SSブログ

岡山フィル特別演奏会 ニューイヤー・コンサート2020 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会 ニューイヤー・コンサート
20200126oka_phil.jpg
ロッシーニ/歌劇「絹のはしご」序曲
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番
 〜 休 憩 〜
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」ハイライト
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
ヴァイオリン独奏:福田廉之介
アルマヴィーア伯爵:松本敏雄
バルトロ:柴山昌宣
ロジーナ:柳くるみ
フィガロ:山岸玲音
ドン・バジリオ:片桐直樹
ベルタ:畑山かおり
構成・司会:柾木和敬
コンサートマスター:近藤浩子、高畑壮平(1曲目のみ)
 前半に地元期待のソリストが再び登場、後半はオペラのハイライトとはいえ1時間以上の中身の濃い構成。とても1回のコンサートで聴いた感じはない、2時間30分以上のボリューム満点のコンサートになった。
 パガニーニのコンチェルトの演奏を聴くのは3回目で、大フィル定期と京響定期の2回聴いたクリストフ・バラーティの強烈な印象が残っていて、「あれを超える演奏には出会えないだろうなあ」と思っていたが、今回の福田さんの演奏は、超えないと思っていた一線を超えた演奏だった。まず音が美しい!これは福田さんをこれまで4回聴いてきて、常に感じている美点。そして、スケールと言うか構えの大きさ。この曲、スピカート、フラジオレット、左手でピチカートをしながら運弓で旋律を奏でるなど、超絶技巧のオンパレードで、そういったテクニックももちろん凄いのだが、技巧が演奏の足かせになるどころか彼の描き出す雄大な音楽の中のエッセンスだと思わせるような、そんなスケールがあった。1年半前のチャイコフスキーのコンチェルトでの岡山フィル登場時よりも二回りも三回り、どころか五周りぐらい大きな存在感で帰ってきた感じ。ヴァイオリニストとしての総合力が全方位的に成長し続ける・・・僕は福田さんをヴィルトゥオーゾではなく「ファンタジスタ」と呼びたい。
 まだ20歳なんですねえ・・・。つい数年前までは岡山から一流のヴァイオリニストを出そう、ということで地元あげて応援していたのが、もう我々が彼を応援して送り出すというフェーズは過ぎていて、すでに日本を代表するヴァイオリニストになって、今回のように岡山の人々に多くのものをもたらせてくれる。 ソリスト・アンコールは、パガニーニの24のカプリースから24.クワジ・プレスト。あのパガニーニのコンチェルトのあとに、この曲をアンコールで弾くとは・・・。恐るべし。青天井の成長力を感じた演奏だった。
 岡山フィルの演奏は、1曲めの絹のはしごからガツンとカマしてくれた(笑)美しいロッシー二独特のヴァイオリン隊のグリッサンドで「やられた〜」と。1曲目でこんなに濃厚で、スピード感のある演奏が出来る!?と驚いているうちに嵐のように終わった。カーテンコールの際にソロを取ったオーボエとピッコロ(どちらも素晴らしかった!)のあとに第1ヴァイオリンを立たせたのも納得。
 今回は楽器配置もいつもと違っていて、1stVn12→2dnVn10→Vc8→Va8という、僕が記録する限りではシェレンベルガー指揮のコンサートではじめてヴィオラがアウトに位置した。コントラバスもチェロとヴィオラの間に紡錘陣形で位置取る。
 2曲めのパガニーニの時に異変が。1曲めの序曲の際のコンマスは確かに高畑さんだった。しかし、2曲めに入ったとき、コンマス席に高畑さんではなくて近藤さんが座った。後半の「セビリアの理髪師」も近藤さんがコンマスだったので、結局「絹のはしご」序曲だけ高畑さんがコンマスだったことになる。このパターンはあまり見たことがない。
 「もしかして高畑コンマスにアクシデントでは?」と感じた。というのも、探るような感じの演奏になる場面が多く、最近の岡山フィルからするとちょっと「らしく無い」面も見られたからだ。全体的には岡山フィルの伴奏は迫力のある躍動感溢れる演奏で(正直、冒頭では「こんなに鳴らしたらソリストは大変だ」と思ったほど鳴りが良かった)、決して悪い演奏ではなかったが・・・。パガニーニのオーケストレーションは・・・まあ、何度聴いてもオーケストラ部分に関しては「労多くして・・・」の印象は否めない。弦管打が一斉に「ジャン」という合いの手が入るのだが、各楽器の特徴を引き出しているとはいい難く、ソリストとのタイミングも恐ろしく取りづらそう。この曲の伴奏を完璧に演奏した京響はやっぱり凄いんだな、と思った。
 首席コンマスにアクシデントがあったのだとしたら、これだけの演奏が出来るということは、逆に凄いチームワークではある。
(2月1日追記)
 オーケストラの状態を心配しながらの後半になったが、そんな心配を他所に、どうしてどうして弦楽器はブンブン鳴りに鳴る分厚いサウンドの凄い演奏になった。
 後半のロッシーニは序曲集ぐらいしか聴いておらず、CDや映像も含めてオペラをほとんど聴くことが無かった。序曲集を聴いただけのイメージでは、人間の感情に寄り添う「効果音」的な音楽づくりをした作曲家だが、ドイツのシンフォニー作曲家に比べると軽量級だと感じていた。しかし、どうしてどうして、この日の岡山フィルの演奏会を聴いて自分の不明を大いに恥じることになった。
 ロッシーニ、これほど職人技が散りばめられた音楽だったとは!充実のオーケストレーション、聴き手の気持ちに寄り添い、時に煽り(ロッシーニ・クレッシェンドの効果的なこと!)、そして何よりも楽しい音楽。
 これには、重量感とスピード感という要素を両立させたシェレンベルガー&岡山フィルの演奏によるものも大きいと思う。イタリア・オペラというよりもドイツ系のオペラのようなガツンと聴き応えのある重厚感。
 こういう予想外の体験ができるのもサブスクリプション(定期会員)ならでは。自分の興味の範疇外のプログラムでも、「シェフ」のオススメとあらば、味わってみるかな、という縁で、素晴らしい体験が出来る。
 舞台上には小道具(椅子、サイドテーブル、オルガンなど)のみ。しかし、お金はかかっていないが恐ろしく手間はかかっている。どこまでをナレーションにして、どこから歌とオーケストラの演奏で表現するか。わずかな小道具と演技だけで聴衆にどうやって作品の魅力を伝えるかを苦心したに違いない。全曲2時間40分のうち、ハイライトとは言え1時間15分というボリューム満点の内容。いやまあ、僕にとってはオーケストラが伴奏している、というだけでも充分に贅沢な舞台。
 このコンサートに先立って、レクチャーコンサートがあったらしく(岡山大学のホールの方は知っていたが、同じ日の夜にシンフォニーホールのイベントホールでもやっていたらしい)、それを聴きに行っていれば歌手の方々の歌を間近に聴けただろうと思うと、聴けなかったことが残念だった。おそらく歌手の方々の打ち合わせやリハーサルで岡山に集結していた機会に設定されたコンサートだったのだと思うが、ハイライト公演とは言えオペラに馴染みが少ない岡山の聴衆へのレクチャーも兼ねつつ、反応を見ながら当日の舞台を練り上げていったのだろう。
 歌ではロジーナ役の柳さんの魅力的な声と演技(第1幕のフィガロとの二重唱での抜け目の無いロジーナをチャーミングに演じた表情が最高だった)、フィガロ役の山岸さんのハリのある若々しい声(冒頭のカヴァティーナから圧倒される!)に魅力を感じ、一方で、柴山さんのバルトロ、片桐さんのドン・バジリオ、松本さんの伯爵はイタリア語上演のはずなのに、プログラムのセリフ集を見なくても、何を言っているのか、こちらに伝わるのがさすがの演技と歌である。
 コメディの方も、フィガロがバルトロの髭を剃る場面でのドリフのコント顔負けのシェービングクリームを塗りたくり、アロンソ(伯爵)とバルトロの二重唱では、あまりにしつこいアロンソにバルトロが最後に「ええかげんにせられえ!」と岡山弁でキレるというネタをぶっこんできて大爆笑に。
 オーケストラの方は首席コンマス不在を感じさせない快演で、シェレンベルガー流の分厚い中にも瞬発力のある瑞々しいサウンドをホール一杯に響かせた。パガニーニに比べるとロッシーニのほうがオーケストレーションが優れているという面もあるだろう。カーテンコールではシェレンベルガーが近藤コンミスに熱烈なるハグをしていて、今から思えばやはりアクシデントがあったのだろうなと思う。近藤コンミスだけでなく、いきなり第1プルトに座ることになった若手の長坂さんの奮闘も見逃せない。他の弦首席陣も上手くフォローされていたのだろう。本当にいいコンサートでした。
 なかなかオペラをじっくり聴く時間は、今はないのだが、ロッシーニの歌とオーケストラは音楽としてもとても魅力的だ。また気軽に聴いていこうと思わされたコンサートだった。
 2020年に開館する「岡山芸術創造劇場」では、オーケストラピットに入るのは岡山フィルになるだろう。この岡山フィルのニューイヤーコンサートの実績の蓄積は、新劇場で花が開くのではないか。演奏会形式のハイライト公演でこれだけの演奏が聴けるのだから、予算と舞台装置を揃えられれぱ素晴らしい舞台になることだろう。
 聴衆層も、この日の客席も8割5分ぐらいは入っていたことを考えると、充分な聴衆層が形成されつつあるように思う。

nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

ミニコンポ SONY CMT-SX7 購入 [オーディオ・家電・生活機器]

 去年1年間を振り返ると、県外へのコンサート遠征に一度も行かなかった(福山は「県外」だが、快速で45分なので県外にカウントしない(笑))。子供も小さいので遠方への旅行に行くことも無く、小遣いに少々余裕が出てきている。
 県外コンサート遠征はチケット代よりもむしろ交通費がかかる。その浮いた交通費、まずは岡山フィルの賛助会費に使っている。
 そして家族の許諾を得て、寝室用にミニコンポを購入した。
ソニー SONY マルチオーディオコンポ Bluetooth/Wi-Fi/AirPlay/FM/AM/ワイドFM/ハイレゾ対応 CMT-SX7

ソニー SONY マルチオーディオコンポ Bluetooth/Wi-Fi/AirPlay/FM/AM/ワイドFM/ハイレゾ対応 CMT-SX7

  • 出版社/メーカー: ソニー(SONY)
  • メディア: エレクトロニクス
 SONYのCMT−SX7、実売価格4万円少々。2015年に出たモデルで、おそらくモデル末期に入っており、登場時の2/3ぐらいの価格で買えた。
 この価格帯のコンポになるとオーディオ専門店では取り扱っておらず、家電量販店で試聴することになる。しかし、岡山駅のビックカメラでもオーディオ試聴ルームではなく、騒音だらけの環境で陳列棚に並んでいるものを聴いて比べるしか無いので、音質面は「買ってみないとわからない」というのが正直なところ。
 CDでの音質面はONKYOやKENWOOD、YAMAHAも良かった。いや、むしろ立体感や解像度という点ではYAMAHAのCRX-N470がかなり良かった。流石に楽器メーカーだけあって、弦楽器や木管楽器の音の再現性には感心した。ただ、これはYAMAHAの4万円台のスピーカーに繋いだ状態で聴いた上での感想。予算はかなり(3万円以上)オーバーすることになる。
 SONYのCMT−SX7も、セットで4万円という価格を考えると期待以上の音質であり、絶対に譲れない一線である「楽器(特に弦楽器)の生音に忠実かどうか」という点では満足できそうに感じた。対して、このクラスでは一番の売れ筋らしいP社のミニコンポは、低音の再現性には唸らされるものの、弦楽器の音が金属的で好きになれなかった。ジャズやロック向きなのだろうと思う。


 最終的な決め手をここで整理しておきたい。
DSC_0119.JPG
購入理由①・・・スペースの制約上、奥行きは28cm以下にしたかった。
 価格comで奥行きサイズで条件を絞ったら数機種しか残らない。SONYは26.3cmという丁度よいサイズだった。この奥行きサイズなら本棚に置くことも可能。他のメーカーはテレビやオーディオラックを想定しているのだろう。先に触れた音質面では最も魅力的だったYAMAHAのCRX-N470は奥行きが33cmもあり、予算面だけでなくスペースの制約で諦めざるを得なかった。
購入理由②・・・Wi-FiとBluetoothの両方に対応、しかもNFCが付いている。
 このクラスのミニコンポはほとんどBluetoothに対応しているが、Wi-Fiに対応していない機種が多い。スマホの音源を手軽に聴いたりすることも多いので、Bluetoothも必要だが、もっと必要なのはWi-Fi。転送速度はWi-Fiが圧倒的に速いため、当然、音質面でも有利となる。
 また、Wi-Fiに対応していないと我が家の音楽ファイルを集中管理しているNASから直接DACに流せず、高音質で楽しめる可能性のあるネットワークオーディオの利点を狭めることになる。
 BluetoothについてもNFC(スマホなどをかざすと即時接続できる「近距離無線通信規格」)に対応している機種は少ない。bluetoothはスマホを再起動させたときに自動的に接続できない時があるが、タッチするだけで再接続できるNFCがあればストレスはかなり軽減される。Wi-FiとBluetooth(NFC対応)という条件で絞ると、SONY一択になってしまうのだ。この辺はAV機器メーカーであると同時に、フェリカ(SUICAやICCOKA)を開発した会社の強みだろう。
購入理由③・・・スマホでオーディオを手軽に操作したい。
 これはYAMAHAやONKYOでもアプリで操作出来るようになっており、特にYAMAHAはリビングのメインシステムのNAP(ネットワーク・オーディオ・プレイヤー)で使っている「Music cast」で慣れているので、実はYAMAHAでも良かった。サイズ(奥行き)が小さければなあ。。。。

購入理由④・・・FMラジオの聴取・録音がしたい
 今時、FMラジオを聴くためにミニコンポを買う動機になる、というのも珍しいかもしれない。スマホにRADIKOをインストールすれば充分じゃないかと。
 いやいや、私が聴きたいFM岡山がRADIKOに対応していないんですよ(笑)

 10代のときは本当にラジオっ子で、その頃にSONYのラジオチューナーのお世話になっており、当時録音したカセットテープは、今聞いても高品質な録音だった。
 いいですよ!FMラジオ。我が家はマンションの中層階で見通しの良く、ラジオの電波状態も良好。FMラジオ録音独特の味わい・・・ちょっと遠くからクリアな音が聴こえる、アノ感じが懐かしくて、せっせとUSBメモリーに録音を貯めています。


 購入後数日間使ってみての感想。迫力や解像度を比べるとリビングのシステムとはだいぶ差がある(価格差が定価ベースで12倍違うのだから当たり前)。でも、寝室でのニア・フィールド・リスニングとしてはとてもいい。こじんまりとした音響空間でゆったり聴くシステム。聴いていて、何か楽しいんですよね。そしてハイレゾ音源の再生が予想を上回る音質で驚いた。このあたり、1ヶ月以上聴いてから感想を書こうと思う。

nice!(2)  コメント(3) 
共通テーマ:音楽

岡山フィルの2019年のニューイヤー・コンサートの動画 [岡山フィル]

 YOUTUBEに去年の岡山フィルのニュー・イヤーコンサートの動画がアップされていたのでご紹介します。プログラムはモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」ハイライトでした。私の感想はこちらです。前半プログラムのモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」は収録されていません。
 岡山フィルのYOUTUBE動画は2017年3月定期以降アップされておらず、首席コンサートマスターの高畑さんと、2019年度から採用された専属の首席奏者陣の就任後の動画がようやく配信されたことになります。
「オペラなんて、何を着ていったらいいの?」
「イタリア語で演奏されるんでしょ、聴きに行ってわかるかしら?」
という感じで、興味がはあるがちょっと二の足を踏んでいる人々の背中を押す効果はありそうです。
 動画でも客席の様子がちらっと写っていますが、話のスジや演奏されるシーンは日本語で解説してくれますし、服装も普通に天満屋や高島屋に行くような服で行けば大丈夫です(笑)
 司会は去年と同じ、岡山出身のテノール歌手の柾木さん。柾木さんはイタリアでもご活躍だったので、ロッシーニのオペラは自家薬籠中の演目でしょう。
 今回、岡山フィルの新体制のメンバーでの動画を見ることが出来ましたが、できれば去年の5月(モーツァルトのプラハ、ブラームスの3番)と、10月(ブルックナーのロマンティックだけでも)の定期演奏会の動画を収録しているなら、出して欲しいですね。お願いしますよ、岡山フィルさん!

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

岡山フィルの2020/21シーズンプログラム発表 [各地プロ・オケ情報]

 バロックから古典派・ロマン派・近現代まで、ドイツ音楽を基軸にロシア・フランス・スペイン、オペレッタまで、とてもバランスの取れたラインナップになっています。
PICT_20161014_180337.JPG
第64回定期演奏会
2020年5月24日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー(首席指揮者)
独奏:西﨑智子
曲目:モーツァルト/「皇帝ティートの慈悲」序曲
   モーツァルト/クラリネット協奏曲
   シューマン/交響曲第4番


第65回定期演奏会 
2020年7月19日(日)  岡山シンフォニーホール
指揮:秋山和慶
独奏:松本和将
曲目:ムソルグスキー/はげ山の一夜
   ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番
   ファリャ/「恋は魔術師」から「火祭りの踊り」
   ストラヴィンスキー/組曲「火の鳥」1919年版


第66回定期演奏会
2020年10月18日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー(首席指揮者)
独奏:郷古 廉(Vn.)
曲目:ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」全曲
   チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」


ベートーヴェン第九演奏会2020 第九演奏会【特別演奏会】
2020年12月6日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:川瀬賢太郎
ソリスト:未定
曲目:ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」


岡フィルニューイヤーコンサート【特別演奏会】
2021年1月17日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:キンボー・イシイ
ソリスト:未定
曲目:メリーウィドウ・ハイライト 他


第67回定期演奏会
2021年3月14日(日) 岡山シンフォニーホール
指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー(首席指揮者)
独奏:マルギット=アナ・シュース
曲目:ハイドン/交響曲第44番ホ短調
         ボイエルデュー/ハープ協奏曲
   サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」
IMAG0002.jpg


 指揮者陣も凄いね。実力者揃い。私を含めてファンが再演を強く望んでいた秋山和慶が登場する7月は、なかなかの重量級プログラム。第九は飛ぶ鳥を落とす勢いの川瀬賢太郎との再共演。ニュー・イヤーはシェレンベルガーが力を入れてきたオペラのハイライト公演を継続し、ドイツのマクデブルグ歌劇場音楽総監督のキンボー・イシイを起用。

 ソリストは若手注目筆頭株の郷古さんとは古典派ロマン派の協奏曲ではなく、ヴィヴァルディの「四季」での共演、これは岡山以外のファンからも注目されそう。松本和将さんに団内ソリストの西﨑智子さんの起用という「岡山の最高峰の演奏を聴かせる」という路線にブレはない。
  マルギット=アナ・シュースさんとの夫婦共演。ボイエルデューはとてもいい曲ですよ。春に聴くにはピッタリ。
 マイシートの発売は2月2日(日)とのことです。詳しくは公式ホームページへ
 追加の公演情報はここに追記していきます。

nice!(0)  コメント(5) 
共通テーマ:音楽

第5回記念“ゆるび”ニューイヤーコンサート YURUBI祝祭管ほか [コンサート感想]

第5回記念“ゆるび”ニューイヤーコンサート YURUBI祝祭室内管弦楽団演奏会2020
〜音楽の申し子から民族の絆を超えた開拓者たち スピリッツの継承者〜
Scan20200105184316_001.jpg
バルトーク/弦楽のためのディベルティメント
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲第1番ハ短調(※)
  〜 休 憩 〜
モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(☆)
  〃   /交響曲第29番イ長調
ピアノ:梅村知世(※)
トランペット:高見信行(※)
ヴァイオリン:植村太郎(☆)
ヴィオラ:朴梨恵(☆)
管弦楽:YURUBI祝祭室内管弦楽団
コンサートマスター:植村太郎(ショスタコーヴィチとモーツァルトのK.364は石上真由子)
2020年1月5日 早島町町民総合会館「ゆるびの舎」文化ホール
 新年から凄い演奏を聴いてしまった。期待はしていたが、ソリストも凄いしオーケストラの演奏もハイレベル、なにより予定調和の再現芸術ではない、アンサンブルがどんどん深まっていく創造芸術を堪能した充実感は何物にも代えがたい時間だった。
 YURUBI祝祭室内管はこの「ゆるびの舎」で育ってきた奏者や岡山ゆかりの音楽家により去年の3月に編成され、今回、再度の編成となったとのことだが、基本的には倉敷アカデミーアンサンブルを母体とする室内管弦楽団といっていいと思う。なのでプロで編成された楽団で、何人か岡山フィルでもお見かけする奏者も乗っていた。

 1曲目のバルトークでは1stVn7→2ndVn7→VC4→Va5、上手奥にCb2という編成。2曲目のショスタコーヴィチとモーツァルトの協奏交響曲ではコンマスの植村さんとヴィオラトップの朴さんが抜け、第2ヴァイオリン首席の石上さんがコンマスに座り、1stVn7→2ndVn6→VC4→Va4となる。そして4曲目の交響曲第29番は1曲めの編成に戻る。後半2曲で管楽器(オーボエ&ホルンの各2管)が追加された。
 事前のチラシではてっきりモーツァルトを前半に、ショスタコのP協1番とバルトークを後半に持ってくると思い込んでいたが、いきなりアクセル全開でバルトークから入った。始めの1分は聴き手の耳が慣れなかったが、ほどなく濃密な演奏に一気に惹き込まれた。各パートが緊密に連携して、リズムとダイナミクスの切れ味を武器に、研ぎ澄まされたアンサンブルを展開し、バルトークの鮮烈な音楽を眼前に繰り広げてみせた。最終楽章のノリノリの即興的な演奏に「これはいきなり、今年のベストコンサートになりそうな演奏だ」と思った。トップ奏者同士の掛け合いの場面は、今日のソリストの植村さん、朴さんに加え、第2ヴァイオリンの石上真由子さん(ここで彼女の演奏を聴けるとは思わなかった。天才少女と呼ばれた頃から注目されていて、医学部生をやりながらプロ音楽家の道を目指すという異才っぷりまで関西では知らぬものは居ない存在)、チェロトップの江島直之さんの演奏も見事だった。
 2曲目のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番。この梅村さんの演奏を楽しみにしていたが、期待に違わぬ凄い演奏を聴かせてくれた。梅村さんのリサイタルを聴いたときに、芯のある音に魅力を感じ、ネット配信(Spotify)でシューマンのアルバムの一部を聴き、その演奏の引きつける力、磁力を感じてCDを2枚とも購入した。今の時代、アルバムを出すだけでも選ばれたピアニストと言えるが、セカンドアルバムまで出せるピアニストはそうは居ない。
 彼女はテクニック云々も凄いのだけれど、それよりも聴衆に伝えたい、聴いて欲しいという思いが強く伝わってくるピアニストで、今回もそれは健在だった。彼女の得意とするシューマンも今回のショスタコーヴィチも、革新性とナイーブさを併せ持つ点では共通するところはあるのかもしれない。梅村さんの音の芯が強靭でバネのある躍動的なピアノと前衛時代のショスタコーヴィチが呼応し合うような演奏だった。
 トランペットの高見さんは岡山フィルでも馴染みがあり、現在は大フィルに在籍。大阪フィルの金管奏者というのは大変なポジションだと思う。レパートリー的にもトランペットの見せ場が多いが、何よりも聴衆が一筋縄では行かず、ある大フィルファンの方から(冗談ではあるが)「大阪の人間の居酒屋ネタは阪神の打線と大フィルの金管や(どちらも素人目に見て突っ込みやすい、という意味で)」と言っているのを聞いたことがある。しかし、高見さんのトランペットは華やかではあるが少し影も持ち合わせた音で、素晴らしい演奏になった。
 第4楽章ではピアノとトランペットとオーケストラ、三位一体の演奏で、まあオーケストラも凄いね、これは。息づまる場面の連続。音楽の大きな流れ、うねり、聴き手は鼓動がバクバク速くなるが、何か大きなものに乗って疾走しているようにも感じる。最後に絶妙の着地を完璧に決め、聴いてる方も気持ちいい演奏。ショスタコーヴィチが本格的な弾圧を受ける前の自由な前衛の時代の楽しさを堪能した。
 休憩に入る前に梅村さんと高見さんのインタビューがあって、梅村さんは小柄では無いが、ピアノと対峙しているときはとても大きな人に見えたのに、実際にはスレンダーな方でびっくりした。演奏時に大きく見せるというのもいいピアニストの見分け方かもしれない。
 後半のモーツァルト2曲は、前半とは全く違ったアプローチと鳴った。
 前半が大きなうねりの中の瞬発力と切れ味を重視した演奏なら、後半は優しい風が頬を撫でるような爽やかさと気品あふれる演奏。モーツァルト演奏はピリオド系が主流になっている昨今、私はなんとしてもこういうゆったりと適度なヴィヴラートで豊かな響きの演奏が好きだ。解説によるとヴィオラは半音高い調弦を指定されていて、それにより主音の変ホと、その5度上の変ロを開放弦で弾くことができ、通常は渋い音色のヴィオラが一変、ヴァイオリンと対等に渡り合えるようになるとのこと。
 その効果はユニゾンでヴァイオリンとヴィオラで登場した瞬間から現れる。ヴィオラの地味なイメージが一新される瞬間がたまらない。
 植村さんと朴さん、息がぴったりでヴァイオリン、ヴィオラ、それぞれの聴かせどころで見事なサポートをし合う感じ。第1楽章と第3楽章の品のある華やかな演奏も絶品だが、第2楽章の演奏はモーツァルトのこの時期の曲に、こういう内省的な一面があるのか・・・と新たな発見だった。
 余談になるが、少し気になったのが、ヴィオラの朴さんが植村さんに対して盛んにアイ・コンタクトをしているのだが、植村さんは全く目を合わせない。音楽は見事にシンクロしているので、それぞれタイプが違うんだな、と思っていたら、アフタートークでこのお二人がご夫婦だということを知った。なるほど!そりゃ目を合わせなくても息が合うはずだわ(笑)
 最後はモーツァルトの交響曲第29番。私はこの曲と28番が妙に好きで、例えば日中に嫌なこと、辛いことがあった日でも、夜にゆっくりとこの交響曲29番か28番を聴くと、とても心癒される気がする。
 オーケストラはとても芳醇な響きを聴かせてくれた。一言で表すと「丁度いい」あるいは「絶妙」。これ以上足すものも引くものもない演奏だった。少しだけエッジを立たせたアンサンブルが、爽やかな風のように頬を撫で、多用されるトリルはニュアンスたっぷりに聴かせ、聴き手の心は浮き立ってくる。
 欲を言えば、主に内声を担うホルンがもう少し雑味を取り除いてくれれば、とは思った。オーボエは素晴らしかった。
 もう一度聴きたいな、と思っていたらアンコール2曲目で第4楽章の短縮ヴァージョンを演奏。とても幸せな気分のまま帰路についた。
 このコンサート、チケット代1500円は安すぎる。この内容なら3000円取って、もう少し手広く広報する手もある。私なら5000円出してもいいと思う。そんなお値打ちのコンサートだった。

nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:音楽

兵庫県立歴史博物館 [展覧会・ミュージアム]

 エントランス前の広場に来た瞬間、デジャヴュが・・・。小学校の遠足で来たことがある。「確か、開館直後に来たんとちゃうかったっけ?」と思ってパンフレットを見てみると1983年の開館ということで、記憶に間違いはなかった。1学年5クラスの220人ぐらい居たため、二手に分かれて姫路城見学と博物館見学をしたのだろうと思う。
DSC_0088.JPG
 美術館のついでに寄ってみたのだが、想像以上に面白く、来てよかった。
 まず、無料区域の充実ぶりが凄い。というか常設展の6割ぐらいは無料で見られる。そしてその無料区域に
中山寺 十一面観音立像
文常時 聖觀音立像
鶴林寺 聖観音立像
成相寺 薬師如来立像
達身寺 十一面観音立像
 という国重文・県重文の寺院の仏像が間近で見られる。また、有料展示のところの全国の城郭模型と姫路城模型の対比の展示を見て、「やっぱり姫路城って別格なんやなあ」と改めて感じた次第。
DSC_0091.JPG
 兵庫県ってモザイク県なんだよなあ。岡山県も令制国3カ国を含んでいるが、兵庫は五カ国!そして、江戸期には小藩や天領が入り乱れた、文字通りのモザイク国家。
DSC_0090.JPG
 館内からは大手前通りとは反対側の姫路城の勇姿が。私はこの角度のほうが好き。
DSC_0092.JPG
 エントランスのガラス模型
DSC_0089.JPG
 上から見ると、先月のブラタモリでも紹介されたとおりの複雑な構造が見れます。
DSC_0093.JPG

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ストラスブール美術館展 姫路市立美術館 [展覧会・ミュージアム]

ストラスブール美術館展 印象派からモダンアートへの眺望
姫路市立美術館
201912himeji_city_musium.jpg

 先月の月末に行ってきた展覧会。
 さすがに世界遺産:姫路城の集客力は冬季でも全開で、外国人観光客がたくさん居る。よく考えるとクリスマス休暇の時期。改修後の姫路城に登ったことがなかったので行ってみたかったのですが、あえなく入場制限で断念。岡山でも後楽園では外国人観光客が急速に増加しているとは言え、この姫路や広島の宮島に比べるとまだまだ1/5程度だろう。

 この特別展の展示点数は111点で中規模の特別展ですが、非常に見応えがあった。大阪のラジオを聴いていると、しきりにコマーシャルをしていたので、館の方も力が入っていたのだろう。
DSC_0082.JPG
==姫路市立美術館HPから==================================
ランス北東部アルザス地域圏の中心都市ストラスブールは、ドイツ国境に近く、仏・独の文化が融合された独自の文化を育んできました。同地には10館にも及ぶ美術館・博物館がありますが、なかでもストラスブール近現代美術館は、印象派から現代美術までを網羅した18,000点に及ぶコレクションを誇り、フランス国内でも屈指の美術館として知られています。
本展は、同美術館のコレクションを中心に、印象派からモダンアートまでの作約100点を展観します。モネ、シスレーなどの印象派の画家たちから、20世紀のモダンアートを代表するピカソ、カンディンスキー、ジャン・アルプに代表されるアルザス地方ゆかりの画家まで、この時代の名画の数々をご紹介します。
また、國富奎三コレクション寄贈25周年を記念し、印象派の巨匠・ルノワールの《母性》や、モダンアートの旗手・マティスの連作版画本『ジャズ』の全点を公開するコーナーを設けます。
同時開催として、同時代に活躍したフランス近代絵画の作品を紹介する常設展示室にて、20世紀フランスで活躍した画家・ジョルジュ・ルオーの1907年制作《町外れ》の裏面に描かれた作品《老女》を初公開します。
企画展、常設展ともに楽しめる構成となっている本展覧会、会期中は年末年始も月曜日以外は開館します

==============================================

 有名どころではモネの「ひなげしの咲く麦畑」が理屈抜きに美しく、本物を見たモネの作品の中でも心に残る作品になりそう。マルタンの「古い家並み」「雪化粧のパリの屋根」、シニャックの「アンティーブ、夕暮れ」も、その美しさに見入ってしまい、ゆっくり鑑賞した。日本の浮世絵に強い影響を受けたリヴィエールの「ノートルダム塔の高みから〜『パリ風景』連作より」も印象的。このリヴィエールという人、富嶽三十六景に影響を受けて「エッフェル塔三十六景」という連作を遺しているらしい。
 ピサロの「小さな工場」はロンドンへ渡る前の作品で、ピサロの初期の作品を見たのは初めてかもしれない。
 ストラスブールはドイツとの国境にある都市。普仏戦争でフランスが負けた際にドイツに編入され、第一次世界大戦後は再びフランスに復帰した。ポスト印象派からフォービズム・キュービズムあたりのアルザス地方の画家は、ドイツの美術学校で学びフランスの美術界の影響下で作品を描いた人が多いそう。ドイツの画家の特徴と言ってもよく知らないのだが、ゼーバッハの「ラ・ドゥアンヌからストラスブールへの道、雨の効果」はオランダの写実的な画風に印象派の要素が入っている感じで、素晴らしい作品だった。同じくゼーバッハの「冬の森」、ドウブナーの「ヴィルディンステイン」、ユーブレシュトの「イル川に架かる橋」など、僕のよく知らなかった素晴らしい作品に出会えた。
 フランスとドイツの強国のはざまの都市というストラスブールのイメージが一変した。戦争による割譲あるいは復帰という不幸な歴史を辿りつつも、異質な文化がぶつかり合うことで生じる化学反応を堪能した。
DSC_0083.JPG
 去年の夏にも訪れた姫路市立美術館。夏よりも冬の方がいいですね。裏口から出たところにお堀があり、そこの風景がとても落ち着く。
DSC_0085.JPG

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

あけましておめでとうございます [雑感・出来事]

 ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
 今年も他人の褌ということで、岡山フィルからの年賀状をご紹介します。
Scan20200101231916_001 - Edited.jpg
 ブログタイトルが示しているとおり、当ブログはクラシック音楽を中心としたコンサートの感想記録がメインのはずですが、去年のコンサートの鑑賞回数は12回。今年も同じような頻度になりそうです。
 今はやはり家族と過ごす時間がかけがえのない時間で、自分の趣味は二の次です。
 それと同時に、岡山フィルの充実した演奏のお陰で、関西や広島市内などへ遠征して、最高レベルの演奏を聴きたい、という気持ちも減ってきています。
 今年も岡山のコンサートを中心とした感想記録になると思います。よろしければお付き合いください。

nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽