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秋山和慶 岡山フィルミュージック・アドバイザー就任会見の記事から [岡山フィル]

 これまた随分時間が経ってしまったが、5月の岡山フィル定期演奏会の直前に、秋山和慶ミュージック・アドバイザーの就任会見でが開かれ、地元紙や放送局で報道された。

 記事を書きはじめたものの、完成させられないままお蔵入りしていたが、時間ができたので記録として書き残しておこうと思う。


「一目置かれるプロオケに」 岡フィル 秋山氏、藤原氏就任会見:山陽新聞デジタル|さんデジ https://www.sanyonews.jp/article/1264115


岡山放送



山陽放送




これらの地元マスコミで報道された、就任会見での秋山さんのコメントをまとめてみた。


「岡フィルで最初に指揮した時、団員の目つきが違うと思った。これは楽しみなオーケストラになるなと」
「日本で指折りの楽団となるにふさわしい状況が整っている。」
「中国地方で一目置かれるようなプロオケを創り上げていく」
「名だたる楽団に比べると小編成だが、一生懸命でアドレナリンが湧き出るような充実した演奏会ができた。もっと楽しく、面白い楽団になっていく」
「子どもたちへの演奏会を大事にしたい」
「小さな演奏会でも演奏家たちが真摯に取り組む姿勢を見てもらうことがとても大事」



 秋山さんが「ミュージック・アドバイザー」に、藤原浜雄さんが「ゲストソロ・コンサートマスター」に就任するというニュースに接した際、一抹の不安を覚えていた。理由は、そのポスト名にある。

 これまでの首席指揮者:シェレンベルガーさん、首席コンサートマスター:高畑さん、は楽団の顔として責任を背負う感じがあったが、「ミュージック・アドバイザー」「ゲストソロ・コンサートマスター」というポスト名には、どうも一歩引いたというか、深入りを避けた様な印象を覚えたのだ。


 しかし、秋山さんの会見でのお話は、意欲と情熱に溢れるとともに、具体的なプランが示されており、定期演奏会だけではなく小さは地域コンサートや教育的コンサートにも力を入れるという、広響などで見せた秋山イズムを強く感じさせるもので安堵した。藤原さんも富士山静岡響でも同じポスト名でご活躍とのことで、それに合わせたのだろうが、一般の聴衆から見た印象では損をしている。どうもこの音楽業界のポストは複雑怪奇で、名前と仕事内容や責任は必ずしも一致しないというのはクラシック、オーケストラ界の「悪弊」といって良く、世間から見た敷居の高さにも繋がっているのではないだろうか。


 秋山さんの発言内容の具体化の参考になるのは広島交響楽団の事例だろう。広響をよく知るファンの方が「川上作戦」(元来は地方の小さな集落から演説を開始して都市部に攻め上るという国政選挙の必勝戦略から来ているようだが)と仰っていたが、岡山での川上作戦はどのようになるだろうか。


 まずは学校訪問の公演の規模や回数は増加するだろう。子供たちだけでなく、地域住民にも開放されるようなコンサートを積み重ねて、一見、岡山シンフォニーホールから遠いように思える人々に、岡山フィルの強い印象を植え付ける。

 次は、「マイタウンオーケストラ」という地域の500人〜1000人規模のコミュニティ・コンサート。広島市の場合には全8区に区民センターがあり、立派なホールで事業展開されているが、岡山市は広島市のような地域インフラとしてのホールは充分には整備されていない。そんな中で可能性があるのは


 中区:岡山ふれあいセンター 約300席

 南区:岡山南ふれあいセンターふれあいホール 約200席
 東区:百花プラザ多目的ホール 約560席
    西大寺公民館大ホール 約800席
    西大寺ふれあいセンター 約300席


 あたりが会場候補になるだろうか?うーん、オーケストラ演奏に耐えうる規模となると、百花プラザ多目的ホール、西大寺公民館大ホールぐらいしかないか?



 最後には「地域定期」

 岡山フィルは県からの補助を得て、県内各地域での公演を行っているが、どうも集客は芳しくないようだ。やはり、開催場所を固定して毎年あるいは2年に1回の「恒例行事」にしないと固定客が着かないだろう。

 倉敷・笠岡・高梁(または新見)・津山あたりが地域定期の固定開催地候補になるだろうか。


 とりわけ重要なのが、倉敷との関係。

 私は兼ねてから岡山フィルが飛躍するためには、いかにして倉敷に進出するかにかかっている、と主張している。静岡交響楽団が浜松に進出して富士山静岡交響楽団(静岡定期・浜松定期の2公演体制)に発展しているのを見て、確信を深めた。
 シビックプライドの高い倉敷は、子供向けのコンサートなども含め、コストがかかっても在阪オーケストラを招聘し、岡山フィルを相手にしていないように見える。


 ここにどう食い込むか?


 倉敷のプライドに配慮した形、例えば楽団の理事会に倉敷市やくらしき作陽大学音楽学部などを取り込んだ形にするなどの思い切った方法を取る必要があるのではないか?

 静岡市と浜松市の2都市をフランチャイズとする富士山静岡交響楽団のプログラムをみると瞠目の充実度だ。


 静岡・浜松の2都市での定期演奏会2日制に加え、元東京カルテットの原田幸一郎さん(倉敷音楽祭の音楽監督?もされていたと思う)によるハイドンシリーズ、定期演奏会とは別ラインナップでの名曲コンサートなど、全方位で楽団の発展に目配りした素晴らしい年間プログラム。

 5年ほど前までは財政規模や主催公演の数は岡山フィルと変わらなかった(集客者数は岡山フィルのほうが勝っていた)のに、静岡・浜松両都市のタッグによってこれほどまでに差がつくとは。


 秋山&岡フィル体制になって静響のように、これまでの殻を破れるだろうか。

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