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radikoで聴く!全国の民放クラシック音楽番組【分析編(上)】 [自己紹介]

 radikoプレミアムで全国のクラシック音楽を聴く企画。今回は分析編です。
 前回までのエントリー
 なぜ、自分がこれほど全国のローカル民放ラジオのクラシック音楽番組を聴いているかと言うと、ズバリ言えば、その内容のディープさにあります。基本的にはその地域のリスナーにとって有益な情報を放送しているので、その地域のホールやお店、時には出身高校の話になったりするわけですが、地域密着型ゆえのディープな話題が、他地域に住んでいる自分にとっては、逆に新鮮で面白かったりします。
 また、番組のパーソナリティも個性派が多い。NHKにも「×クラシック」や、その前身の「きらクラ」のような個性派パーソナリティによるトーク中心の番組がありますが、民放の番組はもっと濃いパーソナリティが多い。
 ここで、全国の32の民放クラシック音楽番組について、分析してみました。
【放送時間帯分析】
 まずは番組が放送されている時間帯を分析してみました。
radio 2jikantai.png
日曜日朝:15番組
土曜日朝:5番組
土曜日夜:4番組
日曜日夜:3番組
日曜日昼、日曜日深夜、月曜日夜、木曜日夜、金曜日夜:各1番組
 土・日の朝の放送枠の番組が63%を占める結果に。私が子供の頃から親しんできたABC朝日放送の「ザ・シンフォニーホール・アワー」も、ずっと変わらず日曜日の朝の時間帯。土日の午前中というのは、そもそもラジオ全体の聴取率も低い時間帯。そんな中でクラシック音楽の番組が持つイメージがスポンサー集めや土日朝のリスナー層にうまくマッチングしているのだと思う。
 一方で深夜時間帯の番組は1番組のみ。岡山フィルのラジオ番組「ブラボー!!岡フィル」の日曜日の午後3時30分というのは異例の「待遇」というのが解る。
 
【放送時間枠分析】
 次は番組の放送時間の長さについて。
radio 1housoujikan.png
60分超    :1番組(75分)
30分超〜60分:11番組
15分超〜30分:14番組
15分以下   :6番組
 NHKのクラシック音楽番組は1時間以上2,3時間にわたるものが多く、長大な交響曲や管弦楽曲、ピアノソナタなどを全曲放送しているが、民放のクラシック音楽番組は情報コーナーやトークが中心。30分以下の番組が62.5%を占めているのが特徴。楽曲を流すのは短い曲や抜粋部分のみの紹介になるので、シンフォニーや管弦楽曲の対局をガッツリ聴くのではなく、音楽の話題やトークを主体に聞きたい人向けと言えます。
 1時間を上回る番組はFM大阪の「おしゃべり音楽マガジン くらコレ」のみ。ただ「くらコレ」も最近は短縮バージョン(45分)での放送が多くなっている。
 
【番組のタイプ分析】
 つぎに、番組のパーソナリティーの構成から、番組のタイプについて分類して分析してみました。
radio 3type.png
DJ単独型:10番組
演奏家+DJのコンビ型:6番組
オーケストラ広報型:5番組
演奏家単独型:5番組
DJ単独+演奏家ゲスト型:3番組
演奏家+演奏家のゲスト型:2番組
演奏家と演奏家のコンビ型:1番組
 上記の「DJ」にはアナウンサーやナビゲーターなども含みます。
 一番多いのは、アナウンサーやDJが独りで番組を担当する「DJ単独型」。そこに演奏家のゲストを招く「DJ単独+演奏家ゲスト型」を加えると40%を占めます。次に多いのは「DJと演奏家のコンビ型」で18.8%。この形は番組進行・アナウンスの専門家と音楽の専門家が役割分担するので安定感があります。
 他にも特定のプロ・オーケストラの広報を目的とした「オーケストラ広報型」が5番組。このオーケストラ広報型の番組については(下)の記事で触れようと思います。
 ほかは演奏家一人で番組を担当したり(3番組)、毎回違う演奏家をゲストに招いたりする形(2番組)、珍しいのが演奏2人でトークをする形(1番組)など、番組の進行から話のネタまで演奏家が一手に引き受けている番組も多い。
 クラシックの演奏家として活躍している方の多くは、音楽大学を卒業している。音大では演奏家としての技術の研鑽だけでなく、楽典や音楽史の勉強・研究もされており、多くの演奏家が楽曲の特徴や音楽史などについて語れる素養を持っている。
 また最近のコンサートにはレクチャー形式のものも多いので、番組の司会進行と選曲(いわゆるDJの能力)と専門的な話題をわかりやすく伝える能力の両方を持っている演奏家は、放送局や番組スポンサーにとっては使いやすい存在なのでしょう。
 ひとつ気づいたことがあるのが、長寿番組に共通すること。ABC朝日放送の「ザ・シンフォニーホール・アワー」のDJの堀江政生さんは永く同局の看板アナウンサーでありながら、クラシック音楽愛好家であり同局主催のコンサートやイベントの司会を務めています。それに加えてご子息はプロの演奏家。番組制作とクラシック音楽事情の両方に精通しているといえます。
 また、青森放送の「岡田照幸のタッチはピアニッシモ」のDJの岡田照幸さんは、青森でピアニストとしてコンサート活動を続ける一方で、青森放送のディレクターでもあり、地域の音楽イベントの会社を経営されている、という最強の人材が長寿番組を続けています。
 次回は、民法ラジオ番組の中で私が一番おもしろく聴いている、「オーケストラ広報型」の5番組について分析します。

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