りは７５％ぐらいといったところでしょうか？

　今回のコンサートは何と言っても宮田大さん！現にパンフレットには指揮者よりも大きな宮田さんの写真が（笑）そしてそれは事実、宮田さんのチェロの素晴らしさを堪能するコンサートとなったわけですが、後半のシンフォニーの方も指揮者の才気とオーケストラのエネルギーほとばしる豪演となったことは記憶しておかねばなりません。

　コンサートマスターは松野弘明さん。僕は初めて拝見しましたが、昔ながらの親分肌のコンマスという感じで、特に協奏曲でグイグイと弦５部を引っ張っておられました。昔、大フィルにおられた稲庭さんなんかはこんな感じでしたねぇ。

　宮田さんのソロはもう文句なしでしたね。一音一音に賭ける情熱が尋常ではなく、なんとなく流れる時間というのが全くない。奏でる音すべてに魂がこもっていました。聴いていて背筋がゾクゾクする様な瞬間がここかしこに存在し、例えば第1楽章のグリッサンドの場面とか、第3楽章のコンマス＆セカンドVnとの夢のようなメロディーの交歓とか・・・、特に第２楽章が本当に素晴らしかったのです。
　一方オケの方は・・・今の岡山フィルとしては、もう少し洗練した伴奏をつけてほしかったところです。冒頭からなんとなくしっくりこない感じがあって、弦楽・木管・金管が溶け合わず、ぎくしゃくした感じがありました。弦５部については、コンマスの松野さんがオーバーアクション気味に引っ張って、第一楽章途中からは完全に本調子になり、まとまってきたように思いましたが。オーケストラ全体が美しいハーモニーを描くまでには至らなかった感じですね。

　後半の凄い演奏を聴いてから振り返ると、もう少しリハーサルに時間を掛けれると、仕上がりは全然違っていたんじゃないか？と思いました。

　宮田さんのアンコール、バッハの無伴奏第3番からブーレー。こちらはドヴォルザークとは打って変わった、ピンと張りつめた緊張感のある演奏で、じっくりバッハも聴いてみたいなあ、と思いましたね。

　大方のお客さんが宮田さん狙いで来ていたと思うんですが、僕の楽しみはあくまで岡山フィルのサウンドを堪能すること。前半は今一歩だったんですが・・・後半はそのフラストレーションを解放してくれる、まっこと豪快な演奏になりました。

　まず、指揮の十束さんの指揮台での存在感が違いました。暗譜で確信を持った豪快なタクトさばきで、グイグイとオーケストラを引っ張っていきます。

　オケの方も一体感のあるサウンドを聴かせてくれました。第4楽章でのボヘミア舞踊調の変奏曲では、まだ行くぞ！ほれ行くぞ！と畳みかけるような展開に圧倒。今回も助っ人の方々に頼ったとはいえ、金管陣の胸のすくようサウンドに酔いしれました。

　一時期、地方オーケストラのポストを歴任して飛ぶ鳥を落とす勢いだった十束さんですが、その才気はいまだ健在というところを見せて頂きました。

　もっとも印象に残ったのは弦を中心とした岡フィルのサウンド。指揮者の剛腕にこたえての奮闘でも、以前は鳴りきらないもどかしさがあったんですが、リズムに乗って無駄なくエネルギーを解放し、１２型編成とは思えない迫力満点のサウンドをホールの隅々まで響き渡らせたその仕事っぷりに、シェレンベルガー氏就任以降のオーケストラの充実は本物であることを実感させてくれました。第3楽章での『泣き』の入った弦楽器のサウンドもよかったなあ。

　次回の定期演奏会は１０月ですね。メインのプログラムもブラームスの１番に決まったようですし、シェレンベルガーのタクトの元で、どこまで高みに昇れるのか？本当に楽しみになってきました。

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