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京都国立博物館 特別展「国宝」第Ⅳ期 [展覧会・ミュージアム]

京都国立博物館 特別展「国宝」

第Ⅳ期(11/14~11/26)
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===京都国立博物館ホームページから================

2017年は、日本の法令上「国宝」の語が初めて使用された「古社寺保存法」制定より120年にあたります。当館開館と軌を一にするこの節目の年に、昭和51年(1976)に「日本国宝展」を開催して以来、実に41年ぶりとなる「国宝展」を開催します。古より我々日本人は、外来文化を柔軟に取り入れつつ、独自の美意識によって世界にも類を見ない固有の文化を育んできました。歴史的、芸術的、学術的に特に優れ、稀少である国宝は、何よりも雄弁に我々の歴史や文化を物語る、類い希なる国の宝といえましょう。本展覧会では、絵画・書跡・彫刻・工芸・考古の各分野から、歴史と美を兼ね備えた国宝約200件を大きく4期に分けて展示し、わが国の悠久の歴史と美の精華を顕彰いたします。

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 何年か前に、建仁寺の展覧会で俵屋宗達の「風神雷神之図」が岡山に来たことがありました。その時はかなりのフィーバーになったことを覚えています。国宝が1点だけでもそれだけの話題になるのに、今回は210点もの国宝が一度に終結するという目もくらむような企画。先月の上京の第1目的は、この国宝展を見ること(第2は紅葉狩り、第3に京響の定期)でした。
※このブログでは上京=京都へ上る、在京=京都にある、という意味で使っています。東京へ行くときは「東上」、東京にある、という意味では「在東京」という表現。偏屈なこだわりです。


 一度に国宝が見られる、といってもご本尊の仏像だったり寺宝だったり、そのミュージアム随一の至宝だったりするわけで、長期の貸し出しが不可能な国宝も多く、モノによって会期中に入れ替わりがある。私は第Ⅳ期にしか行けませんでしたが、第Ⅰ期は雪舟の国宝水墨画6点が一堂に会し、第Ⅱ期は曜変天目茶碗、第Ⅲ期は「漢委奴国王」の金印とというように、その時期にしか見られない「目玉展示」があり、地元の人は4回も足を運ぶことになったのではなだろうか。
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 京博の「平成知新館」は初めて入ったのですが、非常に大規模な建物でスポットライトも明るく、本当に見やすい。そして上階へ続く階段の広い踊り場から、俯瞰して展示物が見られる。この構造は応挙と光琳の屏風画を至近距離&俯瞰位置の2回鑑賞するという味わい方を提供してくれた。
 一方で、ことごとく展示室が箱状になっていて、鑑賞者は「コ」の字型に回らざるを得ず、角の部分で人間が滞留し、常に「最前列の方は止まらずに鑑賞してください」というアナウンスが聞かれた。新しい施設の割に導線については大きな課題があるように感じた。


 1階から上階へ向けてみて回ったのだが、最初に金剛寺の「大日如来座像」と「不動明王座像」の巨大ご本尊2体が圧倒的存在感で迎えてくれる。期せずして私も相方も「なんか、かわいいな」とつぶやいてしまったのが「不動明王像」。近寄り難しいと思っていた不動明王が、絶妙の愛嬌を湛えながら心の中に入ってくる。我々を救ってくれるという確信が芽生えてくるその造形に魅了される。

 「陶磁」のスペースには油滴天目茶碗が展示されていたが、あまりの人だかりと全く動かない導線に見るのを断念。これは大阪の東洋陶磁博物館で展示されるときに行けばいい。

 次は一気に3階へ。この日、一番時間をかけて鑑賞したのが考古遺物のスペース。深鉢型土器、いわゆる火焔土器はNo.6が第Ⅳ期に登場。彫りの深い造形は縄文時代の日本独特のもので、大陸からの影響も希薄で。恐らくこれを作った集団のトーテムとされていたであろう、ニワトリの造形は、写真で見るものとは全く印象が違った。これほどの造形を縄文時代に施した、その技術たるや凄いものがある。
 縄文式土器や火焔型土器のなかには、バランスや造形の美しさを欠くものも出土しており、このNo.6を作った陶工は、100年に一度の天才だったのではないだろうか?現代にまで完全にその姿を留める焼成技術も高かったのだろう。興奮で15分ぐらいはこの場に居ついてしまった。


 他にも縄文のビーナス、仮面の女神という土偶2点にも目が釘づけに。おりしも我が国は少子化真っ只中。子供を産み育てる母体や母性に対する尊崇の念が数千年の時を時を超えて伝わってきて、現代人の我々の心をも動かす。
 桜が丘遺跡(神戸)の銅鐸はこれまで何度も鑑賞してきたが、照明の加減でこれほど文様や図柄が見えたことはなく、じっくりと拝見した。ちなみに出土地点の桜が丘は灘区の六甲病院や親和高校の近くの住宅地。高校時代にその地に行ってみたこともある。大阪湾を見渡す風光明媚な土地だ。
 加茂岩倉や荒神谷などの古代出雲の金属器なども展示されていたが、これは何百器という金属器とともに展示されている古代出雲歴史博物館での鑑賞の方が面白かった。


 考古学のスペースの次に目を引かれたのは、何といっても中世絵画。尾形光琳の「燕子花図屏風」と円山応挙の「雪松図屏風」。両社とも東京に行かねば目にすることはできない。近くで見た時の大胆な筆と、階段踊り場から見下ろした時の見事な構図、両方を楽しんだ。


 他にも平家納経やポルトガル国印度副王新書、後鳥羽天皇宸翰御手印置文など、日本市場も重要な国宝に触れることが出来た。
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 Ⅰ期~Ⅲ期のみの展示物や、あまりの人出の多さに近くで鑑賞することを諦めたものもあったが、総じて満足感を胸に抱いて閉館の放送に追いかけられるように京博を後にした。

 昼間に紅葉狩りをした足で回ったため、もうクタクタになってしまったのだが、心底行って良かったと思った、満足した展示だった。備忘として作品目録をアップしておく。

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