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関西のオーケストラの2017/2018シーズンのプログラム概観(その2) [各地プロ・オケ情報]

 関西のオーケストラの来年度のプログラムについて、今回は日本センチュリー交響楽団、大阪交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団についてメモをしておきます。
※関西フィルのシーズンは2017.1~12

日本センチュリー交響楽団
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 僕が来年度、一番注目しているのが日本センチュリー交響楽団です。センチュリーは小編成になったら無敵のハイレベルなアンサンブルで、先日聴いたカメラータ・ザルツブルグと比べても、決して引けを取りません。
 去年のエントリーで 豊中文化芸術センターの指定管理者になったことで、去年「これはセンチュリーにとってもかなり有効な打開策になると思います」と書きましたが、来年度のプログラムを見てみると、この豊中名曲シリーズが成功すれば、センチュリーは資金面でかなり見通しが立って来ると感じます。
 現在は府からの補助がゼロになった楽団にとって生命線は文化庁の補助。それがオーケストラに対して付く補助金だけでなくホールの運営も手がけることで、劇場・音楽堂に対する補助金を活用することも出来るようになる。豊中文芸センターにとっても、オーケストラがあるとこで室内楽のコンサートなども展開できる。両者にとってWin-Winの関係。スポンサー企業も順調に数を増やしていて、もうかつての「公務員オケ」ではなくなりました。それもこれも人口30万人の地方都市でオーケストラを経営する飯森さんの手腕によるところが大きいのではないかと思います。
 あとはシンフォニー定期の集客力を上げられるかどうかが、カギになって来るでしょうね。
 プログラムでいうと、何といってもイブラギモヴァが登場する10月定期は必聴と言えます。昨年に引き続き名曲が中心ですが、前プロ・後プロのどちらかにひねりの聴いたプログラムが入っていて、今年度はほとんど食指が伸びなかった(チャイPコンとか苦手な曲が多かった・・・)のと対照的に、来季はシトコヴェツキー・シューマン2番の6月定期、秋山・シベリウス1番の10月定期、飯森・ガヴリリュク・ブル4の1月定期あたりを注目しています。
 ハイドン・マラソンのいずみホールシリーズは、全曲演奏会の宿命ともいえるマイナーな曲が多い一年になりそうですが、楽団自慢のソリスト陣(ホルン・コントラバス)が楽しみです。
大阪交響楽団
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 昨年は児玉音楽監督から外山ミュージック・アドバイザーに体制が変わって、かなり名曲路線に戻した感じがありました。来期のシンフォニー定期は少し大響らしさが垣間見えますが、遠征してまで(往復7000円の交通費をかけてまで)聴きに行きたいか、というと、「う~ん」というところです。
 僕が関西まで聴きに行く動機は、
①岡山では聴けないプログラム
②めちゃめちゃ上手い演奏を聴きたい
③これは大フィル限定だけど、大フィルのサウンドを浴びたい
 この3つです。大響は大響サウンドとまで言えるような特徴は無いですし、めちゃめちゃ上手オケかというと疑問符が付く。「珍しいプログラムであれば・・・」というのは児玉さんの時には特徴だったんですけど、今はそれほどでもない。
 名曲コンサートといずみシリーズで1日2回公演という「薄利多売」路線を突き進んでいて、この「デフレ戦略」で楽団が疲弊しないか・・・危惧するところです。堺市に本拠地を置いて、地域密着を標榜したのもつかの間、大阪南部での主催公演はほとんど見られません。やはり関西のクラシック音楽の人口ボリュームは、大阪北部。堺にいいホールがあれば、センチュリーの豊中のような事業が展開できるんでしょうが。
 外山アドバイザー体制になって2年目、大響が独自のサウンドと特徴を打ち出して、ネット上でも話題になる様な存在になれば・・・注目していきたいと思います。まずは、公益社団法人の認可が取れるような経営基盤の強化が課題でしょうか。
関西フィルハーモニー管弦楽団
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 今年は結局、関西フィル・フィルに足を運ぶことはありませんでしたが、ここのオーケストラは特徴的なサウンドを持っています。極めて人懐っこいというか、人間味が溢れている感じです。デュメイが音楽監督になってから、室内楽にも力を入れていて、室内楽の親密な感じがオーケストラのサイズになっても感じられるオーケストラです。
 このオケも京響やセンチュリーに比べると、めちゃめちゃ上手いオケ、というわけではないですが、いい聴衆もついていてコンサートの後には、楽団員さんとファンが一緒に談笑する姿があちこちで見かけます。
 関西フィルは組織的にもユニークで、特定非営利法人によって経営されている。友の会の会員一人一人が構成員となって、楽団を支えている。組織もスリムになり経営の自由度もある。
 来季もデュメイが登場する回が注目ですね。あと藤岡さんのRVW5番とシベリウス5番の日はかなり注目しています。  

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サンフランシスコ人

第2楽章が大好きです.....

大阪交響楽団の来季プログラム
第210回 定期演奏会 
チャイコフスキー:
交響曲 第1番 ト短調「冬の日の幻想」作品13 
by サンフランシスコ人 (2016-12-04 04:11) 

ヒロノミンV

>サンフランシスコ人さん
 いい曲ですよね。
by ヒロノミンV (2016-12-05 00:08) 

伊閣蝶

「藤岡さんのRVW5番とシベリウス5番」
これはいずれも聴きものですね。
素晴らしい演奏になる事でしょう。
by 伊閣蝶 (2016-12-07 12:16) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 これほど藤岡さんの十八番の曲を投入してくるとは!
 木曜日なのが厳しいところですが、休みを取ってでも聴きに行く価値はありますね。
by ヒロノミンV (2016-12-07 21:57) 

サンフランシスコ人

児玉 麻里&児玉 桃のプーランク:2台のピアノのための協奏曲.....

http://www.century-orchestra.jp/concert/special_20170507/

いい曲です....
by サンフランシスコ人 (2016-12-08 02:25) 

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