SSブログ

岡山フィル 今シーズン(20/21シーズン)下半期のスケジュール [各地プロ・オケ情報]

 全国的に諸都市オーケストラの活動が再開されていますが、岡山フィルの本確定な活動再開は9月下旬からになりそうです。
 7月23日の山陽新聞の記事に、岡山フィルの現状の対応策が掲載されていました。
岡フィル再始動へ苦悩 活動模索 コロナで主要メンバー来岡できず:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1034371
 まず、首席指揮者のシェレンベルガーと首席コンサートマスターの高畑さんがドイツ在住で、日本への入国が制限されているために来日できないこと。記事にはありませんでしたが、外国在住のアーティストの場合、日本は2週間の外出自粛期間を置けば活動できるが、その後母国に帰国する際に厳しい入国制限があることなどから、他のオーケストラでも殆どの場合、日本在住の指揮者やアーティストに差し替えての公演になっています。
 他にも、2年前に就任した各パートの首席奏者の方々が関東在住の方が多く、現在は移動制限はないものの、万が一公演直前に発熱などの症状が発生した場合、一人が欠けても公演が成立しないオーケストラという特性上、リスクが大きい。シェレンベルガー・高畑コンマスに代役を立て、岡山在住の奏者のみでの公演も検討されたのでしょうが、現在は楽団改革の最中で、ようやく形「岡フィル独自の音」「岡フィルのスタイル」が見えてきた今、やはり全員集まれる環境になってから再開しようということになったのでしょう。
 10月以降の主催公演について、楽曲の差し替えなどがありますので、ここに纏めておこうと思います。
第66回定期演奏会
2020年10月18日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
独奏:郷古 廉(Vn.)
曲目:ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」全曲
   シューベルト/「ロザムンデ」間奏曲第3番(※1)
   シューベルト/交響曲第7番「未完成」(※1)
    ※1:チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」から変更

岡山フィル特別演奏会
2020年12月6日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:川瀬賢太郎
曲目:ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」(※2)
     〃    /交響曲第7番(※2)
    ※2:ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」から変更


岡フィルニューイヤーコンサート【特別演奏会】
2021年1月17日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:キンボー・イシイ
ソリスト:梅村知世(Pf)
曲目:モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲(※3)
     〃   /ピアノ協奏曲第21番(※3)
     〃   /交響曲第40番(※3)
    ※3:レハール/メリーウィドウ・ハイライト 他 から変更
音楽と映像と語りでたどる 桃太郎伝説が生まれたまち おかやま
2021年2月4日(木)(※4)  岡山シンフォニーホール
指揮/柴田真郁(※5)
ピアノ・作曲/山地真美
管弦楽/岡山フィルハーモニック管弦楽団

【曲目】
〈1部〉岡山城と後楽園を巡って Piano & Orchestra
〈2部〉日本遺産の旅「桃太郎伝説の生まれたまち おかやま」
  ※4:2020年6月19日から日程変更
  ※5:指揮者が沖澤のどか から変更
第67回定期演奏会
2021年3月14日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
独奏:マルギット=アナ・シュース
曲目:ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲(※6)
         ボイエルデュー/ハープ協奏曲
   ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」(※7)
    ※6:ハイドン/交響曲第44番から変更
    ※7:サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」から変更
 まず、声楽や合唱の入る楽曲を管弦楽曲に差し替えているのが目に付きます。ホール開館以来、第九を中止するのはおそらく初めてでしょう。1月のニュー・イヤー・コンサート恒例のオペラのハイライトも差し替え。岡山を拠点に活動する声楽家の方々の活躍の場が奪われていくのは心が痛みます。びわ湖ホール声楽アンサンブルなど、公演再開している声楽団体もあり、プロの声楽家であればリスク管理は可能なのではないかと思います。岡山には2022年には新劇場が開館しますが、それまでに地元の声楽家の方々が窮地に陥るようでは開館後の演目にも支障がでるでしょう。
 次に中期・後期ロマン派の楽曲がモーツァルト・ベートーヴェンなどの古典派の楽曲に差し替わっています。舞台上でのソーシャル・ディスタンス確保のためもありますが、岡山フィルのサイズは元々10型2管編成で、これより大きな編成を組むときは関西や東京からエキストラ奏者を集めてきており、そうすると移動者による感染リスクが高まります。チャイコフスキーの「悲愴は」2管編成で対応出来るが、実質的にオーケストラにとって再開1発目となるコンサートは入退場などで手間取ることが予想され、演奏時間をスリムにするための楽曲差し替え、ということなのでしょう。穿った見方をすればコレラ感染で亡くなる直前に書かれたチャイコフスキーの「悲愴」をこの時期にやるのは、演奏者も聞き手もちょっとヘビーかなあ、ということもあるかも。
 個人的には非常に楽しみにしていたサン=サーンス:「オルガン付き」は 、(あんまりそういうイメージは無いんですが)変則3管編成でパーカッションも多彩なため、ベートーヴェンに差し替わったのでしょう。
 岡山フィルはベートーヴェンの交響曲チクルスが終わったばっかりだったため、ベートーヴェン生誕250年の年としては、あまりベートーヴェンを取り上げていなかったのですが、期せずしてベートーヴェン・イヤーらしくはなりました。差し替えられた演目は近いうちに再度取り上げられるでしょうし、ことしはベートーヴェンをしっかり堪能する年にしましょうか。とりわけ、3月に取り上げられる交響曲第3番「英雄」はシェレンベルガーの首席指揮者就任披露定期で取り上げられた曲であり、岡山フィルの7年間の成長がわかる演目になりそうです。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽