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岡山フィル 真夏の夜のベートーヴェン 石﨑真弥奈 指揮 [コンサート感想]

岡山フィルハーモニック管弦楽団

シンフォニーは友達!2021 真夏の夜のベートーヴェン


2021-08-12 oka_phil.png


プレ・レクチャー
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調「田園」


指揮:石﨑真弥奈
コンサートマスター:高畑壮平
2021年8月12日 岡山シンフォニーホール


・昼間に実施している子供向けの「シンフォニーは友達」という夏の恒例プログラム、せっかくオーケストラが集まっているのだから、ということなのかは不明だが、恐らく初めての試みとしてプレ・レクチャー付きのソワレ1時間公演が開催された。


・客足は、うーーーん。600人ぐらいかな。演奏時間が短いとは言えチケット代が2000円でシンフォニーを1曲がっつり聴けるのは、けっこういいプログラムだと思うんやけどね。


・編成は8型2管。1stVn8→2ndVn6→Vc4→Va4→Cb3。プログラムにメンバー表が無かったので(弦の方々はマスクしていて顔がわからん・・・)自分が見た限りの情報になるが、東京組の首席奏者は今回は乗っていなかったので、通常に比べると「飛車角落ち」までは行かなくても「飛車落ち」な感じは否めないが、にも関わらず、とてもいいアンサンブルを聴かせてくれた。


・クラリネット首席に座った松本さん、こんなに凄い人だったんですね。上手いだけじゃなくてこの大きなホールを鳴らし切る音の強さもある。首席の西崎さんの陰に隠れていたが、今回の再発見。ホルン客演首席は元東フィルの森博文さん(作陽大学音楽学部の教授をされているんですね)は流石の演奏だった。


・石﨑さんによるプレ・レクチャーはディスプレーも使いつつ、モチーフの紹介に生オケの演奏を使うという贅沢なものだった。けっこうがっつりした内容で(ほぼ音楽教室だ)、僕はたいへん面白かったが、「田園」を全部聴いたことがない人は理解できたのだろうか?もう一人(高畑コンマスとか)が絡んでトークセッション形式にすると、なお面白かったかも知れない。


・石﨑さんの指揮は初めて拝見したが、タクトを使わず、動きが靱やかで雄弁でスケールが大きく、自然な流れに中でオーケストラの音を引き出していた。これはオーケストラも演奏しやすかろう。第2楽章はプレ・レクチャーでも力点が置かれていたが、ここの各フレーズに意味を持たせて大きな自然の風景を描ききるさまは見事だった。演奏によっては居眠りポイントになるこの楽章がまったく眠くならなかった。


・一方で、(今回の企画の趣旨もあるのかも知れないが)、いい意味でも悪い意味でも「予測不可能性」といったものがなく、「この人、油断しとったら何をしてくるかわからんぞ!」という部分が欲しい気もした。山田和樹や川瀬賢太郎あたりが若手の頃は、そういうギラギラしたものが漲っていたのを思うと、もうちょっとはちゃめちゃな部分があってもいいかな。


・第3楽章〜第4楽章は高畑コンマスの「辻音楽家の血」が騒ぎ出したのか、なかなかハッスルされていて、弓がブチブチに切れていた。高畑コンマスのこういう、ノリのいい部分に入ると一気呵成に行くところが好きです。


・今回の編成だと、ホールを鳴らし切るところまでは行かず、できれば倉敷芸文館とかいずみホールのような800人ぐらいのホールで聴きたいところ。岡山芸術創造劇場の中ホールは演劇専用で反響板を付けないそうだが、このサイズのホールは案外、岡山には無いんだよな。


・今回の1時間の「ちょい聴きクラシック」、単独公演だと企画としては弱いかも知れないが、このブログで再三提案している、ラ・フォル・ジュルネ型音楽祭の公演としてはいいテストになったんじゃないだろうか?

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