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日本センチュリー響第217回定期演奏会(2日目) 指揮&Vn独奏:シトコヴェツキー [コンサート感想]

日本センチュリー交響楽団第217回定期演奏会(2日目公演)

アダムス/管弦楽のためのフォックストロット「議長は踊る」
コリリアーノ/「レッド・バイオリン」組曲
シューマン/交響曲 第2番 ハ長調 

指揮・ヴァイオリン独奏/ドミトリー・シトコヴェツキー
コンサートマスター:後藤龍伸
2017年6月17日 ザ・シンフォニーホール
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   シューマンを偏愛している僕にとって、この日のセンチュリーのシューマン2番は非の打ち所の無い、どころか、生きてるうちにこの曲でここまでの演奏が聴けたことを神に感謝したい。そんな演奏でした。1日目よりもより音に艶が増し、オーケストラのパート間のコミュニケーションが豊富になっていました。東京のオーケストラにも伍していける、世界に対しても堂々と「日本センチュリー響、ここにあり」と出していける。
 今後、関西へのコンサート遠征はセンチュリーを中心に組みます。目下のところ、大阪のオーケストラの中ではぶっちぎりで抜けています。
 
 アダムスもコリリアーノも、良かった!必ず詳細は更新します。
センチュリー響!ブラボー!
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 2日目(土曜日)公演も空席が目立ち、5割・・・行ってないかも知れないです。でも、センチュリーはこの日も極めて質の高い音楽を聴かせてくれました。
 あるプロの演奏家の方にうかがったことに寄ると、ソワレのあとのマチネ公演は体力・集中力的にもかなりタフさが
求められるそうです。コンサートが終わって家に帰ると23時、遅い食事をとって寝るのは午前1時となる。コンサートの後はなかなか寝付けない奏者も多いのだそう。翌日は14時開演だと、10時か11時からゲネプロが始まる。前日に気になる箇所があれば、そこをさらっておかないと落ち着かない。そんなこんなでほとんど眠れずに土曜日のソワレを迎えることも・・・
 なるほどね、それで京響はソワレ→マチネの公演を組まないし、大フィルも金曜ソワレ→土曜マチネのパターンが減
ってきているのか・・・

 話が脱線しました。アダムスの「議長は踊る」。1日目は痺れるような緊張感が漂っていましたが、2日目は良い意
味でリラックスした演奏でした。特に緊張が強いられるパーカッション、特に最後まで音が残るサンドペーパーみたいな楽器の音が、この日は絶妙の余韻を残して終わった。
 ダイナミクスの抑揚も、1日目よりも自然。シトコヴェツキーも手応えを感じたようでした。2日目はサイドバルコ
ニー席に座ったためピアノの手元もよく見え、そしてチューバがコントラバスとともにずっと安定して低音を吹き続けていることに気づいた。シトコヴェツキーさんはこの日もチューバを立たせて讃えていた。この日は1曲目なのにブラボーが飛びました。

 次にコリリアーノの「レッド・ヴァイオリン」組曲ですが、1日目の厳しい・恐ろしい曲との印象が変わりました。
一度、生演奏で聴いて僕の『耳が慣れた』からだろうか、1日目のシトコヴェツキーの演奏も運命の鉄槌を下すような厳しいものから、2日目は運命に対する悲しみに寄り添うような演奏に聴こえ、前日とは全然印象が変わりました。シトコヴェツキーのソロの場面での、楽団員同士のアンサンブル感覚の鋭敏さは2回聴いても痺れる。

 後半のシューマンの第2番。前日も第1楽章から中欧のオーケストラ顔負けのクオリティの高い演奏だと思っていしたが、2日目になって、音のつやが一層輝きを増したように思う。1日目の演奏も、第3楽章あたりからつやと輝きが増して、最後は信じられないような美音の洪水となったが、その調子が2日目に続いているようだった。
 配置は対向配置で、1日目も1ndVnと2ndVnの掛け合いが見事だったが、バルコニー席に移ってのぞき込むように見て
みると、全てのパートが有機的にモチーフが受け渡され、まるで一つの生き物のような、つまり音楽そのものが意思を持って動いているような、隙の無い一体感が感じられた。
 何度も繰り返すが、これほどのクオリティで、大好きなシューマンの2番を聴ける、この喜び・快感に酔いしれた。
 目の前で起こる奇跡を噛み締めながら聴いていた。第1楽章の再現部から胸にこみ上げるものがあり、第3楽章では決壊しそうな涙腺の維持が大変だった。
 センチュリーが弦5部を何層にも絹織物を重ねたように、上品でつややかなテクスチャーでありつつ、これほどまで
に分厚いサウンドを聴かせるオーケストラだとは思っていませんでした。第4楽章の中間部でグリッサンドで弦の音を重ねて盛り上がっていく部分では、客席で圧迫感を感じるほどの迫力があった。木管も上品さを湛えつつ、全体のサウンドに音が埋もれることが無く、しっかりときこえてくる。とりわけ持丸さんのクラリネットの音色(内声に回る場面でも)印象に残った。

 大フィルが井上さんとの3年で「ラテン気質の大阪に合うオーケストラ」を標榜し、確かにサウンドが変わった。色
々評価はあるが、僕は大フィルの音が変わり果てていく事に寂寥感を感じていた。そして、何よりもこの「大阪はラテン」というのが本当にマジョリティの大阪らしさを表しているのか?よしもと的お笑い文化など浅薄なイメージに踊らされているのではないか?との疑問を持っていた。
 しかし、このセンチュリーのサウンドを聴いて、このオーケストラも大阪という街が背負ってきた歴史を体現していると感じた。大正時代の東洋の商都、世界に冠たる大大阪の歴史に裏打ちされた、気品と格調高い生き方。江戸時代以来の勤勉で明るく、人と人との繋がりを重んじ、コミュニケーションが豊富。仕事の腕を磨くことは自分の魂を磨くことと信じ自己研さんを怠らず、逆境にもしなやかに強い。そんな大阪の歴史が生み出したサウンドをセンチュリー響が持っている。
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 この日は、ザ・シンフォニーホールの目と鼻の先に建つ「関西将棋会館」で藤井四段の奇跡が続いていた(13:30からの大局)
 僕にとっては、偏愛するシューマンの交響曲第2番を、これほどの素晴らしい演奏で聴くことが出来たことも奇跡だった。
 これほどの演奏に接したとあっては、今後の大阪へのコンサート遠征はセンチュリーを軸から外せない、そう感じた
2日間でした。

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コメント 6

あーと屋

ヒロノミンVさま
初日の演奏を聴きました。シューマンを聴いて見事なほどのまとまりと品のある演奏に感嘆いたしましたが、ブログを拝見いたしますと、2日目はさらなる高みに達した演奏だったのですね。4月、そしてこの5月の定期での演奏を是非、首都圏の耳の肥えたファンにも聴いてもらいたいものだと思います。
あーと屋
by あーと屋 (2017-06-19 12:47) 

ヒロノミンV

>あーと屋さん
 コメントありがとうございます。「あーと屋のほぼ大阪クラシック演奏会日記」のブログマスターさんでいらっしゃいますか?いつも楽しみに拝見しています。
 2日目は、私自身の耳の「慣れ」という要素もあると思いますが、より艶やかさと輝きを増したサウンドを聴くことが出来ました。大阪ではやはり歴史もあり老舗の大フィルに集客してしまいますが、僕はしばらくセンチュリーを軸に大阪遠征を組みたいと思います。

 余談ですが、シュテファン・ドールは7月9日の岡山フィル定期演奏会にも登場しますよ。3年前にR.シュトラウスの1番を演奏し、僕も度肝を抜かれました。
https://youtu.be/bO3MdKl0pag?t=45m59s
 今回は地元ファンの熱烈なコールに応えて、2番を演奏します。よろしければ岡山もお越しください(笑)岡山フィルは、まだまだこれからのオーケストラですが、決して下手なオケではありません。シューマン2番と言えば、広響も演奏しますね。こちらにも行ければなあ・・・なんて考えています。

by ヒロノミンV (2017-06-19 20:41) 

あーと屋

岡山フィルの47回定期(YOUTUBE)、拝見しました。冒頭のソロで思わず仰け反ってしまいました。演奏後の興奮MAXのブラボーを叫ばれた方のお気持ち、大変よくわかります。私もその場にいたらブラボー叫んだことでしょう。
7月9日の演奏会、福◯からは電車で1時間ほどですので是非とも聴きに出かけたいところですが、今の所都合がつくか50:50。もし行けるようでしたらご連絡いたします。
あーと屋
by あーと屋 (2017-06-19 23:21) 

ヒロノミンV

>あーと屋さん

>冒頭のソロで思わず仰け反ってしまいました
 私も当日は「こんなに凄いの!?」とのけ反って聴いていました。大阪から招待した友人も同じ反応でした。
 こう書いておいてなんなんですが、実は当日仕事でして、今から「7/9は14時で抜けます!」と声を大にして予防線を張っています(笑)
 もし、来られるようならコメント頂ければと思います。
by ヒロノミンV (2017-06-19 23:41) 

ぐすたふ

記事拝見しました。見事です。何も付け加えるものがありません。

ご一緒できたこと、幸福に思います。
by ぐすたふ (2017-06-23 07:35) 

ヒロノミンV

>ぐすたふさん
 そう言っていただけて恐縮です。

 一つ書き忘れがあって。あとで付け足そうと思いますが、後半になって客席が少し埋まりましたね(プラス20~30席ほど?)。前日聴かれた人や、口コミで評判を聞きつけた人が「後半だけでも」と足を運んだのではないかと思っています。
 今のところ、この日の演奏は今年行った1番のコンサートです。
 
by ヒロノミンV (2017-06-23 12:19) 

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