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岡山交響楽団第66回定期演奏会 [コンサート感想]

岡山交響楽団第66回定期演奏会
 
リスト/交響詩「前奏曲(プレリュード)」
ドビュッシー/小組曲(ビュッセル編)     
 ~ 休憩 ~ 
サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」
 
指揮:杉本 賢志
 
2018年11月25日(日) 岡山シンフォニーホール
 
 躍動感と一体感のあるエキサイティングなコンサートだった。
 
 岡山交響楽団はアマチュア・オーケストラで、岡山県下では、ここと保科アカデミー室内管とアンサンブル早島、倉敷管弦楽団が「四天王」といっていいと思う。しかし、ここ4年ほどは出勤日と重なり休みもなかなか取れないため、ほとんど聴けていなかった。今回は2週連続の台風襲来の影響で岡山フィルの10月の定期演奏会に行けなかったこともあり、職場の上長が気を効かせて特別に許可が出た。開園時間が2時間繰り下がって16時になったことも良かった。
 
 今回のプログラムで中心になるのはサン=サーンスの「オルガン付き」だが、そのサン=サーンスが尊敬していたリストの代表的交響詩作品とサン=サーンスとはフランス楽壇内で対立関係にあったドビュッシーとの組み合わせで、構築的なドイツ管弦楽曲とは全く異なる独特の浮遊感と多幸感を表現したドビュッシー、そして、保守的な楽曲スタイルを継承しつつも全くスキのない見事な管弦楽技法をみせるサン=サーンス、と、三者三様の世界を見事に表現していたと思う。
 (後日追記) 
 ・客席はよく入っていました。1・2階席のみの開放だったが、開演直前に来た人が空席を探すのに苦労する感じの、ほぼ満席。

・リストのレ・プレリュードは「嵐」の場面から凝縮された充実したサウンドか聴かせてくれた。特に弦楽器の厚みのある音を堪能した。岡山フィルの長坂さんなど何人かプロの奏者の方が入っていたが(トレーナーをされているのかな?)、それもサウンドの充実に寄与したのかもしれない。

・ドビュッシーの小組曲は、岡山大学交響楽団が十八番にしている、という印象がるが、同オケ出身者が多いこの岡響は流石のこなれた演奏で、社会人オーケストラならではの味わい深さと、ドビュッシーの楽曲が持つ独特の馥郁とした香りが漂ってくる。見事な演奏!

・今回はこよなく愛するサン=サーンスの「オルガン付き」が演奏されるということで、本当に楽しみにしていた。すぐの思い返せるだけで、P.ヤルヴィ&パリ管、大植英次&大阪フィル、ロジェストヴィンスキー&読響、小林研一郎&日本フィル、大山平一郎&大阪シンフォニカー、岡大交響楽団など、チャンスがあれば足を運んできた。
 生演奏を聴いてきての結論は、『中期ロマン派の中庸な作品』のイメージと難易度のギャップだ。第一楽章での細かい音の錯綜・積み重なり、この曲の印象を左右するキリスト教的世界を具現化する必要がある第2楽章、そして第4楽章での音楽のうねりの持って行き方。全楽章を貫く循環主題の見せ方など、本当に難しいと思う。マーラーの「巨人」とほぼ同時期の作曲であるが、実演で両者を聴いてみると、マーラーのようなエキセントリックさは無いが、管弦楽技法の奥深さは勝に劣らないものがある。

・そうなるとアマチュアのオーケストラが演奏するには、かなり難しい場面があり、第1楽章でそうした難しさを聴く者に感じさせたものの、第1楽章中盤以降は揺るぎのない音楽の骨格が感じられるどっしりとした演奏になった。

・特に第4楽章でのじっくりとしたテンポでマッシヴに進んでいく音楽は見事で、中間部のサン=サーンスの天才的な技法を感じさせる場面の演奏は素晴らしかった。

・岡山シンフォニーホールにはパイプオルガンが無いため、電気オルガンでの(スピーカーから音を出す)演奏になったが、第4楽章の冒頭ではさすがに人工的な音色を感じてしまったが、奏者の方のタッチの変化が素晴らしく、他の場面ではスピーカーからの音であることを意識させなかった。
 
・アンコールにはエルガーの行進曲「威風堂々」第1番。この曲は何度も聴いているが、オルガンが入った演奏は初めてかもしれない。オルガンが入ると、これほどの昂揚感があるのか、と感動した。プロムスの気分が少し味わえた感じ。こんな見事なサウンドが聴けるのなら、同じエルガーのエニグマ変奏曲やウォルトンのベルシャザールの 饗宴もこの電気オルガンで出来そうだなあ。
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