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ラフマニノフ/交響曲第2番ほか 広上淳一&京響 2017年ライヴ Altus [クラシック音盤]

 今年3月のエントリーで、「20世紀の偉大なる巨匠たちの名演・名盤よりも、今、活動している音楽家の演奏を聴きたい」と書き、じっさいに地元と関わりのある音楽家や「会いに行ける演奏家」を中心に聴いています。

 今回はその中で愛聴盤になりつつある演奏を。

 京都市交響楽団は、従来から関西・西日本随一の演奏水準を誇るオーケストラでしたが、広上淳一が常任指揮者に就任して以来、その音楽性に磨きをかけて、2010年代に入って黄金時代を築きました。

 録音は2017年9月18日のサントリーホールでのライブ録音。まずその表現の巧みさや、淀みのないクリアなサウンドが印象に残ります。特に木管楽器のソロが素晴らしく、第3楽章冒頭のクラリネットのソロは、少し早めのテンポで心に染み渡る音を聴かせます。

 この曲の第1楽章は、悲劇性を伴った荒々しい部分と、ラフマニノフの真骨頂の一つである耽美的でねっとりと聴かせる部分が交互に現れ、ロシアのオーケストラが演奏すると、荒々しい部分は楽器が冬の嵐のように咆哮し、耽美的な部分はひたすらに甘美に演奏されますが、京響の演奏は地の底から沸き上がってくるような重心の深いトゥッティーで聴くものを圧倒、この表現を荒ぶる父性=ゼウス的とするならば、美しいメロディーの部分は甘美になりすぎず、菩薩的とでも言える温かい眼差しに溢れた気品あるサウンドに仕上がっている。これはもしかするとこの曲にロシア的な濃厚さを求める人には物足りない部分もあるかも知れないが、日本人の美的感覚にとてもマッチするもので、日本の風土が持つ、生活を一瞬にして破壊する荒ぶる自然と、泣けるほどの美しい風景という二面性が音楽に立ち現れているようにも感じます。
 「京響らしい緻密で明るいサウンド」という観点での聴きどころは第1楽章の後半部分と、第3楽章でしょうか。この京響の黄金時代が続いていくことを願わずには居られない、素晴らしい録音です。

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