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関西のオーケストラの2017/2018シーズンのプログラム概観(その1) [各地プロ・オケ情報]

 昨日、京都市交響楽団が来季のプログラムを発表して、関西の5オケの年間プログラムが出そろいました。その中で今日は京響と大フィルについて概観してみたいと思います。

京都市交響楽団の来季プログラム

大阪フィルハーモニー交響楽団の来季プログラム

♪京都市交響楽団
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 広上さんがさらに3年間の契約更新で12年の長期政権に。国内では札響の尾高さん、広響の秋山さんなどに次ぐ長期政権。東京・関西のオケでは最近、例が無いのでは?
 下野さんが常任首席客演指揮者に昇格?これで「常任」と名の付く指揮者が3人、「首席」と名の付く客演指揮者が2人いるというのも変な感じですが(爆)、高関さんは東京シティ・フィルに、下野さんは広響の常任指揮者に就任しましたから、とにかくいい指揮者を囲い込んでおこう、というポスト広上まで見据えた指揮者陣に目がくらみそうです。
 京響に関しては「京響の驚異的にハイレベルな緻密なアンサンブルを聴きに行く」、それ自体に意味があって、プログラムは京響の緻密で色彩に飛んだサウンドを聴ける曲目なら何でもいいんですが、今年度はやや保守的なプログラム、特に独墺モノが多くなりました。高関さんのブル5は大フィルがまだ好調を維持していた頃に聴いて素晴らしかったので、今の京響でどういう風になるか注目。ズーカーマンの7月、ボリス・ベルキンの10月、ムストネンの2月は流石のソリスト陣で「いや~、京響、お金あるんやなあ」と思いました。アクセルロッドの9月、ジェームズ・ジャッドの1月は京響の機能性の高さが生かせるプログラムで、これも注目。
 結局、年間通してほとんど注目公演、ということになりますかね。

 
♪大阪フィルハーモニー交響楽団 
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 来シーズンの定期演奏会のラインナップ発表の前日に、井上首席指揮者の退任と、尾高ミュージック・アドバイザー(2018年4月から音楽監督に就任予定)の就任が発表されました。とはいうものの、尾高さんの登場回数が1回しかないのと、東京定期演奏会の中止、井上さん自身が来年度に向けて具体的な意欲を語っていた経緯を見ると、事実上の更迭だと思われます。
(※東京定期演奏会について、一旦、情報がすべて消えたあと、この2か月半前の時期に突如賦活しました。なんかバタバタしている感はありますが、花道を飾って欲しいです)
 私は尾高体制移行には全面的に賛成です。少なくとも現状よりは楽団の経営的にも演奏レベルも向上すると思っています。井上さんは楽団を厳しく鍛え直している、ように見えたが、結局は自己演出・自己主張が先に立ち、『大人のリーダー』として人心を掌握し財務的にも陣容面でも弱り切っている楽団を立て直すことはできなかった。これ以上の事を書くのは、ご本人の意向もあるので、ブログに書くのはこれで止めときます。
 それに加えて痛恨なのは来シーズンは楽団創立70周年の記念の年にも関わらず、監督も常任も居ない状態で迎えなければならないこと。60周年のベートーヴェン・チクルスのような目玉イベントが組めなかったのは、ファンとしては本当に悲しい事態です。
 結果的に定期演奏会を12人の指揮者で振り分けることになり、総花的ではあるが豪華な陣容になったことは、地方遠征組としては楽しみが増えたともいえます。準メルクル、インバル、エリシュカ、バッティストーニ・・・大植英次も含めて、ヨーロッパで実績を充分に積んだ巨匠たちが、これでもか!とばかり登場しますね。正直、来年は遠征の軸から大フィルを外そうと思っていたんですが、この陣容では外すわけには行きません。
 尾高さんのモーツァルト後期3大交響曲も、このラインナップの中では目立ちませんが、非常に挑戦的だと思います。
 SNSで大フィルの団員さんの演奏に関して、悪しざまに罵る様な書き込み(特に今年の9月は酷かった…)が多く私は「大阪クラシックや星空コンサートで、市民のためにあれだけのパフォーマンスを見せてきた楽団員さんに、なぜここまでコテンパンに書けるものか?」、疑問に思っています。一方、ブロガーさんの多くは「ここの部分は、こういう作曲者の意図であるから、もっとデリケートな音が欲しい」など、理性的・理論的な意見が多く納得できます。今、弱りに弱っているオーケストラをSNSの脊髄反射的批判で、これ以上追い詰めるのはどうか?と思います。
次回はセンチュリー、関フィル、大響について概観してみたいと思います。

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伊閣蝶

大フィルのこれからの活動に期待しています。
私もこのオーケストラの大ファンですので。
市民や観客のために惜しげもなく力を注ごうとするその「プロ根性」にも感嘆します。

by 伊閣蝶 (2016-12-07 12:28) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 大フィルは、現在正団員の補充もままならない状況にありながらも、よく頑張ってはると思います。今の苦労は将来の飛躍のための雌伏の時間だと思います。
 願わくば、大阪市民の皆さんがこの貴重なオーケストラの価値を理解し、カジノ誘致・万博誘致(=すなわち利権誘致)に忙しい政治屋どもの手から救ってほしいと思います。
by ヒロノミンV (2016-12-07 22:07) 

すし

井上さんは逃げ出したのだと思います、むしろ。「事実上の更迭」の逆でしょう。
by すし (2016-12-18 13:58) 

ヒロノミンV

>すしさん
 コメントありがとうございます。

>井上さんは逃げ出したのだと思います、むしろ。「事実上の更迭」の逆でしょう。

 そうかも知れません。大フィルとしては70周年の記念の年を、首席も常任も居ない状態で迎えるのはなんとしても避けたかったでしょう。しかし、井上さんから辞めるという話であれば、最後に「事務局長に口止めされていた」などとブログの記事に書いたことは、あまりにも悪辣と思います(もっとも、更迭されたから書いても良い、という話にはなりませんが)。
by ヒロノミンV (2016-12-19 20:12) 

すし

京響千人交響曲>発売日を失念しててチケット争奪戦戦場に出遅れて行くも、既に終わってました(完売)。
今友人に必死で頼み込んで、奥さん分を回してもらう方向で交渉中です(奥さんはクラシックを苦手とする人)。
定期公演の日を発売日に設定するお約束とは言え、年の瀬のバタバタしてる平日にスペシャルなチケットを売るとは酷です。
by すし (2016-12-27 23:32) 

ヒロノミンV

>すしさん
 僕は仕事と地元の岡山フィル定演のため、チケット争奪には参戦していなかったんですが、凄い争奪戦になったようですね。

>年の瀬のバタバタしてる平日にスペシャルなチケットを売るとは酷です。
 それは思います。オーケストラの事務局が「若い聴衆を開拓したい」といいながら、リタイヤ組や有閑マダムしかチケット取り出来ない日程の発売は、「ホントに若い人に来てもらいないと思ってるんか?」と言いたくもなります。
by ヒロノミンV (2016-12-30 23:19) 

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