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2023年開館!『岡山芸術創造劇場』について(その2「人と緑の都心1kmスクエア構想」) [芸術創造劇場]

 2023年夏に開館する岡山芸術創造劇場について考えていくシリーズ。
 前回のエントリーで、立地場所からくる集客や将来性についての危惧する意見を述べた。
 今回は、市当局がなぜ、千日前地区にこだわったのか、その根本となる大きな構想について述べていきたい。
 その構想とは、1995年2月に岡山商工会議所から発表された「人と緑の都心 1kmスクエア構想」(以下、「大構想」と表記する)である。
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 この「大構想」は岡山商工会議所都市委員会(会長はベネッセグループの福武總一郎氏)が、5年の歳月をかけ、21世紀の岡山市都心のグランドデザインを描くため、岡山の政・財・学の総力を結集して、1995年に提言された。
 一般の岡山市民の間では、この大構想は忘れられつつあるが、四半世紀が経った今読んでみても、時代を先取りした内容であり、それだけでなく現在の大森岡山市政が意欲的に展開している政策のアイデアの元型が、すべてこの25年前の「大構想」にあると言って過言ではない。
 岡山芸術創造劇場についても、「なぜ、あの場所に建設が決まったのか、そしてこの劇場はどのような役割を果たしていくのか」という問題を考える上でも、この構想を抜きには語れない。
 1kmスクエアとは、岡山駅・城下交差点・新京橋西詰・岡山市役所前をつなぎ合わせた正方形の都心部のことであり、現在のオフィス街・繁華街に加えて、江戸時代以来の旧城下町の中心部がすっぽりと入るエリアである。
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 今回はこの「大構想」の中身と、現在進行中の様々な施策事業との関連について触れておきたい。
 構想の冒頭には「ここまで来た岡山都心の空洞化」と題して、岡山市都心に人々が集まらず、経済活動も停滞している現状を『もはや放置しておけないレベル』であるとして危機感を表明している。とりわけ都心部の商業販売額が低迷しており(岡山市:1,327億円)、これは広島市(4,565億円)の29%、高松市(2,681億円)の49%しか無い(いずれも1991年のデータ、岡山経済研究所調べ)。
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 以前にも触れたとおり、岡山市の政財官界は高松市を比較対象(いわゆるライバル視)とすることが多い。広島市は昭和時代からの大都市であるから、4倍近い差があるのは当たり前と捉えられ、危機感を煽られる存在ではない。商業販売額が高松市の半分しか無い、というのは当時の岡山の人にとっては、かなりショッキングなことではなかったか。
 
 この「大構想」の中には、「都心の磁力を取り戻す」ための3つのコア構想がある。
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 まず、①路面電車環状化構想。
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 この25年間の様々な紆余曲折を経て、ようやく具体的に動き出した。
 まず、路面電車とJR岡山駅への結節点を改善するための、駅前広場乗り入れへの工事が始まっており、2023年に完成する予定。それと同時に一昨年には路面電車の環状化・延伸構想が発表され、具体的に動き出した。
 岡山芸術創造劇場へのアクセス部分は「短期整区間」として選定され、優先的に整備が進んでいくものと思われる。
 さらに、郊外への交通網の延伸。
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 「大構想」では岡山〜倉敷〜総社を経由する「山手線」構想という壮大な計画を打ち出しているが、この構想の実現性は置いておくとして、広域的な公共交通の整備という観点では、桃太郎線(吉備線)のLRT化事業として、JRと岡山市・総社市が具体的な構想として動き出している。
※この記事をエントリーする直前の2020年2月9日、桃太郎線(吉備線)LRT化構想はコロナ禍の影響によるJR西日本の経営悪化・岡山市の財政悪化見通しにより中断との報道があった。
②文化公園都市構想
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 次に②つめのコア・プロジェクトの文化公園都市構想。南北の軸となる西川緑道公園沿いはすでに遊歩道の整備が進んでいて、市民の憩いの場として様々なイベントが開催されている。私が岡山に移住した頃は、この緑道公園の南半分の地域は治安も悪く、夜独りで女性が歩くのには不安があるような雰囲気だったが、「歩行者、生活社の視点からの街路整備」を推し進めた結果、現在では分譲マンションが林立するなど、住居地としても人気を集めるエリアになってきている。
 そして現在進行中なのが、東西の軸となる県庁通りの街路整備だ。
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 一般市民の間では、「イオンモール岡山のオープンにより、イオンに訪れた買い物客を周辺部へ流すための政策」という認識だが、この県庁通りの街路整備は25年前からあった計画だった。
 いよいよコア・プロジェクト③の「都心コーナー4拠点開発構想」に、岡山芸術創造劇場の立地する千日前地区が登場するのだが、それはまた次回に触れようと思う(引っ張るなあ・・・)。

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