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日本のオーケストラがここまで来た、と感慨を抑えられないSACD [クラシック音盤]

 NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)にEMIやユニヴァーサルが参加して以来、CDを買うことはほぼゼロになっていましたが、ちょっときっかけがあって、このSACDを購入して聴いています。

マーラー:交響曲第5番

マーラー:交響曲第5番

  • アーティスト: マーラー,インバル(エリアフ),東京都交響楽団
  • 出版社/メーカー: オクタヴィアレコード
  • 発売日: 2013/10/23
  • メディア: CD

 インバルのマーラーは、壮年期のフランクフルト放送響(以下、Hr響)との演奏が代表作、ということになっているけれど、この都響との演奏は完全に総合力でHr響の演奏を上回っています。
 とにかく都響の演奏が凄いレベルなのです。インバルの意図するところを鋼のような鉄壁のアンサンブルを駆使して十全に表現しきっています。これを聴いてHr響盤を聴くと、Hr響の方がオケが非力に感じてしまうのだから、今の東京都交響楽団の実力が知れようというもの。
 もちろん、Hr響も30年近い年月の間に進化しているから、両者を比較するのはフェアじゃないですね。


 印象的なのは、
第2楽章の彫の深い表現、弦部隊の分厚さ、馬力全開の管楽器も「無理してる」感は皆無。若杉さんとのコンビでオール日本人の演奏でマイスルトーンを残した90年前後の全集から、わずか二十数年でここまで進化しますか!?
 第5楽章の後半のテンションの高さたるや・・・。オーケストラへの賛辞とともに、「インバルってこんな凄い指揮者やったんや!」という再発見をさせてくれました。都響の献身的ね熱演ゆえです。録音も優秀で音場の広がりが凄い。
 この曲はスコアを見ながら何度も聴いているのだけれど、各声部がこれほど厳格に整然となっている演奏は初めてかも知れない(実演では経験あるんですけど、録音では初めての経験。これはSACDの効果かも)。

 今世紀に入って以降の、MTT&サンフランシスコ響、ラトル&ベルリン・フィル、ヤンソンス&RCO、そしてお気に入りのノット&バンベルク響、これらの輝かしい録音を大いに楽しんできましたが、それらの錚々たる演奏を凌駕する、と言っていい類を見ない手応えのある演奏でした。

 この演奏を聴く限り、都響の実力派「世界レベル」かどうかなんて全く議論の余地なし、僕は本気でバイエルン放送響やロンドン響あたりのレベルじゃないかと思いました。凄すぎだわ!

 僕にとって、マーラー5番のベストチョイスです。


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伊閣蝶

インバルと都響のコンビによるマーラーはつとに評価が高いのですが、残念ながらまだ未入手でした。
しかし、ヒロノミンVさんの記事を拝見し、やはりこれは何としても入手して聴かなくては!と思った次第です。
早速注文します。
熱のこもった素晴らしい記事に大感謝です!
by 伊閣蝶 (2016-10-29 12:40) 

ヒロノミンV

>伊閣蝶さん
 この都響の演奏は、個人の嗜好を超えて、普遍的に評価されるべき演奏・・・と思います。
 9月末にインバルが大阪フィルに客演した際、東京から大挙、来阪したインバル・ファンたちが、「都響での演奏は凄かったのに大フィルは期待外れだった」との感想を多く目にし、半ば反発心から「都響がどれほどのものか、聴いてみよう」と手に取った次第です。
 結果、「これは凄い!正直、これと比較された大フィルは気の毒だ」と、返り討ち(?)に合ってしまう結果になりましたが(笑)、今では日本のトップ・オーケストラが世界のトップ・オーケストラのレベルに手が届かんとする、誇らしい演奏だと思っています。
by ヒロノミンV (2016-10-29 18:33) 

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