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岡山市による「路面電車の将来のネットワーク」についてのパブリックコメントの募集 [岡山]

 クラシック音楽に関するブログなのですが、ちょっと脱線記事を書きます。興味のない方はスルーしてください。
 岡山市が路面電車の延伸・環状化についてのパブリックコメントを募集しています。 期限は10月7日(月)まで。
 私が岡山来てから四半世紀以上経ち、いつの間にか岡山で永住状態に入りつつあるが、ずっと「我慢」してきたことが一つあります。それは朝夕ラッシュ時の大渋滞による時間・心理面でのロスの問題。特に今日なんて消費税増税前の納品ラッシュも重なって、夕方は大渋滞。6kmの通勤路が50分かかりました・・・

 以前にこんな記事を書いたことがあります。
 こんな感じでブログにも意見表明をした以上(笑)、この機会に私もコメントを応募しようと思います。 
 パブリックコメントに応募するのは初めてではなくて、以前、文化振興計画の意見コメント募集にも応募したことがあります。
 その時の市の回答。
saiyourei (1).jpg
 この前向きな回答があった後、ついに2017年に岡山フィルの日本オーケストラ連盟加入が認められ、体制整備が急速に進みました。
 この経験から、パブリックコメントってちゃんと市民からの意見を真摯に受け止めているんだなあ、ということがわかりました。今回のパブリックコメントも、賛成の方の意見は路面電車ネットワーク整備への後押しになりますし、反対意見はその内容を精査して検討してくれるように思います。いずれにせよ、憲法で保証されている選挙権の行使よりも、よほど具体的にわが街がよりよい方向に向かうためのアクションになります(笑)
 パブリックコメントに関して参考にした資料は次の通り。
 この岡山市の計画を見れると、岡山における公共交通の問題がよく整理されていて、この四半世紀の間、市当局は何もしていなかったわけではなく、相当な問題意識を持って検討を続けていたことがよくわかるんですよ。
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 この総合交通計画自体へのパブリックコメントは去年、募集があり、とても活発な意見が提出されています。私はコメントに応募できましんでしたが、この総合交通計画を目にして、市当局の現状への強い危機感に対して、後押しになる意見を送りたいとは思っていました。
 上記の計画の中に「自動車中心の交通体系と、交通問題に対する市民意識が変わらなければ、誰もが暮らしやすく住み続けたい岡山市の実現は困難」と明記されていますが、まさに市民の間で今こそ機運を盛り上げていく必要があるでしょう。
 バスロケーションシステムなど、IT技術で公共交通の改革に取り組まれている、交通関係コンサルタント会社の方のブログ、これは本当に勉強になりました。
③まッきいろさんのグログ
 岡山における路面電車の位置づけや可能性について、本当にわかりやすく書かれています。特に岡山の「都市文化」と公共交通の関係に関する考え方は拙ブログと全く同じだと感じました。
 先に紹介した拙ブログのエントリーの中でも、私はこう書きました。
「もし岡山が街の中心の人の往来がじり貧状態のまま放置され、それに加えてオーケストラをはじめ一流の芸術文化に触れる機会も減り、繁華街の活力も低下したとすると・・・
 
 僕はおそらく老後を岡山で過ごすことは無いと思う。」
 この考えは今でも変わっていません。永住状態にある私がこう思うのですから、移住された方や転勤族の方が岡山から逃げ出す大きな要因になり得るでしょう。
 岡山市と同規模の自治体でも、同様の問題意識から、富山市を筆頭に、熊本市、宇都宮市、松山市などで路面電車を核にした公共交通ネットワークの構築への取り組みが盛んになっている。

 今回の路面電車のネットワーク化は、岡山市が構想する公共交通の見直しの中のほんの一部です。私は中心部の路面電車ネットワークは大賛成の一方で、郊外から市内への流入は、BRT(バス専用レーンと優先信号システムによる定時性・速達性が確保と、2両以上の連節バスによる大量輸送を実現した交通システム)に絞って整備をすすめるべきと思っています。
 理由は大きく分けて2点
①大規模な用地買収や整備工事などが必要な路面電車は整備に20年はかかる。岡山市にはそのような時間的余裕はない。
 市の案にある、岡大津島キャンパス方面は、運動公園から岡大のいちょう並木道路に抜ける箇所がネックで大規模な用地買収が必要。青江の日赤病院方面は清輝橋〜十日市間での拡幅のための大規模な用地買収が必要。よって整備には20年以上はかかるでしょう。岡山市は2020年台後半以降、本格的に人口減少時代に突入します。いや、すでに東区や南区の住宅地では人口減少トレンドに入っている。これを放置すれば郊外のゴーストタウンが一気に進行。市全体での地価の低下や人口減少は税収に影響し、福祉や教育、あるいは(私が強い関心を持っている)文化芸術にかける予算はどんどん減少する。
 出来るところからスピーディーに整備が可能なBRT(基幹バス)に絞って整備を図り、それによって市民の公共交通を利用した移動が活発になれば、BRTに使っていた「公共交通専用レーン」を路面電車の軌道に転用することも可能です。
②都心部の環状化路線の敷設には、郊外からの自動車流入防止策とセットで同時進行で進めないと大渋滞になる。
 もうこれは当たり前のことですが、都心部の環状化路線を整備する際には、郊外から都心部への自動車流入防止策とセットでやらないと、一時的にせよ渋滞が激化し、市民の大反対が起きることは明白。やはり郊外から都心部への「定時性・速達性・大量輸送が確保された公共交通システム」のすみやかな整備を同時進行でやらなければならず、路面電車の郊外線に注力する余裕はないと思います。
 BRTのイメージはこんな感じ。台湾の台中市です。かつては日本統治下にあったこともある台湾。日本と同じく平地が少ない環境でここまで出来る。日本の都市にできないはずはありません。LRTよりも輸送人員が減りますが、システムとしてはよく似ていて、しかも末端部の路線設定のフレキシビリティはLRTにない利点があります。
 一番大事なことは市民の間で「公共交通に確固たる優先権を与えるというコンセンサス」を共有し、専用軌道・専用レーンを与えて最短時間で大量輸送するシステムを作り、市民の「移動権」を保証する。市当局にはぜひ頑張ってもらいたいと思います。

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としゆき

以前富山市に住んでましたが、晴れた立山連峰をバックに新型ライトレールが走る姿は絵になり、街の魅力や価値を高めているように感じましたね。中心部を歩いて回遊することが増えますね。
今住んでいる福岡市は、地下鉄とバスの路線網。天神近辺を歩いてると、西鉄バスの数に圧倒されますが、バスはどうしても昇降時の停車で後続の車に渋滞が発生してしまいます。
渋滞・通勤のストレスや経済効果(損失)を数値化・金額化するのは難しいですが、相当に大きいもののように思います。東京から福岡に来て、通勤のストレス軽減から、一層そのように感じます。
by としゆき (2019-09-28 06:27) 

ヒロノミン

>としゆきさん
 JR西日本が富山港線と吉備線のLRT化構想を表明したのは2003年、富山市は2006年にスピード開業し、都心部の環状化も成し遂げてた結果、旧富山市域の人口減少は止まったそうですね。
 今の岡山市長は国土交通省の出身で、ここ数年で事態が急速に進みはじめていますね。路面電車の駅前広場乗り入れ、吉備線LRT化計画の設計開始に加えて、都心部環状化・延伸計画です。
 岡山でも郊外からのバスがすべて都心部に乗り入れて来るので、バスの存在が渋滞を加速させている面もあります。
 渋滞のストレス・経済損失も大きいですし、何よりも「時間が読めない」ことが大きく、このような都市では人も企業もやって来ないだろうと思います。
by ヒロノミン (2019-09-28 20:46) 

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