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RSKメッセージ特別編 さよならシェレンベルガー ~岡フィル指揮9年の集大成をここに~ [岡山フィル]

 SSブログは一定期間更新(おそらく50日ぐらい)が無いと、「広告非表示設定」が解除されてゴテゴテと広告が表情されてしまうので、月に1回は更新するようにしていたのだが、久しぶりに覗いてみると無惨な状態(しばらく家を空けていて、帰ってきたら雑草がボーボー、みたいな・・・)になっており、もう完全に時期を逸したネタではあるが、保守も兼ねて更新しようと思う。


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2013年に岡山フィルハーモニック管弦楽団の首席指揮者に就任したハンスイェルク・シェレンベルガー氏(ドイツ在住)が3月末で3期9年の契約を終える。世界最高峰といわれるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でソロ・オーボエ奏者をつとめた卓越した音楽性を発揮し、岡フィルの名を全国のクラシックファンに知らしめた。しかし、コロナ禍で来日そのものがままならなくなり、最後のステージとなる筈だった3月の第71回定期演奏会も別のプログラムに差し替えられる事態に。
番組では、1年9か月ぶりに来日した2021年10月の岡フィル第70回定期演奏会と自身もオーボエを披露した12月の特別演奏会をダイジェストで紹介。幻のサヨナラ公演に代わるフィナーレを当番組で飾る。

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 RSK山陽放送のドキュメンタリー番組:メッセージは、以前にも岡山フィルの楽団改革や、演奏会の録画を放送しており、加えてラジオ放送でも「ブラヴォー・岡山フィル」という番組を放送するなど、全国的に見ても例がないほどメディアの露出が多いオーケストラになった。シェレンベルガーが首席指揮者に就任する前の、全く目立たない存在だった頃を思うと、隔世の感がある。



 番組HPの概要にもあるとおり、本来であればシェレンベルガーの首席指揮者としてのラストコンサートを追うドキュメンタリーを撮影し、ゴールデンタイムの本来の時間帯に放送する手筈だったのだろう。それが叶わず、これまでに撮りためていたインタビューや昨年の10月の定期演奏会により構成されていた。私としては、去年の10月定期でのチャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」の演奏シーンをじっくり見ることができたのは幸いだった。


 第1楽章の陰鬱とした序奏のあとの第1主題、弦、特にヴァイオリンがテンポ感を掴みきれていない感じがあり、当日の感想には「ここは充分に詰めきれていなかったか」と書いたが、奏者たちの「えっ!?」という感じの表情を見ると、もしかしたらリハーサルの時よりテンポが早かったのかもしれない。これがなんとも言えない切迫感を出していて、シェレンさんの狙い通りだったのかも知れない。

 第2主題に入り、これはコンサートでも感じたが、安らかにはならず、足を引き摺るような弦の下降音階の刻みが不安感を増幅させ、クラリネットの音をグロテスクに際立たせていたのはやはり意図されたものだったことが解った。

 劇的な展開部でのビートの聴かせ方、岡山フィルの鉄壁のアンサンブルは、録画で聴いても鬼気迫るものがある。一方で、会場で聴いた弦の狂ったようなうねりは、やはり録画では撮り切れていない、会場で聴いたものだけの体験になった。


 第4楽章も主要部分が放送され、心の奥深くに沈んでいくような演奏は、緻密な演奏設計と繊細な表現で成り立っていたことがよく解った。


 録画放送を見て改めて思ったのは、この日の演奏を貫いていたのは、異常なまでの緊張感である。 (実際には12月の特別演奏会には来日が叶ったわけだが)二度と来られない・聴けないかも知れない、という思いを、指揮者も奏者も頭の片隅に置きながらの音楽づくりだったのだろう。


 この番組のおかげで、私自身、シェレンベルガーさんとの夢のような9年間にピリオドを打つことが出来たように思う。秋山新体制になっても、テレビで取り上げてくれるように願っている。  

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